打出の小槌のある喫茶店

三五八11

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第一章

打出の小槌がある喫茶店

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打出の小槌があるんです。
と、いう名前の喫茶店があった
驚くとかじゃなくて、バカっぽい
嘘に決まってるよと思うより
何がしたいの?
とよくわからない思考になっていた自分が
なぜかその5分後には
コーヒーを注文していた。

「お待たせしました
 コーヒーとちょっとパンのサービスです」
と大きなコーヒーカップとその横には
ほんとに小さなパンが置かれた
『ちょっとは漢字で一寸って繋がりから
 打出の小槌ありますよ。てきな?』
と心で思っていたら
コトッ
何か置かれた
「これ使うために入ってこられたんですよね?」と喫茶店には似つかわしくない
鍼灸師の男が立っていた。
「私達の先祖が、針で鬼退治したんです。
で、今は針で体内の悪を退治する仕事を営んでいるのですが、弟が喫茶店のマスターしたいなんていうもんですから、じゃ隣でやっちゃう?みたいなノリで、喫茶店することにしたら、せっかくだし、家宝の打出の小槌もつかってよくない?みたいなノリで、もうノリノリになってしまったんです」
「聞いてませんし、望んでませんし、今から仕事の書類に目を通すんで、近寄らないでいただけますか、一応社外秘の資料なんで」
「あ、そうでした。店に入るまえに、うちの店名じっくりみてらっしゃったので、てっきりこれかなぁって」
「違うって言いいましたよね。それにじっくりなんて、みてませんよ。確かにちょっと気になりましたが。」
と資料に目を通すフリをした。気になる、めちゃくちゃ気になる。絶対本物じゃないって思うけど、設定の作り方そこそこ上手い。なんで喫茶店?ってとこ以外は、なんとなく、筋通ってる感じはある。気になる
「肩凝ってません?」
まだいたのかよ、チラ見してたのバレてるか?
「チラ見してた感じなんて、顔は下向いてるのにわからないですって」
なんだよこいつ!
「いやぁ、その体勢で資料読むのが、お決まりなら、絶対肩凝ると思うんですよ。さっきも言いましたが、私は鍼灸師なんです。今なら待ち時間なしで、施術受けれますよ」
「あ~、うるせぇ!」
思わず立ち上がって、大声を出してしまった。が、周りに客はいなかったので、少し安心した。
「いやぁ、すいません。さっきも言いましたが、ここのマスターは弟なんです。小さい頃はよくおやつとか食べ物を半分こするのに、上手く割れなくて、どっちが大きいとかで喧嘩したもんです」
ドクン     。
弟 食べ物を半分こ
この2つのキーワードは、俺にはNGだった
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