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36.BlueChristmas②
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私が向かった先は、言わずと知れた羽田空港。
藤澤さんに今、持っているクリスマスプレゼントを渡すためにここに来た。
途中、スマホで彼の乗っている便の到着時刻を確認して、予定より30分以上早く着くことができそう。
けれど、ここの空港には殆ど来たことがなかったので、少し迷い、結局、到着する時刻ギリギリに国内線の到着ロビーにたどり着く。その場所で電光掲示板を確認すると、飛行機の到着時刻も少し遅れているみたいだった。
私は戻ってくる人が良く見えそうな場所を探して、その場で待機すると、しばらくして彼の乗っているであろう便が到着する。
金曜日の夜だから、一般客よりもスーツを着た出張帰りのサラリーマンが多くて。
その中でよくよく目を凝らして見逃さないように、こちらに来る人たちを眺めると最後の最後の方で、背の高いそれらしい人を見つけた。
...あの人...かなぁ?
ただ、彼はキャリーバッグ引きながらこちらに向かいつつも、片手で何かを持ち下を向いてしまっている。
私は手だけ振っていたのだけれどずっと顔をあげていないので、私がいることに全く気が付いてもらえなかった。
ただ、手に持っているのが、もしかしたらと思う。
思い切ってスマホの方へ連絡すると、その人はすぐさま方向転換。人の邪魔にならないよう移動し、私がいる場所と違う方向を見ながら顔をあげていた。
「...もしもし?」
今日のキャンセルを気にしていたのか、いつもよりよそよそしい感じがする。
「み、三浦です...出張お疲れさまでした」
「あ、うん...それで、羽田に...」
彼が「今、着いたところ...」と言いかけたとき、頭上で到着便のアナウンスが流れてくる。流石にその中では話せず、お互いにそのアナウンスが終わるまで話さなかった。
そして、それが終わるとすぐさま彼の方から。
「...三浦さん、今、どこに?」
何かに気が着いたらしく、さっきとは違う口調で問い詰められてしまう。
「...その、空港の到着ロビーの出口の方に。多分、藤澤さんの見える位置にいると思います」
すると、周りを見回している彼の姿が目に入り、こちらを見て呆然と立ち尽くしている。きっと私の姿がわかったはずと、そちらに向かって手を振ると。
「お願いだから、そこから動かないで。今すぐ、そっちに行く」
その言葉と同時に通話が切れてしまい、彼は一目散に私の方に向かってきた。
もう、数メートルというところで、駆け寄ってきて、はーっと私の前で項垂れるようにため息をつく。若干、息も荒かった。
「...ハアハア...ただいま。でも、三浦さんがどうしてここに?」
迎えに来る予定のなかった私を見て驚くのは無理はなく、私は持っていた紙袋を彼の前に差し出す。
「...今日はクリスマスイブだから、藤澤さんに会いたくなって来ちゃいました。それにせっかくだから、今日中にプレゼントも渡したくて...その、ご迷惑でしたか?」
自分のしたことに急に恥ずかしくなってしまい言葉少なになってしまうと、彼は慌てて。
「い、いや、全然!!まさか、三浦さんがこんな所まで来てくれるなんて思わなくて。思わず、山下達郎の曲が...」
それには、私の方がちんぷんかんぷん。
「...曲、ですか?」
私が首を傾げると彼はどこか焦りながらも私から紙袋を受け取り、自分が持っている紙袋と交換するように渡してくれた。
「あ、いや。今の話はどうでもいいから、忘れてください。...それより、これ。三浦さんにお土産。向こうで美味しいって勧められたお菓子なんだけれど」
「わ、ありがとうございます。でも、そろそろ...帰らないと。藤澤さんは明日もお仕事ですものね」
周りを見渡すと、皆、足早に帰っている。明日は休みとはいえ、今は遅い時間帯なのだ。
「うん、まあ...そうだよな」
藤澤さんは出張で疲れていたのか、気のない返事をしていた。
藤澤さんに今、持っているクリスマスプレゼントを渡すためにここに来た。
途中、スマホで彼の乗っている便の到着時刻を確認して、予定より30分以上早く着くことができそう。
けれど、ここの空港には殆ど来たことがなかったので、少し迷い、結局、到着する時刻ギリギリに国内線の到着ロビーにたどり着く。その場所で電光掲示板を確認すると、飛行機の到着時刻も少し遅れているみたいだった。
私は戻ってくる人が良く見えそうな場所を探して、その場で待機すると、しばらくして彼の乗っているであろう便が到着する。
金曜日の夜だから、一般客よりもスーツを着た出張帰りのサラリーマンが多くて。
その中でよくよく目を凝らして見逃さないように、こちらに来る人たちを眺めると最後の最後の方で、背の高いそれらしい人を見つけた。
...あの人...かなぁ?
