逃がしてください!王子様!

発光食品

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12)王宮魔術師

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「もう、迷惑かけてごめんって何回も謝ってるじゃないか!とりあえず皆席についてよ!!」

「きゃっ!」

詰められすぎて限界を迎えたのか、突然ナタリー先生が叫ぶと生徒達は自分の席に座らされていた。これも先生の魔法なんだろうか、何回もうちのクラス20人の転移を平気な顔でやっているがかなりの高位魔法である。そんな一日に何発も放っていいものではないのだ。でも、目の前の先生は基礎魔法と同じような感覚で高位魔法を使っている。正直怖い。

「あーもー!僕が皆に何も言わずに今回のことを仕組んだのが悪かったよ。今度からはちゃんと説明してからにしますー。すみませんでしたー」

「「「今みたいなのが次もあってたまるか!!!」」」

「僕も初めての担任でワクワクしてたんだ調子に乗っていたことは認めるよ。でも今回の演習で君たちのことを少し理解できたような気がして嬉しいよ」

また今日のような事が何回も起こったらたまったものじゃない。騎士の家ならまだしも、戦闘に慣れていない僕からすると今日の出来事はかなり体に堪える。そんなことを考えていると、生徒達を見渡していたナタリー先生がハッとしたように話を続ける。

「そういえば、今の演習でボロボロの子もいるね。大丈夫だよ、制服は全て僕が弁償するから。怪我した子も傷跡一つ残さず直してあげる。僕は君たちの担任だもんね」

先生は前に片手を掲げると何やら魔力を込め始めた。すると、教室が淡い光に包まれる。先ほどまではすぐにでも寮に戻って休みたい気分だったのにそれが嘘のように軽くなる。これって”光属性”か!?それと同時にボロボロだった制服も新品のように綺麗に元通りになっているではないか。僕たちの担任は一体何者なんだ。

「先生は光属性を持っているのですか?」

生徒の一人が口を開く。まさに皆気になっていることだろう。

「んー?は光属性を模倣した回復魔法だよ。僕は珍しい魔力には恵まれなかったからね。でも、いざ光属性のような魔法を使おうとしたら思ったよりも簡単で拍子抜けしたよ。原理としてはー」

この先生化け物だ。光属性や闇属性というものは他の属性と比べてかえが効かないほど貴重な存在だ。特にこのリュミエール王国では光属性は神聖化され、人々に拝められる。そんな光属性を模倣した上に拍子抜けなどと言っている始末。何をしたらここまで人離れした力を得る事ができたのだろうか。

「まあ、そんなことで僕のやらかしたことは許してくれるかい?ありがとう。では次は僕の番だ!」

「?」

皆揃えて首を傾げる。疲れは取れたものの今日は色々あったのだ。もう早く寮に戻って休みたい。

「何で僕の居場所がわかったんだ!当てずっぽうでは無いのは分かっている」

「それについては僕からいいですか?」

「おお!やはり君の力だったのかな?」

「いいえ、この作戦を思いついたのはフィオーレくんです」

(!!!!????)

ざわっ

視線が一斉に僕の方を向く。殿下、急に矛先を僕に向けるのはやめてください。本当に目立ちたくないんです。急な殿下の一言により僕の平穏な高等部生活の幕が今にも降りそうである。

「ああ、君は確か実技はそんなにだが、定期テストでは他より群を抜いて努力して上位に食い込んでいた子だね。僕は努力をする子が大好きだ。君でよければ話を聞かせてくれるかな?」

「あの、僕は本当に何も…」

「ああ謙遜しているのかい?僕の裏をかけたというのは本当に誇りに思うべきなんだ。ぜひ誇ってくれたまえ」

これはもう言い逃れも何もできない状況だ。殿下の方をチラリと見るといつもの王子様スマイルでニコニコとしている。いつも通りの笑顔なんだが、どこか楽しんでいるようで恨めしい。

「正直、僕が見破ったわけではありません。確実に空の上で僕たちを見ていた先生が幻影だとわかったのはルーナ嬢がいたからです」

「ほほう?」

「ルーナ嬢の魔法は索敵能力に優れているのです。例えば、あの場にいた魔物、人、動物の正確な数と位置を正確に把握する事ができるのです。ですが、彼女が索敵能力を使っている間無防備になります。その間だけはルーナ嬢を守る必要があったので全体への伝達魔法を使える殿下に頼んだのです。それまでの時間稼ぎが必要だと。そうですよね?殿下」

「その通りだね」

「じゃあ、偽物の僕を倒さずにすぐに本物の僕を仕留めにくれば良かったじゃないか!どうして騙されているフリを?」

質問が次々に飛んでくる。この先生は好奇心を抑えられないタイプのようだ。今も目をキラキラさせてこちらを見てくる。

「もし本物に最初から突っ込んでいたら逃げられると思ったからでしょう」

すっと話に入ってきたのはウォルター家の令息だった。あの作戦には彼の存在も必要不可欠だった。彼のようにが。

「ただでさえ、私たちとは桁の違う王宮魔術師相手に正面突破は無理に決まってるからな。アルノートはそこも考えて私たちを囮にしたんでしょう」

「レイニー様。僕の名前を…」

「?クラスメイトの名前を覚えるのは当たり前だろう」

なんと、あのルーナ嬢と言い争いをしていたレナート様までもが僕に助け舟を出してくれた。しかも名前まで覚えてもらっていた。

(なんてイケメンなんだ。僕が僕じゃなかったら確実に惚れていたな)




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