約束の未来~Re:set~

東 里胡

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第三章 新しい自分

3-6

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「それでも紅は前の人生の反省点を今の人生で生かしていると俺は思うよ、色んな事を忘れてしまっても」
「……たとえば?」
「人への接し方が一番じゃない? お母さんやクラスメートへの。後、俺への?」
「碧だって、そうじゃない? ちゃんと正体明かしてるから私への接し方が変わった、違う?」
「……半分当たりで半分ハズレ、だって昔俺のこと避けてたのは紅じゃん」

 何となく、だけど心当たりはある。
 だって15歳までは同じ人生なんだから。
 最初は、碧に対して恥ずかしかったんだ。
 物心ついた当たりから感じていた、碧と私の違い。
 隣に住んでいるのにお金持ちの幼馴染、頭も良くて何でも持ってる。
 引き換え私は貧乏で母一人子一人で、何も無い。
 どうしたって碧には敵わない、ってそう思い込んでいて、だから避けた。
 でも今ならわかる。必死に勉強したら、私だってそこそこ碧と渡り合えていたんだなってこと。
 私は何も持ってなかったわけじゃないってこともわかる。
 母という大事な家族がいるのだ。
 ああ、そうか、努力、をするようになった自分、これも変わった部分だ。

「もしかしたら、私は自分自身が特殊能力ちからを使えたことすらも忘れてしまうのかな?」

 いずれは、また特殊能力それを取り戻し時空界で裁判官としてトップに立ってやろうと目論んでいた。ただし
 碧の本当の父親や私の人生をリセットした裁判官やつらに吠え面掻かせてやろうと思ってた。
 でも、いつからだろう?

「残念ながら紅自身が自分で何者であるか、それからリセットされた理由が何であるかは忘れることはない、反省のためにね」

 ズキンと心が痛む。
 ちゃんと覚えているんだ。
 誰かを貶め、不正を働き、リセットされた日々があることは忘れられない。
 どんなに生まれ変わったような世界に落ちようとも、自分の罪は消えない。
 そして能力者だということを忘れることはできないのか。
 都合よくなど回るわけがない、わかってるつもりだったけれど、なんでかなあ。

「どうせなら全部の記憶消してくれたらよかったのにな」

 メロンと共に飲み込むはずだった本音が口から零れ落ちた。
 愚痴みたいなものだ。
 確実に覚えているものが罪と特殊能力ちからだなんて、ね。

「紅」
「ん?」
「本当は俺ね、紅の監視員を降りることもできたんだ、二度目の紅の人生を監視する役目を誰かに代わってもらった方がお互いに気楽じゃないかって」
「……それって碧は役目を終えて時空界に帰ってたってこと?」
「そう、紅の幼馴染は最初から俺じゃない別のヤツだったって書き換えてね」

 碧と出逢わなかった人生を植え付けられていたかもしれないってこと?
 思いもかけなかったその告白に何も言えずにいたら……。

「俺から頼んだ、本当の父親に。紅が変わっていく姿を見守りたくて。俺が一番側で見ていたくて」

 何故だろう、碧がそう望んでくれたことが嬉、どうしようもなく嬉しくなる。

「麦茶、飲む? 取ってくるね」

 冷蔵庫に向かい碧に背を向けて零れ落ちそうになった目頭に浮かんだそれを気付かれないように拭った。
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