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第四章 許されないことだとしても
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「時間動かしてよ、碧! これなら、もしかしたらメイちゃんは助かるかもしれないし私は死ぬかもしれない。でもいいじゃない、死んじゃったら裁くことだって不可能でしょ? 完全犯罪成立だわ」
碧を睨みながら笑ってやる。これは強がりなんかじゃない。
だってこんなのっておかしいよ、碧。
私は守りたいんだ、この小さな命を。
きっと、お父さんだってそうだったんだと思う。
それを悪だというならば言えばいい、そんな法律私だって守りたく何かない。
悪が全部悪なの? かつて宵が言っていた言葉の意味。
今なら理解できる、素直に。
「碧くんには、その勇気がないんだ、紅ちゃん」
宵が碧の横を通り過ぎ、しゃがみ込む私の横に片膝をついた。
「オレなら特殊能力を与えられるよ?」
「宵、止めろ、それをしたら紅は」
「そうだね、覚悟を決めて貰わないといけないもんね。ちゃんと説明するから、もう少しだけ時間止めておいてよ、碧くん」
説明?
「オレとの契約を交わしたならば、この先二度とこの世界には戻れなくなる覚悟はある?」
「え?」
それって、もしかして?
信号の向こう、明かりが灯る建物、さっきまで私たちがいた場所。
今もまだお母さんが働いている、そこに目を向けた。
「そう、わかる? もう会えなくなるんだ、お母さんとは」
突然そんなことを言われてもわからないでいる私に宵は話を続けた。
「それともう一つ。紅ちゃんがオレのものになって、それから今メイちゃんの命を救うということは。この先の未来はずっと青の一族から逃げる日々になる覚悟も」
パッと見上げたら碧と目があった。
私は碧とも、お母さんとも会えなくなる、そういうことなの?
目の前に提示された二つの選択肢。
一つは今こうして碧が時間を止めている間に私がクッションになれば少しはメイちゃんへの衝撃が減るかもしれないということ。
大罪として裁かれるべき私はもしかしたら、この後起きる事故の犠牲者になることも考えられる。
もう一つは宵と契約を結んで、時間を巻き戻しメイちゃんの命を救うこと。
だが代償として、母とも碧とも今後二度と会えなくなること。
きっとその後は宵と時空界にて、青の一族から逃げ惑う生活になるのだろう。
犠牲になってでも助けたい、とそう思ったのに、二つ目の選択肢の方がその先の人生が辛く感じてしまうのは、なぜだろう。
『気をつけて帰るのよ、碧くん、宵くん、紅のことよろしくお願いします』
私たちに手を振ってたお母さんの顔が思い浮かんで胸が痛む。
『……、置いてなんかいけないよ』
あの日、私の手を握った碧の手の温かさをもう感じることはないの?
「紅ちゃんの考えていることは全部わかってる、だけどもう一つ考えて?」
覗き込む宵の目が、メイちゃんを捉える。
「オレを選んだらメイちゃんの身体は一切傷つかないってこと」
宵の持つ能力の中には私が以前使ってきた時間を巻き戻す能力がある。
ただ一つ今この瞬間を切り抜けてメイちゃんを無傷で助けられる唯一の方法だ。
碧に頼んでも返して貰えなかった私の能力。
目の前の宵を見た。
うん、嫌いじゃないよ、宵のこと。
今好きかどうかって聞かれたら、好きではない。
この先一緒にいられるか、と自分に問いかけたら。
もしかしたらね?
多分、大丈夫、そしていつか好きになれるのかもしれない。
悪いやつじゃないから――。
抱きしめたメイちゃんからゆっくりと手を離す。
碧を睨みながら笑ってやる。これは強がりなんかじゃない。
だってこんなのっておかしいよ、碧。
私は守りたいんだ、この小さな命を。
きっと、お父さんだってそうだったんだと思う。
それを悪だというならば言えばいい、そんな法律私だって守りたく何かない。
悪が全部悪なの? かつて宵が言っていた言葉の意味。
今なら理解できる、素直に。
「碧くんには、その勇気がないんだ、紅ちゃん」
宵が碧の横を通り過ぎ、しゃがみ込む私の横に片膝をついた。
「オレなら特殊能力を与えられるよ?」
「宵、止めろ、それをしたら紅は」
「そうだね、覚悟を決めて貰わないといけないもんね。ちゃんと説明するから、もう少しだけ時間止めておいてよ、碧くん」
説明?
「オレとの契約を交わしたならば、この先二度とこの世界には戻れなくなる覚悟はある?」
「え?」
それって、もしかして?
信号の向こう、明かりが灯る建物、さっきまで私たちがいた場所。
今もまだお母さんが働いている、そこに目を向けた。
「そう、わかる? もう会えなくなるんだ、お母さんとは」
突然そんなことを言われてもわからないでいる私に宵は話を続けた。
「それともう一つ。紅ちゃんがオレのものになって、それから今メイちゃんの命を救うということは。この先の未来はずっと青の一族から逃げる日々になる覚悟も」
パッと見上げたら碧と目があった。
私は碧とも、お母さんとも会えなくなる、そういうことなの?
目の前に提示された二つの選択肢。
一つは今こうして碧が時間を止めている間に私がクッションになれば少しはメイちゃんへの衝撃が減るかもしれないということ。
大罪として裁かれるべき私はもしかしたら、この後起きる事故の犠牲者になることも考えられる。
もう一つは宵と契約を結んで、時間を巻き戻しメイちゃんの命を救うこと。
だが代償として、母とも碧とも今後二度と会えなくなること。
きっとその後は宵と時空界にて、青の一族から逃げ惑う生活になるのだろう。
犠牲になってでも助けたい、とそう思ったのに、二つ目の選択肢の方がその先の人生が辛く感じてしまうのは、なぜだろう。
『気をつけて帰るのよ、碧くん、宵くん、紅のことよろしくお願いします』
私たちに手を振ってたお母さんの顔が思い浮かんで胸が痛む。
『……、置いてなんかいけないよ』
あの日、私の手を握った碧の手の温かさをもう感じることはないの?
「紅ちゃんの考えていることは全部わかってる、だけどもう一つ考えて?」
覗き込む宵の目が、メイちゃんを捉える。
「オレを選んだらメイちゃんの身体は一切傷つかないってこと」
宵の持つ能力の中には私が以前使ってきた時間を巻き戻す能力がある。
ただ一つ今この瞬間を切り抜けてメイちゃんを無傷で助けられる唯一の方法だ。
碧に頼んでも返して貰えなかった私の能力。
目の前の宵を見た。
うん、嫌いじゃないよ、宵のこと。
今好きかどうかって聞かれたら、好きではない。
この先一緒にいられるか、と自分に問いかけたら。
もしかしたらね?
多分、大丈夫、そしていつか好きになれるのかもしれない。
悪いやつじゃないから――。
抱きしめたメイちゃんからゆっくりと手を離す。
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