ロティ冒険譚

第一章

干ばつ

「だ・か・らぁ！そこは5だろっ！？」

ルクス国一番の一場に甲高い声が響き渡った
女、シャーロット・ブラウンと言うらしい
フルーツ屋の手前図体だけはでかい定員に
不機嫌そうに文句をつけている真っ最中である

「ぃ、いやぁしょうがないだろ？
　今、真夏の真っ最中のせいで水がでなくて
　作物が育てねぇのはあんたも知ってるだろ？」

「うっ……」
と一歩引き下がり、舌打ちを一回定員にかますと
シャーロットは、「悪かったな」と言い
その店を抜けた。

ルクス国は今夏の干ばつに襲われていた
夏のせいか、雨は一切降らず
作物は枯れるまま枯れ
食物もそれほど作れない状態だった
そのため、いつも激安のフルーツ一つでさえ
高価な値段になっていた

「ったく、国王は何してんだか」

袋に詰めた硬貨を懐に入れ、立ち止まる
きっと、干ばつなんてなければ昼の今には
人でわんさか賑やかなはずだ
それがどうだ、定員は椅子に腰掛け
客と言えば、シャーロットのような旅人や
暇だから見て回る(と言っても作物は何もないが)という
奴ぐらいで、今日はここに居る奴の方が
可笑しいようなくらいだ。

「野宿決定だな」

腰から膝くらいまである剣の束に左手を
置きながら片手で頭を掻く
野宿なんてもう何日目だろうか
金が無いのは明白だがそれ以前に宿屋の
作物の値段が三倍にでも膨れ上がっているのでは
ないかと思うと怖くて貯まらない

「さーてー？あいつを探すかな？」

クシャクシャになった地図を無作法にしまい、
走り出した、心底楽しそうな顔をして