スキル【疲れ知らず】を会得した俺は、人々を救う。

あおいろ

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三章 山での攻防 前編

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 「確かに。…見た目の特徴はボルドー・ボアと似通っている。…でも、こんなに大きな個体はいない。」
 とテッドが律儀に補足説明をしている。ただ腑に落ちない表情で首を傾げている。
 ノイマンでさえも、青い顔をしており、額から冷や汗を流している。
 「ねぇ、早く逃げた方がいいんじゃないの?」
 「えぇ、そうしましょうよ。」
 美女と少年が怯えながらも、口々に提案する。
 「ビクビクしてる場合か。…こんな奴でも倒して牙を奪えば昇格できるだろうが!!」
 しかし、バンダナの男だけが拒否しており、威勢よく魔物を目掛けて走り出した。
 「おい、やめろ!」
 制止する様に、ノイマンが叫んでいた。
 それでもバンダナ男は止まらず、真正面から突撃していき、二本の刀を牙へと目掛けて振り下ろす。
 ガキン!
 と大きな音が鳴ると共に、ー
 彼は後方に吹き飛んで木へ激突した。
 急いで俺達も振り返った。
 近くにいた美女が駆け寄って確認しており、「大丈夫、気絶してるだけみたい。」と、切羽つまりながらも伝えてきていた。
 俺は、ホッとして胸を撫で下ろした。だが同時に、バンダナの男の刀が視界に入った途端に、血の気が引いていく感覚を感じた。
 刀は二本とも折れていた。もう使い物すらならない。
 「…ブフオォォォォォォォ!!」
 また異様なボアが咆哮をあげる。
 辺りに木霊し、近くの木々から鳥達が飛んで離れていく。
 すると少年は、真っ先に悲鳴をあげながら背を向けて逃げ出した。
 再びノイマンも力の限り叫ぶ。
 「背中を見せて逃げるな!!…追いかけられ、…っ!!」
 その直後、ボルドー・ボアも動き出した。あり得ない速さで突進してきた。
 もはや手遅れである。
 「逃げろ!!」
 とテッドが必死に声をあげた。
 それを合図に、俺達も一斉に踵を返して走りだした。
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