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序章 ~出会い~
第1界 愛してくれるのならば
しおりを挟む「面白い…涙を流して、また笑い出す人間共。ぜひ、あんたを俺の元へ。」
そんな、悪魔の囁きが聞こえるのは月が美しく綺麗な星まで見えていた冬の夜でした。
「泉。おっはよう!」
私に声をかけてきたのは、親友の江山風華。
私は、九条泉。神楽高等学校2年B組12番。
普通の成績に特に目立った容姿をしているわけでもない。普通で普通の私なのだが、1つだけ人とは違っているのだ。
「このクラスで一番強いのって誰だと思う?」
「そりゃぁ」
「「「九条泉だろ」」」
またその話題…
私は男子の目にどういう風に映ってるんだろう。
私は、合気道を幼い頃からやっていて、今では黒帯という腕前を持っていた。黒帯を取ってから合気道をやっていることがみんなにバレて男子たちは面白い目で私を見て、女の子たちも時々怖がる。自分より強い女は嫌なのか…私に告白してきた男子にクラスの男子が合気道やっていることをばらして怖がって告白はなかったことになる。こんな風に、男子の目からはからかいの目ばかりで、すごくいづらい。
でも、風華だけは、風華だけは普通の友達として親友として接してくれていた。それだけが私の救いだった。
「泉~。今日さ、帰りに新しくできたドーナツ屋さん行かない?」
「え?ごめーん。今日は、合気道の稽古があるから。」
最近は、もう隠さずに合気道の稽古があると誰にでも言えるようになった。
昔の自分とは違うもの。風華のおかげで。
稽古が終わった後、家に帰ることは1日で1番嫌な時だ。
家族は、お父さんと、お母さんと私と私の妹4人家族でお父さんは幼い頃から仕事で忙しくて私とかまってくれなくて、そんなの寂しかったから合気道を始めた。
お母さんは、着物の着付けの先生をやっていて礼儀やマナーには人一倍厳しくて、合気道をやり始める前から何度もお母さんに怒られてきた。合気道をやり始めてからは、姿勢も良くなったしあまり言われなくなったけど、家は、テレビも食事中見ちゃいけないし、いろいろ厳しいのだ。
妹が産まれてからは、お父さんは仕事が軌道に乗り始めたらしくそこまで忙しくはなくなり妹の空ばかり可愛がって私は置いてけぼり。高校生の今もお父さんを好きにはなれない。お母さんに関しては、礼儀作法が身についたからまだいいけど、空が生まれてからはテレビがオッケーっていう考えだけは許せなかった。空も、私が合気道やってることを一番にバカにした。今は、12歳の妹は、私がいつも合気道に行くところを見て、5歳の頃私に向かって、「男の子みたい。私は合気道なんてやりたくないなぁ。」と言った。悪気は無かったんだと思うけど、その時、大好きだった合気道が少し嫌いになった。
お父さんもお母さんも空も、私を認めてはくれないんだ。
大正モダンな私の家は、お父さんが会社経営をしているため大きかった。そんな、大きな家にいると苦しくなるような感覚になるんだ。
「ただいま帰りました。」
ほら、こういう挨拶。お母さんの厳しい礼儀やマナーで習ったのだ。
私はまず、リビングに挨拶をしてからじゃないと部屋には入ってはいけない。これも礼儀、らしい。きっとお母さん流の礼儀だ。
一旦、リビングに入って、頭を下げてからまた行く部屋がある。
唯一私の味方をしてくれるおばあちゃんの部屋だ。
畳が連なる大きな和室におばあちゃんは大抵一日中そこにいる。ご飯は一緒に食べないし、私たちが御膳を運ぶのだ。おばあちゃんがこの家の絶対の権力を持っている。
20畳ある部屋でおばあちゃんは一人暮らしている。
襖を私は静かに開けて、扉の前で頭を下げる。
「ただいま帰りました。おばあちゃん。」
おばあちゃんは静かに、
「はい。お帰りなさい。」
と言って、花を生けてたりする。
たったそれだけの会話だったけれど、私にとってかけがえのない時間だった。
「…泉」
私がいつまでたっても部屋から出ていかないところを見かねたのか、おばあちゃんは私を呼んだ。
「は、はい。おばあちゃん。」
「何かあったの?」
静かに私に聞く。
部屋には花の茎を切るハサミの音しか聞こえない。
「…いえ。そんなことは。」
「そう。伝えたいことは先に伝えなさい。失ってからでは取り戻せないものもあるのだから。」
「え…?」
「私は…伝えるのに悩んでついに言えなかった。」
「…おじいちゃんのことですか…」
おじいちゃん、つまり、おばあちゃんの旦那さんは10年前に亡くなった。優しくて、いつもニコニコしてて私たちを本当に愛してくれてた。私の味方になってくれた一人でもあった。
