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第3章
エリック視点02
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ある時いつもしている分厚い眼鏡をいとも簡単に奪われてしまい
僕はこれ以上になく慌ててしまう。
リリア様もあの夫人たちのように目をギラつかせて
しまうのかと怯えていたら
きれいな瞳とギラギラではなくキラキラと輝くような瞳で
見つめられた。
嬉しかった。
こんなことは生まれて初めてで
僕のこの顔をみて
豹変しなかった人が
いることに驚きと嬉しさに
思わず男のくせに泣きそうになった。
僕はますますリリア様への気持ちが止められなくなった。
だけど決して彼女に気持ちを伝えるつもりはない。
王太子の婚約者じゃなかったとしても
男爵家と公爵家では身分差が違う。
僕が気持ちを伝えてしまえばきっと彼女を困らせるだけだ。
このままこうやって卒業まで話せるだけで
僕は幸せだから。
そうやって僕の毎日に色が追加されていった時
彼は僕の前に現れた。
「あいつは俺の婚約者だ。これ以上近づかれては困る。」
一見彼はリリア様のことをなんとも思ってないように振る舞っている。
しかしその実彼女に近づいてくる男を片っ端から潰すか遠ざける。
リリア様を気になり出してからすぐ
彼が彼女をなんとも思っていないということは
嘘なのだと気付いた。
少しでも王太子として過ごしてきたからこそ
彼の微妙な表情の変化を僕はすぐに感じ取れた。
彼が彼女を見るときの目は
どこか切なく恋焦がれるような
そんな瞳でリリア様を見ている。
一度彼女に近づこうとする伯爵家の子息がいた。
彼はかなり素行が悪いと評判だった。
リリア様は公爵家の御令嬢。
国王陛下から近い身分でもある公爵の娘となれば
懇意にしようと考える輩は多い。
その上あのような容姿であれば
一度触れてみたいと思う馬鹿な男ばかりだ。
そんな彼がリリア様に接近しようとしていた。
いざとなれば僕が彼からリリア様を遠ざけなくては。
と警戒していたがそれは杞憂に終わる。
その彼が時をおかずとして
学園から去ったからだ。
その時は単なる偶然かと思った。
偶然だけどこれで一安心だと思った。
それが殿下の仕業だと気付いたのは
それからすぐに行われた夜会でのこと。
普段高位貴族と同じ夜会を訪れることは少ないが
陛下の誕生祭とあれば国中の貴族は城に訪れる。
リリア様に遠くからでも会えたらいいなと
思っていたら偶然にも夜会についてすぐに
彼女を見かけた。
声をかけることはできなかったけど
こっそり遠くから見ていたら
下卑た笑みでリリア様を見る数人の学園の生徒を発見した。
注意深く監視していたが彼女が一緒にいた公爵から
片時もはなれなかったのでその日は何も起きなかったが
その次の日彼らもまた学園からいなくなっていた。
一人二人なら偶然で済まされるかもしれない。
しかしその場にいたその全員がいなくなるなんておかしい。
疑問の答えはすぐにわかった。
彼女には常に影がついている。
影はこの国では王族以外が利用するのを禁止している。
たとえ未来の王妃だからとて例外ではない。
そんな影たちが公爵家の御令嬢についているということは
王族の誰かが彼女につけたことになる。
その誰か。そんなの王太子であるアベル殿下しかいないじゃないか。
そこから彼女に近づいてくる輩の排除を
彼がしているのではと思うようになった。
思ってもいない女に自分の命とも言える影をつけることはしない。
影は彼の身を守る盾だ。
王族であった僕にはわかる。
そんな影をリリア様につけるということは
それだけ彼女を大事にしている証なのだから。
近寄る男を排除して影をつけるほど大事にしてるくせに
どうして別の女を横に侍らすのか。
僕には理解できなった。
彼なりの何か理由があるのかもしれない。
それでもやっぱり僕は彼を許せなかった。
僕なら彼女のそばから離れない。
僕なら彼女を傷つけない。
僕が王太子なら…。
どんなに願っても叶うことはない。
だからせめて僕は君のそばで卒業までは
いさせて欲しい。
リリアは学園についてからその光景をみて
あんぐりと開いた口が塞がらなかった。
いままで誰一人としてエリックに近寄ろうとする令嬢がいなかった。
それが昨日の件のせいで
エリックを取り囲むように令嬢たちがうじゃうじゃいるのだ。
昨日とは様変わりしていて
リリアは呆気にとられてしまう。
エリックが顔を隠したがる理由が嫌というほど理解した。
アベルも以前はあんな感じでたくさんの令嬢に囲まれていたけれど
恋人ができてからはパタリといなくなった。
…本来なら婚約者であるリリアが率先してアベルの隣で牽制しなくてはいけないのだけれど。
それはともかくこうなるとエリックはしばらく大変だろうなと思う。
下位貴族であるにも関わらずあの人気ぶりは
凄まじいなとリリアは横目で感心していた。
昼休み昼食を素早く取ってから図書館に向かうと
そこにはエリックではなくアベルが座って本を読んでいた。
本を読んでいる姿に思わずリリアはドキッとしてしまう。
