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第3章
エリック視点01
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僕の名前はエリック・ルトファン。
ルトファン商会を手がける父の息子だ。
…表向きはそういうことになっている。
実際はここより遠い国、いや
昔あった小国の王太子だった。
それでも自分が立太子したのは
たったの1年だったけれど。
大国の諍いに巻き込まれ
母の王妃と妹は敵国にやられてしまい
命辛々父と二人でなんとか生き延びた。
亡国となった国を再建しようと
生き残った貴族たちがなんとか父を
担ぎ上げようとしたが
最愛の王妃と娘を亡くした父の悲しみと
国を守れなかった後悔で
二度と玉座に座ることを良しとはしなかった。
そこから父は後ろ指刺されながらも僕をつれて色んな国を渡り歩き
行き着いたのが隣国だった。
運良く国王だった父に商才が芽生え
そこそこの地位を築いてサライラ国の国王の目に留まり
こうして1代限りの爵位を承り
父はサライラ国のルトファン男爵を名乗ることになった。
もちろんサライラ国王もルトファン親子が
遠国の元王子と国王だったことを知っている。
なにもやる気の出ない父と二人冒険者のように
その日その日を暮らし。
以前との生活に何度挫折しそうになったか。
そのたびに妻と娘を失った父の悲しい背中をみて
僕は父を守らなければならない。
その一心で今日までやってきた。
そんな父と隣国についた時
ひょんなことから小さい商いを始めた。
その商いこそが今のルトファン大商会へと変貌していくのだから
なにがあるのかわからない。
父が商いを始めたのは他でもないこの僕が理由の一つだった。
色んな国を歩き渡って
その都度自分の容姿に群がる女が煩わしく
当時は平民以下の生活をしていたのにも関わらず
養子にしよう。という夫を亡くした夫人が何人もいた。
目をギラギラとさせて見つめる目は
幼いながらに恐怖を覚えた。
大金を父の前に見せびらかして
平民なのだから貴族に従え。と
偉そうに何度も強引に連れて行かれそうになった。
父はそれを阻止するために
一つの国の滞在時間を短くしていたんだ。
しかしこのままではいつか
確実に貴族に僕を奪われると思った父は
自分に力をつけなくてはと思ったらしい。
そこから必死に商いをはじめ
僕には防止用のこの分厚い眼鏡を与えた。
以前の威厳ある国王であった父だけど
僕は生き生きとした今の方が何倍も何百倍も
カッコいいと思う。
だから僕は将来学園を卒業後、必ず父の後を継ぐ。
そうやってひっそりと学園を無事にやり過ごす
つもりだった。
在学の間ずっとこの分厚い眼鏡をかけ
空気のように生活するのを心がけていた。
今まで散々群がっていたはずの女は
この分厚い眼鏡一つでいない存在のように
扱う。
どこまでも醜い存在なんだと思い知らさせる。
学園内の皆が婚約者を作るのに必死の中
貴族の女なんかに興味はなくただひたすら
一日を適当に過ごしていた。
無意識に貴族の女は皆
今まで出会ってきたギラつかせた瞳で
僕を見るただの獣だと思い込んでいた。
リリア・ハルベルト。
物静かでいかにも貴族令嬢の見本という
女がこの学園にいる。
勿論王太子の婚約者ということですごく有名だから
僕もそれなりに知っていた。
国一の美人と謳われるのはあながち間違いではないと
思っていたけれど心のどこかで
貴族の女というだけで軽蔑していたんだと思う。
特別近寄ろうなんて思わなかった。
それがある日、突然声をかけられた。
驚くことに彼女は僕の名前を知っていた。
他の令嬢はあなた誰だっけ?というように
名前すら覚えていないのに
彼女は僕のことを知っていた。
いない存在のように生活するのは自分が望んだことなのに
何故か心の中がポカポカと温かくなった。
だけど今までのことがあったから無意識にオドオドしたように
リリア様に接してしまった。
その夜は何故かすごく嬉しくて
すぐに父に“コットン生地”なるものを
取り扱っているのか聞いた。
結果は初めて聞く生地だと言われ
リリア様には有力な情報を渡せなかったけれど
それでも怒りもせずに逆にお礼を言われた。
貴族女性がお礼を言うところを僕は初めて見た。
この時僕はリリア様を急に意識するようになった。
この方は王太子の婚約者なのに。