「それもあるけれど、戦時中、おじいさんに出会う前、私は結婚を約束していたある方がいた。その方は、私がまだ14歳であったというのに求婚してくれた本当にかっこいい方で、戦争に駆り出されてしまったけれど、彼は必ず戻ってくると言っていたわ。…でもね。」
「戻ってこなかったのですか?!」
「いいえ。戻ってきたわ。でも、戦争で脚を失って彼は野戦病院で手術を受けたからもう足を元には戻せなかった。たった一年、彼は、昭和19年に前線に送られたから、たった一年の間に…彼は脚を失った。私は会えたことが嬉しくて、15歳になった私と17歳になった彼。彼は相変わらず楽しそうに笑ってくれて、幸い、私の家は燃えなかったし比較的裕福だったから、彼を家に向かい入れたわ。でも、そんな幸せも長くは続かなくて、彼は、手紙を残して姿を消した。」
おばあちゃんは立ち上がって、とても綺麗な入れ物の中から古い紙を私に渡した。私が首をかしげると、彼からの手紙だと言って私は読み始めた。
『由紀子へ 由紀子と楽しい時間が過ごせてよかった。由紀子と両親に感謝します。由紀子は美しいからこれからいくらでもやり直せる。俺と一緒になるなんて馬鹿言ってはいけない。こんな片足のない男と結婚したら、由紀子の美しい人生が丸つぶれだ。俺は生涯由紀子を愛し続けるつもりだから誰とも結婚しないが、由紀子は好きなやつと美しい人生を生きるんだ。片脚さえあれば、俺は君と一緒にいられたがそれも今となっては無理だ。由紀子、あの日の約束を守れずにすまない。由紀子。由紀子。さようなら。由紀子。どうか幸せに。 坂本功』
「…おばあちゃん。この、あの日の約束って、何?」
「結婚の約束だよ。」
「…功さんと結婚したかったですか?」
「…そうね。おじいちゃんももちろん素晴らしい方だったけれど、功さんには及ばないわね。私は、彼に好きだと言えなかった。彼はいつも言ってくれたのに、私は一度も言ったことがなかった。こんなことになるのなら伝えたかった。たった二文字が好きだっていう言葉が、言えなかった。だからね、泉。」
「はい。おばあちゃん。」
「伝えれることはいつでも相手に伝えなさい。愛の言葉も憎しみの言葉も伝えなければ伝わらないのよ。」
「はい。おばあちゃん。」
「さ、着替えてらっしゃい。もうすぐ、お母さんが御膳を運びにくるわ。」
「はい。失礼します。」
坂本功さんか…
優しくて素晴らしい方なのね。
制服から部屋着に着替えながら考えた。おばあちゃんと功さんが結ばれていたらどんな夫婦になったのだろう。でも、そんなことになったらおじいちゃんがかわいそう。
コンコン 扉のノックオンが聞こえて私は返事をした。
「夕食の時間よ。おりてらっしゃい。」
「はい。お母さん。」
私は急いで着替えて階段を降りて行った。
私がリビングに着くと、空はもうお腹が減ったと言ってテレビをつけたままなのに、もうスプーンに手をつけている。
「お姉ちゃんおそーい。」
空は言った。
「ごめんね。ちょっとさっきまでおばあちゃんとお話ししてて。」
「夕食の時間に遅れてはいけないよ。」
お父さんも空に同調するように言った。
「ごめんなさい。」
「…さ、今日のお夕飯はビーフストロガノフよ。」
「美味しそう~!」
空はもう目をキラキラさせて言った。
「空、手を合わせなさい。」
お父さんがそう言って私も手を合わせてみんなで『いただきます』と言った。これは、私が生まれる前と変わらずある挨拶。
テレビを見ながら空は楽しそうにおしゃべりしている。
私はというと、静かにスプーンご飯を装って黙々と食べている。時々空に話しかけられると話はするけどそれ以外は無言だ。確かに美味しい。でも、美味しくない。
「ご馳走様。」
「もう食べないの?お姉ちゃん。」
「うん。もう要らないわ。お母さん。美味しかったわ。ご馳走様。」
「はい。」
お母さんはまだご飯を食べながら私に頭を下げる。これもいつもの礼儀らしい。
「お姉ちゃんもしかしてダイエット?」
「ううん。そんなんじゃないわ。ただ、今日は疲れてるの。」
「そうなのか?泉。」
お父さんが話に入ってくる。
「うん。」
「なら、お風呂はいってもう寝るか?」
「まだお風呂はいいわ。先に学校の復習するから。」
そういって私は自分の部屋に戻った。
明日は合気道ないからゆっくり帰れる。
風華と一緒にドーナツ屋さんにも寄れる。楽しみだ。
「……ふぅ。」
私はベッドに寝転がりながらため息をついた。
合気道、楽しいけど習ってても窮地に落ちないし、あんまり役に立たないな。最近は大会もないし。
明日は、風華と一緒に帰れるから楽しいし、嬉しいからいいんだけどなんか、最近は物足りない。
もう少しショッキングな出来事や、悲しい出来事が起これば、ストーリー的で楽しいのにな。
そんなこと、願っちゃったからかな。
ガタン!ドタン!パリンッ!
下の階から大きな物音がした。
方向的に和室だ。おばあちゃんの部屋だ。
ガラスの割れた音もする。和室の花瓶でも割って転んだのだろうか。私は一応気になったので、確認しようと階段降りようとした瞬間だった。
「泉!泉!」
お母さんの声だった。
お父さんの声も聞こえる。何だろう。
いつも静かに喋るお母さんのこの慌てようは、ただ事ではないと私自身すぐに察して、走って階段を駆け下りた。いつもだったら怒られるけど今はそんなこと言ってられない。
階段を降りると、顔を真っ青にして倒れているおばあちゃんがいた。何が起こったか一瞬わからなかった。
そのあと、みんな慌てながらも、救急車を呼んで、病院に行ったけれど、いっときの油断も許されなかった。
「やはり、もうお歳ですから…我々も交代で状態を見ますが…もう…長くはないと…」
お医者さんは、うつむきながら静かに言った。
私は突然すぎて何が何だかわからなくて、頭の整理に気を取られっぱなしだった。
「長くはないって…どういうことですか?!母は…母はまだ85歳なんです。戦時中できなかったこともこれからいくらでも楽しまなきゃいけないんです!!どうか、どうか、助けてください。助けてください!」
お父さんはいつもの余裕な感じのお父さんではなかった。
涙を目にいっぱい浮かべて泣きそうになりながら、本当にびっくりするような枯れた声でお医者さんに言った。
「先生!先生!」
看護師さんがすごい勢いで走って来た。
「どうした?」
「患者さんが!由紀子さんが!今、息を引き取られました…」
本当に、一瞬のことだった。
おばあちゃんが息を引き取ったのは…
今は、葬式が始まる前、来てくれた方たちに挨拶をしている。
「お悔やみ申し上げます。」
見たこともない人たちばかりだ。おばあちゃんは意外にお友達が多かったらしい。
今日がお母さんから習った礼儀を存分に使う日だ。おばあちゃん。綺麗に見送ってあげるからね。でも、よかったね。功さんのところに行けたじゃない。
「お悔やみ申し上げます…」
次に挨拶に来たのは…この人…
「おばあちゃんの…」
女学校時代のおばあちゃんの友達だった幸枝さんだった。家に何度も来たことがある仲良しの幸枝さんだった。
「…お久しぶりね。泉ちゃん。今年はまだ一度も会えてなかったのに…こんな、こんな場で会うことになるなんて…由紀子ちゃん。功さんと会えたかしら。」
「知ってるんですか?功さんのこと。」
「ええ。由紀子ちゃんと功さんは一緒に暮らしてたんだもの。有名だったわ。」
「…会えてると…いいですね。」
私は、少し切ない顔になりながらも笑った。
まだ、功さんが生きていたら、おばあちゃんは会えていないのよね。そんなこと思っちゃいけない。功さんが生きてたら喜ばしいことなのに。幸枝さんは、私の顔を見ながら、不安そうな顔になってしまった。さっきまでの、幸枝さんはどこに行ったのかと思うくらいだった。
「…どうかなさいましたか?」
「…ごめんなさいね。私、由紀子ちゃんに渡せてなかった。」
「何をですか?」
「功さんからの手紙よ…」
「功さんの手紙は、おばあちゃんが持ってましたけど」
