スキル【疲れ知らず】を会得した俺は、人々を救う。

あおいろ

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2話 四章 冒険者ランク取得試験 (前編)

19

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 「婆ちゃん?」
 と俺は聞き返す。
 そのまま二人で話をしだした。
 「うん。…リキッドお爺ちゃんのお姉ちゃん。…あたしが小さい頃に、天国に行っちゃったの。」
 「!!」
 「…あたしのお家ね、ずっと昔から魔法使いをしているの。…だから、私も小さい頃から魔法を勉強して、すぐに使える様になっていったんだ。……けど、…沢山の魔法が使える様になればなる程に、父様や母様や家の皆も怖い笑顔をするの。しかも皆して、もっと沢山覚えなさいって言うの。…ヒナなら出来るでしょうって。…毎日毎日、ずっと同じ事ばかりしか話さないの。」
 「…そいつは、…」
 「…あたし、…あのお家が怖くて嫌だった。…だから、いつもお婆ちゃんとリエちゃんの側にいたの。…二人だけが魔法の事なんか関係なく、一緒にいてくれたから。…だから、あたし。…今もリエちゃんが大好き。…出来るなら、ずっと一緒に仲良くしていたいし、…それに他にもやりたい事もあるの。…でも、でも、…」
 「………。」
 と俺はただ立ち尽くしていた。彼女の話を聞いてしまっても、黙って相手を見つめている。ずっと頭の中で考えを巡らせているが全く考えが纏まらない。気の効いた言葉さえも、元気づける方法も思い付かない。
 それからヒナは俯くと、また泣き出した。小さく嗚咽を漏らす声や、鼻を啜る音がする。
 そのまま暫く、同じ状態が続く。
 「…ヒナ。」
 だが俺は意を決すると、ヒナに呼びかける。さらには屈むと同時に、下から彼女の顔を覗き込んで、徐に涙を指で拭ってやる。
 ようやくしてヒナも目を開けて、此方を見て視線を合わせてきた。
 俺は真剣な表情になりながら、
 「…今は、大した事は言えない。…けど嫌な事があるなら、俺に言え。…全部、殴って追っ払ってやるから。」
 とだけ伝えると、ゆっくりと立ち上がりつつ、ヒナの手を取って歩きだす。受験者達の方を目指して試験の場所に戻っていく。
 対してヒナも抵抗なく、素直に付いてきていた。もう泣き止みつつあるようだ。しかも、顔を此方に向けて、食い入る様に見ている。なんとなく頬が全体的に、赤くなっているみたいだった。
 「ヒルフェ様!」
 その途中で、人集りの中から声がする。
 するとギルドの職員がやってきて、人と人の間を掻き分けながら姿を現した。さらには此方の存在に気がつくと、慌てた様子を露にする。
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