32 / 79
第二章 間違い探しの日々
2-16
しおりを挟む
「悪かったですね」
「いいえ、今回は大人しくしてもらってるんでとても助かってます」
棘のある言い草に拗ねていると、ごめん、ごめんと真顔に戻って。
「ただ、紅がアイツともし万が一、伴侶になるとして」
「ならない!!」
「だから万が一の話、ね? なったとして。そうしたら紅は紅じゃなくなる」
「どういうこと……?」
「紅は赤の一族の力をアイツに一旦吸収された上で、次に目覚めた時には黒の一族となるんだ」
また碧の話が難しくなりそうで眉間に皺を寄せる。
「言っただろ、時間を巻き戻す能力が黒一族ら弱くなってるって。紅の血が配合されれば神原宵《アイツ》から黒の一族へと感染し、その後百年ヤツらの繁栄は続く。そのために紅を狙いに来たんだ」
「でも前の人生では、こんなこと」
「同じことが起こるとは限らない、これから先はもっときっと」
険しい顔をした碧がため息をついた。
「紅が特殊能力を失ってるからって、気を抜いた俺が悪い。ごめん」
碧はただの幼馴染でもただの見張りでもなくて、もっと大事な任務をずっと、私の知らない時からずっと……。
「まだ何か隠しているんでしょ? 全部言ってよ」
気を抜いた俺が悪い、ねえ、その意味を教えて。
「結界、緩めてたかも。前の時は常に張ってないと、紅がいつ使うのかわからなかったし」
それって!?
「碧が私のこと守ってくれてたから黒の一族には見つからずにいた、そういうこと!?」
「別に守ってたわけじゃ」
言い淀んで気まずそうに目を反らした碧の、首筋が赤い気がする?
「そういう使命だから、俺の。紅を黒らから守らないと……、赤は途絶えるし、それに青にとっては一番良くない結果だしね」
「……、ふうん」
青にとっての良くない結果というのは、真実だろう。
もしも黒の勢力がこれ以上大きくなったら、青の特殊能力だけじゃ抑えきれないということなんでしょう?
でも、何で? 何で私を守るの?
青にとっては赤だって厄介者なのでは?
途絶えたっていいはずの種族なんじゃないの……?
「紅の父親と俺の本当の父親が親友だった話、まだ言ってなかったよね」
「え?」
碧のお父さんと私のお父さん?
「親友だったんだって、俺だってそれを目で見たわけじゃないから、真実かどうかは知らない。でも、紅の父親の罪を裁いたのは、親友だったはずの俺の父親。追放までしたくせにさ、娘のことは守ってやりたいんだろ?」
だから仕方ないから、という顔をしているけれど。
「教えてよ、碧。父の罪って何だったの?」
私の顔を見て小さなため息をついた碧が重たい口を開く。
「紅のお父さんは禁忌を犯した、人間の寿命に手を出すことは能力を失い時空界から追い出される」
それはどの一族も同じ禁忌らしい。
それが、私の父が犯した罪。
「いいえ、今回は大人しくしてもらってるんでとても助かってます」
棘のある言い草に拗ねていると、ごめん、ごめんと真顔に戻って。
「ただ、紅がアイツともし万が一、伴侶になるとして」
「ならない!!」
「だから万が一の話、ね? なったとして。そうしたら紅は紅じゃなくなる」
「どういうこと……?」
「紅は赤の一族の力をアイツに一旦吸収された上で、次に目覚めた時には黒の一族となるんだ」
また碧の話が難しくなりそうで眉間に皺を寄せる。
「言っただろ、時間を巻き戻す能力が黒一族ら弱くなってるって。紅の血が配合されれば神原宵《アイツ》から黒の一族へと感染し、その後百年ヤツらの繁栄は続く。そのために紅を狙いに来たんだ」
「でも前の人生では、こんなこと」
「同じことが起こるとは限らない、これから先はもっときっと」
険しい顔をした碧がため息をついた。
「紅が特殊能力を失ってるからって、気を抜いた俺が悪い。ごめん」
碧はただの幼馴染でもただの見張りでもなくて、もっと大事な任務をずっと、私の知らない時からずっと……。
「まだ何か隠しているんでしょ? 全部言ってよ」
気を抜いた俺が悪い、ねえ、その意味を教えて。
「結界、緩めてたかも。前の時は常に張ってないと、紅がいつ使うのかわからなかったし」
それって!?
「碧が私のこと守ってくれてたから黒の一族には見つからずにいた、そういうこと!?」
「別に守ってたわけじゃ」
言い淀んで気まずそうに目を反らした碧の、首筋が赤い気がする?
「そういう使命だから、俺の。紅を黒らから守らないと……、赤は途絶えるし、それに青にとっては一番良くない結果だしね」
「……、ふうん」
青にとっての良くない結果というのは、真実だろう。
もしも黒の勢力がこれ以上大きくなったら、青の特殊能力だけじゃ抑えきれないということなんでしょう?
でも、何で? 何で私を守るの?
青にとっては赤だって厄介者なのでは?
途絶えたっていいはずの種族なんじゃないの……?
「紅の父親と俺の本当の父親が親友だった話、まだ言ってなかったよね」
「え?」
碧のお父さんと私のお父さん?
