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第3章
その12
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リリアは足早に学園を後にして屋敷に戻った。
屋敷で働いていた使用人達がリリアの早い帰宅に少々
驚いていたけれどそんなこともお構いなしに
急いでナナの元に向かう。
「ナナ!ミシン届いた!?」
いつでもすぐに駆け付けれるようにと
リリアが幼い頃にできた自室の隣にあるナナ専用の侍女室に
ノックもなしに入れば
休憩していたのかお茶を飲んでいたナナは
吃驚して吹きこぼしそうになった。
「お嬢さま!?学園はどうされたのです!?」
「そんなことはいいのよ!ミシンは!?」
ナナはカップをテーブルに置くと急いそとリリアに近づき
学生鞄をなれた手つきでもらう。
「ミシンならお嬢さまが出かけられた直後に届きました。」
「まぁそんなに早く届くならやっぱり休めばよかった!」
「それは旦那様との約束を破ってしまいます。とりあえずアトリエに
運んでもらいましたのでアトリエに行きましょう。」
「結局早退してるから破ったも同然だけど・・・。
そうね!とりあえずアトリエに行きましょう!」
かずおおくある空き部屋の一つを
お父様に許可を得て一番日当たりの良い一室を
ナナと二人で一から改造して
二人だけの小さなアトリエを作った。
毎日侍女達がきれいに掃除をしてくれていたので
元客室で部屋にあったベッドや家具達を移動させたりするのは
少し大変だったけど
ここから自分の夢が拡がると思えば
ウキウキとドキドキが止まらなかった。
アトリエの前について部屋の扉を開ければ
窓際の両端に立派なミシンが2つ並んでいる。
キラキラと日差しを背に真新しいミシンは輝いて見えた。
お父様に頼んでミシンは2台用意してもらった。
自分の分とナナの分だ。
ナナは最初自分の分なんて滅相もないと
断り続けていたけれど
リリアが押し切り父に2台頼んでしまったので
仕方ないという感じでナナも了承してくれていたけれど
口元が綻んでいたことをリリアは気づいていた。
「うーん。やっぱりアンティークミシンかぁ。予想はしていたけれど
使い方がさっぱりわからないわね。というかアンティークミシンなんて
初めて見た!すっごいお洒落ね。」
真新しいといっても
やはりここは異世界で
電動式のものなどないから
このミシンも昔の昔に使われていたであろう
アンティークミシンだ。
いくら前世で専門学校に通っていてミシンの扱いに慣れている
とはいえアンティークミシンは触ったこともなければ
この目で見るのも初めてだ。
とりあえず恐る恐るミシンに触れてみる。
形も違うけれどこれがミシンであるのは
間違いなくてリリアは思わず感慨に耽った。
記憶を取り戻さなければ
もうミシンに触れることはなかったのかもしれないと
思えば自然と涙が溢れそうになる。
まだ自分が前世で専門学生だった頃
何度も徹夜してコンテストに出す衣装や
将来お店を持つために毎日練習したことが
鮮明に思い出される。
前世で自分の分身ともいえるミシンを
もう使うことはないけれど
この新しく届いたこのミシンで
また一から自分の夢を追いかけていく。
リリアはそう新たに決意する。
「さて。この子の使い方だけどナナわかる?」
「申し訳ございません。私にはわかりかねます。」
「そうよね。やっぱりここは講師を呼んで教えてもらうしかなさそうね。」
下手にあれこれ触って壊すのはいけない。
この世界のミシンはピンキリだが
恐らく父が発注したこのミシンは宝石と同等価格かもしれない。
ミシンに詳しそうな市井出身の使用人や料理人見習いの
何人かに聞いたが一般に出回っているミシンとは随分と形も使い方も
変わっているのだそう。
どうやら王族専用針師が使うミシンらしい。
いくら父が公爵家でも手に入れることは難しいはず。
父がそんなミシンを用意できたことにも驚いたが
そんなミシンをおいそれと簡単に使うことに弱冠の
恐怖心が沸いたけれど
それ以上にどれほどの性能なのかより一層早く試してみたいと思った。
「とりあえず今日はミシンが使えないから先にパターンを決めて
裁断だけしておこうかしら。」
「わかりました!すぐに紙とペン用意しますね。」
「うん!お願いね!」
用意してもらった紙にパターンを決めてハサミで切った後に
生地に合わせて裁断する。
全て裁断を終えると机に並べていく。
「ミシンで縫うとこのような形の服に変わるんですか?」
とりあえず出来上がりに近いように裁断した生地を
机に乗せてナナにもイメージがつきやすいようにした。
「そうよ。後ここを折り曲げてそこを内側にしなければだけどね。」
「初めてみる形です。」
まだ縫っていない状態ではあるけれど
それでもこちらの世界のドレスとは
全く異なる。
ナナはウキウキと早く縫ってみたいと何度も言って
期待に胸を弾ませているようだった。
それを横目で見ながら
リリアも嬉しくなる。
洋服作りの楽しさを大好きなナナと
共有できたことが何よりも嬉しいのだ。
「それにしてもやっぱり少しだけ伸縮性にかけるわね。」
裁断した生地を一枚取って左右に引っ張る。
「しかしこの生地が一番伸縮性に優れているのでは?」
「うん。確かに今ここにある生地の中では確かに一番なんだけど…
まあこの際多少の機能性の欠落も目を瞑るしかないわね。」
