98 / 112
7巻
7-2
しおりを挟む
ドアが開いて、メイドの格好をした若い女性に中に案内される。
「お客様、初めてですよね?」
「おう」
「ウチのパスタ先生は人を見抜く目が半端じゃないので、一目見ただけで適職をお当てになります。驚かないでくださいね」
「パスタ先生って名前に驚きそうなんですけど」
「なにかおかしいですか?」
ああそうか、発音が似ているだけで食べ物のパスタを指しているわけじゃないんだよな。それでも噴き出しそう。
廊下の奥に広い部屋があり、そこの中央に机と椅子を置き、パスタ先生が腕を組んで座っていた。
年齢は意外にも二十代半ばくらいの女性だった。こんな若い女に適職判断なんてできるのかと疑問を覚えた刹那、彼女が口を開いた。
「盛り上げ師」
「……ん? なにか言った?」
「貴方の適職、申し上げました」
「パスタ先生は、盛り上げ師が貴方の適職だとご判断なさいました」
秘書が真面目な顔で告げるのだが、俺としては素直に受け入れられない。なんなの盛り上げ師って……
「ご説明しますので、お座りください」
従って、パスタ先生の前に座る。
「盛り上げ師とは、サポート職に当たるものです。頑張っている人に対して、励ましの言葉をかけたり笑顔を向けたりするのです」
「パスタ先生、ふざけてる?」
「ふざけてなどいません。貴方も経験がありませんか? もう休みたいと思ったときの頑張れの一言。それで踏ん張れたことがあるはずです」
なくはないが、疲れたときは素直に休ませてくれたっていいんじゃないの。
「人の気分を盛り上げることに貴方は長けてます。というか向いています。そのように生きてはどうでしょう。現在のお仕事は?」
「特に定まったものはなく、ブラブラと」
「では今日から人に職業を訊かれたら、盛り上げ師と名乗りましょう」
とんでもない罰ゲームが来ちゃったよおい……
でもパスタ先生は至って真剣なので、俺も反論しづらい。結局押し切られて、俺は本日より盛り上げ師を名乗ることとなった。
パスタ先生いわく、ハイテンションでいることがまず大事らしい。そして、恥を捨てることも忘れちゃいけないとか。意外と大変そうで困る。
◇ ◆ ◇
スライムたちと空を十分楽しんでから自宅に帰る。陽は落ちてすっかり夜になっちまったな。自宅に帰ると、イレーヌやサラがご飯作りに忙しそうに動いている。
ルシルとミーシャはなにか恋バナっぽいのに花を咲かせ、クロエは庭で剣を振っていた。
俺がソファーに座ってぼんやりしていると、スラミが話しかけてくる。
「ねえおやびん、本当に盛り上げ師なんてのになるわけ?」
「それなんだけどよ……どうなんだろな」
「別におやびんは無職だってかっこいいと思うわよ」
「おいらも、そうおもいます! おやびんはむしょくでもかっこいいです!」
「無職のおやびん……かっこいい……」
うん、みんなあんがとな。だが無職連呼されると、俺のハートが若干痛くなってきたぜ。
しかしまあ、自分の人生を振り返れば、俺は誰かを真剣に応援するってことをしなかったように思う。
運動会でも人が走ってるときは耳ほじってたし、スポーツ観戦でも声援を送るなんてことはほぼなかったかも。
そこで俺は立ち上がって、キッチンに向かう。テキパキとイレーヌが料理をして、サラがそれを見て技術を吸収しようと真剣だった。二人とも若いってのに健気だね。
俺が十代のときなんて、楽することしか考えてなかったってのによ。
「二人とも頑張ってんなー」
「ご主人様、もうすぐできますよ」
「わたしも、少しだけど手伝ってます。ジャーにも食べてほしいです」
「おう。そんじゃ、そんな二人に俺からこれを贈らせてもらう」
俺は大きく息を吸う。応援のやり方なんてわからないので、昔見たものを見様見真似で行う。
「フレー、フレー、イレーヌ! フレー、フレー、サーラ! フレッフレッイレーヌ、フレッフレッサーラ」
適当に手を水平に動かしたりして応援団長みたいな真似事を行う。一分くらい続けたら二人ともきょとんとした顔をしていたな。
そしてとんでもなく恥ずかしいんですけどこれー! 馬鹿にされることも覚悟したんだけど、意外にも二人の言葉は温かいものだった。
「いいですね! なんだか私、元気出てきちゃいました」
「わたしも。リズムもよくて、背中を押される感じがしました」
「マジか……」
でもこの二人はだいぶ優しいからな。遠慮しているって可能性もある。そこで俺は庭に出て、今度は汗を流しながら素振りするクロエを応援してみた。
同じようにフレーフレーと声をかけると、心なしかクロエの振りが鋭く、力強さが増したような気がした。
「いまのはなんなのだ? なんだか、すごく力が湧いてきたのだが」
「エッ、マジで言ってんの?」
「うむ、本気だよ。今、実は疲れててもう練習をやめようと考えていたのだ。しかし応援されてからまた力が湧いたようだった」
冗談でもお世辞でもない。クロエは真面目に話している。となると、パスタ先生が言うように、俺には本当に盛り上げの才能があるのだろうか?
