あきらめきれない恋をした

東 里胡

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*気付かれないように*

バレちゃいました2

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 あの日、泣いてしまったせいで、真宙くんにも私の気持ちはバレてしまった。
 絶対に空人くんには言わないって約束はしてくれたけど。
 仲良しだから安心はできない。
 でもちゃんと言わないでくれているみたい。
 だって空人くんは何も変わっていないから。
 う~ん、何も、じゃないかな?
 ここ最近は、私たちよりも春香先輩を優先するようになっていた。

「ねえ、なんで空人だったの?」

 真宙くんの質問に、あの日のことを話し出す。
 いつまでも動かないでいそうだった私に空人くんが自分のお守りを貸してくれた日のことを。

「そりゃ、惚れるね」

 最後まで聞いてポツリと呟いた真宙くんに、私も苦笑して頷いた。

「かっこよすぎでしょ? 空人くんってば」
「だな、俺が女子ならやっぱり惚れてたかもしれない」

 笑いながらまた一枚海と私の写真を撮っている。

「はーちゃん先輩がいるもんな……」

 伸びてきた真宙くんの大きな手が私の頭にのって、慰めるようにワシャワシャと撫でる。
 肩までのボブが一瞬でグチャグチャ、潮風のせいでベトついているから余計にだ。
 犬のように頭を振って髪を整えてから、大丈夫、と笑った。

「だってさ、好きだなって思った時にはもう春香先輩のこと知っちゃったんだもん」
「ごめんっ!」
「真宙くんのせいじゃないよ」
「いや、俺のせい、絶対。だって片想いしてた空人を全力で後押ししたの俺なんだもん」
「じゃあ、真宙くんのせいだ」
「ごめーん!!」

 手を合わせて必死に謝る真宙くんを、からかうように笑った。

「嘘だよ、ちゃんとわかってる。空人くんと春香先輩はきっと最初から結ばれてたんだよ」

 春香先輩から貰った勇気、だからこそ大切な人。
 嬉しそうに恥ずかしそうにそう語ってくれた空人くんだから。
 ああ、絶対叶わないなって思った、あの日。

「強いな、ハナちゃんって」
「ん?」
「だって普通、彼女がいるってわかった時点であきらめたりしない?」

 首を傾げたままで笑ったら真宙くんも首を傾げる。

「笑わないでね?」
「なに?」
「私ね、誰かを好きになったの初めてなんだ」
「ええっ!?」

 大きな目が更に大きくなって、しばし沈黙をした真宙くんは。
 手を口元に宛てて顔が赤くなっていった。

「……、うわあ、初恋とか。ハナちゃん、めっちゃ可愛いんだけど」
「ねえ、笑ってる! 目が笑ってるよ、真宙くん!」
「違う、笑ってんじゃなくて。えっと、ニヤけてるの、可愛すぎて」

 バカにしてる、絶対!
 もういい、とプイッと背中を向けた私に。

「失恋も初めて?」
「……」
「だよね」

 まだ聞くのか、と無視をする私の前に真宙くんは回り込んできた。
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