スキル【疲れ知らず】を会得した俺は、人々を救う。

あおいろ

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間章 ある男達の末路

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 それから暫し時間が経った頃。ーー
 空は既に暮れ始め、辺りが茜色に染まりだしている。
 宿場町の表通りでは、人々が足早に行き過ぎていた。家路を急ぐ者や、多くの飲み屋が並ぶ通りに繰り出す者と、様々な様子である。やがて人の数は多くなり、段々と騒がしくなっている。
 そこを試験官やギルドの職員達は、慌てて走り抜けていた。
 やや遅れて美女も、バンダナ男を伴いながら後を付いていく。
 彼らは急いで冒険者のギルドへ向かう。出入り口から室内に入ると、玄関の側にいたフォン支部長に事の顛末を伝えている。
 やがてギルドの施設内には、異様な光景が広がった。
 手前の飲食スペースから奥のカウンターまで、ギルドの職員は、ひっきりなしに慌ただしく動き回っているようだった。全員が血相を変えており、敷地内を右へ左へと入り乱れながら、行動している。
 男の職員達は、手当たり次第に飲食スペースにいる冒険者を呼びつけては、連れていこうとする。
 だがすぐに相手は逃げていく。
 仕方なく男性の職員達は、早足で倉庫の方へ向かい、武器や薬をかき集めている。
 または数人の女性職員達は、奥のカウンターの側で、美女やバンダナ男の治療を施している。
 「急げ!」
 とフォン支部長が敷地の真ん中から、周囲を見渡しながら指示を飛ばしている。しわくちゃな顔は焦りの表情で歪み、尋常じゃない程に慌てている。
 最も近くにいたギルドの職員が急いで側にやって来て、捲し立てながら報告しだした。
 彼は山の試験会場に、ヒルフェ達を案内していた試験官である。
 「だ、駄目です。…支部長、他の冒険者連中は、動かせません。」
 「なんじゃと!?…」
 「誰に声をかけても、…説明した途端に断られ、はたまた逃げ出す輩ばかりです。」
 「…くそ。…このままじゃ、まずい。…こんな不測の事態が起こるなんて、予想外じゃった。…下手したら、破滅してしまう。」
 とフォン支部長は聞くと悪態をつく。物凄い剣幕で試験官の方に迫ると、囁く様な声で指示をだす。
 「…とにかく最早一刻も早く、どうにか手を打つんじゃ!!」
 「…そんな曖昧な事を、言われても。…」
 「いいから行動しろ!!…まず何を置いても、ヒルフェの坊っちゃんを探すのを最優先にするんじゃ!…リキッド殿が今、別室で待って貰っている間に事を丸く納めるしかない。…最悪、職員でも構わんし、少人数でもいいから救出する者を集めろ!」
 「い、いや!…でも先程申しました。…異様なボルドー・ボアに対抗するにも戦力が足りませんし、試験を受けている冒険者達も怪我をしています。…彼らを守りながら撤退するにも、此処の人数では。…」
 「…うるさいわ。…他の冒険者がどうなっていようが構わんわい!…奴等よりもヒルフェ坊っちゃんじゃ!」
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