伏し目がちになっている目元がなんだか
すごく色っぽくて
見慣れているはずなのに
僕はこれ以上になく慌ててしまう。
リリア様もあの夫人たちのように目をギラつかせて
しまうのかと怯えていたら
きれいな瞳とギラギラではなくキラキラと輝くような瞳で
見つめられた。
嬉しかった。
こんなことは生まれて初めてで
僕のこの顔をみて
豹変しなかった人が
いることに驚きと嬉しさに
思わず男のくせに泣きそうになった。
僕はますますリリア様への気持ちが止められなくなった。
だけど決して彼女に気持ちを伝えるつもりはない。
王太子の婚約者じゃなかったとしても
男爵家と公爵家では身分差が違う。
僕が気持ちを伝えてしまえばきっと彼女を困らせるだけだ。
このままこうやって卒業まで話せるだけで
僕は幸せだから。
そうやって僕の毎日に色が追加されていった時
彼は僕の前に現れた。
「あいつは俺の婚約者だ。これ以上近づかれては困る。」
一見彼はリリア様のことをなんとも思ってないように振る舞っている。
しかしその実彼女に近づいてくる男を片っ端から潰すか遠ざける。
リリア様を気になり出してからすぐ
彼が彼女をなんとも思っていないということは
嘘なのだと気付いた。
少しでも王太子として過ごしてきたからこそ
彼の微妙な表情の変化を僕はすぐに感じ取れた。
彼が彼女を見るときの目は
どこか切なく恋焦がれるような
そんな瞳でリリア様を見ている。
一度彼女に近づこうとする伯爵家の子息がいた。
彼はかなり素行が悪いと評判だった。
リリア様は公爵家の御令嬢。
国王陛下から近い身分でもある公爵の娘となれば
懇意にしようと考える輩は多い。
その上あのような容姿であれば
一度触れてみたいと思う馬鹿な男ばかりだ。
そんな彼がリリア様に接近しようとしていた。
いざとなれば僕が彼からリリア様を遠ざけなくては。
と警戒していたがそれは杞憂に終わる。
その彼が時をおかずとして
学園から去ったからだ。
その時は単なる偶然かと思った。
偶然だけどこれで一安心だと思った。
それが殿下の仕業だと気付いたのは
それからすぐに行われた夜会でのこと。
普段高位貴族と同じ夜会を訪れることは少ないが
陛下の誕生祭とあれば国中の貴族は城に訪れる。
リリア様に遠くからでも会えたらいいなと
思っていたら偶然にも夜会についてすぐに
彼女を見かけた。
声をかけることはできなかったけど
こっそり遠くから見ていたら
下卑た笑みでリリア様を見る数人の学園の生徒を発見した。
注意深く監視していたが彼女が一緒にいた公爵から
片時もはなれなかったのでその日は何も起きなかったが
その次の日彼らもまた学園からいなくなっていた。
一人二人なら偶然で済まされるかもしれない。
しかしその場にいたその全員がいなくなるなんておかしい。
疑問の答えはすぐにわかった。
彼女には常に影がついている。
影はこの国では王族以外が利用するのを禁止している。
たとえ未来の王妃だからとて例外ではない。
そんな影たちが公爵家の御令嬢についているということは
王族の誰かが彼女につけたことになる。
その誰か。そんなの王太子であるアベル殿下しかいないじゃないか。
そこから彼女に近づいてくる輩の排除を
彼がしているのではと思うようになった。
思ってもいない女に自分の命とも言える影をつけることはしない。
影は彼の身を守る盾だ。
王族であった僕にはわかる。
そんな影をリリア様につけるということは
それだけ彼女を大事にしている証なのだから。
近寄る男を排除して影をつけるほど大事にしてるくせに
どうして別の女を横に侍らすのか。
僕には理解できなった。
彼なりの何か理由があるのかもしれない。
それでもやっぱり僕は彼を許せなかった。
僕なら彼女のそばから離れない。
僕なら彼女を傷つけない。
僕が王太子なら…。
どんなに願っても叶うことはない。
だからせめて僕は君のそばで卒業までは
いさせて欲しい。
リリアは学園についてからその光景をみて
あんぐりと開いた口が塞がらなかった。
いままで誰一人としてエリックに近寄ろうとする令嬢がいなかった。
それが昨日の件のせいで
エリックを取り囲むように令嬢たちがうじゃうじゃいるのだ。
昨日とは様変わりしていて
リリアは呆気にとられてしまう。
エリックが顔を隠したがる理由が嫌というほど理解した。
アベルも以前はあんな感じでたくさんの令嬢に囲まれていたけれど
恋人ができてからはパタリといなくなった。
…本来なら婚約者であるリリアが率先してアベルの隣で牽制しなくてはいけないのだけれど。
それはともかくこうなるとエリックはしばらく大変だろうなと思う。
下位貴族であるにも関わらずあの人気ぶりは
凄まじいなとリリアは横目で感心していた。
昼休み昼食を素早く取ってから図書館に向かうと
そこにはエリックではなくアベルが座って本を読んでいた。
本を読んでいる姿に思わずリリアはドキッとしてしまう。
伏し目がちになっている目元がなんだか
すごく色っぽくて
見慣れているはずなのに
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