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私たちのパパは1人だけだから
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第2話
私たちのパパはひとりだけだから
今は19時。
まだ、茉莉乃は帰ってこない。
今はもう莉央も南も家に帰って家にはただ1人。
寂しい。1人がこんなに寂しいものだと初めて知った。パパがいれば…そう思ってしまう。
コンコン。
私の部屋をノックする音が聞こえる。
茉莉乃かもしれない。
「入っていいよ」
ガチャ。
白い足。スラってしていて、綺麗な肌。
優しい顔。
「雪乃ちゃん。ただいま。茉莉乃は?」
ママだった。。茉莉乃ではなかった。
「茉莉乃はまだ帰ってきてない。」
「そうなの?。あの子ったら、帰るのが遅くなるときは連絡しなさいっていつもあんなに言っているのに。」
ママは私の部屋を出てリビングに向かった。
私も後を追うように部屋の電気を消してリビングに向かう。
ママは冷蔵庫を開けて買ってきた野菜やその他の食品を冷蔵庫にしまう。
「あっ。そうそう。雪乃ちゃん。今日はビーフシチューよ。雪乃ちゃんも茉莉乃ちゃんも大好きよね。」
「…うん。」
「雪乃ちゃん?どうしたの?今日はなんか、元気がないみたいだけど。」
「……ママ。」
「それにしても茉莉乃は遅いわね。いったいどこに寄り道してるのかしら」
「ママ!ごめんなさい」
「雪乃ちゃん?」
私は事の顛末をすべて話した。
泣いてたから上手に話せなかったけど…
「雪乃。よくわかったわ。茉莉乃は今どこにいるかわからないのね。」
「うん。」
「犯罪をしてたのね」
「うん。」
「いじめられているのね」
「うん」
ママは、お茶を飲んでゆっくり一息をつく。
「茉莉乃。どうしよう。」
「茉莉乃のことはママに任せなさい。だから…」
プルルルプルルル
電話が鳴る。
お母さんが椅子から立ち上がって受話器を取る。
「はい。……えっ?。あっ。はい。はい。今すぐ伺います」
「どうしたの?ママ」
「茉莉乃が…警察に保護されたみたいなの。だから、今から警察署いかないと…」
「、え?」
わたしは意味がわからずとりあえず一緒について行くことにした。
ママの手は冷たい。
緊張しているんだ。
パパがいなくなってから、ママは、1人でこういうことと戦っていたんだと思うと悲しくなる。
警察署に着く。
婦警さんや他の警察官に取り次ぎながら、茉莉乃のいる部屋に行く。
扉を開ける。
茉莉乃は、いた。
土にぼろぼろになっている制服がかけてあり、
茉莉乃は私たちが見たことのないような服が着せられている。
ママは部屋に入った途端茉莉乃に飛びついた。
「茉莉乃!あなた…どういうことなのよ」
茉莉乃はママに抱きつかれながら呆然と座っている。
「死のうと思ったけど死にきれなかった。」
は?何言ってるの?茉莉乃は何を言ってるの?