部屋に戻り、キャッキャはしゃいでいるスラパチたちに俺は話しかける。
「なあ、おめーらってバチ持てるか? 太鼓のバチだ」
「頑張れば持てる気がしますー」
「よし、いっちょやってみますか」
翌日、俺はスライムたちとグリザード中を回って楽器を探した。取り扱ってる店はさすがにほとんどなかったけど、貴族相手に商売する店があったのでそこで太鼓に似た物を購入した。
バチを三本購入して、野原に移動して練習を始めることにする。
「おやびーん、おいらたちはどうすればいいです?」
「役割を分けよう。スラパチが太鼓を叩くだろ、スラミとスライレがバチをぶつけ合う」
スライムはバチを一本しか持てないので、一人じゃバチ叩きでカンカンした音は鳴らせないのだ。
試しに教えてやらせてみる。
「いきますよー」
「準備オーケーよ!」
「……任せて」
ドン、ドン、ドン、カカッカッカッ!
ドドン、ド、ドン、カカッカッカッ!
「うぉおおおおおお、いいじゃねえか!」
なにか日本の祭りを思い出してくる。ここに俺の発声を乗せて、何時間か練習した。すると、いつでも何回でも完璧な応援をできるまでに成長する。
満足してグリザードに帰ると、入り口のところで女性陣五人と出くわした。
「どっか行くのか?」
「いいところにいたわジャー。実はね、お父さんから魔物退治をお願いされたのよ」
ルシルいわく、父親、つまりフォード公爵から直接依頼を受けたらしい。つい先日、グリザードの近くの草原でケンタウロスの群れが発見され、放置するのは危険だと判断したとのこと。
「俺らも行くわ」
「ありがと!」
ケンタウロスは凶暴だと言うが、この五人なら何の問題もなく退治するだろう。だから俺は、応援に専念してスライムたちとの練習の成果を見せる。
移動すること二時間ほど、野原に着いたので魔物を探す。広いのでそう簡単には見つからないかもしれない。
ケンタウロスは上半身が人間、下半身が馬という肉食の魔物で、小動物や他の魔物を弓で狩って腹を満たすのだとか。
ウロウロしていると、十体ほどで小熊を追いかけ回しているのを発見した。全員上半身は五十代くらいの髭生やしたおっさんで、情報通り弓矢を扱うのもいれば、槍を手にしているのもいた。
しかし、どうも様子がおかしい。ゲラゲラ笑いながら小熊を追っているのだ。嗜虐的なんだろうね。狩り自体を楽しんでいるみたいだった。
「では、まず私が」
ビュッ、とイレーヌから射られた矢が飛んでいき、ケンタウロスの目玉に命中する。その見事な腕前に俺は拍手するわけだが、スラミから指摘が入る。
「ちょっとおやびん! 応援しなくていいの」
「あっ、そうだったわ」
やべえ、普通に忘れるところだった。あちらも俺たちに気づいて本格的に戦闘が開始されそうなので、声援を送る準備に入る。いや戦えよってツッコミが入りそうだけど、あいつらなら俺がいなくても余裕なはずだ。
クロエが雷纏剣で敵を斬り伏せ、ミーシャが風魔法で吹っ飛ばし、ルシルが多様な魔法で翻弄し、サラが大剣でばったばったと敵を始末していく。
俺はスライムと一緒に彼女たちにエールを送る。
フレーッ、ドン! フレーッ、ドン!
フレッフレッ、ドンドン! フレッフレッ、ドンドン!
「やれる、お前らが最強だ、フレーーッ」
結局、俺がフレーしか言わないうちに戦闘が終了した。これ応援必要ありました? くたばったケンタウロスどもを眺めながら俺は嘆息する。
「ご主人様、ありがとうございました。おかげで、誰も怪我することなく勝利を収められましたよ」
「イレーヌゥゥ……」
相変わらず良いやつだなー。他の皆も何だかんだで応援が力になったと口にしてくれる。もうやめようかと思ってたけど、まだ続けてみよう。
◇ ◆ ◇
盛り上げ師を名乗ることにしてから一週間が過ぎた。
俺は相変わらず、スライムと一緒になって誰かを応援し続けている。
イレーヌたちはもちろんのこと、冒険者のザックの依頼についていってドンドンやったり、元転生者のタケシのコスプレ店でフレーフレー叫んでみたり。
まあたまにはウザがられたけど、応援していて気がついたことがある。それは、人を本気で応援すると、そいつが成功したときに自分も嬉しくなるのだ。
スラパチがおもしろいことを言う。
「つまりよろこびは二倍ってやつですねー」
実はいま、スライムと一緒に空を飛んでパスタ先生のところへ向かうところだった。案外自分には向いていたと報告したくてな。
「人を盛り立ててると段々気持ちよくなってくるの、何だろうな」
「おやびんは、やっぱりむいてるんだと思いますー」
「あたしたちも楽しいわよね!」
「バチ叩くの……楽しい」
「おう、着いたぞ」
パスタ先生の自宅前に降りると、俺はとある違和感を覚えた。人がほとんどいないのである。前は行列ができていたってのに、もしや今日は休業日だろうか?
