99 / 112
7巻
7-3
しおりを挟む
街を出て飛んでいく。背中にスライムが乗り、サラは俺の両手にぶら下がる形での移動だ。グリザードの近くにはグリザード河川という大きな水の流れがあるのだが、そこの水系魔物が凶暴になっているようだ。
釣りに来た人間を襲うわ、退治に来た冒険者を返り討ちにするわ、なかなか強いとのこと。
到着すると、河川近くをみんなで移動してみる。そのうち、ザバァァと水の中からなにかが跳び上がって俺らの前に着地した。
「ゴォォオオオオ!」
体長五メートルはあろうかというワニの魔物が大口を開いて咆哮してくる。強靱そうな顎と噛まれたらタダじゃ済まなそうな牙、それらを見せて威嚇しているつもりだろうか。
サイズがデカいので一般人なら怯むだろうが、サラは逆にワクワクした顔をしている。このへん、根っからの戦闘人だな。
「きをつけてください、そのマモノは口からいろいろだすみたいです!」
「教えてくれてありがとうございます」
スラパチの助言に礼を述べ、サラが大剣を構える。
睨み合いが十秒ほど続き、ついに先にワニが仕掛けた。ガチン! と歯を鳴らしてワニが噛みつこうとするが、空振りだ。サラはすでに上に跳躍していて、落下ついでに大剣をズドンと振り下ろす。
衝撃波みたいなのが発生して、巨大ワニの口どころか胴体まで二つに裂けた。真っ赤な血肉を晒しながら一瞬で死亡する。
「相変わらずの威力でなんか安心した」
「いまのは軽めだったので、耐えてほしかったのですけどね」
「うーん……」
戦いの女神に愛されてんなこいつ。
ワニの肉は、使えそうな部分は切り取って黒袋に入れておく。
しばらく歩くと、今度はまた別の魔物が登場だ。
タツノオトシゴが川からジャンプして、水をすごい勢いで噴射する水砲を放ってくる。ただの水とはいえ、当たったら怪我くらいはする。
「おやびん、おいらたちがやります!」
「見ててね、これがあたしたちの修業の成果よ」
「変・身」
なんとスラパチたちは合体するようだ。一メートルくらいあるビッグスライムに変身したので、俺は拍手した。
「やるじゃねえか」
「まだまだです。ここからがおいらたちのホンリョウハッキです」
口調がスラパチっぽいし色も青なので、スラパチがベースみたいだ。進化スラパチとでも名付けよう。
その進化スラパチだが、戦闘力もちゃんと上がっているみたいだ。タツノオトシゴが噴射した水砲に対抗して、こちらも液体を吐き出す。飛距離は十メートルくらいは余裕であるな。
相手の水砲に威力で勝り、そのまま魔物に液体がかかった。お、なんか水中でめちゃくちゃ苦しんでるな。
体が溶けていっているらしい。やがてタツノオトシゴは浮いたまま動かなくなった。
「酸か?」
「そうですよ~。硬い魔物でも溶かしますー!」
「へえ、強くなったな」
「おやびんに守られてばかりではふがいないですから」
他にも特技はあるようで、斬撃、打撃にも強くなっているとか。
「こういうこともできます」
びちゃ、と不定形な水たまりみたいになったかと思うや、そのまま地面を移動したりする。逆に硬質になることもできる。丸くなった状態で投げてみてくれと言われたので従う。
近くの大きい岩に全力で投げつけたら、ヒビが入って形が崩壊してしまった。もちろん、岩の方がである。
「全然体は痛くねえの?」
「はい、ぴんぴんです」
うん、これは普通に戦闘に役立ちそうだ。
一時間はビッグスライム状態を維持できるというので、相当な進化だと思う。これなら俺がいなくても、他のやつらにイジメられるってことは減りそうで安心した。
「おもしろいものも見れたし、そろそろ帰ろうかね」
今晩はさっきのワニ肉でも食べてみようか。
自宅に帰ると、ルシルから報告があった。
「イレーヌの学校の件、話してみたわよ」
さっそく交渉をしてきてくれたとのこと。行動が早くて助かるね。
