逃がしてください!王子様!

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11)Sクラスの実力

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「では皆様、行きますわよ!!」

まず初めにこのクラスの最高火力である、殿下とレナート様とウォルター家の令息を囲むように円を作る。まず、火属性を使える人が僕たちを囲むように炎のバリアを作り魔物を近寄らせないようにする。しかし、全ての魔物を止めるには火力が足りない。そこで風属性が得意な人たちが炎のバリアに風属性を加えることで火力を上げる。この連携技で魔物たちは僕たちに近づけなくなる。

(でもこの技は何回も使えない)

ほとんどの生徒はこの状況にパニックになってしまってほとんど魔力が残っていない。きっとこの攻撃が届かなければ僕たちはナタリー先生に負けるだろう。僕とルーナ嬢は目を合わせ、合図する。

同時に土属性がナタリー先生に向けて土台を作る。殿下が行くと見せかけてレナート様とウォルター家の令息をナタリー先生の目の前に持っていく。

(行ってくれ!!)

「いくぞ、ウォルター」

「まかせろ、レイニー」

「お、いつの間に」

水属性のウォルター家の令息がナタリー先生の周りを水の玉で埋め尽くす。そこにレナート様が氷属性を使い、周りの水は鋭利な氷の塊になる。あんなものが当たればひとたまりもないだろう。

「僕が奇襲に何も対策をしていないとでも?」

「「なっ!?」」

途端にナタリー先生は蜃気楼のように消えてしまった。水魔法と幻覚魔法を組み合わせた上級魔法だろう。ナタリー先生の本体は魔物たちの中にいたのだ。これは一本取られた。

(なんてな)

「全部知ってますよ、先生」

「え、あ、ちょ、クラウン様!?」

「そんな他人みたいな呼び方しないでくださいよ。ちなみに先生は風属性にも潜伏魔法と相性がいいのは知っていますか?」

「えっ?ああ、もちろ…」

「そうですよね。良かった。では、先程目の前でお見せしましたが、火属性と風属性が合わさるとどうなります?」

「戦闘面での火力が上がる…まてまて、君まさかこの至近距離で魔法を放つつもりかい?」

「……先生であれば致命傷は避けられるでしょう?」

 ボン!!!!

ナタリー先生と言えど、あそこまで近い距離で殿下の攻撃をモロに受ければただでは済まないだろう。きっとナタリー先生は殿下が近くにいると気づいてから、自分の魔力を全て防御に振ったのだろう。殿下もそのことは承知の上で力加減せずに魔法を使ったのだろう。もし他の人間があの攻撃を受けて仕舞えばひとたまりも無いほどの威力だった。

ナタリー先生が自分に魔力を戻したおかげで、先ほどまで運動場を埋め尽くしていた魔物たちは跡形もなく消えていった。僕や他の生徒たちはかなり疲弊しておりその場にへたり込む者もいた。僕もそのうちの一人だ。緊張の糸が急に切れたからだろう。今は指一本も動かせそうにない。

グッタリとしたまま視線だけナタリー先生と殿下の方に向ける。すると何やらギャイギャイと叫び声が聞こえてきた。

「何で僕の幻影魔法が見破られたんだ!?あの幻の僕は見た目はもちろん、声帯までも僕そっくりに仕上げたんだぞ!!!それをこうも簡単に見破られてしまうなんて!」

流石王宮魔導士だ。殿下の攻撃を喰らってもなおピンピンとしている。だが全てを防ぎ切れたわけでは無いらしく、髪の毛が縮れてアフロのようになってしまっている。

「そうですね。何で僕たちが先生の元に辿り着けたか知りたいですか?」

「ああ!とても興味深い!君たちを僕は侮っていたようだ」

「その前に見ていただいたらわかると思うのですが、皆ボロボロで疲れているのです。先生の奇行にも付き合ってあげたのです。まず僕たちを教室に戻してもらうのが先では?」

「……はい」

いつもと変わらない笑みで淡々とナタリー先生を追い詰めていく。これではどちらが教師で生徒か分からない。ナタリー先生が叱られている悪ガキのように見えてくる。するとナタリー先生は立ち上がり、何やら呪文を唱え始める。途端に僕たちのいる地面の下に魔法陣が浮かび上がり、気付かぬうちにまた教室に戻ってきていた。

「はあ、本当に疲れましたわ。見てくださいましフィオーレ様、私の制服がこんなにもボロボロですわ」

「でも何とかなって良かったよ。あんなに魔物を近くで見たのは初めてだ」

教室に帰ってきたはいいものの、先ほどまで魔物達と戦っていたのだ。制服はボロボロだし、中には怪我をしている生徒もちらほら見られる。

「で、先生はこの状況をどのように収拾するおつもりですの?」

「サテラ様のいう通りですわ」

どうやらナタリー先生を女子生徒が詰めている。今、サテラ様と呼ばれた人は第二王子殿下の婚約者である。現在最も将来の皇后の座に近いとも言われている。彼女はアメジスト色の綺麗な長髪に瞳を持っている。端正な顔立ちで彼女は珍しい雷属性の公爵令嬢だ。

サテラ嬢の雷属性やレナート様の氷属性は特殊属性と言われ、国でもあまり見ることはない珍しい属性だ。そんなことより、生徒に詰められているナタリー先生がどんどん小さく見えてきた。

(美人が凄むとあんなに怖いんだな)

とりあえず今日はSクラスの実力が本当に高いことを改めて知ることができた。中等部のままのクラスであれば、絶対にナタリー先生を止めることはできないだろう。





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