違う、ドアの前に答えがあった。『廃業しました』と貼り紙があって、俺は硬直した。
「おいおい、いきなり廃業ってどういうことだよ……」
とにかくドアをドンドンと叩いたところ、中からあの秘書の女性が出てきて、申し訳なさそうに頭を下げる。
「先生はもう、遠くの地へ旅立たれました」
「遠くって、なんで急に?」
「夢の中でお告げを聞いたらしく、自分の天職につくために出ていかれたのです」
人に職業アドバイスするのが天職じゃなかったのだろうか? ともあれ、俺はパスタ先生が何の職業についたのかを尋ねると、彼女は少しためらってから答える。
「山賊です」
「なんだって?」
「信じられないのも当然ですよね。私も止めたのです。でも先生は一度言い出したら聞かない人でして……もう一度言います。先生は山賊になるために旅立ちました」
冗談ではないようだ。しかしなんだって成功している職を捨てて自ら悪党に成り下がるのか、俺には理解不能だった。
「……先生は常日頃から葛藤を抱えていらっしゃいました。気軽に始めたこの商売が当たってしまい、人々から感謝されることに耐えられなかったのです」
「でも人々を幸せにしたのは事実じゃねえか。俺だって盛り上げ師のことを教えてもらった」
「全部テキトーです」
「は?」
「なにもかも、テキトーに先生は話していました。それらが奇跡的に、たまたま、連続して当たっていただけなのです」
にわかには信じがたいことだけど、それが真実なのだと秘書は話す。申し訳なさげに何度も頭を下げられては、俺も責める気をなくした。
もうパスタ先生はここには戻ってこないらしいので、俺はモヤモヤした気分のまま引き返すことに。
「おやびん、げんきだしてくださいね」
「あ、ああ、気を遣わせて悪いな。俺なら大丈夫だぜ、全然気にしてねえからさ」
というのは半分嘘で、本当はわりとショックを受けている。これから盛り上げ師として生きていこうと思ってたのに、なんなんだよパスタのやつ!
どこかで会うことがあったら、アルデンテに茹でて食っちまうからなーっ。
2 寄り道も悪くない
イレーヌっていうエルフは、本当に働き者だと俺はいつも感心している。料理だってなんだって上手だし、なにか新しいことを教えると真綿が水を吸うように覚えていくのだ。頭脳明晰な上に性格が素直なのが良いのかもしれない。
とある平日、イレーヌが買い物に行くっていうので俺も一緒についていくことにした。
「たまには荷物持ちくらいしねえとな」
「眠くないですか? 昨日は遅かったみたいですけど」
ザックやタケシといった悪友を家に招いて遅くまで飲んでいたのだ。
「平気だぜ。せっかくだし今日はいろいろ買ってくか」
「はい!」
今までの冒険のおかげで金はたっぷりあるので、そこまでお金にシビアにならなくてもいい。まずでっかい肉を買いに行く。もう塊で買っていく。猪、熊、牛、あとはオークの肉など。異空間に繋がってる黒袋の中へ放り込んでいく。
次は果物も購入する。
「ご主人様、果物は健康にいいらしいですよ。いっぱい食べてくださいね」
「ああ、でもイレーヌの方こそいっぱい食わなきゃダメだぞ。成長期なんだから」
胸はこれ以上大きくならなくていいんだけどね?
しかし、話をしているとイレーヌはかなり健康意識が高い。理由を訊けば、俺のためだからって言うから泣かせる。
「邪竜の体で強くても、無理をしたらやっぱりあとで辛い目にあうと思うんです。だから日頃の食べ物を気をつけるのがいいのかなって。でも勉強不足でよくわからなくて」
「すまねえ、いろいろと。俺がこっちの世界に来る前に読んだ本の知識で良ければ教えるわ」
健康に良い! と謳う本は腐るほどある。○○さえ食べれば健康になれる! とかな。でも結局のところ大事なのは、主観じゃなくて客観的な科学データなわけだ。
それでいくと、健康に良いと言い切れるものってのは相当に少なくなってくる。
「結局、五、六くらいしかないんだよ。野菜、魚、果物、ナッツ、オリーブオイルあたりだな」
「ナッツは、くるみなどですか?」
「カシューナッツ、アーモンド、くるみあたりらしい。あっ、あと茶色い炭水化物も良いって結果が出てるらしいぜ」
パンかと訊かれたので首を横に振っておく。食パンとか白米とか精製されたものは基本的に良くない。つっても、こっちの世界の精製技術は日本に比べれば甘いが。
「パンであれば、いわゆる全粒粉っていう小麦そのものをフルで使ったパンなんかだな」
米にしてもパンにしても、まずいところは抜いて美味いところだけを食う、ってのが俺たちのいた時代の食べ方だった。リンゴでいえば、皮剥いて中だけ食うみたいな感覚だろうか。
けど、それだと栄養が抜ける上、血糖値なんかが跳ね上がってしまう――と本には書いてあった。
基本的に俺は、人様の知識をドヤ顔で語るのが得意だったりする。
超かっこ悪いね、うん。
「やっぱりご主人様は頭が良いです! 普通、本で読んだ内容をそこまで覚えていませんよ」
「なんかしら自分に関係することは、忘れないのかもな。名前だけは、どうしても思い出せないんだけどよ」
「きっと、カッコいい名前だと思います」
どーかね。いまのもジャーだしな。日本行ったら絶対炊飯器と間違えられると思うんですけど。
と、ここでイレーヌがなにかに気を取られていることに気づく。視線の先には、キャピキャピと楽しそうにハシャギながら歩く少女たちがいた。
ルシルの通ってる魔術学校の生徒か。ああそうか、羨ましそうにするのも当然だよな。
「学校、通ってみたいか?」
