「ひょっとこさんが死んだ」

Tosagin-Ueco

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「ひょっとこさんが死んだ」No.5

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第五部

          39,
 せやけど、何で?と吉信は考えた、すぐ答えは出た、鹿木は、定信の遺した遺産の総取りを狙うたんや、その為に、定信の娘三人、由美子、それにこの俺、多少でも遺産受取りの権利のある俺ら全員をこの世から消してしまおうと鹿木は仕組んだんや、
 鹿木の事業の失敗で、定信の遺産は相当目減りしている、しかし、吉信が知らない、古い昔からの、この辺り一帯、山や土地、屋敷など、まだまだ相当に遺っている筈、あの、あんな小さな鹿木島でさえも誰も手を付けていない筈、そんな大小の島だけでも、本家鹿木家の名義分も合わせて、それら全部金に換えるとなると、吉信には想像も出来ない程の額となる筈、
 実際、定信が死んで、弁護士が読み上げた遺言書にも、定信名義の遺産について、ただ、その何分の何ぼを誰それに、と書いてあっただけで、何処の何々をと、具体的には何も書いていなかった、
 鹿木はそれら一切を我が物にしようと決めたんや、それに障害となる、定信の三人の娘、由美子、それにこの俺を一気にこの世から消し去ろうと仕組んだんや…

 あのガキ、考えれば考える程、腹が立ってくる、この仕返し、どうしてくれよう、吉信は考えた、
 どうする?腹癒せに鹿木を殺す、か?それとも、かくかくしかじか、この通り、全て鹿木正男の仕業でございます、とお上に訴えて出る?
 そいで、どうなる?吉信は、その先を考えた、鹿木を殺して、その罪も被って、警察に追われ、空の米俵でも被って日本中、逃げまくるつもりか?
云うとくけど、この俺を追ってくるんは警察だけやない、伴野の子分もこの俺が何処に隠れていようが必ず捜し出して、腹に刺身包丁を、背中に突き抜けるぐらいに刺しこんでくれる、
 それに、警察に、鹿木が犯人です、と訴えて出て、どないなる?どないも成れへん、それどころか、留置場から、天下晴れて、玄関出るなり、待ち構えた伴野の手下が乗る黒い車に押し込められて、どこかの山奥に連れて行かれて木に括りつけられ、その腹に、ドスを突き刺して貰う?

 いや、待て、俺はほんまにアホや、何を考えてるんや、俺のこの体、石のように固まったこの体で何が出来ると思うてんのや、今のこの俺に出来るんは、辻に立つ石の地蔵の代わりに、嵐の中、杖持って日がな一日、雨にずぶ濡れなって、風に吹き晒されてじっと突っ立つことしか出来へんのや、こんななってしもうたこの体で何が出来ると思うてんのや、

 吉信は、決めた、あの村山と青木の二人が作った供述書に、動かない指で何とか署名しよう、出来なければ、あいつら二人に代筆させてもええ、
そうや、何よりも、このまま刑務所に入った方が却って都合がいい、どうせ、こんな体で世間に出たところで、自分一人では空の米俵を被ることさえ出来ないのは目に見えている、 
しかしこんな体になってしもたら、刑務所でもそんなに長くは居さしてはくれへんのと違うか、なら、鹿木への復讐、どうするつもりや?
どないなとなる、刑務所、追い出される頃には、体もちったあ動くようにはなるやろ…

吉信は、こんなどん底の状況に自分を追い込んだ鹿木に腹の底から怒りを覚え、激しく憎悪した、そして、どうにもならないこの現状に溜まらず、声を限りに吠えた、
「くっそー、あの鹿木のガキ」
と罵って直後、吉信は恐ろしい事実を知らされて激しい衝撃を受けた、しかし、こんなこと、すぐには信じられず、もう一度大声で叫んだ、
「くっそー」
声が出ないのだ、喉は潰れたように開かず、口は固まって微塵も動かなかった、
声が出ない…?


          40,
「じゃあ、おじさん、行ってきます、次の連休は無理、クラブの合宿、もうすぐ定例演奏会、ちょっと私も、遊んでばかりしてないで頑張らないと」
「いいよ、富子の予定で決めてくれれば、どうせ、要るんだろ、何やかやと、電話でもしてくれれば、すぐ書留で送る」
 富子は、東京で暮らし、東京の音大に通う、長い休みには鹿木島で殆ど過ごす、時には友達を連れて来て、邸内には泊まらず、磯の浜辺でテントを張ってキャンプをする、この夏も、大勢の友たちを招んでいた、その夏休みを終えて東京に戻る富子は、迎えに頼んだ渡し舟に、桟橋から飛び乗って手を振った、真っ白い歯が、海の青さにひと際眩しい、
「あ、鹿木先生、これ、篠田に頼まれた郵便です」
隣町の郵便局に私書箱を借りてあり、そこに殆どの郵便物が入る、
島を出た時に、そこに溜まった郵便物を取り出してくる、鹿木島の住所地番だけで送られてくる郵便物は、郵便局の配達員篠田が舟に乗って届けてくれる、時間の無い時は、時にこうして渡し舟の船頭に頼んで届けてくれる、勿論、往復する舟賃は鹿木が月極めで出している、
 港に戻る渡し舟に立って手を振る富子に手を振って応え、港の防潮堤の向こうに舟が隠れて見えなくなったのを見届けて鹿木は、脇に挟んでいた封筒の差出人名を見た、
が、そこには何も記されていなかった、宛名はそこそこに達筆の文字で書かれている、切手の消印を見たが、インクが擦れて滲み、受付局名が読み取れない、
 何かの通販か、最近はやたらと多いこの手の郵便物、差出人名をわざと書かず、読まずに棄てられるのを防ぐ狙い、
 桟橋を下りて、島を登る階段の手前でふと立ち止まり、今日の予定がどうだったか、手指で髪の毛を梳きながら鹿木は階段を登った、 
髪は、近頃白い毛も増えて来てはいるが、まだまだふさふさと、禿げ頭の多い議員仲間からは、その若見えを羨望されて、独身の鹿木はからかわれたりもする、
 階段を登り切り、右手に鹿木家の墓地、その横を通りながら、それがもう殆ど条件反射的に、そこに並ぶ粗末な墓石に一瞬ながら視線を流して鹿木は通り過ぎる、
 その時、不意に鹿木は胸が締め付けられるような痛みを覚え、嫌な不安に煽られて立ち停まった、
息を整えて動悸が、気持ちが落ち着くのを待った、脇に抱えた封筒、その封を切ると、派手な通販カタログを予想したが、中に2,3枚の便箋、取り出して、最初の数文字を見ただけで、鹿木の体は凍り付いた、
「この手紙は、上村吉信さんから頼まれて、上村吉信さんの話す声を、私、~刑務所看守田所正一が代筆したものです」
最初のたった二行、見ただけで、鹿木の心臓は一瞬にして動きを停めた、鹿木の指先が震え、便箋が風を煽るように震える、
(あいつは、生きていた…)
その事実を知って、鹿木の思考は麻痺した、鹿木は、漸く、気を取り直し、邸の母屋まで歩き、玄関手前の椅子に腰かけた、
『兄さん、お久しぶりです、吉信です、近頃になって、辛いリハビリの効果が漸く出て来まして、ちょっとした歩きや、普段の、歯磨きや入浴も、それに難儀していましたトイレも、オムツ無しで、何とか自分で出来るようになり、もっとこの先、出所の日まで、まだ数年を残しているのですが、その日まで、訓練を積んで、何んとか社会に出た時に一人で何でもできるようにと頑張るつもりです、
 当時は、本当に兄さんに大変な迷惑を掛けてしまい、また兄・定信や鹿木兄さんたちが頑張って支えてきました鹿木家の長い伝統を、自分一人の馬鹿な行動で、一切の努力を灰にしてしまったことを、心の底からお詫びしなければと思いながら、なかなか手紙の一つも出せずにいました、ここに改めて深くお詫びします、
 まだ、発声機能が十分ではないですが、手が震えながらでも何とか字が書けるようになり、こうして看守さんに無理を言って、汚い字と、何んとか出せる声を拾って頂いて手紙を書くことが出来るようになりました、
 
 一度、鹿木兄さんにお会い出来ればと思っています、あれだけの大きな迷惑を掛けてしまった兄さんに、こんなこと云えた義理ではないのですが、あと数年、なんとか耐えて乗り切るためにも、また自分なりに何か夢のような、希望のような、社会に復帰する目標が出来ればと、それには是非兄さんに直接お会いしてお詫びすることから始めるべきだと思い、勝手ながら、是非、お会い出来ればと願っております、
 最近は、俳句にも凝っており、世の中にこんな面白い字遊びがあることも知らなかったんですが、いつしかハまってしまい、
「水筒の水」
と云う俳号で、日々句作に励んでおります、いつか自分でも、自己満足でも出来るものがあれば、葉書に書いて送ります…』


         41,
 あれから、十数年、初めの頃こそ、公判推移、有罪無罪の判決に気を揉んでいた鹿木だったが、懲役刑判決が下されて以後、特にこの数年は、何かの折にふと、当時のことを含めて、ちらと想い出す程度で、普段は、県会議員として、また定信から受け継いだ事業の一つ製材業も漸く軌道に乗り、扱い品も増えて、今流行りの建材センターに組織を変えて、十数人の社員を雇い入れている、また個人的には議員事務所に2人の秘書も常駐させる程になっていた、
町会議員、そして県議会議員へと、鹿木の立候補は、地元の人たちから、旧領主への懐想と応援を受けて予想外に大賞することが出来たのだった、次は国政選挙に、との話も持ち上がっている、
 
鹿木は、封筒を持ったまま、墓地の辺りまで魂が抜けたように歩いて来た、ふと足を停め、林を抜けて目の前に透けて見える湾の景色を眺めた、
しかし、鹿木の目には、湾内の、海原に点在して浮かぶ小島の景色、行き交う小さな漁船もまるで何も見えていなかった、
(吉信が、未だ生きていた…)
そのことに鹿木の頭の中は占められて、他に何も考えられなくなっていた、
(吉信が、生きている…)
吉信は警察に拘留され、取り調べ中に脳梗塞を起こして意識不明となり、病院に担ぎ込まれた、死には至らなかったが、体を動かす機能を全て失い、廃人状態となっていた、懸命の治療で多少でも意思を表現できるようになったとして吉信は退院、そしてそのまま身柄は送検され、由美子殺しを本人が認めて、そのまま収監された、
 一時期、吉信の脳梗塞発症は警察の違法な取り調べが原因とされ、新聞を賑わせたが、本人の退院、また本人自ら調書に署名したと証明されて、取り調べた側には何のお咎めもなかった、
 何よりも鹿木は、吉信の自供を知って安堵した、そして、時に入院中の吉信を見舞いに行った町の診療所の山代医師に訊けば、あの症状では、ましててんかん症も患う吉信が、過酷な刑務所生活で次にひきつけを起こした時には命は持つまいとの診断を聞いて、鹿木は鵜呑みに信じて、安心し切っていた、
 以来、何の音沙汰もなく十数年が過ぎた、鹿木は、吉信の当然の死を疑いもしなかった、だが、その吉信から突然の手紙…

 鹿木の手は震えて止まなかった、吉信は、鹿木に会いたい、と云う、会って謝りたいと云う、十数年前の、吉信の顔を思い出す、あの、やくざ者特有の、ひとを蔑むあの目が思い出される、あの、人ではないあの目が、たった十数年の刑務所暮らしで矯正されるとは思えない、
 会いたい、会って謝りたい、そんな言葉を鹿木は信じる気には到底なれなかった…何か、意図がある、絶対何か意図がある…それは何か…?
 吉信が鹿木に会いたい理由はたった一つ…
その理由を吉信は、二人にしか判らぬ言葉で、鹿木に自分が今何を考えて生きているかを伝えて来た、
「水筒の水」、この俳号こそが、吉信の意思、だった、
鹿木は証拠品を揃え、それにたっぷりと匂い付けし、それらをひとまとめにして警察の目につき易い場所に埋め置いた、
警察は、餌の匂いにつられた犬のように、穴に隠した証拠品を掘り当てて、全てそれら証拠品が吉信の犯行を裏付けて遂に吉信を逮捕した、
だが、吉信は頑なに否認した、当然だった、あの夜、由美子に農薬を飲ませて殺したのはこの俺だった、本当はその場で二人を一気に殺してしまいたかった、だが、そんなことをすれば、島の、たった一つの同じ屋根の下で暮らすのは他に鹿木しかいない、真っ先に鹿木が疑われる、
鹿木が当初樹てた計画は、初めに、吉信と定信の娘三人を事故を偽装して殺し、残った由美子をその後で殺す、つもりだった、だが、吉信が、奇跡的にあの事故で死ななかったことで鹿木の計画は修正を余儀なくされた、
由美子を殺し、吉信をその犯人に仕立てることにした、どの事件事故にも、鹿木の係わりを絶対誰にも疑われてはならなかった、
そして警察は鹿木の思惑通り、吉信に狙いを定め、鹿木が用意した証拠品に操られて吉信を逮捕した、そしておまけに、吉信に加えた拷問で、吉信は脳梗塞を発症、指一本、儘に動かせぬ、ものも云えない廃人となって、鹿木を安堵させた、

だが、十数年も経って、予想もしなかった難儀が鹿木に降りかかってきた、吉信が未だ生きていた、そして鹿木に会いたいと手紙を書いてよこしてきた、のだ、しかも、その手紙の最後に、
(俳句を始めた、その魅力にすっかりハメられた、その号を「水筒の水」とした)
と教えてきた、
「水筒の水」、
この一言で吉信は、(何もかも)俺には判っていると鹿木に伝え、そしてわざわざそこだけカタカナで、ハメられた、とまで書いている、
(なにもかも)
とは、全ては鹿木の仕業であり、
(ハメられた)
とは、全ては鹿木が仕組み、俺は鹿木に嵌められた、そのことを水筒の中に残った水が俺の無実を証明してくれる、その水筒を俺は隠し持っている、と鹿木に伝えている…


