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フローが風呂から上がると、厨房でクオのワインをグラスに注ぎ、一口飲んだ。そのままグラスを持ってクオとガーラとディアドラのいる居間へ来た。居間では、ディアドラが琵琶のような弦楽器で音楽を演奏し、ガーラがゆったりと聴き入っていた。音楽は、中央大陸の夜を思わせる独特な曲だった。クオは魔術の厚い本を読んでいた。
フローもガーラのそばで音楽を聴いた。
「ガーラって、いつか中央大陸に戻るの?」
フローは故郷の曲を懐かしむガーラに尋ねた。ガーラは明るく答えた。
「そうね。戻るというより、いつか王宮に顔を見せに行きたいわね。だとしたら、フローとクオもできたら一緒に来てくれたら嬉しいんだけど」
フローは明るく即答した。
「オレはいいぜ。中央大陸ではどんな冒険ができるか興味あるし。クオもだよね~?」
クオはコホンと咳をした。
「ガーラが良ければ、俺も中央大陸を旅して知見を広めたい」
ガーラはにっこり笑った。
「ありがとう、二人とも。二人とも両親に紹介したかったから、良かったわ。王宮ではもてなすわね」
「オレがお宝を盗むかもよ?」
フローが軽口を叩いた。
「お宝ならお土産にたくさん渡すわ」
ガーラは富豪の余裕を見せた。
「ガーラらしいな」
クオがふっと小さく笑った。
「でもまだ、西大陸を色々回りたいから、先の話ね」
ガーラは話を引き取った。ディアドラは一曲弾き終わって、手を止めた。部屋が静かになった所で、ガーラがフローを見た。
「良かったら、また西大陸の歌を歌ってくれるかしら?」
フローは風呂上がりの上機嫌で肯った。
「いいぜ。ディアドラ、伴奏宜しく~」
ディアドラは静かに頷くと、旅の中でフローから教えてもらった曲を弾き出した。フローは一口ワインを喉に流した後、レパートリーの一つを歌い始めた。ガーラは耳を澄ませ、クオは本の手を止めた。
歌は恋愛歌だった。王となった青年が、好きな男性に好意を伝えるもどかしさを歌った歌だった。それが終わると、続けて二曲目を語るように歌った。冒険でパーティを組んだ仲間が淡い恋仲になる、多幸感に満ちた曲だった。
フローの歌声は蜂蜜のように甘く、聴く者の心に心地良い温泉のように、ずっとたゆたっていたく思わせた。
クオは心のそばにそっと幸福感が寄せてきたことに気付いた。そしてそれを受け入れた。
フローの伸びやかなテナーの歌声は、クオの心を恍惚とさせた。幸せな歌も悲恋の歌も、フローは軽やかに歌い流した。しかし丁寧に節を付け、盛り上がりをよく響かせ、上手に歌を紡いでいた。
クオはフローと旅をして、そばで歌が聴ける距離感に心は喜んでいた。緩やかな温かい感情の中で、クオはフローの歌声が好きだと認めていた。
クオもガーラも、フローの軽やかに歌う歌に、フローが心を乗せていることに気付いていた。三人の淡い恋心に繋がれた緩やかな空気は、それぞれの心を高揚感で満たした。
いくつか歌を歌った後、フローは終わりを告げた。
「今日はここまで」
温かな空気の中、ガーラは賛辞を送った。
「フローって歌声キレイよね」
フローは機嫌良く礼を言った。
「サンキュー、ガーラ」
「魅了するのよね。ねぇ、クオ?」
クオは話を振られて、我に返って短く肯った。
「……ああ、そうだな」
フローもガーラのそばで音楽を聴いた。
「ガーラって、いつか中央大陸に戻るの?」
フローは故郷の曲を懐かしむガーラに尋ねた。ガーラは明るく答えた。
「そうね。戻るというより、いつか王宮に顔を見せに行きたいわね。だとしたら、フローとクオもできたら一緒に来てくれたら嬉しいんだけど」
フローは明るく即答した。
「オレはいいぜ。中央大陸ではどんな冒険ができるか興味あるし。クオもだよね~?」
クオはコホンと咳をした。
「ガーラが良ければ、俺も中央大陸を旅して知見を広めたい」
ガーラはにっこり笑った。
「ありがとう、二人とも。二人とも両親に紹介したかったから、良かったわ。王宮ではもてなすわね」
「オレがお宝を盗むかもよ?」
フローが軽口を叩いた。
「お宝ならお土産にたくさん渡すわ」
ガーラは富豪の余裕を見せた。
「ガーラらしいな」
クオがふっと小さく笑った。
「でもまだ、西大陸を色々回りたいから、先の話ね」
ガーラは話を引き取った。ディアドラは一曲弾き終わって、手を止めた。部屋が静かになった所で、ガーラがフローを見た。
「良かったら、また西大陸の歌を歌ってくれるかしら?」
フローは風呂上がりの上機嫌で肯った。
「いいぜ。ディアドラ、伴奏宜しく~」
ディアドラは静かに頷くと、旅の中でフローから教えてもらった曲を弾き出した。フローは一口ワインを喉に流した後、レパートリーの一つを歌い始めた。ガーラは耳を澄ませ、クオは本の手を止めた。
歌は恋愛歌だった。王となった青年が、好きな男性に好意を伝えるもどかしさを歌った歌だった。それが終わると、続けて二曲目を語るように歌った。冒険でパーティを組んだ仲間が淡い恋仲になる、多幸感に満ちた曲だった。
フローの歌声は蜂蜜のように甘く、聴く者の心に心地良い温泉のように、ずっとたゆたっていたく思わせた。
クオは心のそばにそっと幸福感が寄せてきたことに気付いた。そしてそれを受け入れた。
フローの伸びやかなテナーの歌声は、クオの心を恍惚とさせた。幸せな歌も悲恋の歌も、フローは軽やかに歌い流した。しかし丁寧に節を付け、盛り上がりをよく響かせ、上手に歌を紡いでいた。
クオはフローと旅をして、そばで歌が聴ける距離感に心は喜んでいた。緩やかな温かい感情の中で、クオはフローの歌声が好きだと認めていた。
クオもガーラも、フローの軽やかに歌う歌に、フローが心を乗せていることに気付いていた。三人の淡い恋心に繋がれた緩やかな空気は、それぞれの心を高揚感で満たした。
いくつか歌を歌った後、フローは終わりを告げた。
「今日はここまで」
温かな空気の中、ガーラは賛辞を送った。
「フローって歌声キレイよね」
フローは機嫌良く礼を言った。
「サンキュー、ガーラ」
「魅了するのよね。ねぇ、クオ?」
クオは話を振られて、我に返って短く肯った。
「……ああ、そうだな」
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