スキル【疲れ知らず】を会得した俺は、人々を救う。

あおいろ

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2話 一章 始まりの街【ビーギニング】と、二人の少女

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 ※※※

 それから程無くして、ーー
 ようやく【ビーギニング】の街の前に到着した。
 ゆっくりと馬車は、街の入り口である大きな鉄の門をくぐり抜けていく。
 すると車窓からの風景は、一変したのだった。
 そこは白くて美しい石造りの港街だった。
 北の崖や山合から船の停泊所まで、巨大な運河が伸びており、所々で用水路が張り巡らされているようだ。
 河沿いには、新緑の並木と洒落た立派な店が規則正しく並んでいる。
 また大通りから脇道まで道路は全て石畳となっており、彼方此方には緩やかな傾斜のアーチ状の橋が設置されている。
 そんな街並みを、
 仕立ての良い服の紳士、
 買い物籠を片手に持つ婦人、
 転がったボールを追いかける子供等、
 様々な通行人が行き交う。
 俺は思わず、「おぉ~!」と感嘆の声を呟いていた。
 此処はあまりにも人が多く、上品な場所だった。前の宿場町を比べてしまうと、彼処は雑多とした印象を受けてしまう。
 なんとなく此処の街の方が好感が持てた。
 すかさずリキッドの解説が聞こえてくる。
 「【ビーギニング】はね。…この大陸の中で最も、国内や他国との流通の船が多く往来する街で、…多くの人が訪れ、去って行くんだ。…だから景観も意識され、塵一つないから、美しいと呼称されるんだよ。」
 「なら、始まりは何だ?」と俺も聞き流しながら、話しかける。
 「それはね。…此処が大陸中の冒険者を統括するギルドの本部が設置されているからさ。…Bランク以上の一人前とされる冒険者達は、本格的な仕事を開始する為に船で旅立つ。此処は船出の場所とされており、故に始まりの街と呼ばれているんだよ。」
 とリキッドも、一旦は説明を区切った。
 ほぼ同時に馬車が大きく揺れる。
 アーチ状の橋を、渡り終えたからのようだった。
 それから暫く、真っ直ぐ道なりに走って行く。
 少し先の道端に、ゆっくりと馬車が停車した。
 すると続け様に御者が扉を開け放ち、先にリキッドが降りる。
 さらにダフネも後に続いた。
 最後に俺も追いかける様に馬車を降り、地面に足をつけた。同時に背筋を伸ばしていると、凝り固まった部分は、ゴキッ、と鳴りだして、身体を解していた。
 やがてリキッドが此方の側に寄ってくると、
 「そして、…この建物が【ビーギニング】のギルド本部兼、私達の自宅だよ。」
 と前を指し示しながら、告げてきた。
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