「親友だったんだって、俺だってそれを目で見たわけじゃないから、真実かどうかは知らない。でも、紅の父親の罪を裁いたのは、親友だったはずの俺の父親。追放までしたくせにさ、娘のことは守ってやりたいんだろ?」
だから仕方ないから、という顔をしているけれど。
「教えてよ、碧。父の罪って何だったの?」
私の顔を見て小さなため息をついた碧が重たい口を開く。
「紅のお父さんは禁忌を犯した、人間の寿命に手を出すことは能力を失い時空界から追い出される」
それはどの一族も同じ禁忌らしい。
それが、私の父が犯した罪。
40
あなたにおすすめの小説
三十年後に届いた白い手紙
RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。
彼は最後まで、何も語らなかった。
その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。
戴冠舞踏会の夜。
公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。
それは復讐でも、告発でもない。
三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、
「渡されなかった約束」のための手紙だった。
沈黙のまま命を捨てた男と、
三十年、ただ待ち続けた女。
そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。
これは、
遅れて届いた手紙が、
人生と運命を静かに書き換えていく物語。
はじめまして、私の知らない婚約者様
有木珠乃@『ヒロ弟』コミカライズ配信中
ファンタジー
ミルドレッド・カーマイン公爵令嬢は突然、学園の食堂で話しかけられる。
見覚えのない男性。傍らには豊満な体型の女性がいる。
けれどその女性から発せられた男性の名前には、聞き覚えがあった。
ミルドレッドの婚約者であるブルーノ王子であることを。
けれどミルドレッドの反応は薄い。なぜなら彼女は……。
この世界を乙女ゲームだと知った人々による、悪役令嬢とヒロイン、魔女の入れ替え話です。
悪役令嬢を救いたかったはずなのに、どうしてこんなことに?
※他サイトにも掲載しています。
掃除婦に追いやられた私、城のゴミ山から古代兵器を次々と発掘して国中、世界中?がざわつく
タマ マコト
ファンタジー
王立工房の魔導測量師見習いリーナは、誰にも測れない“失われた魔力波長”を感じ取れるせいで奇人扱いされ、派閥争いのスケープゴートにされて掃除婦として城のゴミ置き場に追いやられる。
最底辺の仕事に落ちた彼女は、ゴミ山の中から自分にだけ見える微かな光を見つけ、それを磨き上げた結果、朽ちた金属片が古代兵器アークレールとして完全復活し、世界の均衡を揺るがす存在としての第一歩を踏み出す。
つまらない妃と呼ばれた日
柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢リーシャは政略結婚で王妃に迎えられる。だが国王レオニスの隣には、幼馴染のセレスが“当然”のように立っていた。祝宴の夜、リーシャは国王が「つまらない妃だ」と語る声を聞いてしまい、心を閉ざす。
舞踏会で差し出された手を取らず、王弟アドリアンの助けで踊ったことで、噂は一気に燃え上がる――「王妃は王弟と」「国王の本命は幼馴染」と。
さらに宰相は儀礼と世論を操り、王妃を孤立させる策略を進める。監視の影、届かない贈り物、すり替えられた言葉、そして“白薔薇の香”が事件現場に残る冤罪の罠。
リーシャは微笑を鎧に「今日から、王の隣に立たない」と決めるが、距離を取るほど誤解は確定し、王宮は二人を引き裂いていく。
――つまらない妃とは、いったい誰が作ったのか。真実が露わになった時、失われた“隣”は戻るのか。
異世界召喚されたけどスキルが地味だったので、現代知識とアイテムボックスで絶品料理を作ったら大商会になっちゃいました
黒崎隼人
ファンタジー
手違いで剣も魔法もない異世界に召喚された、しがない日本のサラリーマン、湊カイリ。
彼に与えられたのは、無限に物が入る【アイテムボックス】と、物の名前が分かる【鑑定】という、あまりにも地味な二つのスキルだけだった。
戦闘能力は皆無。途方に暮れるカイリだったが、異世界の食事が絶望的に不味いことを知り、大きなチャンスに気づく。
現代日本の「当たり前」の知識は、この世界ではとんでもない「宝」なのだと!
「醤油?味噌?そんなものがあれば、この世界の食文化はひっくり返るぞ!」
ひょんなことから出会った没落貴族の美少女・リリアナと共に、カイリは現代知識と地味スキルを駆使して屋台から商売をスタート。
絶品料理で人々の胃袋を掴み、さらには便利な生活用品を次々と発明していく。
伝説の神獣の幼体「フェン」やドワーフの鍛冶師など、頼れる仲間たちも加わり、彼らが立ち上げた「サンライズ商会」は瞬く間に大躍進!
迫り来る悪徳商会や腐敗した貴族の妨害も、現代のマーケティング術と知恵で痛快に打ち破る!
これは、平凡なサラリーマンが異世界の常識を覆し、食と生活に革命を起こして一代で大商会を築き上げる、痛快成り上がりファンタジー!
美味しい料理と、もふもふな相棒、そして仲間との絆。
人生、逆転できないことなんて何もない!
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
追放された公爵令息、神竜と共に辺境スローライフを満喫する〜無敵領主のまったり改革記〜
たまごころ
ファンタジー
無実の罪で辺境に追放された公爵令息アレン。
だが、その地では神竜アルディネアが眠っていた。
契約によって最強の力を得た彼は、戦いよりも「穏やかな暮らし」を選ぶ。
農地改革、温泉開発、魔導具づくり──次々と繁栄する辺境領。
そして、かつて彼を貶めた貴族たちが、その繁栄にひれ伏す時が来る。
戦わずとも勝つ、まったりざまぁ無双ファンタジー!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる