37 / 528
二章 ギルドとスキルと勝負
19
しおりを挟む
「ふむ。…私の運営するギルドへ行かないと、調べられないな。」
とリキッドは呟くと、話を締めくくる。
ダフネも机の上を片付け始めていた。もう食事の雰囲気でもなくなっている。
俺も流れに身を任せ、椅子に座り直す。ついでに頭に過った事を質問しだした。
「しかし都合よく、鑑定の道具を持っていたな。…スキルが見つかるのは稀なんだろう?」
するとリキッドは手を止め、顎に手を当てながら、「私は常に持っているよ。」と答えていた。
「…何で?」
「…スキルを鑑定して、内容を纏めて置くのも私の仕事だから。…情報を整理しないとギルドの運営を纏めるのも、大変だからね。」
「そうですね。…旦那様はギルドの統括管理者の内の一人ですし、…」
その途中で、ダフネも独り言を呟いている。
「…統括管理者?」
と俺は再び聞き返した。聞き捨てならない単語を聞いた気がする。
「…ギルドには運営する上で最高決定権を持った四人の人間がいて、…彼らを統括管理者と呼びます。」
とダフネによって、再び解説が成される。
「…つまり?」
「旦那様って、凄く偉いんですよ。」
「嘘だろ!!」
俺は驚いて、思わず声をだす。ついでにリキッドの方を見た。
彼は締まりのない顔で、照れているようだ。
※※※
そうして、夜が更けていた。
俺達は、部屋を後にする。
リキッドは廊下に出ると、先導しながら進んでいく。
俺とダフネも、後を追いかけて行くと、一番奥の部屋の前に辿り着いた。
すかさずダフネが扉を開けていた。
さらにリキッドも、「此処が君の部屋だよ。」と中に入る様に促す。
ゆっくりと俺は入室していく。部屋の中を見回すと、感嘆の声を漏らした。
この部屋も、簡素だが豪華な造りだ。
窓際に大きなベッド、小さな机、タンス、が置いてある。
坑道の牢屋よりも、贅沢だ。
そのまま俺は、ベッドに腰かけると寝転ぶ。
ふかふかの布団だ。まるで吸い込まれる様な錯覚に陥りそうになる。
「…お休みね。ヒルフェ君。」
とリキッドは廊下から声をかけると、扉を閉めた。
その直後に、彼等の足音が遠ざかる。
部屋の中も、静まりかえる。
(……まったく。…驚いてばかりの日だったな。)
俺は寝転んだ状態で、天井を見ながら考え事をする。
今日の出来事が脳裏に焼き付いている。あまりの目まぐるしさに理解が追い付かない。さらには、ーー
(…明日は、さっきのギルドに行くけど、大丈夫か?)
と、心の中で嫌な予感や不安が渦巻りだす。なんとか払拭しようと目を閉じて眠ようとした。
だが寝やすい様に姿勢を変え、寝返りをしても、全く眠くもならない。
次第にカーテンの隙間から、日の光が射し込んでくる。
もう外は朝になっていたのだった。
とリキッドは呟くと、話を締めくくる。
ダフネも机の上を片付け始めていた。もう食事の雰囲気でもなくなっている。
俺も流れに身を任せ、椅子に座り直す。ついでに頭に過った事を質問しだした。
「しかし都合よく、鑑定の道具を持っていたな。…スキルが見つかるのは稀なんだろう?」
するとリキッドは手を止め、顎に手を当てながら、「私は常に持っているよ。」と答えていた。
「…何で?」
「…スキルを鑑定して、内容を纏めて置くのも私の仕事だから。…情報を整理しないとギルドの運営を纏めるのも、大変だからね。」
「そうですね。…旦那様はギルドの統括管理者の内の一人ですし、…」
その途中で、ダフネも独り言を呟いている。
「…統括管理者?」
と俺は再び聞き返した。聞き捨てならない単語を聞いた気がする。
「…ギルドには運営する上で最高決定権を持った四人の人間がいて、…彼らを統括管理者と呼びます。」
とダフネによって、再び解説が成される。
「…つまり?」
「旦那様って、凄く偉いんですよ。」
「嘘だろ!!」
俺は驚いて、思わず声をだす。ついでにリキッドの方を見た。
彼は締まりのない顔で、照れているようだ。
※※※
そうして、夜が更けていた。
俺達は、部屋を後にする。
リキッドは廊下に出ると、先導しながら進んでいく。
俺とダフネも、後を追いかけて行くと、一番奥の部屋の前に辿り着いた。
すかさずダフネが扉を開けていた。
さらにリキッドも、「此処が君の部屋だよ。」と中に入る様に促す。
ゆっくりと俺は入室していく。部屋の中を見回すと、感嘆の声を漏らした。
この部屋も、簡素だが豪華な造りだ。
窓際に大きなベッド、小さな机、タンス、が置いてある。
坑道の牢屋よりも、贅沢だ。
そのまま俺は、ベッドに腰かけると寝転ぶ。
ふかふかの布団だ。まるで吸い込まれる様な錯覚に陥りそうになる。
「…お休みね。ヒルフェ君。」
とリキッドは廊下から声をかけると、扉を閉めた。
その直後に、彼等の足音が遠ざかる。
部屋の中も、静まりかえる。
(……まったく。…驚いてばかりの日だったな。)
俺は寝転んだ状態で、天井を見ながら考え事をする。
今日の出来事が脳裏に焼き付いている。あまりの目まぐるしさに理解が追い付かない。さらには、ーー
(…明日は、さっきのギルドに行くけど、大丈夫か?)
と、心の中で嫌な予感や不安が渦巻りだす。なんとか払拭しようと目を閉じて眠ようとした。
だが寝やすい様に姿勢を変え、寝返りをしても、全く眠くもならない。
次第にカーテンの隙間から、日の光が射し込んでくる。
もう外は朝になっていたのだった。
59
あなたにおすすめの小説
ギャルい女神と超絶チート同盟〜女神に贔屓されまくった結果、主人公クラスなチート持ち達の同盟リーダーとなってしまったんだが〜
平明神
ファンタジー
ユーゴ・タカトー。
それは、女神の「推し」になった男。
見た目ギャルな女神ユーラウリアの色仕掛けに負け、何度も異世界を救ってきた彼に新たに下った女神のお願いは、転生や転移した者達を探すこと。
彼が出会っていく者たちは、アニメやラノベの主人公を張れるほど強くて魅力的。だけど、みんなチート的な能力や武器を持つ濃いキャラで、なかなか一筋縄ではいかない者ばかり。
彼らと仲間になって同盟を組んだユーゴは、やがて彼らと共に様々な異世界を巻き込む大きな事件に関わっていく。
その過程で、彼はリーダーシップを発揮し、新たな力を開花させていくのだった!
女神から貰ったバラエティー豊かなチート能力とチートアイテムを駆使するユーゴは、どこへ行ってもみんなの度肝を抜きまくる!
さらに、彼にはもともと特殊な能力があるようで……?
英雄、聖女、魔王、人魚、侍、巫女、お嬢様、変身ヒーロー、巨大ロボット、歌姫、メイド、追放、ざまあ───
なんでもありの異世界アベンジャーズ!
女神の使徒と異世界チートな英雄たちとの絆が紡ぐ、運命の物語、ここに開幕!
※不定期更新。最低週1回は投稿出来るように頑張ります。
※感想やお気に入り登録をして頂けますと、作者のモチベーションがあがり、エタることなくもっと面白い話が作れます。
三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る
マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息
三歳で婚約破棄され
そのショックで前世の記憶が蘇る
前世でも貧乏だったのなんの問題なし
なによりも魔法の世界
ワクワクが止まらない三歳児の
波瀾万丈
最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした
新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。
「もうオマエはいらん」
勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。
ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。
転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。
勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)
放逐された転生貴族は、自由にやらせてもらいます
長尾 隆生
ファンタジー
旧題:放逐された転生貴族は冒険者として生きることにしました
★第2回次世代ファンタジーカップ『痛快大逆転賞』受賞★
★現在4巻まで絶賛発売中!★
「穀潰しをこのまま養う気は無い。お前には家名も名乗らせるつもりはない。とっとと出て行け!」
苦労の末、突然死の果てに異世界の貴族家に転生した山崎翔亜は、そこでも危険な辺境へ幼くして送られてしまう。それから十年。久しぶりに会った兄に貴族家を放逐されたトーアだったが、十年間の命をかけた修行によって誰にも負けない最強の力を手に入れていた。
トーアは貴族家に自分から三行半を突きつけると憧れの冒険者になるためギルドへ向かう。しかしそこで待ち受けていたのはギルドに潜む暗殺者たちだった。かるく暗殺者を一蹴したトーアは、その裏事情を知り更に貴族社会への失望を覚えることになる。そんな彼の前に冒険者ギルド会員試験の前に出会った少女ニッカが現れ、成り行きで彼女の親友を助けに新しく発見されたというダンジョンに向かうことになったのだが――
俺に暗殺者なんて送っても意味ないよ?
※22/02/21 ファンタジーランキング1位 HOTランキング1位 ありがとうございます!
【もうダメだ!】貧乏大学生、絶望から一気に成り上がる〜もし、無属性でFランクの俺が異文明の魔道兵器を担いでダンジョンに潜ったら〜
KEINO
ファンタジー
貧乏大学生の探索者はダンジョンに潜り、全てを覆す。
~あらすじ~
世界に突如出現した異次元空間「ダンジョン」。
そこから産出される魔石は人類に無限のエネルギーをもたらし、アーティファクトは魔法の力を授けた。
しかし、その恩恵は平等ではなかった。
富と力はダンジョン利権を牛耳る企業と、「属性適性」という特別な才能を持つ「選ばれし者」たちに独占され、世界は新たな格差社会へと変貌していた。
そんな歪んだ現代日本で、及川翔は「無属性」という最底辺の烙印を押された青年だった。
彼には魔法の才能も、富も、未来への希望もない。
あるのは、両親を失った二年前のダンジョン氾濫で、原因不明の昏睡状態に陥った最愛の妹、美咲を救うという、ただ一つの願いだけだった。
妹を治すため、彼は最先端の「魔力生体学」を学ぶが、学費と治療費という冷酷な現実が彼の行く手を阻む。
希望と絶望の狭間で、翔に残された道はただ一つ――危険なダンジョンに潜り、泥臭く魔石を稼ぐこと。
英雄とも呼べるようなSランク探索者が脚光を浴びる華やかな世界とは裏腹に、翔は今日も一人、薄暗いダンジョンの奥へと足を踏み入れる。
これは、神に選ばれなかった「持たざる者」が、絶望的な現実にもがきながら、たった一つの希望を掴むために抗い、やがて世界の真実と向き合う、戦いの物語。
彼の「無属性」の力が、世界を揺るがす光となることを、彼はまだ知らない。
テンプレのダンジョン物を書いてみたくなり、手を出しました。
SF味が増してくるのは結構先の予定です。
スローペースですが、しっかりと世界観を楽しんでもらえる作品になってると思います。
良かったら読んでください!
最強無敗の少年は影を従え全てを制す
ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。
産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。
カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。
しかし彼の力は生まれながらにして最強。
そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。
わけありな教え子達が巣立ったので、一人で冒険者やってみた
名無しの夜
ファンタジー
教え子達から突然別れを切り出されたグロウは一人で冒険者として活動してみることに。移動の最中、賊に襲われている令嬢を助けてみれば、令嬢は別れたばかりの教え子にそっくりだった。一方、グロウと別れた教え子三人はとある事情から母国に帰ることに。しかし故郷では恐るべき悪魔が三人を待ち構えていた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる