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光の国に転生した闇属性の俺!?
35)改めまして
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「貴方たちはナハトの魅了魔法にかかっていました」
「魅了魔法?なんだそれ」
「ファイノス君、『魅了魔法』って言うのは自分の意思とは関係なく魔法発動者に好意を持ってしまう魔法だよ」
義兄が分かりやすく簡潔な言葉でファイノスに教えている。馬鹿な俺でも分かりやすい。
「でも、いつ魅了魔法をかけられたんでしょう」
「あっ、私心当たりがございますわ」
「いつ頃だい?ローズ譲」
「あれはナハト様がお兄様に対して上目遣いを使ってお願いをした時でございます。あの時何故か胸が締め付けられるほどナハト様が魅力的に見えましたわ。それから頭にはなんか霧がかかったようになってしまいまして…それ以降はナハト様はハッキリと見えるのに頭は正常に動いていない感じがしましたわ。魔法がかかってしまったとしたらそのタイミングだと思いますの」
ローズの説明は本当に分かりやすかった。この歳でここまでの推理ができるものだろうか。洞察力が凄い。
「確かに私の記憶がボヤけてきたのもその辺だ」
「その通りです。ナハトが僕にあざと可愛…コホン。お願いをした時に発動したものだと思われます。しかしナハトには魔法を使った自覚がない」
「それが、今回の件の厄介な所だ。意識的に魅力魔法を使っていないという事はコントロールが効かないということだ」
「確かに厄介ですね。かけられた側は気づきませんが、周りが気づく可能性もある。もし私が今日あのまま帰っていれば遅かれ早かれ王家の人間に気づかれてしまう…そうすれば公爵家は罪に問われてしまうでしょう」
背筋が凍りそうになる。自分の中では理解していても人の口から聞くと信憑性が増してきて本当に不味いことをしたんだと自覚してしまう。無意識に発動した魔法が家族をどん底に落とす可能性があると考えただけでもゾッとする。
「ではこうしてはどうでしょう」
しんみりとした空気の中アドニス殿下が少し明るめの声で提案をする。
「ナハトの魔法の操作が上手くなるまで僕たちが通って練習するというのは」
「殿下!?」
「アドニスって呼んでくれ、私たちはもう立派な友人なのだから」
「ア、アドニス様…」
アドニスは俺に対して王子様のようらキラキラスマイルを向ける。義兄には少々劣るが素晴らしい王子スマイルだ。俺で無ければ惚れてたな。
「でも、わざわざ皆様をお呼びするのは申し訳ないですし…」
「何を野暮なことを言っているんですの!あと、私のこともローズとお呼び下さいまし」
「ああ!ここのお菓子は本当に美味いから毎日でも来たいくらいだ!!」
「ふむ…確かにその手があったか。私やルーナ、エドワードには魅力魔法は効かない。家にエドワードが居るときであれば万が一かかったとしても解くことができるしね」
1人はお菓子目当てな気がするが、外には出られなくても自分を訪ねてきてくれる人がいるのであれば嬉しい。俺も早く魔法を扱えるようにならなくては。
「皆さん、ありがとうございます。僕、魔法のコントロールできるように頑張るので、また…来てくれますか?」
「「「「「うぅっ!!!!!」」」」」
また皆が胸を抑え出す。もしかしたらまた魅力魔法が発動したのかもしれない。
「ご、ごめんなさい!また魅力魔法が…」
ポンっと俺の肩を父が叩く。
「ナハトは今魅力魔法を使ってはいないよ」
(えっ…)
その時見た父の目はとても遠い目をしていた。
「魅了魔法?なんだそれ」
「ファイノス君、『魅了魔法』って言うのは自分の意思とは関係なく魔法発動者に好意を持ってしまう魔法だよ」
義兄が分かりやすく簡潔な言葉でファイノスに教えている。馬鹿な俺でも分かりやすい。
「でも、いつ魅了魔法をかけられたんでしょう」
「あっ、私心当たりがございますわ」
「いつ頃だい?ローズ譲」
「あれはナハト様がお兄様に対して上目遣いを使ってお願いをした時でございます。あの時何故か胸が締め付けられるほどナハト様が魅力的に見えましたわ。それから頭にはなんか霧がかかったようになってしまいまして…それ以降はナハト様はハッキリと見えるのに頭は正常に動いていない感じがしましたわ。魔法がかかってしまったとしたらそのタイミングだと思いますの」
ローズの説明は本当に分かりやすかった。この歳でここまでの推理ができるものだろうか。洞察力が凄い。
「確かに私の記憶がボヤけてきたのもその辺だ」
「その通りです。ナハトが僕にあざと可愛…コホン。お願いをした時に発動したものだと思われます。しかしナハトには魔法を使った自覚がない」
「それが、今回の件の厄介な所だ。意識的に魅力魔法を使っていないという事はコントロールが効かないということだ」
「確かに厄介ですね。かけられた側は気づきませんが、周りが気づく可能性もある。もし私が今日あのまま帰っていれば遅かれ早かれ王家の人間に気づかれてしまう…そうすれば公爵家は罪に問われてしまうでしょう」
背筋が凍りそうになる。自分の中では理解していても人の口から聞くと信憑性が増してきて本当に不味いことをしたんだと自覚してしまう。無意識に発動した魔法が家族をどん底に落とす可能性があると考えただけでもゾッとする。
「ではこうしてはどうでしょう」
しんみりとした空気の中アドニス殿下が少し明るめの声で提案をする。
「ナハトの魔法の操作が上手くなるまで僕たちが通って練習するというのは」
「殿下!?」
「アドニスって呼んでくれ、私たちはもう立派な友人なのだから」
「ア、アドニス様…」
アドニスは俺に対して王子様のようらキラキラスマイルを向ける。義兄には少々劣るが素晴らしい王子スマイルだ。俺で無ければ惚れてたな。
「でも、わざわざ皆様をお呼びするのは申し訳ないですし…」
「何を野暮なことを言っているんですの!あと、私のこともローズとお呼び下さいまし」
「ああ!ここのお菓子は本当に美味いから毎日でも来たいくらいだ!!」
「ふむ…確かにその手があったか。私やルーナ、エドワードには魅力魔法は効かない。家にエドワードが居るときであれば万が一かかったとしても解くことができるしね」
1人はお菓子目当てな気がするが、外には出られなくても自分を訪ねてきてくれる人がいるのであれば嬉しい。俺も早く魔法を扱えるようにならなくては。
「皆さん、ありがとうございます。僕、魔法のコントロールできるように頑張るので、また…来てくれますか?」
「「「「「うぅっ!!!!!」」」」」
また皆が胸を抑え出す。もしかしたらまた魅力魔法が発動したのかもしれない。
「ご、ごめんなさい!また魅力魔法が…」
ポンっと俺の肩を父が叩く。
「ナハトは今魅力魔法を使ってはいないよ」
(えっ…)
その時見た父の目はとても遠い目をしていた。
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