スキル【疲れ知らず】を会得した俺は、人々を救う。

２話 四章 冒険者ランク取得試験 (中編)

５

　それは【黒魔石】をあしらったペンダントである。以前にも使用した事がある物と、同じ種類の物だ。身につけた人の居場所が解る魔道具だ。
　ふとギルドの職員達が魔道具の説明をしていた。
　受験者達も話を聞くと、次々にペンダントを身につけだした。
　「…では、これより二次試験の方を行いたいと思います。」
　ほぼ同時に、アルフォンスの声が聞こえてくる。
　この場の受験者達が振り返り、視線が集中した。
　「…これから皆様には、坂道の先にある崖の上の森へと向かって進み、最深部にある遺跡の入り口を目指してもらいます。そこを経由して、再びこの砂浜まで戻ってくるまでが二次試験の内容です。」
　その視線の先ではアルフォンスが対面する様に立っており、辺りを見渡していた。さらに声を大きくする魔道具を口にあてがいつつ、試験の説明をしており、
「…道中には妨害として、我々ギルドの職員が用意した罠や、野生で生息する魔物達がおります。それらを掻い潜って、ゴールを目指してもらうのが目的です。しかし罠は単純な作りで、この森に生息している魔物も鼠(ワイルズ)や蛇(サーペンス)等の命の危険の少ないのばかりです。そして皆さんが身につけた首飾りの魔道具で、此方も状況を確認しており、問題があれば対処します。…ただし、これらは冒険者としての素養を見るために、行われるので、我々は必要以上の手出しはしません。」
　と、注意事項を踏まえると、一旦は話を終えていた。
　「アルフォンス、後は私が引き継ごう。」
　続け様にリキッドが声を掛けながら、視界の端から姿を現す。ついでにアルフォンスから魔道具を受け取ると、入れ替わる様に話を引き継いだ。