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13.私じゃなくても
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「風ちゃんさ、才能あるんじゃない?」
「へ?」
「だって、それ三匹目じゃん、すごっ! 俺、まだ一匹しか釣れてねえし」
勇気さんが、私の釣った魚を覗き込んでいる。
「で、でも、祥太朗なんて、まだ全然釣れてないしな、うん。俺のが勝ってる! うん!」
張り合う勇気さんに、祥太朗さんは舌を出して。
それから私を見てグッジョブとばかりに親指を立てた。
私が二匹釣ったら、一緒に月を観てくれませんか、それを覚えててくれてるはず、だ。
「榛名さん~!! またです、またあ!!」
「ちょ、根がかりさせないでって、その渦巻いてるあたりに糸垂らすの止めてって」
「だって、糸が流れていくんですもん」
祥太朗さんが釣れない理由に、さっきから高野さんの釣り竿が岩底で引っかかってしまって、それを外したりしてあげているせいだとは思う。
「勇気、釣れた! お願い、魚取って、魚! あと、餌つけて!!」
「待って、美咲。暴れんな、魚外れるから」
ニジマスがピチピチ跳ねるのを怖がる美咲さんに呼ばれている勇気さん。
向こう岸では、桃ちゃんと洸太朗くんが、仲良く並んでボウズの模様。
「どう? 調子?」
隣に立ったのはマスターだ。
「三匹目です」
「おお、同じ! じゃあ、次先に釣り上げた方が勝ちね」
「なんの勝負なんですか?」
笑い合いながら川に浮かぶお互いの浮きの行方を見守った。
「今朝、ごめんね。起きれなくて」
「いいえ、昨日は運転本当にお疲れ様でした。今朝は、祥太朗さんも手伝ってくれましたし。ベーコンエッグ焼いてくれたの祥太朗さんなんですよ、美味しかったですよね」
「うん、ホント! 店が忙しい時、アイツも手伝いに来てくれないかな。使えそう」
「いいかもしれないですね」
手際の良さを思い出しながら、笑ったら。
「なんかあった?」
「え?」
「ようやく笑顔になった気がして」
驚きマスターの顔を見上げたら、クスリと笑って。
「わかるよ、だってほぼ毎日見てるんだよ、風花さんの顔。今日は元気ない。あ、なんかいいことあったのかな。とかさ、風花さんって言葉が少ない分、悲しいとか寂しいの時は、必死に笑顔を作ってても嘘だってわかるんだよね。キッチンに立ちながら泣いちゃうんじゃないかって何度も思ったけど。ずっと堪えてたよね、最近」
そんなことはない、とプルプル首を振ったら「まあ、そういうことにしとこ」と流される。
「ただ、今日の笑顔はちゃんと腹の底から笑ってるんだなってわかるよ。なんとなく、それが何かわかっちゃうのは悔しいけど」
「え?」
「ううん、あ、引いてるよ、風花さん」
「マスターもですよ」
「ホントだ! じゃあ先に釣り上げた方の勝ちで」
「だから、なんの勝負ですか!」
川底から水を弾きながら、二匹同時に釣り上がって引き分けとなる。
「じゃあ、次こそ勝負で」
「負けませんから」
遠くでまだ高野さんが祥太朗さんを呼ぶ声が聞こえた。
だけど、今日は気にならない。
それはきっと約束があるからだ。
全部でちょうど、十六匹。内訳は私とマスターが五匹、勇気さん二匹、美咲さん三匹、桃ちゃんが一匹。
祥太朗さん、洸太朗さん、そして高野さんはその結果に不服そうだったけれど。
「やっば、美味しい!」
「まあね、その一番大きいのは私が釣ったのだから」
串刺しにしてシンプルな塩焼きにしたニジマスを頬張る洸太朗くんに美咲さんが、したり顔をすると。
「残念、美咲ちゃん! 一番大きいのは私のだから」
桃ちゃんが、それに張り合っている。
「フライ、ジューシーです! いくらでも食べられる」
「残念ながら人数分しかないんで、塩焼き一匹、フライ一匹までだからね、高野さん」
