異世界と現代兵器 ~いや、素人にはちょっと~

霞草

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第五章

91話

「知らない天井だ……」

 テンプレなセリフを口にしたドルテナは少し赤面しながら天井部分を見ていた。
 その天井は何故か眩しくない程度に発光しており、周囲を照らしていた。

「何で光ってるんだ?ヒカリゴケとかの部類なのか?いや、ヒカリゴケなら苔そのものが光るんだろうけど、この天井は天井全体が光っているように見えるな」

 ぼぉ~とした頭でそんなことを考えながら不思議の天井を見つめていたが、暫くすると頭がハッキリとしてきて何が起きたのかを思い出してきた。

「えっと、倒したはずのボス狼の心臓が動いていて慌ててトドメを刺したんだよな……。その後、心臓から宝石みたいな物を取り出して、そいつが光り出したんだよな。そんで、慌てて鑑定したらダンジョンコアって…………ダンジョンだぁあ?!」

 鑑定結果がダンジョンコアだった事を思い出し、ガバッと勢いよく起き上がり辺りを見渡した。

 天井だけでなく周りの壁も発光しているため、周囲の様子を見ることができた。

 そして周囲に横たわっている人達が目に入り、慌てて一番近くにいたルーベンに駆け寄る。

「ルーベンさん!」

 近寄って声を掛けても反応はなかったが、息をしていたので気絶しているだけのようだ。
 他の人達も確認したところ、全員が気を失っているだけだった。

「ふぅ。よかった。死んだのかと思って焦ったわ。…………ん?あれ?イレネさんは?」

 皆生きていることがわかって安心したところで1人足らないのに気が付いた。
 ダンジョンコアを持っていたイレネが見当たらない。何度も周りを見るがイレネがいない。

「いない……。もしかして俺より早く気付いてここから出た……とか?」

 この空間?部屋?には横幅約2mの出入り口が1カ所あるが、皆を置いて1人だけ逃げることはしないだろうな。
 となると……偵察のために出たとか?
 俺が気が付いてからそれなりの時間はたったはずだ。1人で遠くまで偵察に行くとは思えないから、行ったとしてもそろそろ帰ってくるだろう。

 イレネが帰ってくるまでの間に周りの状況を把握しておこう。

 天井も壁も全て土や岩で覆われており、自分がいるのは洞窟内のようだ。
 洞窟内全体が光っているお陰で、日が差し込まなくても問題なく行動できるだけの明るさはある。
 ここの広さは小学校の教室より少し広いくらいだった。何処へ繋がっているかは分からない出入り口が1カ所ある。
 そして自分が寝ていた直ぐ近くには、石でできていたであろう何かが崩れ落ちていた。

「これだけが何かの人工物か。所々に加工されてる箇所があるから自然の物ではないな。後はあの出入り口の先か……やっぱりダンジョンなんだろうか」

 そう言いながら周囲を見渡すが、洞窟内の風景にしか見えない。

「この世界には大昔までダンジョンが実在してたんだよな。でも今はもうないはずだけど、昔話ではダンジョンに入ると別の世界に飛ばされるって話だった。なら俺達もあの場所からここへ飛ばされたって事か?となると、帰るための転移装置があるはずなんだけど……」

 視線の先にある人工物を見ながら予想してみる。

「もし本当にダンジョンならこの部屋がスタート地点だろうな。で、この石の瓦礫が転移装置だった物で、あの出入り口を出ると魔物がいるパターンか。次の階まで行くと別の転移装置がある可能性はあるよな。それで外に出られるだろう。皆が起きるまでは体を休めておくか」

 座ってアイテムボックスから水筒を取り出して水分補給をしながら休んだ。



「……ん……ここは……」
「あ!レオカディオさん、気が付きましたか」

 休憩し始めて30分が過ぎた頃にレオカディオが目を覚ました。

「あぁ……ん?ドルテナか。俺は……ここはどこだ?」
「よくわからないんですけど、たぶんダン ──(ザザ) 」

 たぶんダンジョン、と言おうとしたところでルーベンが起きた。

「ルーベンも気が付いたか」
「レオか。なんで俺は寝てたんだ?いや、ここはどこだ?」
「俺にも分からねぇよ。ドルテナは何か予想してるみたいだがな。とりあえず皆起こしてから話をしようぜ」