        42、
 鹿木は何日も考えた、他に何も手が付けられないまま、どう対処すべきか考えた、だが何を考えても堂々巡り、いつしか眠れなくなり、一睡もしないで一晩中考えるようになった、
会うべきか、それともこのまま無視すべきか…
会ったとする、なら初めに何の話を、どう切り出すつもりなのか、体の具合を聞けばよいのか、毎日どう過ごしているのか尋ねればよいのか、それどころか吉信がいきなり鹿木に、人殺し、と叫んでくるかも知れない、その時に俺はどんな顔して対応するつもりだ?
次々と、色んな場面を、その場で交わされる台詞を想定する、考えれば考える程、そして過ぎれば過ぎる程、時間は鹿木の考えを出口の無い迷路へと追い込んでいく、

 県議会内の、鹿木も所属する保守系議員連盟に名を連ね、鹿木とも親しい弁護士兼業の佐伯議員に受刑者との面会手続きについて訊ねた、
 佐伯は、その刑務所名を訊くと、そこの所長とは昔から心安くしている、自分が段取りしてやると請け負ってくれた、
 面会への段取りだけが鹿木の、ぐずる気持ちを無視して着々と進んだ、
 
 設定された日に鹿木は、~刑務所を訪ねた、所長との面談約束を守衛に伝えると、所長室へと案内された、
 永田所長は係官を呼び、面会を手配するよう命じた、係官は、今、上村吉信服役囚は、機能回復訓練室でリハビリしている最中で、もうすぐ終わると思いますが、ちょっと見学されますか?と誘ってくれた、断る理由を用意していなかった鹿木は、機能訓練室を見学することになった、

「機能訓練室は、この独房棟の廊下を通って奥に在ります、上村吉信受刑者は、この通路に並ぶ部屋で暮らしています」
係官は鹿木を振り返りながら、説明してくれる、
「ここが上村受刑囚の部屋になっております」
立ち止まって、鹿木はもしやそこに吉信が居るのではと思いながら、恐る恐る、鉄格子の中を覗いてみる、
三畳程の広さで畳敷き、小さな机があって、奥に鉄格子の付いた小さな窓、畳の上に、吉信が散らかしたか、時に議員同士で慈善訪問で訪れる老人施設で見掛けるような器具などが転がっていた、
「上村受刑者には、やはりこうした作業が一人では難しいので、こことは別の部屋で、同じような障害を持つ数人のグループで、同じ作業をしております、グループの方は、自分たちでその部屋を養護工場、と呼んだりしています」
「上村受刑者や他の障害者、それに多少体の不自由な高齢受刑者は、大体は午前中だけ木工作業等して、午後に運動場に出て散歩したり、上村受刑者のようにリハビリ室へ行ったり、医師の診察日であればそっちで受診したり、しています、ここが、機能訓練室、です」
 机と椅子が並んでいれば昔の小学校の教室の風景を連想させる部屋、通路と部屋とを透明のアクリル製の格子窓で隔てている、室内には色んな訓練用器具が並び、2,3人の制服刑務官が、障害者達に訓練の指導をしている、
受刑者たちは全員丸刈り、その殆どが白髪頭で、中には見事に禿げあがった者もいる、そしてその誰もが背中が猫の背のように突起したように丸まり、そしてその動作は、非常に鈍かった、
 そして誰一人、他の誰かがしていることに目移りもせず、ただひたすら、自分に宛がわれた器具に、教えられる通り、黙々と鈍いながらも作業を続けている、
時の流れから乖離した空間でひとがゆっくりと動いて、何か別世界を見ているような印象を鹿木は受ける、

 鹿木は、この中に見知った人物が居る筈だと、十数年前の記憶に残る一人の男の姿を探した、が、老人達の中にそれらしき姿を見つけることが出来なかった、
 ふと一人、白髪で坊主頭、その側頭部に黒い、大きな芋虫が這ったような手術痕の残る老人の姿が目に留まった、
多分、脳卒中などで開頭手術を受けたのだろうと、他人事に思いながら、目を離そうとした時だった、その老人の顔がふと動いて鹿木の方を向いた、
口が大きく耳元近くまで引き攣れて、まるで祭りの屋台で売っているひょっとこ面のような顔、そしてその老人の目は、窓の外から見る鹿木の目を真っ直ぐに見ていた、
(吉信…?)
鹿木の体はその視線を受けて、固まったように動かなくなった、
「やはり、ね、一般社会が高齢化に向かうにつれ、ここに収監されてくる受刑者も、ここ最近とみに高齢化傾向にありまして、刑期を終えて折角社会に復帰しましても、体の衰えや高齢の為の障害などで仕事に就くことが出来ず、また誰かが面倒見てくれる家族の方も少なくなって、結局空腹に耐えられず、何か盗んで捕まり、また逆戻り、それの繰り返しで、受刑者収容施設はどこももう高齢再犯者、累犯者で手一杯になっています、
 このままでは、本当に、受刑者たちも云うように、刑務所自体が、近い将来、老人養護、介護施設化してしまうのは目に見えています」
係官は訓練室内の様子を見ながら、そう云って溜息をついた、

