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37.BlueChristmas③
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私たちはリムジンバスを使わず、モノレールに乗って帰る事にする。
その道すがら、彼に私の紙袋も持ってもらいながら深々と頭を下げられた。
「クリスマスプレゼント、わざわざここまで持ってきてくれてありがとう...」
「いえ、どういたしまして...」
勝手に来たことを一つも嫌な顔されず、喜んでもらえてこちらこそ嬉しい。
それに少しの時間だったけれど、顔を見てプレゼントをクリスマス中に渡せたのに満足している。そんなものだから、自然と彼の前で頬が緩みっぱなし。
その後、藤澤さんには散々今日のことで謝られてしまい、恐縮するといつの間にか会話が途切れてしまった。
彼は私から視線を外しつり革をぶらぶらさせながら、目の前にある路線図を見ている。
きっと、出張でお疲れなのねとその様子を黙って見ていたら、私の方を見ず、路線図を見ながら遠慮がちに口を開いた。
「あの、帰る前にうちに寄ってもらってもいいかな?実は俺も三浦さんにクリスマスプレゼントがあるんだ。やっぱり、これもクリスマスのうちに渡した方がいいかと...」
...え?
その唐突な提案に、このまま帰るはずと思いこんでいた私は、目を丸くして彼の顔を見返してしまう。
「...これから、藤澤さんのお宅にですか?」
「そう。プレゼントはうちに置いてあるから戻って渡したいんだ」
藤澤さんからのクリスマスプレゼント。それには素直に嬉しかったけれども。
「もう、時間が...それに、藤澤さんのお仕事が...」
私が迷っていると彼の方から畳み掛けてきた。
「今日は接待もなかったし、一滴も飲んでいない。だから、12時までに車で必ず送るよ」
「12時まで...?明日のお仕事は早くないのですか?」
戸惑いながらも、つい、確認してしまう。そんな気持ちを見透かされてしまったみたいで、藤澤さんは怯まない。
「フレックスで明日は土曜で遅いから。俺の方は全然大丈夫」
...明日は遅いんだ。
彼の言葉を反芻すると、グラグラ気持ちが揺れてしまう。そして、笑顔の誘惑には勝てなかった。
「それなら...少しだけ寄らせてもらってもいいですか?」
「もちろん!」
何故か彼の方が嬉しそうに快諾してくれ、ほっと一安心。
プレゼントも嬉しかったけれど、もう少しだけ藤澤さんといれるのはもっと嬉しい。
だから、彼の部屋に行くということをこの時は全く意識していなかった。
※※※
彼のマンションは、会社からだとうちのマンションより少し遠いところにあったけれど、快速に乗れば同じ所要時間くらい。それでも駅からはかなり近くて、あっという間に建物前まで着いた。
オートロックを経て自宅玄関に入れてもらえたけれど、少しだけそこで待たされる。
一足早く入った彼は、どうやらエアコンとか点けてくれているみたいで、それから手招きをされた。
「まだ、少し寒いけど。中へどうぞ」
「はい...お邪魔します」
外の寒さでかじかんでいたのか、手が緊張して靴をそろえるのに手間取ってしまう。
そして、中に入ると藤澤さんは私のコートを受け取り、自分のものと私のものをハンガーへとかけてくれて、私は彼に促されるままにソファーの端に座った。部屋を見渡すと、奥の方にドアが見える。
...1LDKくらいかな?
リビングっぽいこの場所には、ソファーと大きめのテレビとその横に本棚が配置されており、余計なものが何もなさそうな感じで、やや殺風景。その中でテーブルの上に化学雑誌みたいなものがおいてあり、遠くに見える本棚にも同じようなものが見えていた。
初めて訪れる部屋は紛れもなく男性的で、ここで初めて彼の部屋に来ているのだと意識してしまう。
その道すがら、彼に私の紙袋も持ってもらいながら深々と頭を下げられた。
「クリスマスプレゼント、わざわざここまで持ってきてくれてありがとう...」
「いえ、どういたしまして...」
勝手に来たことを一つも嫌な顔されず、喜んでもらえてこちらこそ嬉しい。
それに少しの時間だったけれど、顔を見てプレゼントをクリスマス中に渡せたのに満足している。そんなものだから、自然と彼の前で頬が緩みっぱなし。
その後、藤澤さんには散々今日のことで謝られてしまい、恐縮するといつの間にか会話が途切れてしまった。
彼は私から視線を外しつり革をぶらぶらさせながら、目の前にある路線図を見ている。
きっと、出張でお疲れなのねとその様子を黙って見ていたら、私の方を見ず、路線図を見ながら遠慮がちに口を開いた。
「あの、帰る前にうちに寄ってもらってもいいかな?実は俺も三浦さんにクリスマスプレゼントがあるんだ。やっぱり、これもクリスマスのうちに渡した方がいいかと...」
...え?
その唐突な提案に、このまま帰るはずと思いこんでいた私は、目を丸くして彼の顔を見返してしまう。
「...これから、藤澤さんのお宅にですか?」
「そう。プレゼントはうちに置いてあるから戻って渡したいんだ」
藤澤さんからのクリスマスプレゼント。それには素直に嬉しかったけれども。
「もう、時間が...それに、藤澤さんのお仕事が...」
私が迷っていると彼の方から畳み掛けてきた。
「今日は接待もなかったし、一滴も飲んでいない。だから、12時までに車で必ず送るよ」
「12時まで...?明日のお仕事は早くないのですか?」
戸惑いながらも、つい、確認してしまう。そんな気持ちを見透かされてしまったみたいで、藤澤さんは怯まない。
「フレックスで明日は土曜で遅いから。俺の方は全然大丈夫」
...明日は遅いんだ。
彼の言葉を反芻すると、グラグラ気持ちが揺れてしまう。そして、笑顔の誘惑には勝てなかった。
「それなら...少しだけ寄らせてもらってもいいですか?」
「もちろん!」
何故か彼の方が嬉しそうに快諾してくれ、ほっと一安心。
プレゼントも嬉しかったけれど、もう少しだけ藤澤さんといれるのはもっと嬉しい。
だから、彼の部屋に行くということをこの時は全く意識していなかった。
※※※
彼のマンションは、会社からだとうちのマンションより少し遠いところにあったけれど、快速に乗れば同じ所要時間くらい。それでも駅からはかなり近くて、あっという間に建物前まで着いた。
オートロックを経て自宅玄関に入れてもらえたけれど、少しだけそこで待たされる。
一足早く入った彼は、どうやらエアコンとか点けてくれているみたいで、それから手招きをされた。
「まだ、少し寒いけど。中へどうぞ」
「はい...お邪魔します」
外の寒さでかじかんでいたのか、手が緊張して靴をそろえるのに手間取ってしまう。
そして、中に入ると藤澤さんは私のコートを受け取り、自分のものと私のものをハンガーへとかけてくれて、私は彼に促されるままにソファーの端に座った。部屋を見渡すと、奥の方にドアが見える。
...1LDKくらいかな?
リビングっぽいこの場所には、ソファーと大きめのテレビとその横に本棚が配置されており、余計なものが何もなさそうな感じで、やや殺風景。その中でテーブルの上に化学雑誌みたいなものがおいてあり、遠くに見える本棚にも同じようなものが見えていた。
初めて訪れる部屋は紛れもなく男性的で、ここで初めて彼の部屋に来ているのだと意識してしまう。
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