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第二章 間違い探しの日々
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碧の話によると、黒の一族は時空界の全ての力を網羅しているらしい。
自由自在にそれらを巧に操って、青の一族の目もかいくぐり、やりたい放題しているとのこと。
証拠も隠滅されてしまうから、証拠のない犯罪の全ては多分黒の一族の仕業だというのに、青の一族にはそれを制御できるまでの能力もなく手をこまねいているのだと教えてくれた。
ただ黒の一族にも弱点はあり、近年では時間を巻き戻す能力が少し劣って来たのだという。
「だから、神原宵は、紅の存在を知って、ここにやってきたんだ」
「私に会うため? でも、なんで?」
「アイツと契約したら、紅、お前はまた時間を巻き戻す特殊能力を取り戻す。そしてアイツは赤の力を手に入れて巻き戻す力を強固にするつもりだ」
「……契約?」
嫌な予感しかない、その言葉に眉間に皺を寄せた私に。
「……、神原宵の伴侶になることだ」
は? 冗談じゃない!!
「何で私があんなやつと?!」
「だから!! 絶対にそうなるなよ、忠告だけはしとく」
碧が怖い顔で私を睨んでるけれど睨みたいのはこっちだよ、だって。
「伴侶ってのは、つまりその」
結婚、とか。その、多分……。
「そ、紅の想像通りだよ、アイツと出来るなら、特殊能力は戻ってくるけれど」
絶対嫌! 何で私の二度目の人生にそんな選択肢が現れるのか!!
考えてもみてよ、私ね?
一度目の人生ですら、恋人なんかいなかったというのに――。
まだ十六歳にもなる前に、伴侶……、それはない。
そして万が一そういう人が現れるとして、神原宵だけはない。
まだフラつくような身体へのダメージを与えた張本人に、怒りばかりか恨みまで噴出している。
自分の特殊能力《チカラ》を見せつけるだけ行為だった。
知らしめた後の私の身体への負担なんて、きっと何も考えてなかったんだろう。
あのまま気を失って、碧がいなかったら今頃どうなってたんだろうと思うとゾッとした。
「出来るわけない! 私にだって選ぶ権利もタイプだってある!」
フンッと鼻息荒くなった私を碧が不思議そうに見ていて。
「紅のタイプって……、どんなの?」
「……、どんなんだろう?」
クックックっと笑い出した。
「見たことなかったもんね、紅の彼氏」
「そっくりそのまま返すわ、碧にだっていたことない」
「そうだね」
バカにしたように笑ってるのは、碧自身はモテてたからだ。
誰かと付き合ったりまではなかったけれど、高校に入ってグンっとこれから背が伸びて私を見下ろすようになる。
その辺りから碧のことを大好きな女の子たちによって、彼の周りは華やいでいた。
「碧は何で誰とも付き合わなかったのよ、モテてたくせに」
「そんな暇ないってば、誰かさんが悪さばっかりしてたから」
「は!?」
「遅刻しては戻し、テストで戻し、あ、体育で転んだから戻すってのも」
「ちょ、止めてよ!」
最悪、全部知られてるんだもん。
昔の愚かな時間戻しの理由、今更言わないで欲しい。
ムッと口を尖らす私に碧が苦笑した。
「紅の見張りで女の子どころじゃなかったよ」
はいはい、どうせ私の前の人生ロクなことしてないってば。
自由自在にそれらを巧に操って、青の一族の目もかいくぐり、やりたい放題しているとのこと。
証拠も隠滅されてしまうから、証拠のない犯罪の全ては多分黒の一族の仕業だというのに、青の一族にはそれを制御できるまでの能力もなく手をこまねいているのだと教えてくれた。
ただ黒の一族にも弱点はあり、近年では時間を巻き戻す能力が少し劣って来たのだという。
「だから、神原宵は、紅の存在を知って、ここにやってきたんだ」
「私に会うため? でも、なんで?」
「アイツと契約したら、紅、お前はまた時間を巻き戻す特殊能力を取り戻す。そしてアイツは赤の力を手に入れて巻き戻す力を強固にするつもりだ」
「……契約?」
嫌な予感しかない、その言葉に眉間に皺を寄せた私に。
「……、神原宵の伴侶になることだ」
は? 冗談じゃない!!
「何で私があんなやつと?!」
「だから!! 絶対にそうなるなよ、忠告だけはしとく」
碧が怖い顔で私を睨んでるけれど睨みたいのはこっちだよ、だって。
「伴侶ってのは、つまりその」
結婚、とか。その、多分……。
「そ、紅の想像通りだよ、アイツと出来るなら、特殊能力は戻ってくるけれど」
絶対嫌! 何で私の二度目の人生にそんな選択肢が現れるのか!!
考えてもみてよ、私ね?
一度目の人生ですら、恋人なんかいなかったというのに――。
まだ十六歳にもなる前に、伴侶……、それはない。
そして万が一そういう人が現れるとして、神原宵だけはない。
まだフラつくような身体へのダメージを与えた張本人に、怒りばかりか恨みまで噴出している。
自分の特殊能力《チカラ》を見せつけるだけ行為だった。
知らしめた後の私の身体への負担なんて、きっと何も考えてなかったんだろう。
あのまま気を失って、碧がいなかったら今頃どうなってたんだろうと思うとゾッとした。
「出来るわけない! 私にだって選ぶ権利もタイプだってある!」
フンッと鼻息荒くなった私を碧が不思議そうに見ていて。
「紅のタイプって……、どんなの?」
「……、どんなんだろう?」
クックックっと笑い出した。
「見たことなかったもんね、紅の彼氏」
「そっくりそのまま返すわ、碧にだっていたことない」
「そうだね」
バカにしたように笑ってるのは、碧自身はモテてたからだ。
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その辺りから碧のことを大好きな女の子たちによって、彼の周りは華やいでいた。
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「そんな暇ないってば、誰かさんが悪さばっかりしてたから」
「は!?」
「遅刻しては戻し、テストで戻し、あ、体育で転んだから戻すってのも」
「ちょ、止めてよ!」
最悪、全部知られてるんだもん。
昔の愚かな時間戻しの理由、今更言わないで欲しい。
ムッと口を尖らす私に碧が苦笑した。
「紅の見張りで女の子どころじゃなかったよ」
はいはい、どうせ私の前の人生ロクなことしてないってば。
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