スキル【疲れ知らず】を会得した俺は、人々を救う。

第四章 中編 森の異変と修行の続きと【ヒルフェ】

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　「ぐっ？！……」
　次の瞬間には、キリエは両肩をビクつかせると、両膝から地面に崩れ落ちていた。彼の言葉を聞いて、心が傷ついたようだ。
　「お、おい。…」
　と、俺は恐る恐る声をかける。
　キリエは肩を震わせながら、次第に戯言の様に独り言を呟きだした。
　「うぅ。…私だって、…自分が未熟なのは、わかってます。…ヒナ様みたいに、生まれ持った才能がないんですよ。…」
　それは今にも泣き出しそうな声だ。
　彼女から鼻を啜る音が聞こえてくる。
　すかさずヒナも側まで駆け寄るも、声を掛け辛そうにしており、やや取り乱していた。
　「えっと、…リエちゃん。」
　「しまった。…」
　とドンドも、思わず呟いており、苦々しい表情で、固まった様に動かなくなる。
　さらに周囲に、気まずい雰囲気が漂いだしていた。
　「…落ち着けって。…お前だって、強い筈だよ。…」
　俺も見かねて、慰める言葉を掛ける。
　しかし、それでもキリエは変わらずに、ぼやき続けている。
　「…いいんです。…普段の修練時でも叔母様とは見取り稽古と、実戦を想定した打ち合いに、教えてもらった技や型の練習ばかりなんです。…それをやっても、一本も叔母様からは取れないし、…技を誉めて頂いたのも過去に一度だけでした。」
　するとドンドは我に返ると、即座に聞き返しだした。
　「何の技を誉めて貰ったんだ？…あのダフネが褒めたんだし、凄いんだろうよ。…見せてみろよ。」
　そう言われて、ようやくキリエは此方を向くと潤んだ瞳を拭いだす。さらに落ち着いた頃合いに立ち上がると、恐る恐る喋りだす。
　「はい？…えっと、…見せた方が早いかも。…申し訳ないですけど、ヒルフェ様、また枝を構えて貰ってもいいですか？…持ちながら、此方に近づいてきてもらうだけでいいので。」
　「…いいぞ。」
　と、俺も返事をし、指示された通りに行動する。彼女と再び対面したら、枝を構えつつ、歩いて近づいていく。
　キリエも武器を構え直すと、真剣な表情となったら、目にも止まらぬ動きで、横に一回転していた。
　ふと俺は気がつけば、利き手に強い衝撃を受けてしまい、反動で弾かれた様に退く。
　その直後に背後から、カラン、と音がしていた。
　すぐに俺は振り返ると、後の離れた位置に、枝が落ちているのを見つけた。先程まで持っていたのに、手から放りだされていた。すぐにキリエのした動作が原因だと理解した。