「ママ。茉莉乃何言ってるの?」
「雪乃ちゃん…」
茉莉乃は笑っていた。
「…死ねなかった。パパがいないと私死ねないんだ。あはははー。パパのところ行きたいんだけど。行けないの。なんでだろう。ねぇ。まま。今ここで私を刺してみてよ。殺してみて。もしかしたら死ねるかも。ねぇ。ねぇ。殺してみてよ。ねぇ!」
私とママの目を目配せしながらナイフを渡そうとする。それを見ていた警察官が止めに来るが、止まらない。。ママは震えている。
私たちは、暴れている茉莉乃を警察の人たちと一緒に病院へ連れて行き鎮静剤を打ってもらった。今は静か。ここは精神科で、寝ている。
「ママ。もう。帰る?」
「明日は学校休みなさい……茉莉乃がこんな状態じゃあなたも学校どころじゃないでしょう??」
「…うん。。」
「ママは、今日…ここに泊まるから…雪乃は1人で帰れる??あれだったら。タクシー呼ぶけど……」
「大丈夫。まだ、20時ちょっとくらいだし。。駅から走れば大丈夫よ。」
「…そう。気をつけてね。一応お金を持って行きなさい。」
そういってママは、かばんから財布を取り出しす。ママは、財布を3つ持ち歩いている。
1つは小銭用
1つは普通に使う財布
最後の1つは2、3千円入れておく2番目の財布を忘れたときのための非常用の財布。
それを合わせても2、3万入っているので、
困っときとかに便利。
「はい。これ持って行きなさいね」
私に非常用の財布を渡す。
「…ねぇ。雪乃。あの子…茉莉乃にはお父さんが必要なのかしら。」
「え?」
何を言っているの?ママは。
あの子に必要なのはパパよ。
「私ね。再婚しようかと思っているの。」
「え。」
「今ね…生活的にも精神的にもうちはちょっと苦しいのよ。だから……」
「…わ。たしは、」
「雪乃ちゃんはどうかな?」
こういう話のときに私の名前をちゃん付けにするのはいつも、同意を求めたいときだ。
「会ってから考えたいの」
「そうね。そんな簡単にOKできるような話でもないものね」
ママは、悲しい表情をする、、
パパが亡くなってから、うちの経済状況は下回り。パパの遺産だけで生活はできるはずもなく前から働いていたママは、朝早く出勤して夜遅くまで勤務し土日はバイトまでしている。
これではママが壊れてしまうのではないか。と、そう思う。
私もバイトをしたいが、15歳なので求人もない。だから、稼げない。だから、その分服を欲しいとか欲しいものをあまり言わないようにしている。。
ママは昔から優しい性格でいつもニコニコしていて、ゆっくり話を聞いてくれるそんな人。
色白で顔は小さくてくびれがあって背も高くてとても綺麗。
よく同級生にも羨ましがられた。
そんなママを苦労させている自分が許せなかった。
チュンチュン
小鳥の鳴く声で私は目が覚めた。
いつのマに家に帰ってきたのだろうか。
私の記憶ではママから再婚の話を聞いたところで記憶は止まっている。
「雪乃ちゃん。おはよう」
「…ママ。いつ帰ってきたの?」
「さっきよ。さぁ。朝ごはんを食べなさい。」
「うん、…」
「今日の朝ごはんはね。フレンチトーストよ。ママ腕によりをかけて作ったの!」
「ね…え。」
「ん?」
「茉莉乃は?」
「病院よ。今日も暴れてて。大変だったわ」
「ママ…」
「……雪乃ちゃんは何も心配しないで…。雪乃ちゃんは今まで通り普通に学校行って元気に過ごしてくれればそれでいいから。」
「うん。」
「雪乃……。昨日の話の続きなんだけど…」