「…それは、出て行った日のものでしょう?でも、これは、功さんが出て行ってから、由紀子ちゃんに向けてのもう1つの手紙なのよ。」
「もう1つの手紙?!なんで、そんな大切なもの…」
「ごめんなさい。功さんに由紀子ちゃんが結婚して幸せになってから、渡してくれと…それに功さんのこと思い出したくないかなって思って。」
「…これは、私が預かってもいいですか?」
「もちろん。」
「…あの、ちょっとだけ、失礼します。」
私は走って葬儀場の裏庭まで来た。
ごめんなさい。おばあちゃん。先に読ませてください。
私はゆっくり手紙の封を開けて、読み始めた。
『幸枝。由紀子にはもう会えないため、この手紙を幸枝に託す。
由紀子。この手紙を読んでいるということは、君はもう新しい亭主に出会っていることだろう。そんな君の幸せな顔を見れず俺はこの手紙を書きながら少しだけ切ない思いを感じている。由紀子。君は美しい。どうだろうか。今、君は美しい幸せを手に入れているだろうか。俺は幸せだ。由紀子が幸せなのであるならば。この手紙が由紀子への言葉の最後になるだろう。ただ、愛していた。 坂本功』
言っていることは、前の手紙とさほど変わらないが、私にとって涙が出そうな内容だった。愛している、と。おばあちゃんは最後の功さんの言葉を聞けずに亡くなってしまったんだ。おばあちゃん。おばあちゃん。涙が止まらない。止まらないよ。おばあちゃん。たった一人の私の味方。
〈やっと泣いたか。〉
どこからかわからないがそんな言葉が聞こえた。
やだ!誰かに見られてたの?!恥ずかしい。もう戻らなきゃ。そう思って私は振り返った。その時だった。
ブワァァァ大きな風が吹いた。
私はそれにより、尻餅をついてしまった。
私は顔を大きく振りながら前を向くと、手を差し伸べる男の人がいた。
「…え…?」
私は驚いた。その男性の容姿がびっくりするほど良かったからだ。瞳が緑色で髪の色は真っ黒だけど長くて艶があって後ろで結んで低めのポニーテールで、前髪だけは前に出ていた。道行く人が振り返るほどの美形だった。身長も高くてモデルみたいな20代前半?後半?くらいの人だった。
服は真っ黒でマントを着ていてちょっと怖い感じの人。
もしかして、この人がさっきの声の人?
私は目をクリクリさせながら、真顔になった。
「…あ、あの…?」
「なんだ。」
「…さっき、あの。やっと泣いたかって…その」
「言ったが。」
「え、あ、その。えっと、」
「あんたは、九条泉だろう。」
「え?はい」
「俺は、スヴァリ・ルダー・シファリア。あんたを迎えに来た。」
「へ?」
迎えに来た?なにそれ?私なんか借金とかしてたっけ?
この漫画みたいな出来事なに?
漫画とかでは身寄りの亡くなった女の子に迎えに来たとか言って若い男の人と同居みたいな感じのやついっぱいあるけど、こんなの知らない。私家族いるし。何かの間違い?
「えっと、なにを言ってるのか、正直わからないっていうか…」
「わからなくても良い。あんたを迎えにきた。ただそれだけのことだ。俺と一緒に、魔界へきてもらう。」
「…魔界?」
もしかしてこの人、厨二病?
