妖精さん達と暮らそう 改訂版

東郷 珠

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飼育の妖精さんと新しい家族

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 私が住むアパートはペット可です。そうは言っても、今までペットを飼った事は有りませんけど。
 一度は飼ってみたいなとは思いますよ。だけど、命を預かるにはそれなりの覚悟みたいなのが必要なんです。もっとも、家には人には見えないファンタジー生物が、所狭しと走り回ってますけどね。

「あんたさぁ、犬と猫ならどっちが好き?」
「私は、犬より猫の方が好きかな」
「そっか、良かった。じゃあ、明日あんたのアパートに行くね!」

 ある日突然、大学で裕子ちゃんに呼び止められました。そして、さっぱりわからない質問をされて、去っていきました。そして翌日、裕子ちゃんから襲撃を喰らいました。ええ、あれは襲撃ですよ。

 変なキャリーバックを持ってる時に気が付けば良かったんです。そして、鍵をかけて居留守を使えば良かったんです。
 裕子ちゃんったら、勝手知ったる私の自宅を、わが物顔でずかずかと上がってきます。そして、ドカッとキャリーバックを下ろします。
 中に何が入っているのか、覗き込もうとした時に可愛い鳴き声がしました。子猫が三匹居ました。

「きゃ~、かわい~い。何この子達、可愛いね~」
「そうでしょ~。どう?」
「どうって、何が?」
「この子達よ?」
「だから、何が?」
「感の悪い子ね。引き取ってって言ってんの!」
「はぁ?」
「だってあんた、猫が好きって言ってたじゃない!」
「うん、まぁね」
「それと、このアパートはペット可でしょ? お隣さん、犬飼ってるみたいだし」
「うん、確かにね」
「じゃあ、決まりだね。どの子にする? 三匹引き取ってくれても良いよ!」

 決まりの意味がわからないです。そもそも裕子ちゃんは、何処から子猫を三匹も連れて来たんでしょう?

「私だって大学とか、バイトとか色々忙しいんだよ。子猫の世話なんて出来る訳ないっしょ!」
「あんたの家、色々変なのが居るんでしょ? そいつらに世話させれば良いじゃない! 早く選んでよ。どの子? 全員?」

 なんて強引なんでしょう。だから妖精さんは裕子ちゃんに近付かないんだよ。

 でも、「世話って言われてもどうしよう」なんて思いながら子猫達を見ると、何やら視線を彷徨わせてます。何を目で追っているのでしょうか? 私が視線の先を見ると、そこには追いかけっこしてる火と水の妖精さんがいました。

「君達、見えてるの?」
「「「みゃ~!」」」

 声を揃えて、あら可愛い。でもさ、君たちが何を言っているかわからないんだよ。ただ何となくですけど、この子猫達には妖精さんが見えている気がします。

 動物には妖精さんが見えるのかって? まさか。動物に妖精さんが見えているなら、予防医療の妖精さんを引き連れている私は、常に犬から吠えられ捲りですよ。
 気が付くと子猫達は、キャリーバックから出てとことこ歩いて、座布団に座る私の膝によじ登って来ます。

 やばい、可愛い。そんな上目遣いで見つめないで。

「なんか、あんたの事気に入ったみたいね。じゃあ、よろしく~!」
「ちょっと~! 裕子ちゃ~ん!」

 強引にってより、子猫達を置き去りにして、裕子ちゃんは帰りました。どうすんのよ。むしろどうしよう……。子猫の世話なんてやった事ないし、飼育方法は知らないし。お勉強の妖精さんに聞いてみようか。いやいや、私が留守にしている時はどうしたら……。

 でもね、そんな悩みはあっさりと解決しちゃいました。あぁ、なんてご都合主義なの。どこからともなく新たな妖精さんが現れました。
 
 名付けて、飼育の妖精さん!

 子猫の躾けから餌やり、子猫達のお世話をしっかりとしてくれます。もちろん、遊び相手もしてくれます。なので、安心して出掛けられます。
 私が用意したのは、トイレと猫砂、猫用ベッド、爪とぎ器くらいでしょうか。流石に餌は定期的に買いにいきます。
 それと、この子にはちっちゃいエプロンをプレゼントしました。もちろん、私が縫ったんですよ。ホントだよ!
 
 後から聞いたんですが、子猫達は雑種だそうです。そりゃそうですね、裕子ちゃんがブリーダーな訳ありませんし。
 裕子ちゃんの実家で飼ってた雑種の猫ちゃんが、何処かでこさえて来た子猫だそうで、父猫は知らないそうです。

 この子達の体は全体的に黒めで、縞が入ってます。何て言うんですか? キジトラ? と~っても可愛いですよ。
 女の子二匹と男の子一匹です。ちゃんと名前もつけました。女の子はミィとペチで、男の子はモグです。正直、私は見た目で区別がつかないので、首輪を色分けしてます。

 ピンクの首輪はミィ。みぃみぃ泣くからミィです! ちょっと甘えっこで、私の足にすり寄ってきます。
 オレンジの首輪はペチ。私の膝によじ登れず、ぺちぺちと足を叩いて来るのでペチと名付けました。この子も甘えん坊で、私に体を預けて寝てる時があります。
 青色の首輪はモグ。食欲旺盛でモグモグ食べるからモグ! 好奇心旺盛なやんちゃ坊主。飼育の妖精さんを追い回す事が多いです。
 
 普段は大抵、三匹でじゃれ合ってるか、飼育の妖精さんにじゃれついてるかして、仲良く遊んでます。私にもじゃれて来ます。何ででしょうね。私は特にこれといった世話をしてないんですが、妙に懐かれてるみたいです。
 
 それと、日向ぼっこして寝てる三匹を枕にして寝る飼育の妖精さんは、一見の価値有りです。可愛いです。癒されます。キャーってなります。

 また面白いのが、たまに子猫と妖精さん達がぐるぐる輪になって家の中を歩いたりするんです。
 モグの抜け毛をお掃除の妖精さんが拾い集め、その後をミィが追いかけて、ミィの抜け毛をお掃除の妖精さんが後ろから拾い集める。
 更にそれをペチが追いかけて、ペチを飼育の妖精さんが追いかけ、飼育の妖精さんをモグが追いかける。
 
 一度この光景を動画を残そうと試みたんですが、妖精さんが映像記録に残らない様で、スマホで撮った動画は、ただ子猫が歩いているだけの動画になりました。グスン。

 他の妖精さん達も、子猫達に好意的な様です。火、水、風の三妖精タッグで、子猫たちがストレスにならない空調管理してくれます。子猫達のトイレ後は、お掃除の妖精さんがすかさず処理してくれます。たまに、お料理の妖精さんが、餌を作っている様です。
 
 子猫のせいで、ワンルームのアパートがぐっと狭くなった気がしますが、今更仕方有りません。元々、妖精さん達がわんさか居る部屋ですから、ほんと今更感がたっぷりです。幸いな事に時給が高めのバイトしてますし、多少の出費も痛くありません。

 そんなこんなで、家族が増えました。益々賑やかになる私の自宅は、今後どうなっていくのでしょう。
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