「はーい」
マスターにたしなめられ残念そうな高野さんだけれど、美味しそうに頬張っていて嬉しい。
「麻衣ちゃんは、一度東京に戻ってからまた帰省するんだっけ?」
「その予定です、このまま残ってもいいんですけど。榛名さん、寂しいでしょ」
「いや、別に」
「え、待って!? 素っ気なさ過ぎません? この旅行で相当距離は近づいたって思ってるんですけど」
口を尖らした高野さんに、祥太朗さんは苦笑している。
『あとで、東屋で』
ロッジから少し山側に登ったところにある東屋で待ち合わせ。
さっき祥太朗さんから、そんなメッセージが届いた。
何度も読み返して、思わず微笑んだところをバッチリ祥太朗さんに見られてしまった。
恥ずかしくてスタンプだけで『了解です』と送った後に、ちょっとだけ間を置いて。
『キレイなお月さまですね』
そう送ったら、祥太朗さんも気づいたみたいで、私を見て返信代わりに微笑んで頷いてくれた。
満月にはもう少しだけ足りないけれど、ふっくらとしたお月さまだ。
今夜もまた一人ずつ交代で温泉へ。
桃ちゃん、祥太朗さん、洸太朗さん、美咲さん、勇気さんから。
「次誰入る~?」
勇気さんの声掛けに、ふと高野さんと目が合った。
「今日、私、先にいただいてもいいですか?」
ハイと手を挙げる高野さんに、私もどうぞと手を出して彼女に順番が回る。
「次、マスターどうぞ! 私、片づけてから最後に入りたいので」
「ん、じゃあ、ありがと! でも、片づけは俺の分も残しておいて」
「つうか、片づけくらい洸太朗と祥太朗に任せなよ、二人とも」
「いや、美咲、なんもやってねえじゃん、家と一緒じゃん」
余計なツッコミをした勇気さんは、美咲さんの愛のグウパンチでミゾオチを突かれて、とても痛そうだった。
お風呂から上がったら、その足で東屋に向かおう。
夜空いっぱいの満天の星と黄色いお月さまを見上げる。
ほんの少しだけでいい。
祥太朗さんと二人で、見上げられたらそれだけで幸せな気持ちになれるから。
このまま、ずっと晴れていてほしい。
「へ?」
「だって、それ三匹目じゃん、すごっ! 俺、まだ一匹しか釣れてねえし」
勇気さんが、私の釣った魚を覗き込んでいる。
「で、でも、祥太朗なんて、まだ全然釣れてないしな、うん。俺のが勝ってる! うん!」
張り合う勇気さんに、祥太朗さんは舌を出して。
それから私を見てグッジョブとばかりに親指を立てた。
私が二匹釣ったら、一緒に月を観てくれませんか、それを覚えててくれてるはず、だ。
「榛名さん~!! またです、またあ!!」
「ちょ、根がかりさせないでって、その渦巻いてるあたりに糸垂らすの止めてって」
「だって、糸が流れていくんですもん」
祥太朗さんが釣れない理由に、さっきから高野さんの釣り竿が岩底で引っかかってしまって、それを外したりしてあげているせいだとは思う。
「勇気、釣れた! お願い、魚取って、魚! あと、餌つけて!!」
「待って、美咲。暴れんな、魚外れるから」
ニジマスがピチピチ跳ねるのを怖がる美咲さんに呼ばれている勇気さん。
向こう岸では、桃ちゃんと洸太朗くんが、仲良く並んでボウズの模様。
「どう? 調子?」
隣に立ったのはマスターだ。
「三匹目です」
「おお、同じ! じゃあ、次先に釣り上げた方が勝ちね」
「なんの勝負なんですか?」
笑い合いながら川に浮かぶお互いの浮きの行方を見守った。
「今朝、ごめんね。起きれなくて」
「いいえ、昨日は運転本当にお疲れ様でした。今朝は、祥太朗さんも手伝ってくれましたし。ベーコンエッグ焼いてくれたの祥太朗さんなんですよ、美味しかったですよね」
「うん、ホント! 店が忙しい時、アイツも手伝いに来てくれないかな。使えそう」
「いいかもしれないですね」
手際の良さを思い出しながら、笑ったら。
「なんかあった?」
「え?」
「ようやく笑顔になった気がして」
驚きマスターの顔を見上げたら、クスリと笑って。
