陽のあたる場所3

こたろ

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令和の寿

令和の寿1

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2011年1月ーーー


"俺"は高円寺で一緒に働いている馬場さんに実は女である事をカミングアウトし

馬場さんと初めて2人で飲みに行ったーーー。



「福永さん、日常生活で不便とかってありますか?」


「ん~…、

ホルモン注射を打つまでは、声が高かったんで

喋るたびに奇異の目で見られるのがキツかったですけど…


ホルモン注射打ってから声も低くなったし、

日常はそんなに普通の男性と変わらない生活してますね♪」


「そうですよね、見た目は完全に男に見えますからね♪」



「ただ…やっぱり一番ネックなのが



セックスですね(笑)」


「アハハっ!!」



「普通の男性と違って、結局モノがないし、

ちゃんと満足してくれてるのか正直自信はないですね…w


たまに"性の不一致"が理由で別れたなんて友達の話を聞くと怖くなりますね。


本物の男でもそうゆうことがあるのに、

"おなべ"でそうゆう相性が一致するなんてもっと難しいんじゃないかって…。」


「"性の不一致"ですかぁ…

それは俺も耳の痛い話ですね。」



「馬場さんでもそうですか(笑)


それにあとは子づくりできないという壁もありますしね。」



「子づくりですかぁ…。」



…?


「まぁ、元々不妊症の女性もいますし、

あと相手が子供欲しくないとかなら全然問題ないんですけどね♪


ただ俺は、兄貴や弟の"種"をもらって"人工授精"なんてのも考えてます♪


ま、その前に相手ですけどね(笑)」



それから、馬場さんは無言で灰皿においたタバコの火を消し、

ジョッキに少しだけ残っているビールをクイッと飲み干して、またビールを注文した。



「……。」




それからまた新しいタバコに火を付け

一息ついてからやっと口を開いた。



「実は…



俺も人工授精を考えてるんですよ。」





……え?
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