「いえ、私は家事や買い出しをするのが好きですから。それに、クロエさんの冒険者稼業の手伝いもありますし」
イレーヌはよくクロエと一緒に依頼に出かける。将来の職業候補に冒険者も入っているのだろう。
「無理すんなって。冒険者やりながら魔術の勉強したっていいだろ。おまえの弓魔法は人間じゃ使える人が少ない。学校じゃ人気者になれると思うぜ」
「……でも」
「俺に任せておけばいいのよ」
「ありがとうございますっ」
イレーヌの表情がパァァと明るくなった。やはり通ってみたかったのだろう。
さて、イレーヌに負けず俺の顔もニタァとなる。
前方から見知った顔の美人がやってきたからだ。
「ようシエラ!」
「こんにちはシエラさん」
「あら」
シエラは冒険者ギルドで受付嬢として働くスーパークール美人でありながら、相当なレベルの召喚士でもある。神々の手下である天使グリエルに、このグリザードが襲われたときに活躍した人物の一人だ。
「これから出勤か、頑張れよ」
「貴方は、最近ギルドに来ないのね。別にいいけれど」
「まーそのうち行こうかね」
「待っているわ」
さて、買い物も済んだので自宅に帰ることにした。リビングに入ると、ルシルが本を読んでいたので、イレーヌが魔法学院に通えないかと相談をする。冒険者の活動などもあるので、本格的に毎日通うとかではなくて、時間のあるときに学べる形が望ましい。
「うちは基本、中途入学とかは認めてないのよね」
「やっぱ厳しいか」
「うーん、でも何とかなるかも。理事長に頼んでみるわね」
「すまんな、よろしく頼む」
ルシルはこれでなかなか交渉力がある少女だ。案外上手くやってくれるかもな。期待してるぜ。
安心したのでソファーに俯せになり、スライムたちに背中でジャンプしてもらう。
この適度な刺激がマッサージになるのだ。
「そういえばおやびーん」
「なんだ~?」
「サラさんが、おやびんのことを探してましたよ? ついさっき外に出かけていきました」
サラは別大陸から来たばかりなので、まだわからないことも多いはずだ。俺に聞きたいことがあっても不思議じゃない。
「んじゃ、ちょっと行ってくるわ」
「おいらたちもいきますー!」
「よっしゃ、行くぞ」
スライム三体を連れて俺は街へ繰り出す。銀髪で大剣背負った少女ってのは珍しいので、通行人に尋ねながら行けばすぐに場所を特定できるだろう。
ちょうど武器屋から出てきたサラと会うことができた。
「一人で買い物か」
「いえ、今日は武器の手入れを。ちょうどいま終わったので、これから少し狩りに行こうと思ってました。ジャーを探していたのは、歯ごたえのある魔物がいる場所なんかを教えてほしかったのです」
「そういうことな」
グリザード周辺は比較的弱い魔物が多い。ゴブリンあたりじゃ雑魚すぎて、相手にならないってことだろう。
「それなら良い場所があるわよ。おやびんたちがいなくなってから、魔物が活性化してたところがあるの」
スラミが言うには、そこそこ強い魔物もいるらしいので、俺たちはその場所へ向かうことにした。
「お客様、初めてですよね?」
「おう」
「ウチのパスタ先生は人を見抜く目が半端じゃないので、一目見ただけで適職をお当てになります。驚かないでくださいね」
「パスタ先生って名前に驚きそうなんですけど」
「なにかおかしいですか?」
ああそうか、発音が似ているだけで食べ物のパスタを指しているわけじゃないんだよな。それでも噴き出しそう。
廊下の奥に広い部屋があり、そこの中央に机と椅子を置き、パスタ先生が腕を組んで座っていた。
年齢は意外にも二十代半ばくらいの女性だった。こんな若い女に適職判断なんてできるのかと疑問を覚えた刹那、彼女が口を開いた。
「盛り上げ師」
「……ん? なにか言った?」
「貴方の適職、申し上げました」
「パスタ先生は、盛り上げ師が貴方の適職だとご判断なさいました」
秘書が真面目な顔で告げるのだが、俺としては素直に受け入れられない。なんなの盛り上げ師って……
「ご説明しますので、お座りください」
従って、パスタ先生の前に座る。
「盛り上げ師とは、サポート職に当たるものです。頑張っている人に対して、励ましの言葉をかけたり笑顔を向けたりするのです」
「パスタ先生、ふざけてる?」
「ふざけてなどいません。貴方も経験がありませんか? もう休みたいと思ったときの頑張れの一言。それで踏ん張れたことがあるはずです」
なくはないが、疲れたときは素直に休ませてくれたっていいんじゃないの。
「人の気分を盛り上げることに貴方は長けてます。というか向いています。そのように生きてはどうでしょう。現在のお仕事は?」
「特に定まったものはなく、ブラブラと」
「では今日から人に職業を訊かれたら、盛り上げ師と名乗りましょう」
とんでもない罰ゲームが来ちゃったよおい……
でもパスタ先生は至って真剣なので、俺も反論しづらい。結局押し切られて、俺は本日より盛り上げ師を名乗ることとなった。
パスタ先生いわく、ハイテンションでいることがまず大事らしい。そして、恥を捨てることも忘れちゃいけないとか。意外と大変そうで困る。
◇ ◆ ◇
スライムたちと空を十分楽しんでから自宅に帰る。陽は落ちてすっかり夜になっちまったな。自宅に帰ると、イレーヌやサラがご飯作りに忙しそうに動いている。
ルシルとミーシャはなにか恋バナっぽいのに花を咲かせ、クロエは庭で剣を振っていた。
俺がソファーに座ってぼんやりしていると、スラミが話しかけてくる。
「ねえおやびん、本当に盛り上げ師なんてのになるわけ?」
