主人公の義弟兼当て馬の俺は原作に巻き込まれないためにも旅にでたい

発光食品

文字の大きさ
36 / 115
光の国に転生した闇属性の俺!?

35)改めまして

しおりを挟む
「貴方たちはナハトの魅了魔法にかかっていました」

「魅了魔法?なんだそれ」

「ファイノス君、『魅了魔法』って言うのは自分の意思とは関係なく魔法発動者に好意を持ってしまう魔法だよ」

義兄が分かりやすく簡潔な言葉でファイノスに教えている。馬鹿な俺でも分かりやすい。

「でも、いつ魅了魔法をかけられたんでしょう」

「あっ、私心当たりがございますわ」

「いつ頃だい?ローズ譲」

「あれはナハト様がお兄様に対して上目遣いを使ってお願いをした時でございます。あの時何故か胸が締め付けられるほどナハト様が魅力的に見えましたわ。それから頭にはなんか霧がかかったようになってしまいまして…それ以降はナハト様はハッキリと見えるのに頭は正常に動いていない感じがしましたわ。魔法がかかってしまったとしたらそのタイミングだと思いますの」

ローズの説明は本当に分かりやすかった。この歳でここまでの推理ができるものだろうか。洞察力が凄い。

「確かに私の記憶がボヤけてきたのもその辺だ」

「その通りです。ナハトが僕にあざと可愛…コホン。お願いをした時に発動したものだと思われます。しかしナハトには魔法を使った自覚がない」

「それが、今回の件の厄介な所だ。意識的に魅力魔法を使っていないという事はコントロールが効かないということだ」

「確かに厄介ですね。かけられた側は気づきませんが、周りが気づく可能性もある。もし私が今日あのまま帰っていれば遅かれ早かれ王家の人間に気づかれてしまう…そうすれば公爵家は罪に問われてしまうでしょう」

背筋が凍りそうになる。自分の中では理解していても人の口から聞くと信憑性が増してきて本当に不味いことをしたんだと自覚してしまう。無意識に発動した魔法が家族をどん底に落とす可能性があると考えただけでもゾッとする。

「ではこうしてはどうでしょう」

しんみりとした空気の中アドニス殿下が少し明るめの声で提案をする。

「ナハトの魔法の操作が上手くなるまで僕たちが通って練習するというのは」

「殿下!?」

「アドニスって呼んでくれ、私たちはもう立派な友人なのだから」

「ア、アドニス様…」

アドニスは俺に対して王子様のようらキラキラスマイルを向ける。義兄には少々劣るが素晴らしい王子スマイルだ。俺で無ければ惚れてたな。

「でも、わざわざ皆様をお呼びするのは申し訳ないですし…」

「何を野暮なことを言っているんですの!あと、私のこともローズとお呼び下さいまし」

「ああ!ここのお菓子は本当に美味いから毎日でも来たいくらいだ!!」

「ふむ…確かにその手があったか。私やルーナ、エドワードには魅力魔法は効かない。家にエドワードが居るときであれば万が一かかったとしても解くことができるしね」

1人はお菓子目当てな気がするが、外には出られなくても自分を訪ねてきてくれる人がいるのであれば嬉しい。俺も早く魔法を扱えるようにならなくては。

「皆さん、ありがとうございます。僕、魔法のコントロールできるように頑張るので、また…来てくれますか?」

「「「「「うぅっ!!!!!」」」」」

また皆が胸を抑え出す。もしかしたらまた魅力魔法が発動したのかもしれない。

「ご、ごめんなさい!また魅力魔法が…」

ポンっと俺の肩を父が叩く。

「ナハトは今魅力魔法を使ってはいないよ」

(えっ…)

その時見た父の目はとても遠い目をしていた。



しおりを挟む
感想 13

あなたにおすすめの小説

【完結】悪役令嬢モノのバカ王子に転生してしまったんだが、なぜかヒーローがイチャラブを求めてくる

路地裏乃猫
BL
ひょんなことから悪役令嬢モノと思しき異世界に転生した〝俺〟。それも、よりにもよって破滅が確定した〝バカ王子〟にだと?説明しよう。ここで言うバカ王子とは、いわゆる悪役令嬢モノで冒頭から理不尽な婚約破棄を主人公に告げ、最後はざまぁ要素によって何やかんやと破滅させられる例のアンポンタンのことであり――とにかく、俺はこの異世界でそのバカ王子として生き延びにゃならんのだ。つーわけで、脱☆バカ王子!を目指し、真っ当な王子としての道を歩き始めた俺だが、そんな俺になぜか、この世界ではヒロインとイチャコラをキメるはずのヒーローがぐいぐい迫ってくる!一方、俺の命を狙う謎の暗殺集団!果たして俺は、この破滅ルート満載の世界で生き延びることができるのか? いや、その前に……何だって悪役令嬢モノの世界でバカ王子の俺がヒーローに惚れられてんだ? 2025年10月に全面改稿を行ないました。 2025年10月28日・BLランキング35位ありがとうございます。 2025年10月29日・BLランキング27位ありがとうございます。 2025年10月30日・BLランキング15位ありがとうございます。 2025年11月1日 ・BLランキング13位ありがとうございます。

平凡な俺が完璧なお兄様に執着されてます

クズねこ
BL
いつもは目も合わせてくれないのにある時だけ異様に甘えてくるお兄様と義理の弟の話。 『次期公爵家当主』『皇太子様の右腕』そんなふうに言われているのは俺の義理のお兄様である。 何をするにも完璧で、なんでも片手間にやってしまうそんなお兄様に執着されるお話。 BLでヤンデレものです。 第13回BL大賞に応募中です。ぜひ、応援よろしくお願いします! 週一 更新予定  ときどきプラスで更新します!

