【完結】婚活アドバイザーが異世界で結婚相談所を開いたらこじらせハイスペ王子たちがご来店されました〜絶対にご成婚していただきますっ!〜

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第5章 婚活セミナー

共感力!!

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「今日は御三方に、私のセミナーを受けていただきます。
 成婚のために、厳しいことも言うとは思いますがご了承ください!」

 使命に燃えているアリサの個人セミナーはすぐに開かれた。

 ギルドの休憩時間、個室にて、ルビオ、クレイ、ケビンのこじらせ男子たちが雁首揃えて並んでいる。

 絶対に来てくださいと、相席居酒屋からの帰り道で男性三人に取り付けた約束を、律儀に守ってくれたようだ。

 アリサの血走った目と、鬼気迫る表情に気押されたとも言えるが。
 壁に紙を貼り、そこにはペンで『婚活セミナー~幸せな成婚のために~』と大きく書かれている。

「みなさんまず、普段の身の振り方や考え方から変えていきましょう!」

 二連敗中のこじらせ男子三人に、婚活のノウハウを教えなければいけない。
 現世でもなかなか成婚できない、会話が苦手な人たちにアリサが教えていたのだ。

「まるで学校の先生だな……」

 子供時代を思い出したのか、ケビンは眼帯のしていない右目を細めながら呆れている。

「はい、身の振り方というのは、具体的にはどういう?」

 生真面目なクレイは早速挙手をしてアリサに質問をしてきた、手にはノートとペンを持っている。

「御三方とも、私が見る限り仕事はできるし、友人や同僚からの信頼も厚い、素敵な方々です」

 ケビンはジョンのような友人も多く、ギルドの仕事も的確だ。
 クレイは礼儀正しく知的、ルビオは一見傲慢だが、ちょっとした所作や仕草が綺麗だし、ゲーム内でも貴族相手に王族らしい身の振り方をしていた。
 基本的な常識やマナーは備わっているように見える。

「た、だ、し、これからするのは恋愛であり、結婚です。
 女性相手に必要なスキルをもっと身につけねばいけません!」

「そんなのもの、生まれてから一度も習わなかったぞ」

 腕を組んだルビオが納得いかないように反論する。

 攻撃魔法、回復魔法、剣技、統率力ともにスキルが高く、オールマイティキャラなルビオは、『恋愛スキル』が低いと言われて不服そうだ。


「成長し、恋愛経験を積み、みなさん自然と身につけていくのが恋愛スキルです。
 修行やレベルや、アイテムもありません」


 気まずそうなケビン、メモを取るクレイ、不遜なルビオと三者三様の反応をされるが、アリサは続ける。


「では簡単に、恋愛スキルを上げることができることをお教えします」


 おお、とクレイから声が上がった。
 アリサはペンを持ち、貼り付けた紙に大きく文字を書いていく。


「御三方に足りないのは、そう、『共感力』です! 

 女性は何よりも、相手に共感を求めます」


 『共感力』と書かれた紙を叩き、ここが一番大事だというようにアリサは声を大きくする。


「女性と会話するときには、まず答えやすい質問を投げかけて、優しく相槌を打って聞いてあげましょう。
 あなたに興味がありますよ、あなたともっと仲良くなりたいですよ、というように」


 ここは前世でもよく、強調して教えていたところだ。
 男性から積極的に話しかけ、エスコートをしなければいけないが、会話が軌道に乗ったら後は聞き役に徹すること。

 女性は心を許した人にはお喋りであることが多い。その会話に共感し、相槌を打ち、良いタイミングで質問をする。

『聞き上手な人』が、男性でもモテるのは統計学でも明らかになっている。

 なので、相席居酒屋でのクレイのように、自分の仕事の話を一方的に話し続けたり、ケビンのように的外れなセクハラ質問をするのは、女性から嫌われるのだ。

「なるほど……聞き上手、ですか」

「ギルドの客の対応にも応用できそうだな」

「ふん。そもそも興味が湧かん相手だったら、論外だがな」

 三人とも反応はまちまちだが、それぞれ納得はしたようだ。
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