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21.知ってしまった彼の気持ち。
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『藤澤さんに告白をしよう』
そんな一大決心をしたのにはワケがある。
この仕事があと少しで終わってしまうのだ。
そうなると、藤澤さんは地上にいる憧れの人から雲の上の人へと逆戻り。
研究所へこれだけ接点があるのは今の仕事がらみ。
絡んでくれるのも仕事がらみだと思うから、告白をする事によってお友達になりたい意味合いの方が強かった。
私は...。
会社で会ったら声をかけてもらったりする、そんな今みたいな関係を継続したいだけなのです。
恋人同士になるなんて夢見たいな事は望みませんし、ありえません。
それに、あの優しい彼なら友達にはなってくれるのではないでしょうか?
そんな淡い期待を持ち、その告白する場面を作るのにはどうしたらいいか、日々、頭を悩ませる。
残り、1週間を切った。
「三浦さん。研究所に行くけど、何か持っていくものあるかしら?」
私に優しい気遣いをしてくれたのは、田山さんと同期の鈴木さん。彼女は同じチームの事務職で、美波ちゃんと仲良しのお姉さん社員。そのつながりで私もよくしてもらっている。
今日の私はというとお得意様回りの数が多かったせいか、日報書きが捗らなかった。だから、すぐに行くのは難しいと判断して、鈴木さんの心遣いに甘えた。
でも、それから営業部に戻ってきた田山さんに藤澤さんへ急なお使いごとを頼まれて、結局、鈴木さんと大して時間もおかずに研究所へ行く羽目になる。
...せっかく、鈴木さんに頼んだばかりなのに。ま、藤澤さんに会えるからいいけど。
研究所へ着くと、もう定時を過ぎていたのでそこらへんを歩いていた白衣の女性を慌てて捕まえ、彼はミーティングルームにいると教わった。
薬品を使ったり、無菌ルームとかある実験室とは違い、ミーティングルームは営業部と同じ仕様なので部外者が入っていっても何も問題がない場所。
早速、そちらのエリアへと向かう。
ここは殆ど使う人がいないと聞いていた通りの場所で、すれ違う人の影すら見えなかった。
...本当に静かで怖いくらい。
けれど、松浦曰く、藤澤さんは好んでここによく篭るらしい。
もしかしたら、そんな時こそ、私にとっては彼と2人きりで話すチャンスなんじゃないかと邪なことを思いながら、目的の部屋の前に辿り着いた。
...ルーム1。ここだ。
部屋の表示を確認して、他の部屋に入るのと同様、ノックをする為にドアのすぐ近くまで。
すると、少しだけ開いていたドアの隙間から声が聞こえてきた。
周りがとても静かだったので、耳を澄まさずとも内容までハッキリと。
「あの...私。実はずっと前から、藤澤さんのことが好き...なんです」
...え?誰?
女性らしき人の言葉でドアをノックしようとする私の手が、一旦、躊躇う。
その後、少し間があり、予期せぬ男の人の言葉が続いた。
「悪いけど...俺、そういうのダメ、いや、迷惑なんだ。それに今は誰とも付き合う気はないから」
私の知っている優しげな話し方でなく、冷たくて投げやりな言い方。
その言い方が今の彼の気持ちを物語っているみたいだった。
...こういうの、迷惑...なんだ。
ズンと鉛みたいな重い空気が私の周りをみるみるうちに取り巻いてゆき、私はその場から動けなくなる。
そんな一大決心をしたのにはワケがある。
この仕事があと少しで終わってしまうのだ。
そうなると、藤澤さんは地上にいる憧れの人から雲の上の人へと逆戻り。
研究所へこれだけ接点があるのは今の仕事がらみ。
絡んでくれるのも仕事がらみだと思うから、告白をする事によってお友達になりたい意味合いの方が強かった。
私は...。
会社で会ったら声をかけてもらったりする、そんな今みたいな関係を継続したいだけなのです。
恋人同士になるなんて夢見たいな事は望みませんし、ありえません。
それに、あの優しい彼なら友達にはなってくれるのではないでしょうか?
そんな淡い期待を持ち、その告白する場面を作るのにはどうしたらいいか、日々、頭を悩ませる。
残り、1週間を切った。
「三浦さん。研究所に行くけど、何か持っていくものあるかしら?」
私に優しい気遣いをしてくれたのは、田山さんと同期の鈴木さん。彼女は同じチームの事務職で、美波ちゃんと仲良しのお姉さん社員。そのつながりで私もよくしてもらっている。
今日の私はというとお得意様回りの数が多かったせいか、日報書きが捗らなかった。だから、すぐに行くのは難しいと判断して、鈴木さんの心遣いに甘えた。
でも、それから営業部に戻ってきた田山さんに藤澤さんへ急なお使いごとを頼まれて、結局、鈴木さんと大して時間もおかずに研究所へ行く羽目になる。
...せっかく、鈴木さんに頼んだばかりなのに。ま、藤澤さんに会えるからいいけど。
研究所へ着くと、もう定時を過ぎていたのでそこらへんを歩いていた白衣の女性を慌てて捕まえ、彼はミーティングルームにいると教わった。
薬品を使ったり、無菌ルームとかある実験室とは違い、ミーティングルームは営業部と同じ仕様なので部外者が入っていっても何も問題がない場所。
早速、そちらのエリアへと向かう。
ここは殆ど使う人がいないと聞いていた通りの場所で、すれ違う人の影すら見えなかった。
...本当に静かで怖いくらい。
けれど、松浦曰く、藤澤さんは好んでここによく篭るらしい。
もしかしたら、そんな時こそ、私にとっては彼と2人きりで話すチャンスなんじゃないかと邪なことを思いながら、目的の部屋の前に辿り着いた。
...ルーム1。ここだ。
部屋の表示を確認して、他の部屋に入るのと同様、ノックをする為にドアのすぐ近くまで。
すると、少しだけ開いていたドアの隙間から声が聞こえてきた。
周りがとても静かだったので、耳を澄まさずとも内容までハッキリと。
「あの...私。実はずっと前から、藤澤さんのことが好き...なんです」
...え?誰?
女性らしき人の言葉でドアをノックしようとする私の手が、一旦、躊躇う。
その後、少し間があり、予期せぬ男の人の言葉が続いた。
「悪いけど...俺、そういうのダメ、いや、迷惑なんだ。それに今は誰とも付き合う気はないから」
私の知っている優しげな話し方でなく、冷たくて投げやりな言い方。
その言い方が今の彼の気持ちを物語っているみたいだった。
...こういうの、迷惑...なんだ。
ズンと鉛みたいな重い空気が私の周りをみるみるうちに取り巻いてゆき、私はその場から動けなくなる。
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