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第1章 美しい君に素敵な服を贈る
4、身分違い?
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「だ、誰だと言われましても……」
レベッカは内心焦っていた。
冷や汗が背中を伝う。
突き飛ばしてもいないのにリリアとユリウスに犯人扱いされたものだから、自分の靴をあげて機嫌を取ってみたが、確かに悪役令嬢レベッカ・エイブラムの行動とは思えないだろう。
事実、目の前にいる冷静沈着なクロードはレベッカを訝しがっている様子だ。
「ご存知の通り、わたくしはレベッカ・エイブラムです。いや、です、わよ!」
無理やり語尾をお嬢様口調にして、おほほほ、と口をすぼめて笑ってみた。悪役令嬢がいつも持っている羽の扇子を持ってくれば良かった。
クロードはそれでもまだ不思議そうに眉を寄せてレベッカを見ていたが、そうか、と息をついた。
なんとなくだけれど、この世界の登場人物に、別世界から転生してきたのだということは言わない方が良い気がして、レベッカは慌てて話題を逸らす。
「クロード様は何をされていたのですか?」
「俺はユリウスと庭園を散歩していたんだが、あいつはリリアと行ってしまったからな」
クロードとユリウスは幼馴染という設定だったはずだ。
皇太子のユリウスが一番気を許せる友人で、恋の相談などもしているのかもしれない。
怪我をしたリリアのために皇太子自ら部屋に送るなんて、ゲームをしている立場だったらキュンとするだろうが、置いて行かれたクロードからしたら手持ち無沙汰に違いない。
「まあ、そうですわよね。
ではよかったら、わたくしと散歩の続きをご一緒しませんか?」
転生してきてから、まだこの学園内を自由に歩いたことはなかった。
案内して欲しかったので気軽に誘ってみたら、クロードは見るからに動揺をしていた。
「俺が、君と……庭を散歩?」
青色の瞳を大きく見開いて、回答に困っている様子だ。
まずい、そういえば立場が違うのか。
レベッカからしたら会社の同期をランチに誘うぐらいの気軽なノリで言ってしまったが、相手はライネス公爵家のご子息だ。
皇太子であられるユリウスの幼馴染ということでもわかる通り、レベッカよりも貴族としての地位は格上なのだった。
クロードからならともかく、レベッカからたとえ散歩とはいえ誘うのは無礼なのかもしれない。
「いえ、ユリウス様とお二人でいたのに、行ってしまわれましたから。
代わりに私が……なんて、おこがましかったですわよね。申し訳ございません」
レベッカは気まずくなって、もうここから去りたいとドレスの裾を掴んで礼をした。
しかし、クロードは無礼だと言いたかった訳ではないようだ。
「……それは光栄なお誘いだ。
では庭へと行こうか、レベッカ・エイブラム令嬢」
表情を変えず、青い瞳は真っ直ぐレベッカを見つめていた。
レベッカは内心焦っていた。
冷や汗が背中を伝う。
突き飛ばしてもいないのにリリアとユリウスに犯人扱いされたものだから、自分の靴をあげて機嫌を取ってみたが、確かに悪役令嬢レベッカ・エイブラムの行動とは思えないだろう。
事実、目の前にいる冷静沈着なクロードはレベッカを訝しがっている様子だ。
「ご存知の通り、わたくしはレベッカ・エイブラムです。いや、です、わよ!」
無理やり語尾をお嬢様口調にして、おほほほ、と口をすぼめて笑ってみた。悪役令嬢がいつも持っている羽の扇子を持ってくれば良かった。
クロードはそれでもまだ不思議そうに眉を寄せてレベッカを見ていたが、そうか、と息をついた。
なんとなくだけれど、この世界の登場人物に、別世界から転生してきたのだということは言わない方が良い気がして、レベッカは慌てて話題を逸らす。
「クロード様は何をされていたのですか?」
「俺はユリウスと庭園を散歩していたんだが、あいつはリリアと行ってしまったからな」
クロードとユリウスは幼馴染という設定だったはずだ。
皇太子のユリウスが一番気を許せる友人で、恋の相談などもしているのかもしれない。
怪我をしたリリアのために皇太子自ら部屋に送るなんて、ゲームをしている立場だったらキュンとするだろうが、置いて行かれたクロードからしたら手持ち無沙汰に違いない。
「まあ、そうですわよね。
ではよかったら、わたくしと散歩の続きをご一緒しませんか?」
転生してきてから、まだこの学園内を自由に歩いたことはなかった。
案内して欲しかったので気軽に誘ってみたら、クロードは見るからに動揺をしていた。
「俺が、君と……庭を散歩?」
青色の瞳を大きく見開いて、回答に困っている様子だ。
まずい、そういえば立場が違うのか。
レベッカからしたら会社の同期をランチに誘うぐらいの気軽なノリで言ってしまったが、相手はライネス公爵家のご子息だ。
皇太子であられるユリウスの幼馴染ということでもわかる通り、レベッカよりも貴族としての地位は格上なのだった。
クロードからならともかく、レベッカからたとえ散歩とはいえ誘うのは無礼なのかもしれない。
「いえ、ユリウス様とお二人でいたのに、行ってしまわれましたから。
代わりに私が……なんて、おこがましかったですわよね。申し訳ございません」
レベッカは気まずくなって、もうここから去りたいとドレスの裾を掴んで礼をした。
しかし、クロードは無礼だと言いたかった訳ではないようだ。
「……それは光栄なお誘いだ。
では庭へと行こうか、レベッカ・エイブラム令嬢」
表情を変えず、青い瞳は真っ直ぐレベッカを見つめていた。
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