「…あぁ。再婚の話ね。ママ付き合ってる人いたのね」
「。雪乃。パパがいなくなってからたくさん支えてくれた人よ、とても優しくて。いい人なの、歳は38歳。。ママの3つ年上の人よ。」
「ねぇ。今日会ってみない?。今日はあなたも学校行かないし、私もあの人も今日は仕事お休みの日なの。ちょうどいいでしょう?茉莉乃に合わせる前にあなたに合わせたほうがいいだろうし。」
「…いいよ。ママ。」
「そう!よかった!じゃあ、裕司。あ、あの人に連絡しておくわね。昼一緒に食べようか」
「うん。」
ママ。裕司さんって言うのね。
新しいお父さん。
ー私が8歳の時。茉莉乃が5歳の時
『雪乃ー。ちょっとおいで。ママも来て』
パパがリビングの絨毯がひいてあるところですわって小さな机が置いてあるところにアルバムを広げている。膝の上には茉莉乃がいる。
パパはキッチンで一緒に後片付けをしている私たちを手招きをしながら呼ぶ。
『あらあら。パパったらどうしたんでしょうね。雪乃。』
『パパ~。何ー?』
私たちは手を拭いてパパの方に行く。
『ほらこれ』
パパはアルバムで私がまだ3歳の時茉莉乃を抱っこしている時の写真を見せる。
『まぁ。こんな時もあったわね。この時雪乃ったら抱っこする抱っこするって言って聞かないんだもの。ふふ。それで仕方ないなぁってことで雪乃に抱っこさせてあげたんだけど。雪乃小さかったから茉莉乃を上手に抱っこできなくて落としてしまったのよね。茉莉乃を。ふふ。。茉莉乃は大泣きしちゃって痣もできちゃったのよ。それを見て雪乃ったら大泣きしちゃって大変だったの。』
『やだぁ。そんなこと話さないでよ。あはは』
パパはそんなママとやり取りをしている私たちを見て。
『そういえばね。雪乃と茉莉乃の名前はパパが決めたんだよ。』
『ええー?パパが?どんな由来なの?』
『雪乃はね。雪乃が生まれた日は雪が降ってたから雪だ。』
『そんな簡単に付けたの?ひどーい』
『はははっ。ママと同じことを言うな。そんなつけ方をしちゃったから、茉莉乃の時はむちゃくちゃ悩んで決めたんだ。茉莉乃の名前の由来はね。茉莉乃の茉は、茉莉花っていうジャスミンの花の名前から取ったんだよ。ママがジャスミンの香りが好きだったからね。莉は愛らしい。可憐っていう意味があるんだ。乃は雪乃と同じ乃にしたんだ。。可憐で愛らしい香りの綺麗なジャスミンのような子に育って欲しいって願いを込めて…』
そんな風にパパは名付けてくれたのに。
なんで。茉莉乃はあんな子になってしまったんだろう。
「雪乃ちゃん?」
ママが名前を呼んだ。
ここはファミレス。私の知らない『お父さん』を待つ。
「あっ。裕司さんっ」
ママが手を振っている。
「百合さん。」
裕司さんが視線を私に移す。
「この子が?」
「そうよ。娘の雪乃。」
「あれ?もう1人いるんでしょ?茉莉乃ちゃん」
なんでこの人そんなに知っているの?
「茉莉乃は来れないのよ」
「あ。そうだったね。ごめん。」
「気にしないで。ほら雪乃。ご挨拶して」
「あ。うん。娘の雪乃と言います。中学3年生です。」
「よろしくね。雪乃ちゃん。」
その人は顔は優しそうでかっこいい人だった。
パパに似ていた。
「はい。」
ママ。。なんでこんなにパパに似ている人を選んだの。これじゃあ、茉莉乃は前へ進むことさえもできないじゃない。
「あ、僕の名前は前原 裕司。」
「あのね。雪乃。この人とは籍入れないつもりなの。。入れた方がいいってなった時は、私たちの松谷の方に裕司が入ってもらうつもりよ。茉莉乃が納得できる。前を向けるようになったらいれれたら嬉しいわ。。」
