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6)ナタリー先生
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「改めまして、今日から君たちの担任になったナタリーだ。是非『ナタリー先生』と呼んでくれたまえ」
僕たちの担任はもっと厳格で怖い人がなるものだと思っていた。ナタリー先生は良く言えば雰囲気も柔らかく、話しかけやすいような感じ。悪く言えば何を考えてるのかわからない変人タイプということだ。クラス替え初日に生徒に紛れ込み、揉めている生徒たちを外から傍観しているだけの担任がどこにいるだろうか。
「僕が君たちのような優秀な子たちの担任になれるなんて光栄だよ。これからがすごーく楽しみだなあ♡」
うっとりと紅潮させた頬を両手で包み込んでそんなことを言う先生は何処か不気味で気持ち悪かった。多分皆も同じことを思ったのであろう顔が引き攣っている。
「皆怯えないでね?そんな怖いこと入学式初日にしないよお。でも大丈夫、僕に任せてくれれば君たちの将来はこのナタリー先生が保証しようではないか」
ここまで来て『ナタリー先生』という名前が引っかかる。
(あれ、何処かで聞いたことがあるような…)
「はい、質問してもいいですか?」
手を挙げたのは第二王子殿下だった。殿下はこの変人…少し変わった先生が登場した時から、このヘンテコな挨拶をした今までこのキラキラ王子様スマイルを崩さなかった唯一の人だ。流石、ナタリー先生が出てきた時から困惑し続けている僕とは大違いだ。
「ああ勿論だ。君の質問に答えようじゃないか」
「何故、最年少で宮廷魔導士になられたナタリー・フロントさんが僕たちの担任に?彼は確か魔術にしか興味がなかったはずです。今更、何故教師になられたんでしょう?」
(ああー!!)
第二王子殿下の言葉でモヤモヤしていた霧がスッキリと晴れたようだ。『ナタリー先生』の本名は『ナタリー・フロント』彼の名前は新聞や本で何度も聞いたことがある。
彼は15歳で魔術を極め、宮廷魔術師となった。特別な宮廷魔術師は自身の研究室を持つことができ、彼はその中でまだ発見されていない幾つもの術式を編み出した天才だ。既存してある長い術式も彼は解き、簡略化さえもしてしまった。王国の歴史上トップ5に入るほどの天才だ。
(でも彼が何故僕たちの担任に?)
そこで殿下と同じ疑問にぶつかる。何故なら彼は極度の人嫌いだと知られているから。基本、研究室には多くの助手を持ち、効率的に研究を進める魔術師がほとんどである。しかし彼は人との関わりを極力避け、手伝いたいと申し出た人たちを門前払いしていった。人を寄せ付けない性格故、彼は他の宮廷魔術師からかなり嫌われていたそうだ。ナタリー・フロントはその全てを実力で黙らせる力を持っているわけだが…
「ふむ、君の持つ疑問は納得できる。でも今ここに立っているのは『ナタリー・フロント』ではなくただの『ナタリー』だ。そこを誤解しないでくれよ」
「失礼なことを聞いてしまいましたね、すみません」
「いいや、謝らなくていいさ。僕も君たちの立場であれば同じ疑問を持つだろうからね。それに、せっかく君たちと3年間過ごして行くんだ。僕が君たちの担任になった理由も早いうちに話しておこう」
確か、何かの雑誌でナタリー・フロントは家族仲がものすごく悪いと聞いたことがある。だからか、彼は外で『フロント』と呼ばれるのを嫌うという。それにしてもあの伝説の魔術師に教えてもらえるなんていくらお金を積んでも叶わない贅沢だ。
(もし、お金で彼を雇うとしたら子爵家の何十年分の予算になるんだか…)
一人考えて落ち込んでしまう。そして、こんな凄い先生を雇える学園の財力を考えてしまいゾッとする。流石、他の貴族たちが高い授業料払っているだけある。このクラスの中には親のコネや財力で入ったような人もいるだろう。なんとなくだが、頭がいい人とそうじゃない人は一目見ればほとんど分かってしまう。今まで商人などそこそこの人と交渉して生きていたからだろうか、人を見る目だけは養われている気がする。
「もしかしたら、君たちの中に知っている人もいるかもしれないが僕は15歳の時に宮廷魔術師になった天才だ。今までは興味なかったが、君たちの中にも僕のような魔術師のタマゴがいるのかもしれないというわけでね興味が湧いたんだ」
「そこで担任として君たちの前に現れたというわけさ☆君たちは”Sクラス”誰よりも優秀であるはずだ。僕は君たちの新しい才能を引き出したい!」
言っていることがめちゃくちゃである。彼は教師になるように頼まれたからここにいるわけでなく、自分の好奇心だけのために僕たちの担任になったのだ。
「大丈夫。魔術を極めることなんて僕は一人でもできたんだ。君たちが力を合わせれば星の瞬きのように一瞬さ。さあ、僕に魔術の新たな可能性について教えてくれたまえ」
癖っ毛に隠れて見えない目が爛々と光っているように見える。僕たちはもしかしたらとんでもない人の生徒になってしまったのかもしれない。