「いけそうか?」
「理事長が、男祭りで優勝できたら特別待遇を認めるだってさ」
「男祭り?」
妙な響きに首を傾げると、ルシルが教えてくれる。
年に一回、男性だけが参加できるバトルロイヤルなのだとか。全員敵、という状態で戦って最後に残ったやつが優勝。
優勝すると、なんと学校中の女性からキスされるというから俺は驚いたね。なんつーイベントだよ。
「まあキスって言っても、嫌な子は手の甲とか服とかにでもいいのよ」
「いや、それでもすげーけどな」
「まあね、大抵の人は勝利を称えてほっぺたにするし」
「思春期の男子にはそれでもご褒美だろうな。それで俺も参加していいんだな?」
「優勝してくれないと、イレーヌの件は無理よ」
「オーケー」
男祭りは来週。魔法学院らしく魔法対戦。
竜式魔法といままでの戦闘経験を活かせば優勝は間違いないだろう。さすがに学生相手に負けるわけにはいかない。
しかし、そんなイベントを毎年許容している理事長ってのもすごい人だわ。
「ご主人様、よろしくお願いしますね」
「イレーヌ、任せておけ。それよりサラがワニ仕留めたんだけど、焼けるかな」
「それなら、今日は庭ででも食べますか?」
「いいねー、じゃあ準備するわ」
天候も悪くないので庭でバーベキューでも楽しもうか。
ワイワイ食った方がなんだかんだで美味いからな。
◇ ◆ ◇
俺は丸薬で邪竜に戻れるようになったわけだが、丸薬の残りは限られているし時間制限もある。だから丸薬なしでも戻れるように、毎日寝る前にイメージトレーニングはしているんだが、部分的に邪竜化するくらいはできるようになったんだよな。まあ元が邪竜なので邪竜化ってのは変だけど、人化に慣れちまったからな。
ともあれ本日もミーシャと一緒に草原に来て、体を戻す訓練をしている。
ミーシャは獣人なので、爪を長くしたりといった肉体変化は起こせる。そこでアドバイスを受けているわけだ。
「なんかこうさー、あれだよ。体の芯から力が噴き出て、それが溢れ出すイメージをアタシはいつも持ってるにゃー」
なんとなく感覚はわかる。俺も翼、尻尾、両手までは自由に変形できるんだから、あと一歩ではあるはずなんだよ。
「完全体のときの胴体と頭を想像してみたら?」
「やってみる」
あの銀色で何者の攻撃も受け付けない肉体、そして多種のブレスを操る頭部。噛みつき攻撃も得意だった。
どうせなので人間や魔物との戦闘シーンを思い浮かべる。槍で刺されてもビクともしなかったこと、魔王をブレスで倒したときのことなど。
「あーっ、少し戻ってきてるにゃ!」
「おお……」
足から腹にかけて変化している。頭はどうかとミーシャに尋ねてみる。
「なりかけて……人間に戻って……なりかけて……」
どうやら邪竜と人を行き来しているみてえ。ここは要練習だろう。一時間くらい頑張ってみる。
結果、ミーシャに爆笑される結果となった。
「プププ! それ、変すぎるにゃん!」
「どこが?」
「首から下だけ邪竜なんだもん!」
頭は人間、体は邪竜! なにそれ? ちょっとしたホラーじゃん。ブレス吐こうとしても吐息しかできねえよ。
これもう新種の魔物として登録するのもありかも。
「ちっ、今日はここまでか。俺の心がもう休めって言ってやがる」
「賛成。美味しい物食べにいこ~」
「じゃ背中に乗ってくれ。薬使って感覚を覚えておくわ」
丸薬を呑む。果てしないパワーが漲ってくる。完全体に戻ると、肉体の奥底から来るなにかを抑えきれず咆吼。
「ヌォォオオオオオオオ!!」
「うわっ、すっごい迫力。かっこいいじゃんジャー」
「ふー、この感じを忘れないようにしよう」
「お邪魔するにゃ」
ミーシャが背中に乗ったので、そのままグリザード方面へ飛び立つ。やはり人間状態とは飛行速度も違う。
あっちが気球ならこっちはさしずめ飛行機かね。街に着いたら腹が減っていたので、大通りで飲食店を探す。
「ジャー、あれ見て」