「それまでは、おじさんとか、前原さんとか、他人行儀でいいからね。」
この人はママの言葉を遮って話した。
なんか、嫌だった。
「いつか、パパって呼んでくれると嬉しいけど。」
私の胸にズキッと痛みが走った。
「パパは私たちに1人しかいないから。パパなんて言いたくない。私は、亡くなったパパしかパパだと思わない。第一おじさんにパパみたいになれるの?おじさんみたいな人が完璧で優しいパパみたいになれるの?中途半端な人は大嫌いだから。」
私はバックを持ってファミレスを後にした。
後ろから、雪乃ちゃん。雪乃。とママとおじさんに呼ばれている声が聞こえた。
あんな人に雪乃ちゃんなんて呼ばれたくもない。
その声は段々と遠ざかっていった。
私たちのパパはひとりだけだから
今は19時。
まだ、茉莉乃は帰ってこない。
今はもう莉央も南も家に帰って家にはただ1人。
寂しい。1人がこんなに寂しいものだと初めて知った。パパがいれば…そう思ってしまう。
コンコン。
私の部屋をノックする音が聞こえる。
茉莉乃かもしれない。
「入っていいよ」
ガチャ。
白い足。スラってしていて、綺麗な肌。
優しい顔。
「雪乃ちゃん。ただいま。茉莉乃は?」
ママだった。。茉莉乃ではなかった。
「茉莉乃はまだ帰ってきてない。」
「そうなの?。あの子ったら、帰るのが遅くなるときは連絡しなさいっていつもあんなに言っているのに。」
ママは私の部屋を出てリビングに向かった。
私も後を追うように部屋の電気を消してリビングに向かう。
ママは冷蔵庫を開けて買ってきた野菜やその他の食品を冷蔵庫にしまう。
「あっ。そうそう。雪乃ちゃん。今日はビーフシチューよ。雪乃ちゃんも茉莉乃ちゃんも大好きよね。」
「…うん。」
「雪乃ちゃん?どうしたの?今日はなんか、元気がないみたいだけど。」
「……ママ。」
「それにしても茉莉乃は遅いわね。いったいどこに寄り道してるのかしら」
「ママ!ごめんなさい」
「雪乃ちゃん?」
私は事の顛末をすべて話した。
泣いてたから上手に話せなかったけど…
「雪乃。よくわかったわ。茉莉乃は今どこにいるかわからないのね。」
「うん。」
「犯罪をしてたのね」
「うん。」
「いじめられているのね」
「うん」
ママは、お茶を飲んでゆっくり一息をつく。
「茉莉乃。どうしよう。」
「茉莉乃のことはママに任せなさい。だから…」
プルルルプルルル
電話が鳴る。
お母さんが椅子から立ち上がって受話器を取る。
「はい。……えっ?。あっ。はい。はい。今すぐ伺います」
「どうしたの?ママ」
「茉莉乃が…警察に保護されたみたいなの。だから、今から警察署いかないと…」
「、え?」
わたしは意味がわからずとりあえず一緒について行くことにした。
ママの手は冷たい。
緊張しているんだ。
パパがいなくなってから、ママは、1人でこういうことと戦っていたんだと思うと悲しくなる。
警察署に着く。
婦警さんや他の警察官に取り次ぎながら、茉莉乃のいる部屋に行く。
扉を開ける。
茉莉乃は、いた。
土にぼろぼろになっている制服がかけてあり、
茉莉乃は私たちが見たことのないような服が着せられている。
ママは部屋に入った途端茉莉乃に飛びついた。
「茉莉乃!あなた…どういうことなのよ」
茉莉乃はママに抱きつかれながら呆然と座っている。
「死のうと思ったけど死にきれなかった。」
は?何言ってるの?茉莉乃は何を言ってるの?
