主人公の義弟兼当て馬の俺は原作に巻き込まれないためにも旅にでたい

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光の国に転生した闇属性の俺!?

34)魔法契約

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「魔法契約…」

ボソリと誰かが呟いた。まだ4歳とはいえこの歳の貴族は基本的に知っている。この契約がかなりの強制力を持つということを。周りの空気がズンっと重くなった気がする。

(闇属性だと友達を作るのもこんなに難しいのか…)

父と義兄がここまで慎重になる理由が理解できる分少し悲しくなってくる。それだけ世の中では闇属性は危険視されているのだ。

「うん!俺はいいぜ!そのまほーけーやくってやつ!」

「え?」

「だって、これお前にとってはすっげぇ大切なことなんだろ?なら俺はやるぜ!」

「でも魔法契約をかけても君達にはリスクしか無いんだ。無理にしなくてもいいんだよ?」

「でもこの魔法契約をするだけで私は君という友人を手に入れることができる」

「契約かナハト様であれば私はナハト様を選びますわ!」

「僕も」

本当は何日も悩むであろう事を皆ここで即決して俺を選んでくれた。もしかしたら好奇心だけで俺を選んでくれたって言うのはあるかもしれないがリスクを負ってでも友人になりたいと言ってくれて正直嬉しい。

「では、皆さんこちらの書類にサインをお願いします。再度申しますが、引き返すのであれば今でございます。こちらの契約はある程度ナハトが自立しない内は破棄しないつもりでいますので」

「ええ、私たちは皆覚悟が決まっております。ね?」

「「「はい/もちろんですわ/おう!」」」

そうして素早く魔法契約の準備が進んで行った。父は何も無い空間からポンッと契約書5枚分出し、何かよく分からない呪文を唱える。

(なんだ、この呪文。俺も見た事ない)

契約書には

・この部屋で話した事実は今この場にいる人物以外に伝えることを禁ずる

・もし他言しようとした場合直ちに制約魔法が発動する

と書かれていた。シンプルで分かりやすい。ほうっと感心しているうちに皆は迷いなく契約書にサインを書いていく。書き終わると父が魔法で契約書を集めまた空間に消えていった。

「ありがとうございます。この契約書はこちらで厳重に管理させていただきます」

世の中には『属性魔法』それこそ僕の闇属性のようにその人に特化した魔法と『基礎魔法』という瞬間移動や空間魔法のような魔法の鍛錬によって誰でも使えるようになる魔法に分かれている。

多分今、父の使った魔法は『基礎魔法』の空間魔法だ。簡単に言えばRPGでお馴染みのインベントリと言うやつだと思う。自分だけの空間から物を出したり入れたりすることの出来る魔法である。俺もいつか旅に出るには使えるようになっておきたい魔法の一つになりそうだ。

「さて、それでは今回起きたことについて話しましょうか」

ボーッとしていた意識が父の言葉でハッとする。父の言葉は周りの空気を引き締める力がある。流石公爵家の当主だ。

(彼らは『魅了魔法』の話を聞いたあとも俺の友達として居てくれるだろうか)

少しの不安が胸をモヤモヤさせる。あまり皆の顔を直視することが出来ない。

淡々と父と義兄が今日のことについて話し始めた。
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