スキル【疲れ知らず】を会得した俺は、人々を救う。

あおいろ

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二章 ギルドとスキルと勝負

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 「ふむ。…私の運営するギルドへ行かないと、調べられないな。」
 とリキッドは呟くと、話を締めくくる。
 ダフネも机の上を片付け始めていた。もう食事の雰囲気でもなくなっている。
 俺も流れに身を任せ、椅子に座り直す。ついでに頭に過った事を質問しだした。
 「しかし都合よく、鑑定の道具を持っていたな。…スキルが見つかるのは稀なんだろう?」
 するとリキッドは手を止め、顎に手を当てながら、「私は常に持っているよ。」と答えていた。
 「…何で?」
 「…スキルを鑑定して、内容を纏めて置くのも私の仕事だから。…情報を整理しないとギルドの運営を纏めるのも、大変だからね。」
 「そうですね。…旦那様はギルドの統括管理者の内の一人ですし、…」 
 その途中で、ダフネも独り言を呟いている。
 「…統括管理者?」
 と俺は再び聞き返した。聞き捨てならない単語を聞いた気がする。
 「…ギルドには運営する上で最高決定権を持った四人の人間がいて、…彼らを統括管理者と呼びます。」
 とダフネによって、再び解説が成される。
 「…つまり?」
 「旦那様って、凄く偉いんですよ。」
 「嘘だろ!!」
 俺は驚いて、思わず声をだす。ついでにリキッドの方を見た。
 彼は締まりのない顔で、照れているようだ。
 
 ※※※

 そうして、夜が更けていた。
 俺達は、部屋を後にする。
 リキッドは廊下に出ると、先導しながら進んでいく。
 俺とダフネも、後を追いかけて行くと、一番奥の部屋の前に辿り着いた。
 すかさずダフネが扉を開けていた。
 さらにリキッドも、「此処が君の部屋だよ。」と中に入る様に促す。
 ゆっくりと俺は入室していく。部屋の中を見回すと、感嘆の声を漏らした。
 この部屋も、簡素だが豪華な造りだ。
 窓際に大きなベッド、小さな机、タンス、が置いてある。
 坑道の牢屋よりも、贅沢だ。
 そのまま俺は、ベッドに腰かけると寝転ぶ。
 ふかふかの布団だ。まるで吸い込まれる様な錯覚に陥りそうになる。
 「…お休みね。ヒルフェ君。」
 とリキッドは廊下から声をかけると、扉を閉めた。
 その直後に、彼等の足音が遠ざかる。
 部屋の中も、静まりかえる。
 (……まったく。…驚いてばかりの日だったな。)
 俺は寝転んだ状態で、天井を見ながら考え事をする。
 今日の出来事が脳裏に焼き付いている。あまりの目まぐるしさに理解が追い付かない。さらには、ーー
 (…明日は、さっきのギルドに行くけど、大丈夫か?)
 と、心の中で嫌な予感や不安が渦巻りだす。なんとか払拭しようと目を閉じて眠ようとした。
 だが寝やすい様に姿勢を変え、寝返りをしても、全く眠くもならない。
 次第にカーテンの隙間から、日の光が射し込んでくる。
 もう外は朝になっていたのだった。
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