「ママ。茉莉乃何言ってるの?」
「雪乃ちゃん…」
茉莉乃は笑っていた。
「…死ねなかった。パパがいないと私死ねないんだ。あはははー。パパのところ行きたいんだけど。行けないの。なんでだろう。ねぇ。まま。今ここで私を刺してみてよ。殺してみて。もしかしたら死ねるかも。ねぇ。ねぇ。殺してみてよ。ねぇ!」
私とママの目を目配せしながらナイフを渡そうとする。それを見ていた警察官が止めに来るが、止まらない。。ママは震えている。
私たちは、暴れている茉莉乃を警察の人たちと一緒に病院へ連れて行き鎮静剤を打ってもらった。今は静か。ここは精神科で、寝ている。
「ママ。もう。帰る?」
「明日は学校休みなさい……茉莉乃がこんな状態じゃあなたも学校どころじゃないでしょう??」
「…うん。。」
「ママは、今日…ここに泊まるから…雪乃は1人で帰れる??あれだったら。タクシー呼ぶけど……」
「大丈夫。まだ、20時ちょっとくらいだし。。駅から走れば大丈夫よ。」
「…そう。気をつけてね。一応お金を持って行きなさい。」
そういってママは、かばんから財布を取り出しす。ママは、財布を3つ持ち歩いている。
1つは小銭用
1つは普通に使う財布
最後の1つは2、3千円入れておく2番目の財布を忘れたときのための非常用の財布。
それを合わせても2、3万入っているので、
困っときとかに便利。
「はい。これ持って行きなさいね」
私に非常用の財布を渡す。
「…ねぇ。雪乃。あの子…茉莉乃にはお父さんが必要なのかしら。」
「え?」
何を言っているの?ママは。
あの子に必要なのはパパよ。
「私ね。再婚しようかと思っているの。」
「え。」
「今ね…生活的にも精神的にもうちはちょっと苦しいのよ。だから……」
「…わ。たしは、」
「雪乃ちゃんはどうかな?」
こういう話のときに私の名前をちゃん付けにするのはいつも、同意を求めたいときだ。
「会ってから考えたいの」
「そうね。そんな簡単にOKできるような話でもないものね」
ママは、悲しい表情をする、、
パパが亡くなってから、うちの経済状況は下回り。パパの遺産だけで生活はできるはずもなく前から働いていたママは、朝早く出勤して夜遅くまで勤務し土日はバイトまでしている。
これではママが壊れてしまうのではないか。と、そう思う。
私もバイトをしたいが、15歳なので求人もない。だから、稼げない。だから、その分服を欲しいとか欲しいものをあまり言わないようにしている。。
ママは昔から優しい性格でいつもニコニコしていて、ゆっくり話を聞いてくれるそんな人。
色白で顔は小さくてくびれがあって背も高くてとても綺麗。
よく同級生にも羨ましがられた。
そんなママを苦労させている自分が許せなかった。
チュンチュン
小鳥の鳴く声で私は目が覚めた。
いつのマに家に帰ってきたのだろうか。
私の記憶ではママから再婚の話を聞いたところで記憶は止まっている。
「雪乃ちゃん。おはよう」
「…ママ。いつ帰ってきたの?」
「さっきよ。さぁ。朝ごはんを食べなさい。」
「うん、…」
「今日の朝ごはんはね。フレンチトーストよ。ママ腕によりをかけて作ったの!」
「ね…え。」
「ん?」
「茉莉乃は?」
「病院よ。今日も暴れてて。大変だったわ」
「ママ…」
「……雪乃ちゃんは何も心配しないで…。雪乃ちゃんは今まで通り普通に学校行って元気に過ごしてくれればそれでいいから。」
「うん。」
「雪乃……。昨日の話の続きなんだけど…」
「…あぁ。再婚の話ね。ママ付き合ってる人いたのね」
「。雪乃。パパがいなくなってからたくさん支えてくれた人よ、とても優しくて。いい人なの、歳は38歳。。ママの3つ年上の人よ。」
「ねぇ。今日会ってみない?。今日はあなたも学校行かないし、私もあの人も今日は仕事お休みの日なの。ちょうどいいでしょう?茉莉乃に合わせる前にあなたに合わせたほうがいいだろうし。」
「…いいよ。ママ。」
「そう!よかった!じゃあ、裕司。あ、あの人に連絡しておくわね。昼一緒に食べようか」
