The Chess 番外編 魔術師と盗賊と行商娘篇 〜 三人組で結婚します

今日のジャム

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 クオは町での魔術を教える仕事が一段落した。クオとフローとガーラは夕食を終えた後、宿屋のクオの部屋で次に行く町の話になった。
 クオは二人に提案した。

「次の町なんだが、盗賊の便利アイテムを作っている町に行くのはどうだ?」

 フローは乗り気で答えた。

「いいねぇ! 久しぶりに世話になってる職人の親方にも挨拶したいし」

 ガーラも賛成した。

「私もいいわ。フローが案内してくれれば、貴重なアイテムも見せてもらえそうね」
「それなら決まりだな」

 クオは口元をほころばせた。


 それから町を出たクオとフローとガーラとディアドラは、盗賊用の魔法アイテムを作る町へと旅を続けた。

 途中で町に寄ると、クオは町の人に魔術を教えるために、数日滞在することもあった。日中、クオが教師をしている間、フローとガーラは食堂でのんびりチェスをしながら話していた。チェスの盤は円形だった。マスは六十四ある。ガーラはフローから教えてもらって、円盤のチェスを覚えているところだった。

「フローは小さい頃から盗賊になるつもりだったの?」

 ガーラはコーヒーを口にしながら、フローに軽く尋ねた。

「そだね。オレは家族や親族がみんな盗賊家業だからさ、他になりたいものもなかったからね~。ガーラは王族の仕事を継ぎたいとは思わなかったの?」
「そうね。王の子どもは外交の仕事もあるわ。でも私は生まれた時から王を継ぐ人がだいたい決まっていたから、王宮から出るのも楽しみだったわ」

 ガーラは白のナイトを動かした。

「クオの話って、聞かないわよね」
「クオは自分のこと、語らないからね~」
「あまり聞かない方が良いかしら?」

 フローはガーラに明るく語った。

「クオは小さい子どもの頃にウィンデラの町に来て、一人で今の家に住んでたんだよね~。町に来る以前のことや、親のことはオレも知らないんだよね~。ま、ウィンデラの町ではそういう子どもも多くて、それでも働く場所はあったから、問題なかったんだけどさ。クオはエルシウェルドで魔術の勉強をしたかったみたいだけど、親の後見のない子どもは学校に入学できないから、一人で学校の書庫から本を書き写して勉強して今に至ったんだよね。クオは元々魔力が高いから、得てしてチェスプレイヤーになったわけ」

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