          
「ここが面会室になっております、こちらで暫くお待ちになって下さい」
通された狭い部屋、中央に透明のアクリル板で仕切り、手前に椅子、アクリル板の向こうにも椅子、映画やテレビで見る風景だった、
 鹿木は、後悔していた、来るべきではなかったと悔やんでいた、このまま、会わずに帰ろうと、漸く決心して立ち上がりかけた時、アクリル板の向こう側の奥の扉が開いた、開けて入って来たのは先程まで棟内を案内してくれた看守、だった、
 続いて誰も入ってこない、吉信は来ないのか、何か体の具合でも悪くなって面会を中止したのか?
そんな期待が湧いた、だが、看守が一杯に開けた扉の向こうから車椅子が現れ、そこに座る男、ここに来る直前に、訓練室で見掛けた、ひょっとこ顔の男、だった、そしてその眼は、鹿木の目の奥まで見透かすように鋭い視線で鹿木を睨んでいる、
 丸刈り、白髪頭、そして、頬は削げ、やたらと耳だけ大きく横に張り、首筋は触れば折れそうな程に痩せ細り、歪んだ口と、あの、人の目に絡みつくような視線が無ければ、正面の男が吉信とは判らない程、容貌はすっかり変わり果てていた、
「未だね、殆ど話が出来ないんですけど、入所してきたころから比べると、それでもすごく恢復しています、何か訊きますと、手書きでね、紙に返事を書いてくれて、意思疎通は出来るんです、トイレなんかも最近は、おむつもしなくなって、本人は、それが大層嬉しいらしくて、手書きで、ね、トイレ、だけは人間であることの最後の尊厳だ、なんて書いていましてね、
 出所までにはもう少し、色んな事が出来るようにと、中々、毎日頑張ってくれています、今日も、鹿木さんに会えることが非常に嬉しいようで、何日か前から興奮気味で、血圧に良くないからと云うんですが、やっぱりね、身内に会えるとなると、どうしても、ですね、
 今日は、でも自分では話が出来ないので、事前にね、私に、手紙を書いてくれと、自分で書いてあった紙を渡されて、それを書き直して、これです」
看守は1通の封筒を出して、アクリル板に穿けた丸い穴から鹿木に渡した、
「鹿木兄へ」
と表に書いてある、この字を見て鹿木は、前に届いた吉信からの手紙を代筆した看守、確か田所何とかが書いたものとすぐ判った、
「あなたが、田所、さんですか?」
「田所、と申します」
「お世話になります」
吉信は自分で車椅子を操って、アクリル板を挟んで向かい合わせに座った、そしてその眼は、何んとも表現のしようのない、複雑な感情を露わにしていた、
 鹿木は吉信が、その視線で何を云いたいのか全て読み取った、実際に吉信の顔を見るまでは不安でならなかった鹿木、しかし吉信の、鹿木を見る目は、鹿木の、もしや長い拘留生活で心が変わり、互いに優しい、労りの言葉の掛け合いも出来るかも、との甘い期待が一瞬にして崩れたことで、また予想通りに敵意に満ちていたことで却って鹿木の心は落ち着いた、
 また吉信がその眼に表わさんとする一切の意志、感情を読み取れたことで、鹿木は対面する直前までの不安を消し去ることが出来た、そして、どう対処すべきか覚悟が出来た、
「開けていいですか?」
看守に尋ねて封筒を開けた、便箋1枚、抜き出して開いた、前回と同じ看守の字、
「ゆずのきの ねもとに一輪 くちなしの花           
水筒の水」
 鹿木は、顔を上げ、そして吉信の顔を見た、その目にはっきりと憎悪を溜めている、鹿木は臆せず暫し二人は睨み合った、
 二人の間の険悪な空気を察したか、看守は
「字余り、ですけど、きっと、そこに在るべき筈のない、可憐な花を見つけた、どきっとするような一瞬の驚きを表現していて、なかなか、ですね」
 吉信が見つけたものは、そんな可憐な花などではない、のだ、鹿木は、看守に向かって
「伝えてやって下さい、出所後の生活は一切、私が面倒見る、と、何も心配せず、勤めあげて、その日まで、外に出ても、ちょっとは散歩が出来るようにリハビリ頑張ってくれ、と」
看守が言葉を伝える前に吉信は理解出来たのか、気のせいか、その固まった目が、少し和らいだように観えた、
「富子も、吉信おじさんのこと、心配していると伝えてと云っていた、富子ももう大学生で、この夏も友達と島でキャンプ張って、この前、東京に戻ったところだ」
富子には、以来吉信のことは何も伝えていない、富子も昔に何があったかなど一切尋ねたりしない、当然、今日の面会の事を、富子は一切知らない、
それが嘘だと判るのか、吉信の眼に何も変化はなかった、
吉信は喉に痰が詰まったように絞り出すような声を出した、鹿木には何を云ったか解らない、だが看守は、
「兄さん、迷惑掛けた、よろしく頼む」
と訳した、
 鹿木は何度か頷いて見せ、そして面会を終えた、車椅子に乗って吉信は扉の向こうへと消えた、

                  
帰りに所長に会って礼を云い、駅に向かうタクシー車内で、鹿木は、吉信との面会を振り返った、
吉信が最後に喉を振り絞って何か鹿木に訴えた、それを看守田所は、
「兄さん、迷惑掛けた、よろしく頼む」
と伝えた、だが、鹿木には、吉信がそんなこと云ったとはとても思えなかった、
何を云ったか鹿木には聞き取れなかったが、吉信が、恨みと憎し
みを溜めて鹿木を睨み据えるあの眼でそんなことを云う筈がない、
看守にははっきりと何と云ったのか判ったのかも知れない、だがその呪いの、罵りの言葉を、面会に来た鹿木に、そのまま伝えず、言葉を換えたに違いない、
便箋に書いた一句、
(ゆずのきの ねもとに一輪 くちなしの花) 
「水筒の水」
看守田所は、柚子畑で、偶然見かけたくちなしの花に驚いた様子を描いた秀作だと褒めたが、鹿木にはこの短い文章で、吉信が鹿木に対して何を云いたいのか、どんな感情を持っているのか、そして何を知っているのか、全てを表していると理解した、
(声を失い、一歩も歩けぬ体になっても、こんなざまに堕とされたこの恨み、一生忘れはしない、お前を煮て殺すも焼いて殺すも、この俺次第だ、俺が見つけたあの水筒に、残った水が有る限り、お前はこの俺から一生逃げられない)
 そして、別れ際、鹿木が
(出所後の生活は一切面倒見る、何も心配するな)
と云ったその時、気のせいか、その固まった目が、少し和らいだように鹿木には観えた、
吉信の、鹿木に出した口止め条件は、出所後の生活の保障、だったのか、
 鹿木は、吉信に会うまでは、今日、面会に来たことを後悔していた、逃げ出そうとまで思った、だが、結果的に、会ってよかった、と今は思っていた、
何よりも、吉信には今すぐ、あの水筒を、誰かに、これは実は、と差し出すつもりがないと判っただけでも鹿木は大きく安堵出来た、
そして、出所後の、吉信の生活を見てくれさえすれば、俺は、一生、くちなしの花となり、あのことは誰にも、何も云わない、と云う吉信の意志が判ったことは鹿木には大きな収穫だった、

鹿木は、暫し時間的余裕が出来たことで、今日まで、あれ程に散々悩んでいたことが一気に解決出来たことで胸を撫で下ろした、
こういう事情となれば何も慌てて動くことはない、あと何年か、しかしさして先の話ではないが、それまでに、我が身の安全を図るための工作は何とでも出来る…
鹿木の耳奥に、吉信の生の声が響く、
(俺が偶然見つけた水筒に、あの水が残っている限り、お前は俺から逃げられない)


          43,          
数年後、刑期を終えて出所した吉信は、鹿木が手配しておいたタクシーに、不具合ながらも、車椅子と杖を使ってタクシーに自ら乗り込み、紀州の山奥に在る介護施設に入居した、鹿木は理由を付けて迎えには立ち会わなかった、
施設は、鹿木の議員仲間の紹介で、姪の富子の名前で契約し、月々の費用も富子の名前で送金することにした、しかし、入居するに当たり、鹿木は、割増の費用を払う代わりに、余程のことが無い限り、連絡は不要、極端な話、死亡通知以外は一切連絡不要と条件を付けた、