「うん。」
ママ。裕司さんって言うのね。
新しいお父さん。
ー私が8歳の時。茉莉乃が5歳の時
『雪乃ー。ちょっとおいで。ママも来て』
パパがリビングの絨毯がひいてあるところですわって小さな机が置いてあるところにアルバムを広げている。膝の上には茉莉乃がいる。
パパはキッチンで一緒に後片付けをしている私たちを手招きをしながら呼ぶ。
『あらあら。パパったらどうしたんでしょうね。雪乃。』
『パパ~。何ー?』
私たちは手を拭いてパパの方に行く。
『ほらこれ』
パパはアルバムで私がまだ3歳の時茉莉乃を抱っこしている時の写真を見せる。
『まぁ。こんな時もあったわね。この時雪乃ったら抱っこする抱っこするって言って聞かないんだもの。ふふ。それで仕方ないなぁってことで雪乃に抱っこさせてあげたんだけど。雪乃小さかったから茉莉乃を上手に抱っこできなくて落としてしまったのよね。茉莉乃を。ふふ。。茉莉乃は大泣きしちゃって痣もできちゃったのよ。それを見て雪乃ったら大泣きしちゃって大変だったの。』
『やだぁ。そんなこと話さないでよ。あはは』
パパはそんなママとやり取りをしている私たちを見て。
『そういえばね。雪乃と茉莉乃の名前はパパが決めたんだよ。』
『ええー?パパが?どんな由来なの?』
『雪乃はね。雪乃が生まれた日は雪が降ってたから雪だ。』
『そんな簡単に付けたの?ひどーい』
『はははっ。ママと同じことを言うな。そんなつけ方をしちゃったから、茉莉乃の時はむちゃくちゃ悩んで決めたんだ。茉莉乃の名前の由来はね。茉莉乃の茉は、茉莉花っていうジャスミンの花の名前から取ったんだよ。ママがジャスミンの香りが好きだったからね。莉は愛らしい。可憐っていう意味があるんだ。乃は雪乃と同じ乃にしたんだ。。可憐で愛らしい香りの綺麗なジャスミンのような子に育って欲しいって願いを込めて…』
そんな風にパパは名付けてくれたのに。
なんで。茉莉乃はあんな子になってしまったんだろう。
「雪乃ちゃん?」
ママが名前を呼んだ。
ここはファミレス。私の知らない『お父さん』を待つ。
「あっ。裕司さんっ」
ママが手を振っている。
「百合さん。」
裕司さんが視線を私に移す。
「この子が?」
「そうよ。娘の雪乃。」
「あれ?もう1人いるんでしょ?茉莉乃ちゃん」
なんでこの人そんなに知っているの?
「茉莉乃は来れないのよ」
「あ。そうだったね。ごめん。」
「気にしないで。ほら雪乃。ご挨拶して」
「あ。うん。娘の雪乃と言います。中学3年生です。」
「よろしくね。雪乃ちゃん。」
その人は顔は優しそうでかっこいい人だった。
パパに似ていた。
「はい。」
ママ。。なんでこんなにパパに似ている人を選んだの。これじゃあ、茉莉乃は前へ進むことさえもできないじゃない。
「あ、僕の名前は前原 裕司。」
「あのね。雪乃。この人とは籍入れないつもりなの。。入れた方がいいってなった時は、私たちの松谷の方に裕司が入ってもらうつもりよ。茉莉乃が納得できる。前を向けるようになったらいれれたら嬉しいわ。。」
「それまでは、おじさんとか、前原さんとか、他人行儀でいいからね。」
この人はママの言葉を遮って話した。
なんか、嫌だった。
「いつか、パパって呼んでくれると嬉しいけど。」
私の胸にズキッと痛みが走った。
「パパは私たちに1人しかいないから。パパなんて言いたくない。私は、亡くなったパパしかパパだと思わない。第一おじさんにパパみたいになれるの?おじさんみたいな人が完璧で優しいパパみたいになれるの?中途半端な人は大嫌いだから。」
私はバックを持ってファミレスを後にした。
後ろから、雪乃ちゃん。雪乃。とママとおじさんに呼ばれている声が聞こえた。
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その声は段々と遠ざかっていった。
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