「それなんだけどよ……どうなんだろな」
「別におやびんは無職だってかっこいいと思うわよ」
「おいらも、そうおもいます! おやびんはむしょくでもかっこいいです!」
「無職のおやびん……かっこいい……」
うん、みんなあんがとな。だが無職連呼されると、俺のハートが若干痛くなってきたぜ。
しかしまあ、自分の人生を振り返れば、俺は誰かを真剣に応援するってことをしなかったように思う。
運動会でも人が走ってるときは耳ほじってたし、スポーツ観戦でも声援を送るなんてことはほぼなかったかも。
そこで俺は立ち上がって、キッチンに向かう。テキパキとイレーヌが料理をして、サラがそれを見て技術を吸収しようと真剣だった。二人とも若いってのに健気だね。
俺が十代のときなんて、楽することしか考えてなかったってのによ。
「二人とも頑張ってんなー」
「ご主人様、もうすぐできますよ」
「わたしも、少しだけど手伝ってます。ジャーにも食べてほしいです」
「おう。そんじゃ、そんな二人に俺からこれを贈らせてもらう」
俺は大きく息を吸う。応援のやり方なんてわからないので、昔見たものを見様見真似で行う。
「フレー、フレー、イレーヌ! フレー、フレー、サーラ! フレッフレッイレーヌ、フレッフレッサーラ」
適当に手を水平に動かしたりして応援団長みたいな真似事を行う。一分くらい続けたら二人ともきょとんとした顔をしていたな。
そしてとんでもなく恥ずかしいんですけどこれー! 馬鹿にされることも覚悟したんだけど、意外にも二人の言葉は温かいものだった。
「いいですね! なんだか私、元気出てきちゃいました」
「わたしも。リズムもよくて、背中を押される感じがしました」
「マジか……」
でもこの二人はだいぶ優しいからな。遠慮しているって可能性もある。そこで俺は庭に出て、今度は汗を流しながら素振りするクロエを応援してみた。
同じようにフレーフレーと声をかけると、心なしかクロエの振りが鋭く、力強さが増したような気がした。
「いまのはなんなのだ? なんだか、すごく力が湧いてきたのだが」
「エッ、マジで言ってんの?」
「うむ、本気だよ。今、実は疲れててもう練習をやめようと考えていたのだ。しかし応援されてからまた力が湧いたようだった」
冗談でもお世辞でもない。クロエは真面目に話している。となると、パスタ先生が言うように、俺には本当に盛り上げの才能があるのだろうか?
部屋に戻り、キャッキャはしゃいでいるスラパチたちに俺は話しかける。
「なあ、おめーらってバチ持てるか? 太鼓のバチだ」
「頑張れば持てる気がしますー」
「よし、いっちょやってみますか」
翌日、俺はスライムたちとグリザード中を回って楽器を探した。取り扱ってる店はさすがにほとんどなかったけど、貴族相手に商売する店があったのでそこで太鼓に似た物を購入した。
バチを三本購入して、野原に移動して練習を始めることにする。
「おやびーん、おいらたちはどうすればいいです?」
「役割を分けよう。スラパチが太鼓を叩くだろ、スラミとスライレがバチをぶつけ合う」
スライムはバチを一本しか持てないので、一人じゃバチ叩きでカンカンした音は鳴らせないのだ。
試しに教えてやらせてみる。
「いきますよー」
「準備オーケーよ!」
「……任せて」
ドン、ドン、ドン、カカッカッカッ!
ドドン、ド、ドン、カカッカッカッ!
「うぉおおおおおお、いいじゃねえか!」
なにか日本の祭りを思い出してくる。ここに俺の発声を乗せて、何時間か練習した。すると、いつでも何回でも完璧な応援をできるまでに成長する。
満足してグリザードに帰ると、入り口のところで女性陣五人と出くわした。
「どっか行くのか?」
「いいところにいたわジャー。実はね、お父さんから魔物退治をお願いされたのよ」
ルシルいわく、父親、つまりフォード公爵から直接依頼を受けたらしい。つい先日、グリザードの近くの草原でケンタウロスの群れが発見され、放置するのは危険だと判断したとのこと。
「俺らも行くわ」
「ありがと!」
ケンタウロスは凶暴だと言うが、この五人なら何の問題もなく退治するだろう。だから俺は、応援に専念してスライムたちとの練習の成果を見せる。
移動すること二時間ほど、野原に着いたので魔物を探す。広いのでそう簡単には見つからないかもしれない。
ケンタウロスは上半身が人間、下半身が馬という肉食の魔物で、小動物や他の魔物を弓で狩って腹を満たすのだとか。
ウロウロしていると、十体ほどで小熊を追いかけ回しているのを発見した。全員上半身は五十代くらいの髭生やしたおっさんで、情報通り弓矢を扱うのもいれば、槍を手にしているのもいた。
しかし、どうも様子がおかしい。ゲラゲラ笑いながら小熊を追っているのだ。嗜虐的なんだろうね。狩り自体を楽しんでいるみたいだった。
「では、まず私が」
ビュッ、とイレーヌから射られた矢が飛んでいき、ケンタウロスの目玉に命中する。その見事な腕前に俺は拍手するわけだが、スラミから指摘が入る。
「ちょっとおやびん! 応援しなくていいの」
「あっ、そうだったわ」
やべえ、普通に忘れるところだった。あちらも俺たちに気づいて本格的に戦闘が開始されそうなので、声援を送る準備に入る。いや戦えよってツッコミが入りそうだけど、あいつらなら俺がいなくても余裕なはずだ。
クロエが雷纏剣で敵を斬り伏せ、ミーシャが風魔法で吹っ飛ばし、ルシルが多様な魔法で翻弄し、サラが大剣でばったばったと敵を始末していく。
俺はスライムと一緒に彼女たちにエールを送る。
フレーッ、ドン! フレーッ、ドン!