こんな馬鹿げた非科学的なことをいう大人を始めてみた。
「あの、私、そういう人とはちょっと…あの、失礼します!」
私は走って逃げ出すようにその場から離れた。
良かった。これ以上追いかけるようなら回し蹴りをしてやるつもりだったし。
「泉」
私は学校に着いたら、風華に呼ばれて私は振り返った。
「風華。どうしたの?」
「おばあちゃん亡くなったって本当?」
おっつ…それか…
確かに言ってなかったけど、恐るべきおばちゃんネットワーク。このご時世なんでも筒抜けよね。
「うん。そうなの。」
「…そっか。悲しいよね。なんでも頼ってよ?」
「…うん。ありがとう。」
「それなら、ドーナツ屋さん行くの、明日にする?」
「え?」
「疲れてるでしょ?」
「あ、ううん。平気。それに、ちょっと聞いて欲しい話もあるんだ。」
「話し?」
「うわ!なにそれ。怖いけどなんか笑える。」
「笑い事じゃないよ。風華。」
今、私たちは行こうと話していたドーナツ屋さんにいる。
おしゃれなカフェのこのドーナツ屋さんは扉を開けると紅茶の香りがする温かいお店だった。
私は風華にこの前の厨二病の男の人のことを話した。
風華は案の定笑いながら驚いていた。
「あはは。ごめんごめん。ってか、その人マント着てたの?そのまんま厨二病じゃん笑える。ふふふ。でも、怖いね。泉を迎えに来たなんて言ってたんでしょ?気をつけてよね。」
「ね!怖いよね。私の名前も知ってたし、昔あったことあるのかな…?」
「だとしても、泉は覚えてないんでしょ?気をつけてよねー!」
「うん。ありがとう。」
そう。確かに、私は彼と会ったことがあったとしても覚えていない。
もし会っていたとしてもそこまで彼に対する思い入れも覚えていようという感じもなかったみたいだ。彼は誰がみてもかっこいいし、あんな風に厨二病だったらびっくりして忘れるはずなかった。
「悪魔…かもよ。」
聞いたことのある声に驚いたわたしと風華は一瞬にしてその声の元へと体を捻った。
可愛らしくておしゃれなこのドーナツ屋さんにそぐわない、いや、逆に似合っているのかはわからない。だが、確かに彼女はそこに立っていた。
槙野 清乃 同じクラスの生徒だった。
成績優秀で、有名な神社の箱入り娘。美人だが顔半分を前髪で隠している。オカルトが大好きで、悪魔とか魔女とかそういう話が好きみたい。美人なのに一向に男の人が近づかないのは彼女を少し恐れているのからかも。
美人だからこそ、このドーナツ屋さんには似合うが髪の毛を隠していつだって黒猫を連れている清乃さんのことをよく思うものは数少ないだろう。
もちろん、風華も清乃さんのことをよく思ってない。
「槙野さん。」
わたしがボソリと名を呼ぶと、清乃さんは笑わずに私の方へ歩いてきた。そして、わたしの隣に座った。
「ど、どうしてここに?」
わたしは驚き過ぎで上手に言葉が言えなかった。
「別に。大した意味はないわ。あなたたちが変な顔をしながらこの店に入っていくのが見えたからつけてきただけ。」
「つけてきたってあんたねぇ。」
風華は突っかかる気満々だ。
仲良くなれるような雰囲気じゃない。
「清乃さん。」
場をふわりとさせたいがために私が名前を呼ぶと、清乃さんは少し口元を緩ませながら言った。
「清乃で結構よ。」
そう言いながら、私の顔を見て今度はしっかり笑った。
「何か?」
私は聞いてた。
「…いいえ。貴方の顔って、面白いわね。」
「おも、面白い?」
良い意味だとしてもこれは良い気分しない。
面白いなんて言われて喜ぶ人間なんているものか。
「それ、どういう意味な訳?」
私がうつむいたままのことに気づいたのか風華は私の代わりに清乃さんに喧嘩腰で聞いた。もう顔は怒ってる。
「…あ…ごめんなさい。面白いって悪い意味じゃなくて…」
「悪い意味じゃない?こんな言い方されて悪い意味としか取れないことなんて明白でしょ!泉に謝りなさいよ!」
やばい。ちょっと風華が本気になりすぎてる。
店は風華の言葉によって静まり返り、視線は私たちの元へと集まっている。どうしよう。
私。どうしよう。
そう思った瞬間風華は腕を振り上げた。あ、やばい。殴るつもりだ。何をしてるの!私!こういう時のための合気道でしょ!でも、体が動かない。こんなことを考えている間に私の目に影が入った。
パシッ!その人が風華の腕を掴んだ。
「たくさんの視線を集めてあんたらは何をしてるんだ」
聞いたことのある声。
そこには、あの日。あの場にいた不思議な男の人。
スヴァリ・ルダー・シファリア。そう自分の名を名乗ったあの人だった。
「……な、なんで。貴方が。」
この前と同じ、洋風で長い真っ黒のコートを着ていた。真っ黒のブーツで真っ黒のズボン。前と違うのはマントを着ていないだけ。マントがコートに変わったのだ。でも、どうしてここに。
「……あんた。もう少し賢い女だと思ったぜ。」
「……え?」
この人がきたせいでもっと視線は強くなった。
「腹が立った。」
「は?」
腹が立ったって誰に…
「俺は頭の悪い女が一番嫌いなんだ。憂さ晴らしもこの辺にしろ。迷惑きわまりない。」
そう言って、掴んだ風華の腕をゆっくり離した。
風華は下を向いたままで、清乃さんはホッとしたような顔で背もたれに体を任せた。私も、腰が抜けてその場に座りそうになったが彼がその瞬間に腕を掴んで持ち上げた。
「あり…がとう。」
「…ああ。」
その後、私たちはドーナツ屋さんで解散した。
風華はうつむきながらもなんども謝って帰って行った。
清乃さんも塾があるのだと言って帰って行ったが、彼だけは私のそばから離れようとしなかった。
今は、帰り道。
「…あいつは、何故そんなにもあんたを慕ってるんだ。普通の友達ならあんなことできないだろ。」
この人の言うことは最もだった。
風華は、私のために生きていると言っても過言ではないほど、私に依存してる。
「…別に、大したことじゃないんだけどね。昔ね。って言っても2年前なんだけど、私と風華は、違う中学に通ってたの。でも、ある日、私は思いがけないところで風華に出会った。」
私はもう一度顔を上げて彼の顔を覗き見た。彼の顔は真剣で間違っても聞いてない表情には見えなかった。
「風華はね。」
私は話を続けた。
「…いじめられてたの。」
彼は表情を大きく変えた。
「その日、ほら、あそこ。さっきいたドーナツ屋さんのところにはね、2年前まではコンビニがあってね、風華は万引きを強要されてた。私はたまたまその場にいて風華だけでコンビニに入らされてた。だから、止めたのよ。そしたらね。風華泣き出しちゃって、風華と一緒に私はコンビニを出た。正義感を気取ったわけじゃない。違う中学だったから自分に関わるリスクも少ないと思った。私自身合気道習ってるからたとえ殴られても防御もできた。風華はね、その後公園のベンチに座りながらちょっと話したわ。そしたら、風華は心を開いてくれて同じ塾に入って同じ高校を受験したの。そしたら二人とも受かっちゃってさ。ふふふ。すごいわよね!あ、こんな話じゃなくてそれからはね、風華、私のためならなんでもするようになっちゃった。嬉しいけど、それは友達じゃないからさ。」
「そうか。成る程。恩返しのつもりってわけか。」
「…ええ。そうみたい。って!普通に話してたけど、なんで貴方がここにいるの?!こんなピンポイントで!」
「あ?あんたを連れて行くと言ったはずだ。」
「はいはい。分かりましたから。もう家に帰ってくださいよ。」
「この前、あんたの祖母は死んだろう。」
「!」
「あんたの祖母の初恋の相手は、坂本功。」
「なんなんですか?どうしてそんなに知ってるんですか!」
「魔界の神官だからだ。」
「は?」
「魔界の神官は人の死を左右する仕事をしていることから死ぬ人間については誰よりも知ってる。」
「…ほ、ほんとなの?魔界って。」
「ああ。俺はそう言った。」
「私を殺しに来たの?」
「違う。あんたはまだ死なないね。」
「じゃ、どうして連れて行くなんて…」
「あんたは賢い、賢いのに美しい心を持ってる。俺はそんな女が大好きだ。だから、あんたを連れてく。そして、あんたと祝言を挙げる。」
「祝言って、私人間だし、17歳ですよ?何バカなこと言ってんですか。」
「形だけで構わん」
構わなくないでしょ。
ってか、ここまでくると嘘なんて思えない。私のいる場所もすぐに特定したし、おばあちゃんのことをあんなに知ってるなんて。
「取り敢えず!ここは目立つので家来てください!」
「ああ。」
全く。何がどうしてこうなったのよ。
祝言って、祝言って!