鹿木は、以来、県会議員を何期か勤めた、参議院議員選挙には地元保守党から何度も強い推薦を受けたが、立候補は辞退した、
製材業から事業を再起し、今や県内最大手のホームセンターを経営し、事業運営は、大学を卒業した姪の富子に、ほぼ任せっきりにしてきたが、その富子が意外にも優秀な経営能力を発揮して、順調に業績を拡大させている、
全て順調だった、だが、ただ一つ、鹿木の脳裏に、いつもその隅に隠れ、夜中に突然泣き出す赤子のように、突然現れて鹿木の思考を狂わせる、癌のしこりのようなものが巣食っていた、
癌のしこり、それは吉信の存在、吉信が今猶、あの紀州の山の中で生きていること、だった、鹿木には何よりも苦悩の種だった、今も、その度、後悔する、あの時、吉信を、由美子と一緒に、眠っているその口に農薬を流し込んで殺さなかったことが悔やまれる、そしてその以前、事故に見せかけて吉信を殺しきれなかったことが、鹿木の苦悩の根源だった、
鹿木の脳裏に、金色のスカイラインが岬の坂を猛スピードで走り抜ける光景がその度に蘇る、スカイラインは、坂を登り切り、カーブを曲がり切れず、ガードブロックに衝突して宙に舞い上がり、ボンネットが崖下の磯の岩場に向かって落下する直前、人の影が車から飛び出した映像が蘇る、吉信は生き残った、そしてあの「水筒」も生き残っている…
そのしこりが突然に痛む、時に、たった一行だけの、みみずの這った跡のような文字の葉書き表の宛名書き、その裏に一行だけの俳句を書いて送られてくる、
差出人の名前は「水筒の水」、しかし差出人の住所地は書かれていない、郵便配達員、舟の船頭から郵便物を受け取るたび、鹿木はその中に「水筒の水」からの葉書が含まれていないか真っ先に探す、そしてもし一枚でも有れば、鹿木の指先は忽ちに震えてしまう、
たった四文字の「水筒の水」は、
(声を失い、一歩も歩けぬ体になっても、こんなざまに堕とされたこの恨み、一生忘れはしない、お前を煮て殺すも焼いて殺すも、この俺次第だ、あの水筒の水が有る限り、お前はこの俺から一生逃げられない)
あの面会の際に、鹿木を睨み据える吉信の、怨念を溜めて睨み据えた眼を思い出させて鹿木を苦しめた、

吉信からの葉書は、施設に入所してから届くようになった、以来、鹿木は、吉信からの葉書を見る度、立ち上がれない程その恐怖に打ちのめされる、これから先、いったい何年続く…
この恐怖から逃れるためには何をどうすればよいか…毎日、昼も夜も、四六時中、狂信者が経を称えるように、この事ばかりに悩まされていた鹿木、或る日受け取った葉書を、呪符でも受け取ったように読みもせず引き破ろうとして、差出人名「水筒の水」が一瞬眼に映り、そして脳裏に閃くものがあって鹿木は手を止めた、
「水筒の水」、
諸悪の根源はこれだ、と鹿木は今やっと気が付いた、のだ、
 あの水筒さえなければ、この世に恐れるものは何も無い、吉信が何を訴えようが、その証拠が消えてなくなる…
何故、このことにもっと早く気付けなかったのか、鹿木は己の頭の回転の鈍さを呪わずにはいられなかった、

           
 鹿木は、岬の先端、国道のヘアピンカーブ、その真下の磯の岩場を歩いていた、見上げれば、国道の、鋭角に曲ったカーブには、金色のスカイラインを跳ね上げたコンクートブロックに代わり、白いガードレールが取り付けられている、
岩場の合間に汐が寄せ、その波音が心地よい、何度も嵐の大波に洗われて、磯の砂場の何処にも、幼い子供二人を載せて墜落した事故車の破片は欠片もない、
鹿木は、スカイラインが頭から突っ込み、岩と岩に挟まれた岩場の、その真下辺りを覗いてみたが、ごみや海藻の屑、小さな枯れ枝などが波に揺れるだけで、水筒らしきものは見当たらなかった、
 こんな場所に今も有る筈は無いのは判ってはいる、鹿木はここに来るまでに、吉信と由美子が一時期住んだ部屋も何日か掛けて、棚や押し入れの隅、床下も、また天井も板を剥がして覗いたが、あの紐の付いた丸型の水筒は無かった、

 鹿木は岩の下や隙間に頭を突っ込んだ、何処にも水筒は無い、
吉信が「水筒の水」と号しているのは、もしやただの、当てずっぽうな脅しではないかと鹿木は思うようになっていた、ここに足を運んだのは、あの事故直後、こんな磯の岩場であの水筒が残っている筈が無いことを確認する為だった、
何処かに隠したり、波に浚われて何処かの岩穴に偶然に挟まったりするところが無かったかを確認するためだった、そんな奇跡の隠し場所が見つからなければ、水筒云々は、ただの脅しだと確証できる、と思ったからだった、
 もしこの岩場の何処かの、岩の穴や、窪みに隠したとしても、あれからもう何十年、何度も襲来した台風の大波に浚われて、沖の果てまで流されたに違いない、
 何処にもあの旧日本兵用の水筒は無かった、そんな岩穴も何処にも無かった、鹿木は確信した、鹿木は大きく安堵した、そして、その心の余裕が、吉信に冷静な判断をさせた、

今、改めて思い返せば吉信は、あの大事故で大怪我をし、救出されてそのまま病院に担ぎ込まれて治療を受けた、
が、それは手足、肋骨などの骨折、そして皮膚の擦過傷の治療だけであり、診療所の医師、山代は警察に対し、口辺の泡の成分を調べる為に胃液の採取はしたとは云っていたが胃の洗浄をしたとは云っていない、そんな話を看護婦から聞いた記憶がある、
吉信は水筒の水を一滴も飲んでいなかったのだ、本人は、持病のてんかん発作で、一瞬気を失い、運転を誤った、と供述している、 
吉信はあの水筒の水を飲んではいない、しかし、水筒の栓を開けたかどうかは判らない、開ければあの強烈な匂いを嗅いだかも知れないが、しかし、それが何の匂いか分った筈はない、だからお茶に混ぜたものがなんであるか知らない、筈、だ、


 日が経つにつれ、吉信の現状が気に成り始めた、もし体の機能が回復し、言語障害も改善されていれば、あの男が、いつまでも施設暮らしで我慢出来る訳がない、そして何かと鹿木に因縁つけて、何を要求してくるか分らない、
鹿木の事業も、政治活動も、漸く軌道に乗ってきた、しかし、まだ更に発展させて、富子の将来の為にも、また富子の姉二人の、幼い命を奪ったことへの贖罪の為にも、未だ道半ばで、あんな男に邪魔などされてはならなかった、


 鹿木は、不安に駆られ、また不眠の夜が続くようになった、溜まらず決心した、
最寄りの駅で下り、タクシーで、吉信が入所する介護施設へ向かった、施設の白い建物が見えて来た辺りでタクシーを止めて鹿木は降りた、タクシーは来た道を戻っていく、それを見送りながら、鹿木は周囲を見回した、
紀州山地、山々のうねり、その山合いに、一つの山の中腹を棚でも作るように削って、そこに白い棟が二つ、三つ並んでいる、
タクシー運転手は、あれが、そうです、と指さして教えた、吉信が入居する施設の建物、
少し遠くに、別の建物から高い煙突が一本聳え、土色に濁った煙を吐き出している、煙突に~クリーンセンターと大書きしてある、 
施設を挟んで反対側に目を遣れば、4本の高い煙突、事前に調べた地図では火葬場となっている、4本の内3本の煙突から、半透明の白い煙が風に靡いている、
 議員仲間で時に選挙投票目当てに訪問する老人施設が、ほぼここと似た環境に立地している、要するに、入居者は家庭から捨てられた生ゴミであり、施設はこれら廃棄物の一時保管場所であり、息絶えるのを待って近くの火葬場に持込んで、その体に染みついた悪臭と一緒に焼却してこの世から葬り去る、老廃物の処理にリンクした絶好の環境下にある、
 しかし、あの口の歪んだ生ゴミだけは、あの白い建物の中で未だ生きている…

