スキル【疲れ知らず】を会得した俺は、人々を救う。

２話 三章 ヒナとキリエと街でのあれこれ

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　暫くすると、街の様相が変わっていく。
　俺は車窓から、外の景色を眺めていた。
　馬車は大通りの曲がり角まで戻ると、縦断して奥の区域へ進入し、北上しながら道なりに沿って行くようだった。
　そこは洒落た店が規則正しく建ち並ぶ区画である。遥か先まで続いており、華やかな雰囲気が漂う。
　先程までの無機質で静かな倉庫が並ぶ区画とは、対照的だった。
　すかさずアルフォンスが街の説明を始めた。
　「…この辺りは【ビーギニング】で、最も栄えている繁華街でございます。…各店舗には食材や生活品に嗜好品、あらゆる質の良い品物が集まり揃い踏みします。…此処の街は国内の物流の出発地点であり、各地の物資を一身に引き受けています。だから欲しい物は大抵揃うので、冒険者のみならず、一般の旅行客も絶えずに訪れてくるのです。」
　「ふーん。」と俺は話しに耳を傾けつつ、適度に相槌をうちつつ、質問を飛ばしている。
　「随分と、綺麗な街だよな。…どうしてなんだ？」
　「えぇ、治安は良い方でして、景観維持にも力が入っています。…我がギルドでも、冒険者への仕事の一環として働きかけているのです。…街とギルドは密接に関わっており、異変や希な事が起これば、即座に伝わる様になっているのです。」　
　とアルフォンスは、ずっと饒舌に喋り続けていた。此方の反応を見て生き生きとしている。
　さらには、途中でダフネが補足説明を入れてくる。
　「だから、私がいち早くヒルフェ様の元に行けたのも、街の人達からの目撃情報があったからです。…朝早くに、ギルドから出ていった見慣れぬ少年がいたと、目立ってましたよ。…同じくアルフォンスも馬車で、駆けつけて来たのでしょう。」
　「ははは、…マジかよ。」
　対して俺は驚きながら、乾いた笑いを漏らす。頭で内容を理解するのに、少し時間が掛かった。あまりにも彼らの話しが予想の斜め上だったからだ。