ただ、彼はキャリーバッグ引きながらこちらに向かいつつも、片手で何かを持ち下を向いてしまっている。
私は手だけ振っていたのだけれどずっと顔をあげていないので、私がいることに全く気が付いてもらえなかった。
ただ、手に持っているのが、もしかしたらと思う。
思い切ってスマホの方へ連絡すると、その人はすぐさま方向転換。人の邪魔にならないよう移動し、私がいる場所と違う方向を見ながら顔をあげていた。
「...もしもし?」
今日のキャンセルを気にしていたのか、いつもよりよそよそしい感じがする。
「み、三浦です...出張お疲れさまでした」
「あ、うん...それで、羽田に...」
彼が「今、着いたところ...」と言いかけたとき、頭上で到着便のアナウンスが流れてくる。流石にその中では話せず、お互いにそのアナウンスが終わるまで話さなかった。
そして、それが終わるとすぐさま彼の方から。
「...三浦さん、今、どこに?」
何かに気が着いたらしく、さっきとは違う口調で問い詰められてしまう。
「...その、空港の到着ロビーの出口の方に。多分、藤澤さんの見える位置にいると思います」
すると、周りを見回している彼の姿が目に入り、こちらを見て呆然と立ち尽くしている。きっと私の姿がわかったはずと、そちらに向かって手を振ると。
「お願いだから、そこから動かないで。今すぐ、そっちに行く」
その言葉と同時に通話が切れてしまい、彼は一目散に私の方に向かってきた。
もう、数メートルというところで、駆け寄ってきて、はーっと私の前で項垂れるようにため息をつく。若干、息も荒かった。
「...ハアハア...ただいま。でも、三浦さんがどうしてここに?」
迎えに来る予定のなかった私を見て驚くのは無理はなく、私は持っていた紙袋を彼の前に差し出す。
「...今日はクリスマスイブだから、藤澤さんに会いたくなって来ちゃいました。それにせっかくだから、今日中にプレゼントも渡したくて...その、ご迷惑でしたか?」
自分のしたことに急に恥ずかしくなってしまい言葉少なになってしまうと、彼は慌てて。
「い、いや、全然!!まさか、三浦さんがこんな所まで来てくれるなんて思わなくて。思わず、山下達郎の曲が...」
それには、私の方がちんぷんかんぷん。
「...曲、ですか?」
私が首を傾げると彼はどこか焦りながらも私から紙袋を受け取り、自分が持っている紙袋と交換するように渡してくれた。
「あ、いや。今の話はどうでもいいから、忘れてください。...それより、これ。三浦さんにお土産。向こうで美味しいって勧められたお菓子なんだけれど」
「わ、ありがとうございます。でも、そろそろ...帰らないと。藤澤さんは明日もお仕事ですものね」
周りを見渡すと、皆、足早に帰っている。明日は休みとはいえ、今は遅い時間帯なのだ。
「うん、まあ...そうだよな」
藤澤さんは出張で疲れていたのか、気のない返事をしていた。
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