【完結】婚活アドバイザーが異世界で結婚相談所を開いたらこじらせハイスペ王子たちがご来店されました〜絶対にご成婚していただきますっ!〜

たかつじ楓@書籍発売中

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第10章 対面デート

チョコミントとストロベリーチーズ

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 次に向かった先は大きな公園で、中心には噴水があり、子供たちが遊んでいる。

 そのそばにはあアイスクリーム屋があり、たくさんの種類のフレーバーが色とりどり並んでいた。


「甘いものが好きなのだろう? 
 ここのアイスクリームは美味しいと評判だ」

「そうなんですね、食べましょう!」


 ルビオがなぜ城下町の店事情に詳しいのかは謎だったが、アリサは笑顔になる。

 昨日、眠れぬルビオが、町の情報が書かれた本を読み込み、エスコートするイメージトレーニングをしていたのだ。

 服屋では失敗したが、今度はうまくいった、とルビオは内心ほっとしていた。


「えーっと……チョコミントとストロベリーチーズどっちが良いかなぁ」


 アリサがカラフルな十種類以上のアイスを眺めながら悩んでいると、またもルビオがさっと前へ進み出る。


「二つとも買って、分ければ良いだろう。
 主人、チョコミントとストロベリーチーズを」


 口を挟む間もなくルビオが金貨を渡すと、店員は返事をして二つのカップにアイスを盛り出した。 


「それとも、また市民の税金とか言うか?」


 意地悪く聞き直したルビオに、


「う……さっきは言いすぎましたよ。
 ご馳走していただきありがとうございます」

「素直でよろしい」


 上機嫌なルビオがアイスを二つ受け取り、公園のベンチへと向かった。

 ベンチに座り、スプーンでアイスをすくい、口へと運ぶ。

 冷たくて甘いアイスは、自然と笑顔になる。


「んー美味しい! 
 ルビオ王子はこの味で大丈夫でしたか?」

「初めて食べるが、悪くない」


 ルビオはチョコミントを不思議な顔をしながら食べていたが、意外に気に入ったようだ。

 半分食べたところで、アリサのストロベリーチーズと交換する。


(公園でアイス食べるなんて、こんな若者のデートみたいなこと久しぶりだなぁ)


 アリサは遠い過去に学生時代のおぼろげな記憶を思い返していた。

 就職してからアリサは仕事一筋で恋愛は皆無だったし、ルビオにいたっては、デート自体が初めてだ。

 ストロベリーチーズも初めて食べたのだろう、興味深そうにスプーンですくっているルビオの顔をアリサは眺める。

 相変わらず顔は良いけど、仕草や態度も幾分柔らかく見えるのは、自分の婚活アドバイスの賜物だろうか。


「なんだか、ルビオ王子今日は優しいですね」

「ふん、そなたが言ったのであろう。
 女性をエスコートせよ、とな」


 ルビオがアリサのアドバイスを実践しているという事実に、微笑ましく思った。

 食べ終わったアイスのカップをゴミ箱に捨てにいったルビオの背中を見つめながら、アリサがふと思い出す。


(あれ、結局今日って、王子はなんのために私に会いにきたんだろう?)


 婚活の相談があるかと思いきや、ただ服屋で買い物して公園でアイスを食べているだけだ。

(まあ、ゆっくりしたかっただけかもしれないし、聞くのは野暮ね。
 私もここ二日、久々に休めてリラックスできたし)


 気分転換できたと伸びをしているとルビオが戻ってきて、ベンチの隣に座る。 

 ちょうど、綺麗な夕日が二人に差し込んできた。



「今日は天気が良かったから、夕陽が綺麗ですね!」

「……ああ、そうだな」


 オレンジ色の夕日に照らされたアリサの横顔を、眩しそうにルビオが見つめる。


 赤い髪のあどけない少女。自分に物怖じせぬ言い方をし、あっけらかんと笑う。


 その笑顔を、ずっと見ていたいと初めて思った人だった。


 ルビオがベンチの隣に座っているアリサの肩を抱こうと、そっと手を伸ばす。


 アリサの細い肩を包もうと思ったのだ。
 しかし、触れるすんでのところで指が止まる。



(……嫌われたくない)



 という初めての気持ちがルビオの胸によぎった。

 ゆっくりと、アリサに気がつかれないように腕を下ろす。



「アイス美味しかったです、ごちそうさまでした!」

「……ああ」



 何も気が付かず話しかけてくるアリサの横顔を見て、情けない、と眉を下げながらルビオは返事をした。
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