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脱兎の如く逃げていく。
しおりを挟む「殿下!またこんなところで密会なんて!王族の威信に関わりますわ!」
プンスカと頭から湯気がでるように
怒りを露わにして
睨み付けてくる僕の婚約者。
以前の僕ならきっと
リリアンヌに辟易していたと思う。
だけどもう知ってしまったから。
リリアンヌの腰に手を回して
ぐっと近づくとリリアンヌは途端に
顔を赤くさせる。
「うんごめん。でも王家の威信云々ではなくてリリアンヌが焼きもち焼くから怒ってるんだよね?」
「ちっちがっ違いますわっ!わたくしはただ殿下のためをッ「名前。名前で呼ばないとここでキスするけど?」
かぁぁあと耳までさらに赤くして
リリアンヌは目を大きく見開く。
「グッグッグレンリードッさ…ま?」
頬に手を当てながら上目遣いで
僕の名前を呼べば
可愛すぎて遠慮なくリリアンヌの
唇にチュッとキスを落とす。
唇を離して顔を覗き込めば
目をパチクリしてピシャリと
固まってしまった。
いや、もう部屋に監禁したい。
「グレンリード王太子殿下。流石に今見せびらかされると傷口に塩を塗られているのですが?」
後ろを振り向けば
悲痛な面持ちで涙を耐えることなく
溢れさせているミシェルがいた。
「君がこれくらいで傷つくとは思わなくて。だって裏であんなことをしてたくらいだからさ。」
ニッコリとミシェルに微笑むと
ミシェルは驚きの表情を浮かべる。
「僕の大事なリリアンヌがもしうっかり食べられていたらきっと僕はその主犯者を打ち首にしてかもね。」
そうミシェルに言うとミシェルは
あわあわと何か焦っているように
視線を彷徨わせていく。
「とりあえず食べようとした輩には軽いお仕置きをしたんだけど。どうしよっか。どうすればいいと思う?」
ニコニコとミシェルに笑顔を
むけているのに彼女は
怯えるようにジリジリと後ずさる。
「まぁもう二度と僕たちに近寄らないと言うのなら今回は不問にしようかなって……いっちゃった。」
僕が言い終わる前にミシェルは
足早に走り去って行ってしまった。
ふぅとため息を吐いて
ミシェルとのやりとりに一切口出して
こなかった腕の中にいる
リリアンヌを見てみると
「フフ。おかげでこんなに可愛いリリアンヌを知れたから今回は見逃してあげるよ。」
リリアンヌは両手で顔を隠しながら
フルフルと震えて、
その両手の隙間から覗く
普段は真っ白の頬は未だに
朱く染まっている。
小声でグレンリード様がグレンリード様のッはうぅ。
と呟いていて
僕は抱き寄せているからばっちり
聞こえてくる。
僕は堪らなく可愛すぎて
いつまでもリリアンヌを
抱きしめ続けた。
こうして僕は可愛いツンデレな
婚約者と1年後に学園を卒業したと
同時に結婚をして
可愛い子宝にも恵まれ
王としても全力で取り組んだ。
リリアンヌはあの夜会以降
傲慢な性格と噂されていたのが
実はただツンデレだったということがバレて
いくらリリアンヌが傲慢に振る舞おうと
皆リリアンヌを優しい目で
見るようになった。
そのことは僕にとって少し…いや
かなり不満ではあるけれど
王妃となったからには
皆に愛されることは
国にとって民にとって喜ばしいことだと
言い聞かせ、
今日もまたリリアンヌと可愛い子供たちと
幸せに暮らしましたとさ。
ちゃんちゃん。
ってね。
fin
次回から
リリアンヌ編スタートです。
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