 ルーベンも頷いて全員を起こして回る。
 皆も特に怪我をしてなかった。フレディの片腕はないままだが。

「さてと、一番最初に気が付いていたドルテナがここが何処か心当たりがあるようだ。先ずはお前の話を聞こう」

 皆が俺を見る中、気絶する前に見たこと。そして起きてからのことを話した。

「……なるほどな。……ダンジョンコアの欠片ってのも気になるけど……イレネの行方が分からねぇのは困ったな。本当にダンジョンかどうかはあの出入り口から先に進めば分かるか……そうすると(ブツブツ)」

 ルーベンが出入り口を見ながら今後のことを考えている。
 そのルーベンを放置してフレディが声をかけてきた。

「ドルテナ、イレネが偵察に行っていないとして、どうして俺達と一緒にこの場所へ飛ばされなかったんだと思う?」
「わかりません。ただ、イレネさんはダンジョンコアの欠片を持っていました。あのコアのせいで俺達が転移させられたのなら、そのコアを持っていたイレネさんにだけ俺達とは違う力が働いた可能性も……」
「ッ!イレネが無事ではないと?」
「いや、それはなんとも……」

 ダンジョンコアって言うくらいだからあれが核、中心部なんだろう。
 ならばコアのある場所に行けばイレネがいる可能性もある……のか?

 ダンジョンコアにイレネが取り込まれていたり、あのコアのようにガラス玉のような物に閉じ込められたりとか?
 前世のゲームとかならありそうな展開だけど……いや、この世界はファンタジーな世界だからあり得る?

 とりあえず、その予想をフレディに話すとルーベンの方へ駆け寄っていった。
 コアのある場所、つまり最下層まで行こうとでも言っているのだろう。

 この世界で語り継がれているダンジョンは何層にもなっていて、最下層にダンジョンコアがある。
 そのダンジョンコアの付近にはコアを守護しているダンジョンボスがおり、そのボスを倒しても外へと出られる。
 ボスを倒しても、ダンジョンコアを破壊しなければダンジョンがなくなることはない。
 これがこの世界のダンジョンだったらしい。

 フレディと話していたルーベンがこれからのことを話し出した。

「よし。皆聞いてくれ。ここが単なる洞窟ではなくダンジョンだろうと言うドルテナの推測は正しいと思っている。その上でダンジョンから出るためには転移装置を探しなければならん。この部屋のような場所が次の階にもあり、そこに転移装置があると思う。あの出入り口から先に進み次の階を目指す。イレネは今になっても姿を見せないと言うことは別の場所にいる可能性がある。次の階で救援要請にヒュペリトまで行く者とイレネが転移装置まで辿り着いたときのためにダンジョンに残ってもらう者とに別れる。食料は各自の物と、ドルテナのアイテムボックスにある狼の肉だ。何か質問はあるか?」

 皆を見渡しているとバリーが聞いてきた。

「肉っていっても数日で腐るし、水はどうするんだ?」
「昔のダンジョンは1日で数階進んでいたって話だ。上手くいけば今日中、遅くとも明日には地上へ出られるはずだ。ヒュペリトまで戻った者に食料と水を手配させれば問題ない」

 ルーベンの答えにバリーも納得したようだ。

「他にないなら早速進むぞ。昔話曰く、ダンジョン内の魔物は俺達の知っている魔物とは違うって話だ。見た目に惑わされるな。俺とレオが先頭でバリー、ルイス、ドルテナ、フレディ、ヴィクター、ベンハミン、ホスエだ。行くぞ!」

 ルーベンに続いて出入り口から出て行く。
 さぁ、俺達9人で初ダンジョンのスタートだ。

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