【完結】我が兄は生徒会長である!

tomoe97
BL
冷徹•無表情•無愛想だけど眉目秀麗、成績優秀、運動神経まで抜群(噂)の学園一の美男子こと生徒会長・葉山凌。 名門私立、全寮制男子校の生徒会長というだけあって色んな意味で生徒から一目も二目も置かれる存在。 そんな彼には「推し」がいる。 それは風紀委員長の神城修哉。彼は誰にでも人当たりがよく、仕事も早い。喧嘩の現場を抑えることもあるので腕っぷしもつよい。 実は生徒会長・葉山凌はコミュ症でビジュアルと家柄、風格だけでここまで上り詰めた、エセカリスマ。実際はメソメソ泣いてばかりなので、本物のカリスマに憧れている。 終始彼の弟である生徒会補佐の観察記録調で語る、推し活と片思いの間で揺れる青春恋模様。 本編完結。番外編(after story)でその後の話や過去話などを描いてます。 (番外編、after storyで生徒会補佐✖️転校生有。可愛い美少年✖️高身長爽やか男子の話です)

お決まりの悪役令息は物語から消えることにします?

麻山おもと
BL
愛読していたblファンタジーものの漫画に転生した主人公は、最推しの悪役令息に転生する。今までとは打って変わって、誰にも興味を示さない主人公に周りが関心を向け始め、執着していく話を書くつもりです。

【本編完結】死に戻りに疲れた美貌の傾国王子、生存ルートを模索する

とうこ
BL
その美しさで知られた母に似て美貌の第三王子ツェーレンは、王弟に嫁いだ隣国で不貞を疑われ哀れ極刑に……と思ったら逆行!? しかもまだ夫選びの前。訳が分からないが、同じ道は絶対に御免だ。 「隣国以外でお願いします!」 死を回避する為に選んだ先々でもバラエティ豊かにkillされ続け、巻き戻り続けるツェーレン。これが最後と十二回目の夫となったのは、有名特殊な一族の三男、天才魔術師アレスター。 彼は婚姻を拒絶するが、ツェーレンが呪いを受けていると言い解呪を約束する。 いじられ体質の情けない末っ子天才魔術師×素直前向きな呪われ美形王子。 転移日本人を祖に持つグレイシア三兄弟、三男アレスターの物語。 小説家になろう様にも掲載しております。  ※本編完結。ぼちぼち番外編を投稿していきます。

転生したけどやり直す前に終わった【加筆版】

リトルグラス
BL
 人生を無気力に無意味に生きた、負け組男がナーロッパ的世界観に転生した。  転生モノ小説を読みながら「俺だってやり直せるなら、今度こそ頑張るのにな」と、思いながら最期を迎えた前世を思い出し「今度は人生を成功させる」と転生した男、アイザックは子供時代から努力を重ねた。  しかし、アイザックは成人の直前で家族を処刑され、平民落ちにされ、すべてを失った状態で追放された。  ろくなチートもなく、あるのは子供時代の努力の結果だけ。ともに追放された子ども達を抱えてアイザックは南の港町を目指す── ***  第11回BL小説大賞にエントリーするために修正と加筆を加え、作者のつぶやきは削除しました。(23'10'20) **

なぜ処刑予定の悪役子息の俺が溺愛されている?

詩河とんぼ
BL
 前世では過労死し、バース性があるBLゲームに転生した俺は、なる方が珍しいバットエンド以外は全て処刑されるというの世界の悪役子息・カイラントになっていた。処刑されるのはもちろん嫌だし、知識を付けてそれなりのところで働くか婿入りできたらいいな……と思っていたのだが、攻略対象者で王太子のアルスタから猛アプローチを受ける。……どうしてこうなった?

公爵家の末っ子に転生しました〜出来損ないなので潔く退場しようとしたらうっかり溺愛されてしまった件について〜

上総啓
BL
公爵家の末っ子に転生したシルビオ。 体が弱く生まれて早々ぶっ倒れ、家族は見事に過保護ルートへと突き進んでしまった。 両親はめちゃくちゃ溺愛してくるし、超強い兄様はブラコンに育ち弟絶対守るマンに……。 せっかくファンタジーの世界に転生したんだから魔法も使えたり?と思ったら、我が家に代々伝わる上位氷魔法が俺にだけ使えない? しかも俺に使える魔法は氷魔法じゃなく『神聖魔法』?というか『神聖魔法』を操れるのは神に選ばれた愛し子だけ……? どうせ余命幾ばくもない出来損ないなら仕方ない、お荷物の僕はさっさと今世からも退場しよう……と思ってたのに? 偶然騎士たちを神聖魔法で救って、何故か天使と呼ばれて崇められたり。終いには帝国最強の狂血皇子に溺愛されて囲われちゃったり……いやいやちょっと待て。魔王様、主神様、まさかアンタらも? ……ってあれ、なんかめちゃくちゃ囲われてない?? ――― 病弱ならどうせすぐ死ぬかー。ならちょっとばかし遊んでもいいよね?と自由にやってたら無駄に最強な奴らに溺愛されちゃってた受けの話。 ※別名義で連載していた作品になります。 (名義を統合しこちらに移動することになりました)

処理中です...