(これからの学園人生生きていけるかなあ)
遠い空を見つめ、僕は一人考えるのであった。
僕たちの担任はもっと厳格で怖い人がなるものだと思っていた。ナタリー先生は良く言えば雰囲気も柔らかく、話しかけやすいような感じ。悪く言えば何を考えてるのかわからない変人タイプということだ。クラス替え初日に生徒に紛れ込み、揉めている生徒たちを外から傍観しているだけの担任がどこにいるだろうか。
「僕が君たちのような優秀な子たちの担任になれるなんて光栄だよ。これからがすごーく楽しみだなあ♡」
うっとりと紅潮させた頬を両手で包み込んでそんなことを言う先生は何処か不気味で気持ち悪かった。多分皆も同じことを思ったのであろう顔が引き攣っている。
「皆怯えないでね?そんな怖いこと入学式初日にしないよお。でも大丈夫、僕に任せてくれれば君たちの将来はこのナタリー先生が保証しようではないか」
ここまで来て『ナタリー先生』という名前が引っかかる。
(あれ、何処かで聞いたことがあるような…)
「はい、質問してもいいですか?」
手を挙げたのは第二王子殿下だった。殿下はこの変人…少し変わった先生が登場した時から、このヘンテコな挨拶をした今までこのキラキラ王子様スマイルを崩さなかった唯一の人だ。流石、ナタリー先生が出てきた時から困惑し続けている僕とは大違いだ。
「ああ勿論だ。君の質問に答えようじゃないか」
「何故、最年少で宮廷魔導士になられたナタリー・フロントさんが僕たちの担任に?彼は確か魔術にしか興味がなかったはずです。今更、何故教師になられたんでしょう?」
(ああー!!)
第二王子殿下の言葉でモヤモヤしていた霧がスッキリと晴れたようだ。『ナタリー先生』の本名は『ナタリー・フロント』彼の名前は新聞や本で何度も聞いたことがある。
彼は15歳で魔術を極め、宮廷魔術師となった。特別な宮廷魔術師は自身の研究室を持つことができ、彼はその中でまだ発見されていない幾つもの術式を編み出した天才だ。既存してある長い術式も彼は解き、簡略化さえもしてしまった。王国の歴史上トップ5に入るほどの天才だ。
(でも彼が何故僕たちの担任に?)
そこで殿下と同じ疑問にぶつかる。何故なら彼は極度の人嫌いだと知られているから。基本、研究室には多くの助手を持ち、効率的に研究を進める魔術師がほとんどである。しかし彼は人との関わりを極力避け、手伝いたいと申し出た人たちを門前払いしていった。人を寄せ付けない性格故、彼は他の宮廷魔術師からかなり嫌われていたそうだ。ナタリー・フロントはその全てを実力で黙らせる力を持っているわけだが…
「ふむ、君の持つ疑問は納得できる。でも今ここに立っているのは『ナタリー・フロント』ではなくただの『ナタリー』だ。そこを誤解しないでくれよ」
「失礼なことを聞いてしまいましたね、すみません」
「いいや、謝らなくていいさ。僕も君たちの立場であれば同じ疑問を持つだろうからね。それに、せっかく君たちと3年間過ごして行くんだ。僕が君たちの担任になった理由も早いうちに話しておこう」
確か、何かの雑誌でナタリー・フロントは家族仲がものすごく悪いと聞いたことがある。だからか、彼は外で『フロント』と呼ばれるのを嫌うという。それにしてもあの伝説の魔術師に教えてもらえるなんていくらお金を積んでも叶わない贅沢だ。
(もし、お金で彼を雇うとしたら子爵家の何十年分の予算になるんだか…)
一人考えて落ち込んでしまう。そして、こんな凄い先生を雇える学園の財力を考えてしまいゾッとする。流石、他の貴族たちが高い授業料払っているだけある。このクラスの中には親のコネや財力で入ったような人もいるだろう。なんとなくだが、頭がいい人とそうじゃない人は一目見ればほとんど分かってしまう。今まで商人などそこそこの人と交渉して生きていたからだろうか、人を見る目だけは養われている気がする。
「もしかしたら、君たちの中に知っている人もいるかもしれないが僕は15歳の時に宮廷魔術師になった天才だ。今までは興味なかったが、君たちの中にも僕のような魔術師のタマゴがいるのかもしれないというわけでね興味が湧いたんだ」
「そこで担任として君たちの前に現れたというわけさ☆君たちは”Sクラス”誰よりも優秀であるはずだ。僕は君たちの新しい才能を引き出したい!」
言っていることがめちゃくちゃである。彼は教師になるように頼まれたからここにいるわけでなく、自分の好奇心だけのために僕たちの担任になったのだ。
「大丈夫。魔術を極めることなんて僕は一人でもできたんだ。君たちが力を合わせれば星の瞬きのように一瞬さ。さあ、僕に魔術の新たな可能性について教えてくれたまえ」
癖っ毛に隠れて見えない目が爛々と光っているように見える。僕たちはもしかしたらとんでもない人の生徒になってしまったのかもしれない。
(これからの学園人生生きていけるかなあ)
遠い空を見つめ、僕は一人考えるのであった。
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