【完結】婚活アドバイザーが異世界で結婚相談所を開いたらこじらせハイスペ王子たちがご来店されました〜絶対にご成婚していただきますっ!〜

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第8章 マッチングアプリ

落ち込むケビン

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<アリサ所持金 50万フィル>

「48……49……50万フィル! よし!」

 布袋に入った金貨を数えながら、アリサはガッツポーズをとる。

「だいぶお金も溜まってきたし、早速部屋を借り直そう……!」

 アリサは近くの不動産屋へ行き、もっといい条件の部屋が空いてないか尋ねた。

 ギルドにも徒歩でいけて、商店街も近く治安もいい場所に、築年数も浅い小綺麗な煉瓦造りの家があるので、そこを借りることに。

 キッチンは広く、湯船も綺麗。
 ベッドもふかふかで、一人で住むにはもったいない程の部屋だったが、今の稼ぎだと問題なく家賃を払えそうなので、即決した。

 少ない荷物を部屋に置き、引越しが完了する。


(よし、虫も出ないし窓も割れてない! 
 素敵な部屋で新しい生活の始まりだ♪)


 広いベッドに体を投げ出し、異世界で仕事が軌道に乗り、生活レベルが上がったことを喜んだ。



*   *   *



 新居から上機嫌でギルドへと向かう。

「おはようございます!」

 勢いよくギルドの扉を開くと、珍しくケビンが先に出勤していた。


「………ああ、おはよう」


 地獄の底から捻り出したような、低い声。

 見るからに負のオーラをまとったケビンが、カウンターに座りコーヒーを啜っていた。

 熱いコーヒーを一口飲んでは、はあ、とため息をついている。


(うう、朝からなんかすごい落ち込んでる……これはまさか……)


 先日の、街コンカップリングパーティではうまく第一希望の女性とカップリングされ、そのあと二人で食事の予定などを決めていたケビンだが。


「もしかしてケビンさん……例の女性とうまくいかなかったんですか?」


「ぐふっ!」


 ちょうど口をつけ飲む瞬間だったのに、心を見透かされて驚いたのか、ケビンがむせて咳払いをしている。

 慌てて背中をさするアリサ。


「な、何故……わかった」


 的中したらしい。
 ケビンはずり落ちた眼帯を片手で直しながら、アリサを見上げる。


「いや、見るからに落ち込んで雰囲気が暗いんで……。
 ここ最近で落ち込むことといえば、デートがうまくいかなかったぐらいしかないかなって」


 ギルドの経営はうまくいっているし、男友達も多く友人関係も良好、健康にも問題なさそうなケビンが落ち込むとしたら、女性関係ぐらいだろう。


「……君に言われて初めて気がついたが、俺はそんなに分かりやすいのか」


「ええ、はい」


 デートの前にウキウキソワソワしているのも見抜かれていたが、ケビンはクールに見えて、気分が一挙一動分かりやすく出やすい。


「嘘をつけないというのも、誠実で結婚相手としてはいいと思うんですけどねぇ」

「……慰めはよせよ」

 ケビンはため息をつき、コーヒーを啜る。まるで朝からやけ酒を飲んでいるかのようなオーラだ。


「デートうまくいかなかったんですか? 
 またお酒飲んで、女性に変なことを言ったとか?」


 相席居酒屋では、緊張したのかビールを飲みすぎ、子供何人欲しいとかセクハラ爆発発言をしたので、またそれをやらかしたのかとアリサが首を傾げる。


「いや、今回はランチで酒は自粛した。
 俺は普通に楽しかったんだがな……」

「ふんふん、お相手はなんて?」

「食事が終わった後、次はいつ会えるか聞いたんだが、忙しいとやんわり断られてしまってな」

「なるほど……」


 忙しい、と次のデートのアポを濁すのは、脈なしの時の常套手段だ。

 ケビンも察したらしく、潔く引き、このコーヒーやけ飲み落ち込みモードというわけか。
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