「わかるよ、だってほぼ毎日見てるんだよ、風花さんの顔。今日は元気ない。あ、なんかいいことあったのかな。とかさ、風花さんって言葉が少ない分、悲しいとか寂しいの時は、必死に笑顔を作ってても嘘だってわかるんだよね。キッチンに立ちながら泣いちゃうんじゃないかって何度も思ったけど。ずっと堪えてたよね、最近」
そんなことはない、とプルプル首を振ったら「まあ、そういうことにしとこ」と流される。
「ただ、今日の笑顔はちゃんと腹の底から笑ってるんだなってわかるよ。なんとなく、それが何かわかっちゃうのは悔しいけど」
「え?」
「ううん、あ、引いてるよ、風花さん」
「マスターもですよ」
「ホントだ! じゃあ先に釣り上げた方の勝ちで」
「だから、なんの勝負ですか!」
川底から水を弾きながら、二匹同時に釣り上がって引き分けとなる。
「じゃあ、次こそ勝負で」
「負けませんから」
遠くでまだ高野さんが祥太朗さんを呼ぶ声が聞こえた。
だけど、今日は気にならない。
それはきっと約束があるからだ。
全部でちょうど、十六匹。内訳は私とマスターが五匹、勇気さん二匹、美咲さん三匹、桃ちゃんが一匹。
祥太朗さん、洸太朗さん、そして高野さんはその結果に不服そうだったけれど。
「やっば、美味しい!」
「まあね、その一番大きいのは私が釣ったのだから」
串刺しにしてシンプルな塩焼きにしたニジマスを頬張る洸太朗くんに美咲さんが、したり顔をすると。
「残念、美咲ちゃん! 一番大きいのは私のだから」
桃ちゃんが、それに張り合っている。
「フライ、ジューシーです! いくらでも食べられる」
「残念ながら人数分しかないんで、塩焼き一匹、フライ一匹までだからね、高野さん」
「はーい」
マスターにたしなめられ残念そうな高野さんだけれど、美味しそうに頬張っていて嬉しい。
「麻衣ちゃんは、一度東京に戻ってからまた帰省するんだっけ?」
「その予定です、このまま残ってもいいんですけど。榛名さん、寂しいでしょ」
「いや、別に」
「え、待って!? 素っ気なさ過ぎません? この旅行で相当距離は近づいたって思ってるんですけど」
口を尖らした高野さんに、祥太朗さんは苦笑している。
『あとで、東屋で』
ロッジから少し山側に登ったところにある東屋で待ち合わせ。
さっき祥太朗さんから、そんなメッセージが届いた。
何度も読み返して、思わず微笑んだところをバッチリ祥太朗さんに見られてしまった。
恥ずかしくてスタンプだけで『了解です』と送った後に、ちょっとだけ間を置いて。
『キレイなお月さまですね』
そう送ったら、祥太朗さんも気づいたみたいで、私を見て返信代わりに微笑んで頷いてくれた。
満月にはもう少しだけ足りないけれど、ふっくらとしたお月さまだ。
今夜もまた一人ずつ交代で温泉へ。
桃ちゃん、祥太朗さん、洸太朗さん、美咲さん、勇気さんから。
「次誰入る~?」
勇気さんの声掛けに、ふと高野さんと目が合った。
「今日、私、先にいただいてもいいですか?」
ハイと手を挙げる高野さんに、私もどうぞと手を出して彼女に順番が回る。
「次、マスターどうぞ! 私、片づけてから最後に入りたいので」
「ん、じゃあ、ありがと! でも、片づけは俺の分も残しておいて」
「つうか、片づけくらい洸太朗と祥太朗に任せなよ、二人とも」
「いや、美咲、なんもやってねえじゃん、家と一緒じゃん」
余計なツッコミをした勇気さんは、美咲さんの愛のグウパンチでミゾオチを突かれて、とても痛そうだった。
お風呂から上がったら、その足で東屋に向かおう。
夜空いっぱいの満天の星と黄色いお月さまを見上げる。
ほんの少しだけでいい。
祥太朗さんと二人で、見上げられたらそれだけで幸せな気持ちになれるから。
このまま、ずっと晴れていてほしい。
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