生地については仕方ないと諦めこの日は
全ての祭壇を終えてアトリエを後にした。
屋敷で働いていた使用人達がリリアの早い帰宅に少々
驚いていたけれどそんなこともお構いなしに
急いでナナの元に向かう。
「ナナ!ミシン届いた!?」
いつでもすぐに駆け付けれるようにと
リリアが幼い頃にできた自室の隣にあるナナ専用の侍女室に
ノックもなしに入れば
休憩していたのかお茶を飲んでいたナナは
吃驚して吹きこぼしそうになった。
「お嬢さま!?学園はどうされたのです!?」
「そんなことはいいのよ!ミシンは!?」
ナナはカップをテーブルに置くと急いそとリリアに近づき
学生鞄をなれた手つきでもらう。
「ミシンならお嬢さまが出かけられた直後に届きました。」
「まぁそんなに早く届くならやっぱり休めばよかった!」
「それは旦那様との約束を破ってしまいます。とりあえずアトリエに
運んでもらいましたのでアトリエに行きましょう。」
「結局早退してるから破ったも同然だけど・・・。
そうね!とりあえずアトリエに行きましょう!」
かずおおくある空き部屋の一つを
お父様に許可を得て一番日当たりの良い一室を
ナナと二人で一から改造して
二人だけの小さなアトリエを作った。
毎日侍女達がきれいに掃除をしてくれていたので
元客室で部屋にあったベッドや家具達を移動させたりするのは
少し大変だったけど
ここから自分の夢が拡がると思えば
ウキウキとドキドキが止まらなかった。
アトリエの前について部屋の扉を開ければ
窓際の両端に立派なミシンが2つ並んでいる。
キラキラと日差しを背に真新しいミシンは輝いて見えた。
お父様に頼んでミシンは2台用意してもらった。
自分の分とナナの分だ。
ナナは最初自分の分なんて滅相もないと
断り続けていたけれど
リリアが押し切り父に2台頼んでしまったので
仕方ないという感じでナナも了承してくれていたけれど
口元が綻んでいたことをリリアは気づいていた。
「うーん。やっぱりアンティークミシンかぁ。予想はしていたけれど
使い方がさっぱりわからないわね。というかアンティークミシンなんて
初めて見た!すっごいお洒落ね。」
真新しいといっても
やはりここは異世界で
電動式のものなどないから
このミシンも昔の昔に使われていたであろう
アンティークミシンだ。
いくら前世で専門学校に通っていてミシンの扱いに慣れている
とはいえアンティークミシンは触ったこともなければ
この目で見るのも初めてだ。
とりあえず恐る恐るミシンに触れてみる。
形も違うけれどこれがミシンであるのは
間違いなくてリリアは思わず感慨に耽った。
記憶を取り戻さなければ
もうミシンに触れることはなかったのかもしれないと
思えば自然と涙が溢れそうになる。
まだ自分が前世で専門学生だった頃
何度も徹夜してコンテストに出す衣装や
将来お店を持つために毎日練習したことが
鮮明に思い出される。
前世で自分の分身ともいえるミシンを
もう使うことはないけれど
この新しく届いたこのミシンで
また一から自分の夢を追いかけていく。
リリアはそう新たに決意する。
「さて。この子の使い方だけどナナわかる?」
「申し訳ございません。私にはわかりかねます。」
「そうよね。やっぱりここは講師を呼んで教えてもらうしかなさそうね。」
下手にあれこれ触って壊すのはいけない。
この世界のミシンはピンキリだが
恐らく父が発注したこのミシンは宝石と同等価格かもしれない。
ミシンに詳しそうな市井出身の使用人や料理人見習いの
何人かに聞いたが一般に出回っているミシンとは随分と形も使い方も
変わっているのだそう。
どうやら王族専用針師が使うミシンらしい。
いくら父が公爵家でも手に入れることは難しいはず。
父がそんなミシンを用意できたことにも驚いたが
そんなミシンをおいそれと簡単に使うことに弱冠の
恐怖心が沸いたけれど
それ以上にどれほどの性能なのかより一層早く試してみたいと思った。
「とりあえず今日はミシンが使えないから先にパターンを決めて
裁断だけしておこうかしら。」
「わかりました!すぐに紙とペン用意しますね。」
「うん!お願いね!」
用意してもらった紙にパターンを決めてハサミで切った後に
生地に合わせて裁断する。
全て裁断を終えると机に並べていく。
「ミシンで縫うとこのような形の服に変わるんですか?」
とりあえず出来上がりに近いように裁断した生地を
机に乗せてナナにもイメージがつきやすいようにした。
「そうよ。後ここを折り曲げてそこを内側にしなければだけどね。」
「初めてみる形です。」
まだ縫っていない状態ではあるけれど
それでもこちらの世界のドレスとは
全く異なる。
ナナはウキウキと早く縫ってみたいと何度も言って
期待に胸を弾ませているようだった。
それを横目で見ながら
リリアも嬉しくなる。
洋服作りの楽しさを大好きなナナと
共有できたことが何よりも嬉しいのだ。
「それにしてもやっぱり少しだけ伸縮性にかけるわね。」
裁断した生地を一枚取って左右に引っ張る。
「しかしこの生地が一番伸縮性に優れているのでは?」
「うん。確かに今ここにある生地の中では確かに一番なんだけど…
まあこの際多少の機能性の欠落も目を瞑るしかないわね。」
生地については仕方ないと諦めこの日は
全ての祭壇を終えてアトリエを後にした。
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