フレッフレッ、ドンドン! フレッフレッ、ドンドン!
「やれる、お前らが最強だ、フレーーッ」
結局、俺がフレーしか言わないうちに戦闘が終了した。これ応援必要ありました? くたばったケンタウロスどもを眺めながら俺は嘆息する。
「ご主人様、ありがとうございました。おかげで、誰も怪我することなく勝利を収められましたよ」
「イレーヌゥゥ……」
相変わらず良いやつだなー。他の皆も何だかんだで応援が力になったと口にしてくれる。もうやめようかと思ってたけど、まだ続けてみよう。
◇ ◆ ◇
盛り上げ師を名乗ることにしてから一週間が過ぎた。
俺は相変わらず、スライムと一緒になって誰かを応援し続けている。
イレーヌたちはもちろんのこと、冒険者のザックの依頼についていってドンドンやったり、元転生者のタケシのコスプレ店でフレーフレー叫んでみたり。
まあたまにはウザがられたけど、応援していて気がついたことがある。それは、人を本気で応援すると、そいつが成功したときに自分も嬉しくなるのだ。
スラパチがおもしろいことを言う。
「つまりよろこびは二倍ってやつですねー」
実はいま、スライムと一緒に空を飛んでパスタ先生のところへ向かうところだった。案外自分には向いていたと報告したくてな。
「人を盛り立ててると段々気持ちよくなってくるの、何だろうな」
「おやびんは、やっぱりむいてるんだと思いますー」
「あたしたちも楽しいわよね!」
「バチ叩くの……楽しい」
「おう、着いたぞ」
パスタ先生の自宅前に降りると、俺はとある違和感を覚えた。人がほとんどいないのである。前は行列ができていたってのに、もしや今日は休業日だろうか?
違う、ドアの前に答えがあった。『廃業しました』と貼り紙があって、俺は硬直した。
「おいおい、いきなり廃業ってどういうことだよ……」
とにかくドアをドンドンと叩いたところ、中からあの秘書の女性が出てきて、申し訳なさそうに頭を下げる。
「先生はもう、遠くの地へ旅立たれました」
「遠くって、なんで急に?」
「夢の中でお告げを聞いたらしく、自分の天職につくために出ていかれたのです」
人に職業アドバイスするのが天職じゃなかったのだろうか? ともあれ、俺はパスタ先生が何の職業についたのかを尋ねると、彼女は少しためらってから答える。
「山賊です」
「なんだって?」
「信じられないのも当然ですよね。私も止めたのです。でも先生は一度言い出したら聞かない人でして……もう一度言います。先生は山賊になるために旅立ちました」
冗談ではないようだ。しかしなんだって成功している職を捨てて自ら悪党に成り下がるのか、俺には理解不能だった。
「……先生は常日頃から葛藤を抱えていらっしゃいました。気軽に始めたこの商売が当たってしまい、人々から感謝されることに耐えられなかったのです」
「でも人々を幸せにしたのは事実じゃねえか。俺だって盛り上げ師のことを教えてもらった」
「全部テキトーです」
「は?」
「なにもかも、テキトーに先生は話していました。それらが奇跡的に、たまたま、連続して当たっていただけなのです」
にわかには信じがたいことだけど、それが真実なのだと秘書は話す。申し訳なさげに何度も頭を下げられては、俺も責める気をなくした。
もうパスタ先生はここには戻ってこないらしいので、俺はモヤモヤした気分のまま引き返すことに。
「おやびん、げんきだしてくださいね」
「あ、ああ、気を遣わせて悪いな。俺なら大丈夫だぜ、全然気にしてねえからさ」
というのは半分嘘で、本当はわりとショックを受けている。これから盛り上げ師として生きていこうと思ってたのに、なんなんだよパスタのやつ!
