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8)ルームメイト
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うちの学園は高等部から全寮制だ。学生達の社会性を身につけるためのものらしい。
(中等部のときは家で色々できたのに…)
中等部の時は授業が終わったら、ギリギリの時間まで図書館に残ってためになる本を読み漁ったり、家に帰って実際考えた商品をプレゼンしたりもした。つまり自由が多かったのだ。寮に入れば門限が設定され消灯時間も22時と決まっている。もし破ればそれなりにペナルティが課せられるクソ設定だ。
それがまた一人部屋であればまだ自由に動ける時間も増えるのだが、こんなにもお金のある学園であるにも関わらずここの寮は二人部屋なのだ。教師達も考えてペアを作るそうなのだが、同室になる人との相性はぶっちゃけ運だ。もし二人の間によほどの問題が生じたら部屋替えも実施されるそうだがそれはかなり稀らしい。僕は階級的にも低いから、もし高位の貴族が同室になったら3年間どういう扱いを受けるかわかったもんじゃない。
「皆揃っているか?私は寮長のー」
寮につくと寮長が寮のルールを説明していた。寮ももちろん成績順に分けられる。ほとんどが昔から家庭教師を雇い、後継者になるために学んできた高位貴族だらけで息が詰まりそうだ。周りを見渡すと、新聞などで活躍を耳にしたことがある人が多い。
「では寮のルームメイトについてだが、前に部屋とペアを張り出しているから各自確認するように」
いつの間にか寮の説明が終わり、皆一斉に張り紙の方に集まっていく。僕は身体が細いからあの中に紛れて仕舞えば骨の一本や二本差し出さなくてはいけなくなるだろう。
「フィオーレ様♡」
「ルーナ嬢!ルームメイトはもう見たのかい?」
「実はまだ見れていませんの。どうせなら可愛いフィオーレ様と一緒になりたかったのですけど…。ここばかりは性別が悔やまれますわね」
そう、一応寮のルームメイトは男女で分けられている。女性の方が基礎筋力が低いからだ。もし自分より強い男性と同室になって仕舞えば抵抗する術がないからだ。ルーナ嬢は誰とも仲良くできるからそんな心配必要ないと思うが。次々と皆が自分の部屋へと向かっていく。僕も自分の部屋を確認するために張り紙の前に行く。
(えーと、僕の部屋は…)
下から上に向けて目線を動かしていくがなかなか自分の名前が見つからない。
(あ、あった)
「えっ?」
無事自分の名前を見つけることはできたのだが、自分の隣に書いてある人の名前に驚きすぎて間抜けな声が出てしまった。いまだに信じられないのだ。
(僕が、第二王子殿下と同室だなんて!!)
「君が私と同室なんだね。よろしく頼むよ」
「っ!?ひゃい!!」
いつの間にか隣にいた殿下に声をかけられ心臓が口から飛び出しそうになる。いつもと変わらない笑顔が僕にとっては死刑宣告のように感じられた。少しでも粗相をして仕舞えば僕の家なんて一瞬で潰されてしまう。これからの学生生活がお先真っ暗だ。
「なんか嬉しそうだな」
「そうかな。でも、面白そうな子と一緒になれてこれからが楽しみだよ」
第二王子と公爵家の後継者がそんな話をしていることにショックを受けた僕は気づかないのであった。
ーーー
「ぼ、僕はフィオーレ・アルノートです。王子殿下、よろしくお願いします」
「ああ、よろしくね。フィオーレ」
何処か楽しそうな殿下に比べ、僕は心臓バクバクだった。
「王子殿下はここではやめてくれよ。私たちは同じクラスの同級生なんだ私のことはクラウンと呼んで?」
「うう…」
「ダメかい?」
殿下の顔の良さに屈してしまいそうになる。正直、二つの属性を自由自在に扱うことのできる殿下にはすごく興味がある。違う属性を一緒に出すことはできるのかとか、勉強のことだってぶっちゃけ聞いてみたい。彼はいつだって学年のナンバーワンだ。学業ではテストはほぼ満点で間違える方が珍しいし、武術や魔術の授業では大人に引けを取らないくらいの実力の持ち主だ。それだけであればいいものの、顔まで整っているときた。今もその美貌を存分にいかし、上目遣いでとんでもないお願いをしてくるのだからたまらない。
「私は3年間君とルームメイトになるんだ。こんなに距離を取られてしまったら悲しいな」
しょぼんと落ち込んだ顔をする。捨てられた子犬のような感じがして僕の中に罪悪感が募る。
「実はレナート以外の友人がいなくてね。中等部ではほとんどが私の権力目当ての輩が多くて結局友達を増やすのは叶わなかったんだ。だから高等部こそはと意気込んでいたのだけれど…」
「ううっ…でも僕たちには身分が…」
「私はただ、フィオーレ友達になりたいだけなんだ」
「では、お言葉に甘えて、クラウン様と呼ばせていただきます」
「それじゃあ、他人行儀すぎるだろう。もっと崩して」
「ええ!?では…ええと…」
「クラウン」
「…クラウン君で許してください」
「まあ、今のところはそれで許そうか。これ以上虐め…からかってしまったらフィオーレに嫌われてしまいそうだし」
悪戯に笑う殿下は新しいおもちゃを見つけた子供のように見える。そして僕はそんな殿下の言葉にまんまと流されてしまっている。僕がいつ不敬罪で捕まってもどうしようもない。