           44,
 鹿木は、年配の女子職員を掴まえ、古い友人だが、ここに入所している上村吉信君の現状を知りたくて訪ねて来た、私は、様子だけ見れば充分なので、と云いながら、万札1枚を、職員の手に握らせた、職員は驚いた様子を見せたが、その顔はすぐ笑顔になった、 
 麓に~と云う喫茶店が在る、そこで会って話す、自分はもう少しで仕事は終わる、終われば自分の車でそこまで送る、着替えてもう一度そこへ戻るからと、それから暫くして出て来て、鹿木を喫茶店まで送った、

 女子介護職員は、友達に久しぶりに会ったようによく喋った、
「入所されてきた当初は、なかなか体も思うように動かせなくて辛そうでしたが、うちに機能訓練専門の優秀な職員がいまして、大概厳しいんですが、そのせいか、何年も掛けて次第と手も足も動くようになってきて、ご本人は喋ることは今も出来ないんですが、顔に精一杯、体を動かせる、杖を突きながらでもそこそこ歩けるようになった喜びを見せるようになりました、
 このまま順調に行けば、先に入所している高齢の方の誰よりも早く歩けるようになる、かもしれません、
ご本人は、その訓練士の指導で、施設のごみ焼却の仕事をするようになり、その訓練士、徳山さんて云うんですが、上村さんに、ごみ焼却任せるようになって以後、生ごみも、入所者の、汚い話で申し訳ないんですが、排泄物も、以前は、燃え切らずに燻って悪臭が辺りに流れて来ていたんですが、上村さんに任すようになってからは、どんなゴミでも、メリケン粉の粉のように、さらさらの灰になるぐらいまで、きれいに償却してくれると褒めていました、
ですが、或る日、元々、脳梗塞の後遺症で、手足が不自由になってらしたんですが、軽い脳梗塞を再発して、救急に手当を受けて、大したことならずに退院してきたんですが、その後は、認知症状が出るようになったんです、脳梗塞のあと、認知症になってしまうひとはうちでもけっこう多くて、皆な心配していたんですが…
 でも、上村さんは体は動く、それで夜中に徘徊するようになりました、この頃から上村さん、すっかり変わってしまって、ほぼ毎朝、食事の隙を狙って施設を抜け出し、施設からそう遠くない、でも歩けば普通の人の足で小一時間も掛かるゴミ焼却場へと向かい、柵を乗り越えて侵入し、日がな一日、焼却施設の中で炎を眺めて過ごすようになりました、
 事故に遭わないようにと、ここだけの話、ベッドに拘束されるようになったのですが、 朝の、朝食配膳の隙を狙って施設を脱出して、町へ行き、町で、手当たり次第、見つけ次第に、ごみ置き場や、郵便受けの新聞に火をつけるようになったんです、
初めはボヤ程度で済んでいましたんですけど、やがて、ちょっとした火事騒ぎを起こしてしまって、町の人たちが心配するようになったんです、
 警察が警戒して見張っていたところ、施設の寝間着姿のまま、通りをうろうろする上村さんを見つけ、尾行けて監視しているその目の前で、郵便受けから朝刊を抜き取り、マッチで火をつけ、あの曲がってしまった口で炎を煽って、その家の庭に放り投げたんです、
当然その場で取り押さえられたんですが、新聞紙につけた火を煽る上村さんの口元を見た警官がその口を真似て、
「まるで火男、ひょっとこさん」
とうちで職員に説明して以来、上村さんは
「火男さん、ひょっとこさん」
と呼ばれるようになりました、
 認知症と記憶障害で不起訴となり、暫くして施設に戻ってきましたが、それでもすぐ早朝に脱出を繰り返すようになりました、今では、施設でもほとほと手を焼いています、ご家族に連絡するとか云っていたようですが…連絡出来たのかどうか…」

 鹿木には、この話を聞いただけで十分だった、吉信は、脳梗塞を再発し、そして認知症に罹かったと云う、鹿木は介護職員に礼を云って別れた、
来て良かった、とつくづく思った、頭の中がいつも濃い霧のように霞み、吉信のことが気に成って晴れることはなかった、だが久々に、気が楽になった、
 しかし、鹿木は、喫茶店でタクシーを呼んで貰い、再度、吉信の入所する施設へ戻った、
施設の、正面ではなく、やや離れた駐車場でタクシーを止め、タクシーを待たせて、駐車場の車の間をゆっくり歩きながら、そこから介護施設の入居棟を見上げた、
 吉信の住む部屋が、何号棟の何番の部屋か、富子宛に送られてくる請求書を見て知っている、だがそれが、この施設のどの棟の、何階かさえも、玄関側か、それとも反対側かは判らない、だがどうでも良かった、もう、今後、認知症を患った、正に「ひょっとこさん」と呼ばれて、町を徘徊して放火する重症認知症状に堕ちた、ほぼ廃人となった吉信が、ここのどの部屋で暮らしていようがもうどうでも良くなった、のだ、
 歩きながら、建物を眺め、山の風景を眺めながら、もうこれで終わった、と体中の、凝り固まった血がほぐれて心地よく流れて行くのを実感した、
 戻ろうと、鹿木、タクシーの方に歩き始めた時、一つの棟の、3,4階の端の部屋のガラス窓に、ふと人影が見えた、ような気がして、鹿木は足を停め、振り返った、
 人の影、があった、はっきり分らないが、施設の寝間着を着た、男、その男が、ガラス窓に、口をくっつけて、鹿木の方を見ている、ように見えた、
認知症を患った入所者が、子供の頃、誰もがそうしたように窓ガラスに口をくっつけている、ように鹿木には見えた、しかし、その、窓ガラスに顔をくっつけた人影が、よく観てみると、人影は、はっきりと鹿木の方を見下している…
 はっきり判らない、だが、鹿木は幽霊でも見ているように、体が突然、寒気に襲われ、凍えるように体ががたがたと震え出した、
窓に立つ男、男はガラスに口をくっつけてはいなかった、窓の傍に立つ顔、その口が引き攣ったように逸れている…
「吉信…」
 男は両手をゆっくり上げて背伸びした、挙げた両腕をゆっくり回しながら、ラジオ体操するように、体をぐるりと回した、そして、男は、逸れた口を開け、笑うように歯を見せた…しかしその眼は、はっきりと鹿木を見て、視線を逸らさなかった…

 鹿木は、息がとまりそうになって咳込んだ、亡霊から逃げるように、よろけながらタクシーに向かった、鹿木の様子の急変に気付いた運転手が、車から慌てて降りて来て鹿木の体を支えて車に乗せた、
           