どうなってんのよ。
あー…今日は合気道休みだな。こりゃ。
「ただいま帰りました。」
私はいつものように家に帰って、リビングにいるお母さんへ挨拶に行った。
「お帰りなさい。その方は。」
私の隣にいる不思議な身なりの彼に気づくとすぐにお母さんは聞いて来た。確かに、明治時代の洋装の男性みたいな格好だから仕方ないか。フロックコートだし…それに、わざと気づかないようにしてたけど、刀まで持ってる。よく警察の人たちに何も言われなかったわね。この調子なら拳銃も持ってそう…。魔界だとかなんとかはもう信じなきゃならないけどやっぱり非現実的よね。
「こちらは、えっと…」
「スヴァリ・ルダー・シファリアです。」
そう言って彼はお辞儀をした。
「か、彼氏なのよ。」
私がそう説明するとお母さんと彼は同時に反応して、お母さんはポカンっとしていて、彼は静かに口元を緩ませて笑った。
「…ふ、不思議な身なりの方ね。」
お母さんは言った。
「あ、この人ね、違う国の人でその国ではこういう服らしいのよ。」
変な嘘でごめんなさい!お母さん。
「…あ、あの、今日から泊まってってもらってもいい?」
「え?」
「いろいろあって泊まる場所がないみたいで、部屋空いてるよね、二階のもう1つの部屋。」
「ええ。空いてるわよ。スヴァリさん。こんな娘だけれど、よろしくお願いします。」
お母さんはお辞儀をしてそのお辞儀に返すように彼もお辞儀をした。
「もちろんです。」
あ、怖い人かと思ったら笑った顔は優しいのね。
部屋に戻ると彼は私の部屋を大きく見渡した。
「好きなところに座ってね。」
「ああ。」
彼は、ちょっとカッコよかった。今思うとだけど。
彼は私を守ってくれた。いや、清乃さんを守ったといった方が正しいのだが、そういうことからは目を背けることにする。単純かも知れないけれど、風華の腕を瞬時に掴み睨みつけた彼は紛れもなくカッコよく、逞しかった。彼は、私のことを初対面なのにあんたと呼ぶし、ぶっきらぼうだし、悪魔だし…でも、彼はかっこいい。私は本気でそう思った。
「…あんた。」
「は、はい?」
「…変な奴だな。」
「え?」
いきなりなにを言いだすかと思いきや…
「普通ってものが俺にはよくわからないが、あんたらの普通ってこんな奴を簡単に家にあげたりしないだろう。」
確かに、それは私も不思議。こんな風に簡単に家にあげるなんてない。私も自分自身にびっくりしている。
「…それは…私も不思議です。」
「そうか。俺が行っても説得力ないだろうが、一応言っておく。」
「?」
「幸せにしてやる。」
「…え…?」
「祝言を挙げるからには幸せにしてやる。」
「…あ、あの、ずっと気になってたんですけど、なんで私なんですか?ってか、悪魔と人間が結婚なんてそんな漫画みたいなこと…」
「…言えねえな。」
「…?」
「…ま、そう気にするな。人間が高校に行くことを気にする奴はそんなにいないだろ。それと一緒で、悪魔界にも悪魔界なりの決まりごとみたいな、縛りはあるんだよ。」
「え、で、でも…なんで」
「お!これ」
彼は、私の小さな頃の写真を見て驚いた仕草をした。
今、話をとぎられた。
話したくないならいいんだけど、私のこと避けてるのかって不安になる。いろいろ、そんなことで悩んでる自分が恥ずかしい。おばあちゃん。何で、死んじゃったの?私はうつむいたまま何も考えられなかった。でも、そんな私の冷たい心も溶けていった。彼が私の頭をそっと撫でてくれたからだ。
「……今は…言えないだけだ。言える時が来たらそのとき言うから。」
私はゆっくり顔を上げて微笑んだ。
彼は意地悪そうな笑いを浮かべていたけれど、優しそうな笑いでもあった。
「でも、あれだな。俺に興味が出て来たってことだな」
「な!違います!私、あんまり隠し事とかに心広くいられないだけです。」
「ふぅん。」
「ってか、こんな話じゃなくて、えっと、、なんて呼べばいいですか?スヴァリさん?ルダーさん?」
「さん付けはむず痒いんだよ。」
「周りの人は何と呼んでるんですか?」
「様付けか、友達は…呼び捨てかな。」
「様?」
「一応神官だからな。」
「へぇ。じゃ、友達みたいにスヴァリでいいですか?」
「ああ。あと、敬語もやめてくんねぇかな。敬語も俺にはあわない。普通でいいよ。」
「あ、わかった。」