どこかで会うことがあったら、アルデンテに茹でて食っちまうからなーっ。
2 寄り道も悪くない
イレーヌっていうエルフは、本当に働き者だと俺はいつも感心している。料理だってなんだって上手だし、なにか新しいことを教えると真綿が水を吸うように覚えていくのだ。頭脳明晰な上に性格が素直なのが良いのかもしれない。
とある平日、イレーヌが買い物に行くっていうので俺も一緒についていくことにした。
「たまには荷物持ちくらいしねえとな」
「眠くないですか? 昨日は遅かったみたいですけど」
ザックやタケシといった悪友を家に招いて遅くまで飲んでいたのだ。
「平気だぜ。せっかくだし今日はいろいろ買ってくか」
「はい!」
今までの冒険のおかげで金はたっぷりあるので、そこまでお金にシビアにならなくてもいい。まずでっかい肉を買いに行く。もう塊で買っていく。猪、熊、牛、あとはオークの肉など。異空間に繋がってる黒袋の中へ放り込んでいく。
次は果物も購入する。
「ご主人様、果物は健康にいいらしいですよ。いっぱい食べてくださいね」
「ああ、でもイレーヌの方こそいっぱい食わなきゃダメだぞ。成長期なんだから」
胸はこれ以上大きくならなくていいんだけどね?
しかし、話をしているとイレーヌはかなり健康意識が高い。理由を訊けば、俺のためだからって言うから泣かせる。
「邪竜の体で強くても、無理をしたらやっぱりあとで辛い目にあうと思うんです。だから日頃の食べ物を気をつけるのがいいのかなって。でも勉強不足でよくわからなくて」
「すまねえ、いろいろと。俺がこっちの世界に来る前に読んだ本の知識で良ければ教えるわ」
健康に良い! と謳う本は腐るほどある。○○さえ食べれば健康になれる! とかな。でも結局のところ大事なのは、主観じゃなくて客観的な科学データなわけだ。
それでいくと、健康に良いと言い切れるものってのは相当に少なくなってくる。
「結局、五、六くらいしかないんだよ。野菜、魚、果物、ナッツ、オリーブオイルあたりだな」
「ナッツは、くるみなどですか?」
「カシューナッツ、アーモンド、くるみあたりらしい。あっ、あと茶色い炭水化物も良いって結果が出てるらしいぜ」
パンかと訊かれたので首を横に振っておく。食パンとか白米とか精製されたものは基本的に良くない。つっても、こっちの世界の精製技術は日本に比べれば甘いが。
「パンであれば、いわゆる全粒粉っていう小麦そのものをフルで使ったパンなんかだな」
米にしてもパンにしても、まずいところは抜いて美味いところだけを食う、ってのが俺たちのいた時代の食べ方だった。リンゴでいえば、皮剥いて中だけ食うみたいな感覚だろうか。
けど、それだと栄養が抜ける上、血糖値なんかが跳ね上がってしまう――と本には書いてあった。
基本的に俺は、人様の知識をドヤ顔で語るのが得意だったりする。
超かっこ悪いね、うん。
「やっぱりご主人様は頭が良いです! 普通、本で読んだ内容をそこまで覚えていませんよ」
「なんかしら自分に関係することは、忘れないのかもな。名前だけは、どうしても思い出せないんだけどよ」
「きっと、カッコいい名前だと思います」
どーかね。いまのもジャーだしな。日本行ったら絶対炊飯器と間違えられると思うんですけど。
と、ここでイレーヌがなにかに気を取られていることに気づく。視線の先には、キャピキャピと楽しそうにハシャギながら歩く少女たちがいた。
ルシルの通ってる魔術学校の生徒か。ああそうか、羨ましそうにするのも当然だよな。
「学校、通ってみたいか?」
「いえ、私は家事や買い出しをするのが好きですから。それに、クロエさんの冒険者稼業の手伝いもありますし」
イレーヌはよくクロエと一緒に依頼に出かける。将来の職業候補に冒険者も入っているのだろう。
「無理すんなって。冒険者やりながら魔術の勉強したっていいだろ。おまえの弓魔法は人間じゃ使える人が少ない。学校じゃ人気者になれると思うぜ」
「……でも」
「俺に任せておけばいいのよ」
「ありがとうございますっ」
イレーヌの表情がパァァと明るくなった。やはり通ってみたかったのだろう。
さて、イレーヌに負けず俺の顔もニタァとなる。
前方から見知った顔の美人がやってきたからだ。
「ようシエラ!」
「こんにちはシエラさん」
「あら」
シエラは冒険者ギルドで受付嬢として働くスーパークール美人でありながら、相当なレベルの召喚士でもある。神々の手下である天使グリエルに、このグリザードが襲われたときに活躍した人物の一人だ。
「これから出勤か、頑張れよ」
「貴方は、最近ギルドに来ないのね。別にいいけれど」
「まーそのうち行こうかね」
「待っているわ」
さて、買い物も済んだので自宅に帰ることにした。リビングに入ると、ルシルが本を読んでいたので、イレーヌが魔法学院に通えないかと相談をする。冒険者の活動などもあるので、本格的に毎日通うとかではなくて、時間のあるときに学べる形が望ましい。
「うちは基本、中途入学とかは認めてないのよね」
「やっぱ厳しいか」
「うーん、でも何とかなるかも。理事長に頼んでみるわね」
「すまんな、よろしく頼む」
ルシルはこれでなかなか交渉力がある少女だ。案外上手くやってくれるかもな。期待してるぜ。
安心したのでソファーに俯せになり、スライムたちに背中でジャンプしてもらう。
この適度な刺激がマッサージになるのだ。
「そういえばおやびーん」
「なんだ~?」
「サラさんが、おやびんのことを探してましたよ? ついさっき外に出かけていきました」
サラは別大陸から来たばかりなので、まだわからないことも多いはずだ。俺に聞きたいことがあっても不思議じゃない。
「んじゃ、ちょっと行ってくるわ」
「おいらたちもいきますー!」
「よっしゃ、行くぞ」
スライム三体を連れて俺は街へ繰り出す。銀髪で大剣背負った少女ってのは珍しいので、通行人に尋ねながら行けばすぐに場所を特定できるだろう。
ちょうど武器屋から出てきたサラと会うことができた。