            45,
 上村吉信が、朝、食事の時間に食堂に起きて来ないので担当職員が起こしに行った、いつもならベッドを揺すれば閉じた目をゆっくり開けて、職員の顔を無表情に見つめるのだが、この朝は、布団をめくって耳元で名前を呼んでも、目を覚まさない、頬を抓っても目を開けない、抓られて伸び切った頬の皮膚が、何となく冷たい、揺り動かすと、体はどことなく固い、死人を扱い慣れた職員、慌てもせず、部屋の外に出て、廊下を通って事務所に戻り、
「誰か、あとで、先生に連絡しといて、火男さん、死んでるって、あ、私は駄目、朝食の介助で手が一杯、お願い、ね」


 火葬場から介護施設の駐車場に着き、車を降りて、施設のマイクロバス運転手、笹山は乗って来た車の後部座席のドアを開けた、
「無い…?」
そこに在るべきものが無い?上村吉信の遺骨と遺灰を納めた、白布で包んだ骨壺が無い、シートの下にも頭を突っ込んで覗いて探したが無かった、
笹山は、火葬場の職員から、上村吉信の骨壺を受け取って以後を、順を追って思い出してみた、その過程のどこにも笹山の不注意、失念、手違いは何も無かった、と確証した、だが、肝心の骨壺がない、
笹山は、火葬場から駅まで乗せた元警官、杉下が、何かの間違い、勘違いで、後部座席に載せた骨壺を、上着と一緒に持って行った、としか思えなかった、
笹山は携帯電話で杉下の名刺に書いてあった会社の電話番号にダイヤルした、誰か電話に出てくれれば杉下の携帯番号、自宅などの連絡先教えて貰えばいいし、骨壺の事で電話が有った、折り返し電話して欲しいと伝言して貰ってもいい、
ようやく目先に希望の灯りが見えて来たような気がして、それでも笹山、震えの治まらぬ手に持つ携帯を耳に当てた、すぐに女の声が聞こえた、杉下の会社の事務員か、用件を云おうとした笹山の耳に聞こえたのは、
「お架けの番号は現在使われておりません、お確かめの上…」


地中から剥き出して絡み合う木の根を踏みながら鹿木は島の上の邸へと狭い坂を上る、
長い一日、だった、紀州の山合いまでの長い道程をたった一日で往復した疲れが一気に、やはり老いた鹿木の体に重く圧しかかってくる、
 全ては、終わった、吉信の死によって全てが闇に消え、心配事は一切、闇に溶けるように消えた、のだ…
 だが、実感が無い、ただ酷い疲労感に鹿木は襲われて、もう一歩も坂を登れない…
 それでも、歯を食いしばって、坂を登り、そして笹竹で囲われた狭い墓地の前を通り掛かる、
息が切れて鹿木、そのまま立ち止まり、呼吸が整うのを待った、墓地を覗くと、磯に転がる岩や石を積み上げただけの粗末な墓が苔むして数柱、まばらに並んでいる、
鹿木の脳裏に、警官数人が、由美子の墓を暴いて、まだ肉片の残る遺体を掘り出し、そして白骨化した定信の遺体も掘り出した、あの日の光景が蘇る、
鹿木は、笹竹を跨いで墓地に入り、その内の一つの墓石の前に立った、汐風に腐った卒塔婆が斜めに傾いて今にも倒れそうだった、由美子の遺体を掘り出し、再度埋め直した墓、だった、
海を泳いでこの島に棲みついた猪が掘り返したのか、墓の周辺の土がもこもこと盛り上がっている、
鹿木は長い時間、由美子の墓を睨むように見下ろし、過ぎた昔を思い出していた、が、急に何か思い出し、その時の怒りがまざまざと思い出され気持ちを抑えきれなくなった、コートで隠すように包んでいた骨壺を取り出すと、頭上高く両手で持ち上げ、足元の、由美子の墓石の角目掛けて投げつけた、
骨壺は破裂し、破片が一帯に飛び散り、数個の真っ白な骨片が辺りに撒き散り、遺灰が墓石の上や辺りの地面を白く覆った、
 撥ね散った一個の骨片が鹿木の靴の前に落ちて転がってきた、鹿木は暫しその骨片を憎々し気に睨んでいたが、その骨片を、たばこの吸い殻でも消すように踏みにじった、

 骨片は、煎餅菓子でも踏むような音を立てて粉々になった、鹿木は、由美子の墓石の角の下が、骨壺を投げつけた辺りが、人の手で掘ったような穴があることに気が付いた、
 警官が、墓下の由美子の遺体を掘り出した時に掘った穴か、と思ったが、しかしそれはもう何年も昔のこと、今もその痕跡が残っているとは思えない、やはり猪の仕業か、
ふと、その穴の奥から、月の明かりを反射してか、何かが一瞬、光ったように見えた、
覗いてみると、確かに、穴の中に、手首の深さのところに、何か金属片か、ガラス片のようなものが在る…
 鹿木は、掘り出した、旧日本兵用の、水筒、紐がそのまま付いていた…


