侯爵令嬢は悪役だったようです

Alice

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「ローズさんはそちらから出られませんのに懲りないのですね。人の幸せをお祈り出来ませんの?何の為に修道院に行っていただいのかわかりませんわ」


「あたしだけ不幸で幸せなんて祈れるか」


「不幸って、何だかんだ言ってもローズさんは恵まれておりますのに。本題に入りますわね、先になりますがローズさんに恩赦おんしゃを与えようってお話が出ておりますの」


「恩赦?」
 

「ええ、わたくしレオンハルト殿下と結婚式を近々挙げることになりますの。その祭典による恩赦としてローズさんの解放、シルヴェスト、ガドウィン、アーシェスの強制労働の終了を与えようとお話が上がってます。ローズさん、如何します?家に戻りますか?」


「戻りたい、戻りたいに決まったるじゃない!やったー、囚人みたいな生活からおさらばできるー」


 立ち上がって大声で万歳と両手をあげてはしゃいでいらっしゃいますけど、無作法も直ってないのですね。
 本当に時間の無駄としか思えないお過ごし方をしているようですわ。




「で、いつ?」

「もう少し先ですわ。ようやく準備が整いましたの」

「あっそう。まぁあんたに感謝してあげる。王妃とか公爵夫人とか大変そうだし今度はお金のある子爵とか大商会の息子とか狙うから安心して」


「まぁ。一応、ローズさんはこちらに残る選択肢もありますが、恩赦を受けるものとして、然るべき時期に迎えを寄越すように手配しますわ。では、用件は済みましたので退室します」


「残るわけないよ。ああ、でも今日は気持ちが良いからあんたとアメリアの結婚を祈ってやってもいいわよ」


「結構ですわ」
 やめてくださらない?貴女に祈られたら呪われそうですわ。



「最後に、ローズさんにお伝えする事があと一つ」

「何よ」



「わたくし、悪役令嬢ですの」
 ゲームの知識がなかったとしても。

 






┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈



 部屋を退室すると廊下の冷えた空気が肌を刺す。
 扉の外にも騎士の護衛がいるのですが身体を冷やしていないか心配になります。



 声を掛けると、職務ですからお気になさらずと返事されたのはガドウィンの弟君であらせたユーグ様です。


 ガドウィンが廃嫡されて、次男のユーグ様が家督を継ぐ事になりましたのですが、 降って湧いた幸運にのぼせ上がることもなく。実直に職務をこなすユーグ様は兄に似ず鍛錬ばかりされており、自分には向かないと結局家督を三男に譲ったそうです。自分はあくまでスペアでよいのだと。
 
 






「あの女、本当に始末しなくて宜しいのですか?」

「エミリー?」

「失礼を承知で発言致しますが、あれに恩赦は不要ではないでしょうか?リリア様に敬称もつけずお前呼ばわりする気狂いです」

「気狂いなんだから仕方ないでしょう。労力の無駄よ」


 ローズさんと二度とお会いする事はないので、面会時間を念の為午後抑えていただきましたが、思っていたより早く終われて良かったです。

 疲れたので馬車の中で眠ってしまいそう。
 価値観の合わない方と会話すると気疲れするのよね。



「そういえば、エミリーやユーグは知らなかったかしら。シルヴェスト達がどうしているかを」


「ガドウィンは、現在国境警備の最前線にいると聞いております」

 ユーグは流石にそこは把握しているのね。
 安い装備で頑張ってもらっているわ。
 毎日ボロボロになって、泣き言言っているとか言わないとか。




 屈強な体に顔に傷がある為か中々決まらなかった辺境伯の嫡男のアレン様の婚約者となられたガドウィンの元婚約者のマリアンヌ様ですがそれ故に熱烈な歓迎を受け、アレン様の溺愛も凄まじく見た目に反して可愛らしい一面にマリアンヌ様は日々惹かれていくそうです。

 とある日、アレン様に国境付近を案内されていた時に、偶然出会ったガドウィンに泣きながら縋りつかれそうになり、激怒したアレン様にガドウィンが切り捨てられそうになる騒ぎに慌ててお止めしたのですが、内心笑いが止まらなかったとの内容のお手紙をアレン様との惚気と共に戴いております。


 
 シルヴェストやアーシェスも同様に扱き使われている様ですわ。
 


 
 
 
 
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