結局話が進まないまま夜が来た。
部活で帰りの遅い空は18時を過ぎて家に帰って来た。玄関でスヴァリの履いていたブーツを見つけたのか、空は勢いよく階段を登って来た。私だったらお母さんは怒るけど空にはなにも言わない。もう慣れた。
バタン!私の部屋の扉が大きく開いた。
「お姉ちゃん!玄関の男物のブーツなに?!」
「あ、空。お帰りなさい。」
空は部屋を見渡してスヴァリの存在に気づいた。
「お、お姉ちゃん。このかっこいい人は…?」
「え?ああ。スヴァリのことね。」
「すゔぁり?」
「私の彼氏よ。スヴァリ・ルダー・シファリア。」
私が言うと、スヴァリは驚いたように私の肩を持って後ろに振り返って私に小声で話しかけた。
「ごめんってー。彼氏って言わないと…お母さんと話が違っちゃう…」
「その話じゃなくて。彼女は誰だ?」
「妹の空だけど?」
スヴァリは、意味深なちょっといやらしい笑いを浮かべた。
「ちょ、ちょっと!空にまで手を出すつもり?!」
「そんなこと…するわけねぇだろ。」
「ちょっ、ちょっと!今少しだけ間があったわよ!」
「お姉ちゃん?」
空が不思議そうに私を呼んだ。
「ん?」
私は聞き返した。
「ちょっと話したいことと聞きたいことが…」
ですよね…
「お姉ちゃんあんな人と付き合ってるの?」
廊下に呼び出されて私と空は小声で話をする。
「ま、まあね。空は反対?」
「反対ってわけじゃないよ?むちゃくちゃカッコいいし、いや、ハンサム?だし、背も高いし声もかっこいいし、でもさ、あの人もう20代前半くらいはいってるでしょ?それに、髪の毛も長いし、後ろでポニテみたいにしてるじゃん。似合うしかっこいいけど、ちょっとチャラいよね。いや、あのチャラさもいいと思うんだけどさ…お姉ちゃん可愛いんだしもっと他にいなかった?」
「酷い言われようだわ。ふふ。でも、あんな人だけど優しいところもあるのよ。空の言うとおり髪型にあってるし。だめかなぁ?」
「違う!そんな小さいところはまだ気にしてない!そんなことじゃなくて!あの人、刀持ってるじゃん!危ないよ!」
一生懸命私に危ないことを伝えようとしてる空は不謹慎だけど可愛くて仕方なかった。私は空の頭を静かに撫でて、言った。
「心配してくれてありがとう。でも、私にはあの人しかいないのよ。空もきっと恋をすればこうなるわ。」
私自身、空を恨んだりしてないことに気づいてた。空はなにも悪くなかった。私が合気道を馬鹿にされて勝手に怒って勝手に傷ついて勝手に嫉妬してただけだった。空はなにも悪くなかったし、空は私のこと考えていつも笑っていてくれた。そんな空の可愛さに私がどれだけ救われて生きて来たか。空は素直でいつも笑っていて、そんな空を愛するお母さんたちの気持ちもよくわかる。ただ、私も愛されたかった。愛を感じたかっただけ。だから、私は今スヴァリに逃げるけど、スヴァリがもし私を本気で愛してくれるのだとしたら、私はスヴァリについて生きたい。行くのではなく、生きるんだ。
私は柄にもなく、泣いてしまった。
「お姉ちゃん?どうしたの?ごめん。私が泣かせちゃったよね。」
空は私の顔を見ながらウロウロしてた。
私は空を抱きしめてまた涙が止まらなくなった。
スヴァリは、私の鳴き声に気づいたのか部屋から出て来て静かに抱きしめてくれた。ほら、彼は優しい。
「スヴァリ。」
私は涙が止まってすぐ部屋に戻りらスヴァリと向かい合わせに座って話をすることにした。
「…わたし。スヴァリについて行ってみようかな。」
「え?」
「愛してくれるならだけど。」
スヴァリは、初めて明るく笑ってはっきりとした声で
「もちろんだ。」
そう言った。
こうして、スヴァリについて行くことを決意した私でした。この日は真っ暗な空に月が綺麗に光る日のことでした。この月明かりは、私たちに何かを予言してくれていたのかもしれません。いつだって、こうも綺麗に月が光るわけがないのだと。月が綺麗に光る日もあればそうでない日もあるのだと。私たちにそう伝えようとしていてくれたのかもしれません。でも、私はその時、前しか見えていません。スヴァリしか目になかったあの時私は知りませんでした。この先、この決意を後悔することを。
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