(お母様方、寮の皆、せっかく高等部まで行かせてくれたけど、もう心が折れそうです)
(中等部のときは家で色々できたのに…)
中等部の時は授業が終わったら、ギリギリの時間まで図書館に残ってためになる本を読み漁ったり、家に帰って実際考えた商品をプレゼンしたりもした。つまり自由が多かったのだ。寮に入れば門限が設定され消灯時間も22時と決まっている。もし破ればそれなりにペナルティが課せられるクソ設定だ。
それがまた一人部屋であればまだ自由に動ける時間も増えるのだが、こんなにもお金のある学園であるにも関わらずここの寮は二人部屋なのだ。教師達も考えてペアを作るそうなのだが、同室になる人との相性はぶっちゃけ運だ。もし二人の間によほどの問題が生じたら部屋替えも実施されるそうだがそれはかなり稀らしい。僕は階級的にも低いから、もし高位の貴族が同室になったら3年間どういう扱いを受けるかわかったもんじゃない。
「皆揃っているか?私は寮長のー」
寮につくと寮長が寮のルールを説明していた。寮ももちろん成績順に分けられる。ほとんどが昔から家庭教師を雇い、後継者になるために学んできた高位貴族だらけで息が詰まりそうだ。周りを見渡すと、新聞などで活躍を耳にしたことがある人が多い。
「では寮のルームメイトについてだが、前に部屋とペアを張り出しているから各自確認するように」
いつの間にか寮の説明が終わり、皆一斉に張り紙の方に集まっていく。僕は身体が細いからあの中に紛れて仕舞えば骨の一本や二本差し出さなくてはいけなくなるだろう。
「フィオーレ様♡」
「ルーナ嬢!ルームメイトはもう見たのかい?」
「実はまだ見れていませんの。どうせなら可愛いフィオーレ様と一緒になりたかったのですけど…。ここばかりは性別が悔やまれますわね」
そう、一応寮のルームメイトは男女で分けられている。女性の方が基礎筋力が低いからだ。もし自分より強い男性と同室になって仕舞えば抵抗する術がないからだ。ルーナ嬢は誰とも仲良くできるからそんな心配必要ないと思うが。次々と皆が自分の部屋へと向かっていく。僕も自分の部屋を確認するために張り紙の前に行く。
(えーと、僕の部屋は…)
下から上に向けて目線を動かしていくがなかなか自分の名前が見つからない。
(あ、あった)
「えっ?」
無事自分の名前を見つけることはできたのだが、自分の隣に書いてある人の名前に驚きすぎて間抜けな声が出てしまった。いまだに信じられないのだ。
(僕が、第二王子殿下と同室だなんて!!)
「君が私と同室なんだね。よろしく頼むよ」
「っ!?ひゃい!!」
いつの間にか隣にいた殿下に声をかけられ心臓が口から飛び出しそうになる。いつもと変わらない笑顔が僕にとっては死刑宣告のように感じられた。少しでも粗相をして仕舞えば僕の家なんて一瞬で潰されてしまう。これからの学生生活がお先真っ暗だ。
「なんか嬉しそうだな」
「そうかな。でも、面白そうな子と一緒になれてこれからが楽しみだよ」
第二王子と公爵家の後継者がそんな話をしていることにショックを受けた僕は気づかないのであった。
ーーー
「ぼ、僕はフィオーレ・アルノートです。王子殿下、よろしくお願いします」
「ああ、よろしくね。フィオーレ」
何処か楽しそうな殿下に比べ、僕は心臓バクバクだった。
「王子殿下はここではやめてくれよ。私たちは同じクラスの同級生なんだ私のことはクラウンと呼んで?」
「うう…」
「ダメかい?」
殿下の顔の良さに屈してしまいそうになる。正直、二つの属性を自由自在に扱うことのできる殿下にはすごく興味がある。違う属性を一緒に出すことはできるのかとか、勉強のことだってぶっちゃけ聞いてみたい。彼はいつだって学年のナンバーワンだ。学業ではテストはほぼ満点で間違える方が珍しいし、武術や魔術の授業では大人に引けを取らないくらいの実力の持ち主だ。それだけであればいいものの、顔まで整っているときた。今もその美貌を存分にいかし、上目遣いでとんでもないお願いをしてくるのだからたまらない。
「私は3年間君とルームメイトになるんだ。こんなに距離を取られてしまったら悲しいな」
しょぼんと落ち込んだ顔をする。捨てられた子犬のような感じがして僕の中に罪悪感が募る。
「実はレナート以外の友人がいなくてね。中等部ではほとんどが私の権力目当ての輩が多くて結局友達を増やすのは叶わなかったんだ。だから高等部こそはと意気込んでいたのだけれど…」
「ううっ…でも僕たちには身分が…」
「私はただ、フィオーレ友達になりたいだけなんだ」
「では、お言葉に甘えて、クラウン様と呼ばせていただきます」
「それじゃあ、他人行儀すぎるだろう。もっと崩して」
「ええ!?では…ええと…」
「クラウン」
「…クラウン君で許してください」
「まあ、今のところはそれで許そうか。これ以上虐め…からかってしまったらフィオーレに嫌われてしまいそうだし」
悪戯に笑う殿下は新しいおもちゃを見つけた子供のように見える。そして僕はそんな殿下の言葉にまんまと流されてしまっている。僕がいつ不敬罪で捕まってもどうしようもない。
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