「夏の日に祠で出会った神様と、永遠に一緒に生きていくことになりました」

ねころび天青

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       「命」

 


 あれから数ヶ月が過ぎた。



「お腹……大きくなってきましたね」



 鏡に映る自分の姿に驚きながら呟く。
 蛇神との子を宿した証である腹部は、人間の妊娠とは明らかに異なる変化を見せていた。



 普通なら少しずつ膨らんでいくはずの腹が、月の満ち欠けに呼応するように成長しているのだ。



「よいよい、今日は龍脈が強い日だからな、健やかに成長せよ」



 背後から抱きしめてくる蛇神の声が温かい。
 彼は常に私を後ろから包み込むように過ごすようになった。



「この子も龍脈を感じ取っているのでしょうね」



 自分の胎内で確かに鼓動する存在を感じながら答えると彼は嬉しそうに頷いた。



「そうだとも。我らの子は特別な存在になるであろう」



 優しくお腹を撫でてくれる手つきは壊れ物を扱うかのように慎重で慈しみに溢れている。



 ある夜のことだった。



「…そろそろ、産まれるかもしれません」



 予兆ともいえる胎内の動きを感じ取り告げると蛇神は緊張した面持ちになる。
 彼自身初めての経験であり未知への不安があるようだ。



「大丈夫ですよ。貴方との子ならきっと丈夫ですから」



 微笑みかけると彼は複雑な表情を見せた後小さく息をつく。



「そうだな。お主を信じて待とう」



 深夜を過ぎた頃だったろうか。
 急激な陣痛が始まり身体中が熱くなる。



「うぐ……ッ」



 苦悶の声を上げると即座に駆け寄ってきた彼が支えてくれた。



「落ち着け。深呼吸をするんだ」



 言われた通りにすると少し楽になった気がした。
 しかし痛みは治まらず次第に強まってくるばかりだった。



「ああ……うぅ来る!」



 本能的に理解した瞬間体内から強い波動が放たれ辺り一帯を明るく照らし出した。
 眩い光と共に現れたのは―――



「……蛇!?」



 予想外の姿に驚愕しつつもすぐにそれが我が子だと気づく。
 銀色に輝く鱗を持つ小さな蛇が一生懸命にもがき出てきたのだ。



「あぁよくやったぞ!我が愛しい者達よ!!」



 興奮した様子で叫ぶ蛇神を見て自然と笑みがこぼれる。



 こうして我々夫婦の間に一人の子供が誕生したのである



「よくやってくれた……本当に素晴らしいぞ」



 私の腕の中で眠る小さな命を見つめる蛇神の瞳には、嘘偽りのない喜びが溢れていた。



 だがその眼差しの奥に潜む別の感情を、当時の私は知る由もなかった。



「お前の力強さに感動した。これで我らの一族はさらに繁栄すること間違いない」



 優しく頭を撫でられると自然と笑みが零れる。



 愛する夫と我が子に囲まれたこの上なく幸福な時間。
















 まさかこれが全て計算尽くされていたとは……夢にも思わなかった
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