彼女に惹かれてはいけないのだとわかっているのに。
彼女と会うたびに胸の締め付けは
増していくばかりだった。
ルトファン商会を手がける父の息子だ。
…表向きはそういうことになっている。
実際はここより遠い国、いや
昔あった小国の王太子だった。
それでも自分が立太子したのは
たったの1年だったけれど。
大国の諍いに巻き込まれ
母の王妃と妹は敵国にやられてしまい
命辛々父と二人でなんとか生き延びた。
亡国となった国を再建しようと
生き残った貴族たちがなんとか父を
担ぎ上げようとしたが
最愛の王妃と娘を亡くした父の悲しみと
国を守れなかった後悔で
二度と玉座に座ることを良しとはしなかった。
そこから父は後ろ指刺されながらも僕をつれて色んな国を渡り歩き
行き着いたのが隣国だった。
運良く国王だった父に商才が芽生え
そこそこの地位を築いてサライラ国の国王の目に留まり
こうして1代限りの爵位を承り
父はサライラ国のルトファン男爵を名乗ることになった。
もちろんサライラ国王もルトファン親子が
遠国の元王子と国王だったことを知っている。
なにもやる気の出ない父と二人冒険者のように
その日その日を暮らし。
以前との生活に何度挫折しそうになったか。
そのたびに妻と娘を失った父の悲しい背中をみて
僕は父を守らなければならない。
その一心で今日までやってきた。
そんな父と隣国についた時
ひょんなことから小さい商いを始めた。
その商いこそが今のルトファン大商会へと変貌していくのだから
なにがあるのかわからない。
父が商いを始めたのは他でもないこの僕が理由の一つだった。
色んな国を歩き渡って
その都度自分の容姿に群がる女が煩わしく
当時は平民以下の生活をしていたのにも関わらず
養子にしよう。という夫を亡くした夫人が何人もいた。
目をギラギラとさせて見つめる目は
幼いながらに恐怖を覚えた。
大金を父の前に見せびらかして
平民なのだから貴族に従え。と
偉そうに何度も強引に連れて行かれそうになった。
父はそれを阻止するために
一つの国の滞在時間を短くしていたんだ。
しかしこのままではいつか
確実に貴族に僕を奪われると思った父は
自分に力をつけなくてはと思ったらしい。
そこから必死に商いをはじめ
僕には防止用のこの分厚い眼鏡を与えた。
以前の威厳ある国王であった父だけど
僕は生き生きとした今の方が何倍も何百倍も
カッコいいと思う。
だから僕は将来学園を卒業後、必ず父の後を継ぐ。
そうやってひっそりと学園を無事にやり過ごす
つもりだった。
在学の間ずっとこの分厚い眼鏡をかけ
空気のように生活するのを心がけていた。
今まで散々群がっていたはずの女は
この分厚い眼鏡一つでいない存在のように
扱う。
どこまでも醜い存在なんだと思い知らさせる。
学園内の皆が婚約者を作るのに必死の中
貴族の女なんかに興味はなくただひたすら
一日を適当に過ごしていた。
無意識に貴族の女は皆
今まで出会ってきたギラつかせた瞳で
僕を見るただの獣だと思い込んでいた。
リリア・ハルベルト。
物静かでいかにも貴族令嬢の見本という
女がこの学園にいる。
勿論王太子の婚約者ということですごく有名だから
僕もそれなりに知っていた。
国一の美人と謳われるのはあながち間違いではないと
思っていたけれど心のどこかで
貴族の女というだけで軽蔑していたんだと思う。
特別近寄ろうなんて思わなかった。
それがある日、突然声をかけられた。
驚くことに彼女は僕の名前を知っていた。
他の令嬢はあなた誰だっけ?というように
名前すら覚えていないのに
彼女は僕のことを知っていた。
いない存在のように生活するのは自分が望んだことなのに
何故か心の中がポカポカと温かくなった。
だけど今までのことがあったから無意識にオドオドしたように
リリア様に接してしまった。
その夜は何故かすごく嬉しくて
すぐに父に“コットン生地”なるものを
取り扱っているのか聞いた。
結果は初めて聞く生地だと言われ
リリア様には有力な情報を渡せなかったけれど
それでも怒りもせずに逆にお礼を言われた。
貴族女性がお礼を言うところを僕は初めて見た。
この時僕はリリア様を急に意識するようになった。
この方は王太子の婚約者なのに。
彼女に惹かれてはいけないのだとわかっているのに。
彼女と会うたびに胸の締め付けは
増していくばかりだった。
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