「一人で買い物か」
「いえ、今日は武器の手入れを。ちょうどいま終わったので、これから少し狩りに行こうと思ってました。ジャーを探していたのは、歯ごたえのある魔物がいる場所なんかを教えてほしかったのです」
「そういうことな」
グリザード周辺は比較的弱い魔物が多い。ゴブリンあたりじゃ雑魚すぎて、相手にならないってことだろう。
「それなら良い場所があるわよ。おやびんたちがいなくなってから、魔物が活性化してたところがあるの」
スラミが言うには、そこそこ強い魔物もいるらしいので、俺たちはその場所へ向かうことにした。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】20年後の真実
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。
マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。
それから20年。
マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。
そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。
おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。
全4話書き上げ済み。
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません
きぬがやあきら
恋愛
「妻はお妃様一人とお約束されたそうですが、今でもまだ同じことが言えますか?」
「正直なところ、不安を感じている」
久方ぶりに招かれた故郷、セレンティア城の月光満ちる庭園で、アシュレイは信じ難い光景を目撃するーー
激闘の末、王座に就いたアルダシールと結ばれた、元セレンティア王国の王女アシュレイ。
アラウァリア国では、新政権を勝ち取ったアシュレイを国母と崇めてくれる国民も多い。だが、結婚から2年、未だ後継ぎに恵まれないアルダシールに側室を推す声も上がり始める。そんな頃、弟シュナイゼルから結婚式の招待が舞い込んだ。
第2幕、連載開始しました!
お気に入り登録してくださった皆様、ありがとうございます! 心より御礼申し上げます。
以下、1章のあらすじです。
アシュレイは前世の記憶を持つ、セレンティア王国の皇女だった。後ろ盾もなく、継母である王妃に体よく追い出されてしまう。
表向きは外交の駒として、アラウァリア王国へ嫁ぐ形だが、国王は御年50歳で既に18人もの妃を持っている。
常に不遇の扱いを受けて、我慢の限界だったアシュレイは、大胆な計画を企てた。
それは輿入れの道中を、自ら雇った盗賊に襲撃させるもの。
サバイバルの知識もあるし、宝飾品を処分して生き抜けば、残りの人生を自由に謳歌できると踏んでいた。
しかし、輿入れ当日アシュレイを攫い出したのは、アラウァリアの第一王子・アルダシール。
盗賊団と共謀し、晴れて自由の身を望んでいたのに、アルダシールはアシュレイを手放してはくれず……。
アシュレイは自由と幸福を手に入れられるのか?
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
没落した貴族家に拾われたので恩返しで復興させます
六山葵
ファンタジー
生まれて間も無く、山の中に捨てられていた赤子レオン・ハートフィリア。
彼を拾ったのは没落して平民になった貴族達だった。
優しい両親に育てられ、可愛い弟と共にすくすくと成長したレオンは不思議な夢を見るようになる。
それは過去の記憶なのか、あるいは前世の記憶か。
その夢のおかげで魔法を学んだレオンは愛する両親を再び貴族にするために魔法学院で魔法を学ぶことを決意した。
しかし、学院でレオンを待っていたのは酷い平民差別。そしてそこにレオンの夢の謎も交わって、彼の運命は大きく変わっていくことになるのだった。
※2025/12/31に書籍五巻以降の話を非公開に変更する予定です。
詳細は近況ボードをご覧ください。
魔王を倒した手柄を横取りされたけど、俺を処刑するのは無理じゃないかな
七辻ゆゆ
ファンタジー
「では罪人よ。おまえはあくまで自分が勇者であり、魔王を倒したと言うのだな?」
「そうそう」
茶番にも飽きてきた。処刑できるというのなら、ぜひやってみてほしい。
無理だと思うけど。
お前は家から追放する?構いませんが、この家の全権力を持っているのは私ですよ?
水垣するめ
恋愛
「アリス、お前をこのアトキンソン伯爵家から追放する」
「はぁ?」
静かな食堂の間。
主人公アリス・アトキンソンの父アランはアリスに向かって突然追放すると告げた。
同じく席に座っている母や兄、そして妹も父に同意したように頷いている。
いきなり食堂に集められたかと思えば、思いも寄らない追放宣言にアリスは戸惑いよりも心底呆れた。
「はぁ、何を言っているんですか、この領地を経営しているのは私ですよ?」
「ああ、その経営も最近軌道に乗ってきたのでな、お前はもう用済みになったから追放する」
父のあまりに無茶苦茶な言い分にアリスは辟易する。
「いいでしょう。そんなに出ていって欲しいなら出ていってあげます」
アリスは家から一度出る決心をする。
それを聞いて両親や兄弟は大喜びした。
アリスはそれを哀れみの目で見ながら家を出る。
彼らがこれから地獄を見ることを知っていたからだ。
「大方、私が今まで稼いだお金や開発した資源を全て自分のものにしたかったんでしょうね。……でもそんなことがまかり通るわけないじゃないですか」
アリスはため息をつく。
「──だって、この家の全権力を持っているのは私なのに」
後悔したところでもう遅い。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。