スキル【疲れ知らず】を会得した俺は、人々を救う。

五章 最終決戦と【ヒルフェ】

１７

　｢…うるせぇな！…助けに来たって言ってんだろう。｣
　｢私は頼んでない！…勝手に、やって来て、お前達、馬鹿じゃないのか！｣
　｢…なんだと？！…そっちこそ、馬鹿とは何だよ！｣
　｢…こんな物は、私一人で、どうにか出来るんだ。…お前達の力なんか借りなくたって、…。｣
　｢あぁ？｣
　｢私は、猫亜人族の族長の娘だ。…誰よりも強い戦士になるんだ。…だから、あんな奴等なんて、…私一人でも、…一人でも。…｣
　だが次第に、ミーツは独り言の様に喋っている。まるで自分に言い聞かせているみたいだ。
　彼女の顔も怒りの表情で歪み、鋭い目付きをしていた。ただし両目からは、大粒の涙を流しており、次々と雫が頬を伝っていた。
　それを俺は見ると、脳裏に嫌な記憶が過った。さらに手にも力を込めていきながら、引っ張り続ける。ついでに思っていた事を洗いざらい、言葉にしてぶちまけた。
　｢…言いたい事は、分かったよ。…でも、お前は、今は弱くて不甲斐ない自分に怒ってんだろ。…自分で自分が許せないんだろう。｣
　｢そ、それは。…｣
　｢…俺も、同じだよ。｣
　｢え？｣
　するとミーツは戸惑いを露にするも、此方の言葉に耳を傾けてきた。
　｢俺も昔、悪い大人達の身勝手な理由で、理不尽な事をされていた。…いつも大変な仕事をさせられながら、周りの大人達は殴ってきていた。…｣
　｢…お前も？…｣
　｢…だから、俺も強くなろうとしていた。…それなのに、何も変わってない。…今も目の前で同じ様な境遇の奴がいるのに、助ける事も出来てないなんて、嫌だ！！…こんなのは只の自己満足かもしれない。…でも俺は、あの人みたいに、困っている人に手を差し伸べる様な人になりたいんだ。…｣