            46,
 鹿木の背後で、がさっと草が擦れる音がして、鹿木は、心臓が止まるぐらいに驚いた、しかし島には鹿木の他に誰も居ない、猪がまた墓を掘り返しに来たのかと思い、振り向いた、
 狭い墓地の、雑草で仕切ったその外に、人の影が、一つ、ぽつんと立っていた、鹿木は亡霊でも見たように、血の気が引いて悪寒に震えた、
 富子か、と思ったが、富子は今、対岸の町並に、辛い思いでしかないこの島で暮らしたくないと、家を建てて住んでいる、滅多とこの島に来ることはない、 
「お帰り、鹿木さん、鹿木先生…」
やや年配の、女の声、聞き覚えがまるでない、顔を見たいと思うが、月明かりを背にして、陰になってよく見えない、
「だ、誰れ、ですか?」
ようやく声を絞り出して鹿木は云った、
「もうお忘れだと思いますけど、うめはら、です、診療所の元看護婦です」
診療所の、元看護婦で、うめはら?しかし鹿木にはそれが誰だか思い出せない、第一、今は町には、昔在った診療所は所長の山代が10年も前に死んで閉鎖され、新しい別の医院が開業している、
「いま、鹿木先生が、手に持っているその水筒、それ、そこに埋めたの、私、です」
鹿木には、女が 何を云っているのか理解出来ない、
「その水筒ね、私がずうっと預っていたんです、と云っても、誰かに頼まれた、とかじゃなく、私が、勝手に、ね」
鹿木には、女が何を云っているのか全く理解らない、
「ずうっともう大分、昔ですけど、上村吉信さん、当時、診療所に入院されていた時…」
吉信が入院していた時?吉信があの岬の突端、墜落炎上した事故現場から助け出されて運び込まれた時のことを云うのか? 
しかし、このうめはらと名乗った元看護婦と、今鹿木が掘り出して手に持つこの水筒と何の関係がある?
それに何んだって?由美子の墓から掘り出した、この水筒、埋めたって?
「上村吉信さん、退院される時、ね、上村さん、いつもこの水筒、ベッドの下に置いてて、私が、こんな古い水筒、どうしたんですかって訊ねたら、私から水筒奪い取って、勝手に触るなボケって、凄い顔して怒られたんです、なのに、退院する時、この水筒、忘れて行って、
 後で届けるつもりで預かっていたんですけど、或る時、この水筒のこと思い出して、届けなくては、と思って、何の気なしに、水筒振ってみたんです、そしたら中に水が残っている音がして、水筒の栓、開けたんです、そしたら、凄い、卵の腐ったような匂い、私にはこの匂いが何であるかすぐわかりました、
この匂い、昔、上村定信さんが突然死んでしまわれた時にその口の周りに付いていた泡の匂い、それに清水由美子さんが救急で運び込まれた時も、上村吉信さんが事故で運んでこられた時も、口に付いていた泡、全部、これと同じ匂い、だったこと、すぐ思い出したんです、
私、すぐ、ピンと来たんです、それで、上村定信さんの時も、清水さんの時も、上村吉信さんの時も、鹿木先生にそのこと訴えたんですけど、先生、証拠もないのにそんなこと口にしたら駄目だと云われて、覚えてます?」
鹿木はこの女が誰かようやく思い出した、
 しかし鹿木の頭の中は混乱しきっていた、今の今まで、吉信の遺骨を横取りして来て、その骨壺を墓石にぶつけて粉々に割って、これで全て終わった、何もかも闇に消えた、と鹿木は安堵したばかりだった、
何よりも農薬入りの水筒など、とっくの昔に、大海原の、水平線の果てに流れて行ったものと信じ切っていた、のだった、
 その水筒が、由美子の墓石の横に埋められていたことに驚き、しかもそれが、多勢の警察官が墓の下から由美子の死体を掘り起こした後に、こんなものが埋められていたことに未だに訳が分からず、途方に暮れている最中だった、
第一、この水筒を隠し持っていた筈の吉信は、遥か海を越えて紀州の山奥で、痴呆して施設暮らし、こんな芸当、出来る筈も無かった、
 だが、このうめはらと云う診療所の元看護婦、もう十何年も前、吉信が診療所から退院した時から預かっていて、この水筒を、中に何が入ってるか知った上で、ここに埋めたと云う、
「わたし、ね、その時も先生に云ったと思うけど、一人でこんな大変な事知って、隠してなんかいられなくて、検察に直接、通報したんです、だって、警察の人なんて、ほんと、バカばっかりで」
 鹿木の思考は混乱し切っていた、吉信は刑務所からも、折々に、「水筒の水」と号して短文を送って来て、そして出所し施設に入居し痴呆症を患ってからも、俳句を書いた葉書が送られて来ていた、
「私、ね、或る時、ふと思ったの、パラチオンとか云う農薬、この農薬を、上村定信さん、飲まされて死んだ、その農薬服ませたのは清水由美子さん、でも上村吉信さんが車を暴走させて、幼い女の子死なせて本人も大怪我したんだけど、この時、上村吉信さん、その水筒に入ったパラチオン飲んで、本人は風邪だったとか、持病のてんかんの発作だとか、でも私は、上村吉信さんも、直前に、その水筒に入っている、農薬入りのお飲んで、気を失ってあんな大事故を起こした、と思ったの、それに、最後は、清水由美子さんの急死も、山代先生の云うような、心不全、とかじゃなくて、はっきり、この農薬飲まされて中毒死、ここまで考えた時、一人だけ、この島に住んでいたひとの中で、唯一人、生きているひとが居るってことに気付いたんです、
 でも、そんなこと、どうでも良かったんです、私には、誰が誰を殺した、なんて、本当にどうでも良かったんです、
 あの診療所が、山代先生が亡くなって閉鎖と決まった時、皆な、すぐに、新しく開業する病院に仕事決まったり、ちょっと遠いですけど他の病院で働けるようになったんですけど、私だけ、家庭の事情で、年老いた両親が居て、なかなか身が自由になれなくて何処にも仕事が決まらず、そうこうしている内に、段々年齢も嵩んできて、お金もなくなって、どうしようか、と思っていた時、いつだったか、町で鹿木先生、見つけて、鞄に入れてた郵便物、落とされて、私、声掛けたんですけど、先生、急いでらして、そのまま、港から舟で、島に帰ってしまわれたんです、あとで、お届けしようと一旦、家に持ち帰った郵便物の中に、一枚、葉書が入っていて、差出人の名前が、
「水筒の水」
と変な名前の、文面も、一行だけの俳句、変なの、と思ったんですが、その時、不意に、ね、上村吉信さんのこと、思い出したの、あのひと、殺人罪で捕まって、取り調べ中に脳梗塞起こして、山代先生が治療していたんですけど、そのあと、刑務所に入れられた、
 でもそのあと、どうなったんだろうと思って、その葉書の消印見ると、~局とあって、興味本位に調べてみたら、~県の~局、だと判り、もう少し詳しく調べたら、そこに刑務所が在ると判ったんです、上村さん、多分、この刑務所にいるんだろうと思ったんです、
 その刑務所から、上村さんが「水筒の水」って名前で、多分、俳句詠むひとのペンネーム使って、俳句を送って来ているんだ、と思ったんです、そこで、私、この名前「水筒の水」で、私、ずっと預かったままの農薬入りの、上村さんに、触るなボケって叱られた水筒のこと思い出して、上村さん、鹿木先生に、葉書出す時、この名前使って、今も、昔のこと、鹿木さんに農薬入りのお茶飲まされたこと疑って、脅迫しているんじゃないかと思ったんです、
 私、正直言って、そのこと判った時、とても悪いこと思い付いたんです、私にも、鹿木先生の事、脅迫出来る権利があるって思ったんです、
 いつだったか、ひとの噂話で、上村さん、刑期終えて、どこかの施設に入居していると聞きました、その噂話では、上村さん、脳梗塞再発して、認知症になった、と云うことも聞きました、
 程度は判らないですが、やっぱり認知症になると、とてもじゃないですが手紙なんか書いたり出来ません、多分、上村さん、以後は葉書出すの諦めたんじゃないかと、で、私、思い付いたんです、私が、代わって「水筒の水」に成ればどうなるんだろうと思ったんです…」
もうこれ以上、聞く必要はなかった、
「ま、うめはらさん、色々とよく教えて頂きました、私も、ね、長い間、不思議に思っていたんです、吉信ね、認知症になっても俳句を送ってくる、本当に認知症になったのか、と信じられなかったんです、
でもね、うめはらさん、折角詳細に、事細かく細部まで推理して頂いたんですが、それ、もう今更、何の役にも立ちませんよ、はい、かくかくしかじか、と警察に訴えて出ても、そんなの、何の証拠にも成りませんよ、
誰にでも、そんな農薬入りの水筒なんて、作ろうと思えば作れます、それに、あんたの話を証明してくれるひとはこの世に一人もいませんし、
責めて、吉信が未だ生きている間に、認知症に成る前なら、吉信があんたのカタもってくれたかも知れません、けど」
「鹿木先生、何か勘違いされています、私、一言も警察に訴えるなんて言っていません」
「え?…」
「警察には何も云いません、でも、或るひとにだけは、このこと教えてあげてもいいかなとは思っています…」
「誰に、だ」
「云いません、もし、その人に云わないで欲しいんでしたら、何も云いません、でもね、先生、それには、やっぱり条件があります…」

               終

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