「んーいい店でも見つかったか?」
「違うってば、あの囲まれてるのスラちゃんたちじゃん」
本当だ、スラパチたち三体が子供に囲まれてるな。スライムってことで、からかわれているのかもしれない。俺は急いで駆けつける。
「おい、そのスライムは俺の従魔なんだ。怪我させたりするんじゃ……」
言葉が詰まったのは、俺の想像していた扱いと現実が違ったからだ。十歳前後の男女が愛おしそうにスラパチたちを抱っこしたり、頭を撫でたりしている。
「あ、おやびーん。おかえりですかー」
「スラパチ、いじめられてたわけじゃないんだな?」
「はい、みんなといっしょにあそんでました」
「あたしたち、最近人気者なのよ。おやびんほどじゃないけどね!」
スラミがウインクをする。スライムたちが子供たちから人気なことに、俺は素直に納得した。普通に見た目も性格も可愛いからなこいつら。そもそもいままで人気出てなかった方が不思議なくらいだ。
「あー! そっちの姉ちゃん、耳生えてる!」
「えーっ、獣人なのっ」
子供たちがミーシャを指さして驚く。グリザードに獣人はほとんどいないので、騒ぐ気持ちもわからんでもない。
「え? あー、あはは、どうかにゃ~」
「猫だ、ぜったい猫だよ!」
「お姉ちゃん耳さわらしてー。一生のお願いだからー」
「なに、獣人だからって馬鹿にしたりしないの?」
ミーシャがそう言うと、子供たちは不思議そうな顔をする。獣人は差別されがちだけど、そんな概念すらこの子供たちには存在しない。
それに気分を良くしたようで、ミーシャもしゃがんで耳や尻尾を触らせる。スライムと同じくらい人気だ。
この人気者の中にいると、俺だけ場違いな気がしてくるな。一応俺も銀竜教徒には凄まじい人気を誇るのだが、やはり純粋な子供人気が欲しい気もする。
「俺もさ、結構珍しい頭してると思わねえ? 銀色とかあんまいないでしょ?」
「いないねー」
「特別に今日は、触ってもいいんだぞ」
「けっこう」
急に大人みたいな口調で冷たくあしらわれました。なにそれ、どうして俺にだけそんな冷たいんだよ。
俺だって尻尾とか生えるんだけどね。普通に落ち込むわぁ……
「ねーねー、スラちゃん。おうち来てもらえない?」
七、八歳くらいの女の子がスライレにそうお願いする。
「……ボク? どうして……?」
「お姉ちゃんがね、びょうきでお外でれないの。スライムが大好きだから、来てくれたら元気になるかなぁって。お願い」
手を合わせて頼み込まれたスライレは、ぴょんぴょんと跳ねて俺の足下にやってくる。
「おやびん。行ってもいい?」
「もちろん。一応保護者的なあれで俺らも行ってもいいかね」
「うん、お兄ちゃんたちも来ていいよっ」
そう女の子に許可をもらった。スライムたちを騙して拉致するとかはないと思うが、念のために俺とミーシャも同行する。
全員で女の子の家に向かう。女の子は、ミアって名前だと教えてくれた。
「ミアの姉ちゃんはなんの病気なのよ?」
「うーんとね、いっぱい熱がでて、血も吐いちゃうんだ……それから肌にいっぱいボツボツがでるの」
子供だから病名はわからないのだろう。ミーシャは心当たりがあるのか、険しい表情をする。
「悪熱痘瘡かも。だったら、ちょっと良くない……」
症状を教えてもらうと天然痘に似ているとわかった。ただ感染力は非常に弱いので、それが唯一の救いだとか。突然発症することが多く、原因もよくわかっていない。
ミアの家は、裏通りの隅っこにひっそりと佇んでいた。お世辞にも立派ではなく、住民の平均を下回る暮らしをしているのは容易に想像できた。
ドアを開けると古くなった蝶番がギィと耳に優しくない音を鳴らす。両親は仕事に出ているらしく、居間には誰もいない。ミアに案内されて奥の部屋にみんなで移動する。
「……ミ……ア?」
「お姉ちゃん、スライム連れてきたよ!」
元気そうにミアは言うが、俺たちは同じようにはできない。ベッドに寝ていた少女の容体は相当に悪い。顔を含めて体中に包帯が巻かれているのだが、至るところが膿と血で汚れていた。
顔立ちもよくわからない。呼吸も荒いな。
「スライム……連れてきたって?」
「前にまちで見つけたって言ったでしょ? 今日お願いして家まで来てもらったんだ」
ミアに抱っこされて、スライレがお姉ちゃんと会話をする。
「ボク、スライレ」
「本当にスライムなんだぁ。可愛い」
「触っても……いいよ」
「うん」
お姉ちゃんがスライレを愛おしそうに撫でる。スラパチとスラミも横で、病気に負けないで、なんて励ましの言葉をかけている。
少し離れたところで、俺はミーシャとその光景を眺める。
「あの病気、すっごく辛いんだよ。治癒薬はあるけどものすごく高いから、貴族でもない限りまず買えないの」
「こんな寂しい部屋で、苦しんでるのを見るのは忍びないな。まだ十二、三くらいだろうに」
「お金がないと、なかなかなにもできない世の中だよ」
ミーシャの言葉が妙に重く響く。こっちの世界では、テレビで寄付金呼びかけるなんて技も使えないだろうしな……
「嬉しい……ミア、ありがと。スライレも、ありがとう」
「お姉ちゃん、体いたくない?」
「うん、みんなのおかげで全然痛くないよ」
お姉ちゃんが頑張ってVサインを作ったところで、時は満ちた。
「ミーシャ」
「はいよ~」
ミーシャが空の小瓶の口を開けて、俺の顎下あたりに備える。ポタポタと順調に涙が溜まっていく。ええそうですよ、涙腺崩壊ってやつですわ。
ミアとお姉ちゃんの姉妹愛の破壊力はすごすぎた。スライレが悲しそうな顔でやってきて、俺をうるんだ目で見上げる。
「……おやびん、助けてあげてほしい、な」
「その準備はできている」
俺は涙の入った小瓶をミアに渡して、お姉ちゃんに飲ませるように教える。
結論から言うと、邪竜の涙はちゃんと効いてくれて、お姉ちゃんは病気になる前の姿を取り戻した。化膿した皮膚も完璧に快癒して、体の怠さも抜けたみたいだ。
「良かったな、でも念のため、今日明日くらいは安静にしていろよ」
そう告げて俺は家を出ていく。お姉ちゃんはなにかお礼がしたいと言ってきたけど、必要ないと遠慮しておいた。
帰り道、スライレがいままでにないほどのハイテンションではしゃぐ。
「ボク、嬉しいっ。またミアたちに会いにいく」
「いいじゃねえか。仲良くしてやれよ」
「ありがとう、おやびんのおかげで皆幸せになった……!」
「そう? んじゃお礼に帰ったらマッサージでも頼むわ」
ハイジャンプしてイエスだと意思表示するスライレ。スラパチも嬉しいことを言ってくれる。
「おやびんがよわったら、おいらがカンビョウしますね?」
「心強いね~」
「アタシもやるにゃー。食事もフーフーして食べさせてあげる!」
「そいつはどうも」
こいつらと話していると、病気になるのも悪くないような気がしてくるから困るね。
3 イレーヌの冒険
日射しの厳しい昼下がり。
イレーヌは一人で街を散策していた。
グリザードはやはり暑いので少し動くと汗ばんでくる。今日のイレーヌは風通しの良い半袖に膝丈のスカートを穿いていたが、もう少し露出度の高い服でも良かったと後悔する。
すれ違う女性の中には、タンクトップのような物しか着ていない大胆な人も多い。
そのうちチャレンジしてみようと思いつつ、小道へと入っていく。
建物の密集する細道は熱気あふれる大通りに比べるといくらか涼しい。家々が陽光を遮ってくれるというのもあるだろう。
この家はどういった家族構成でどんな生活をしているのか? などと想像を働かせると、道を歩くだけでも飽きない。
「あそこは……」
イレーヌが注目したのは、民家よりは大きな一階建ての家。公園のように大きな庭があり、そこで子供たちがはしゃぎ回っている。
十人以上もいるから、一般家庭ではないのだろう。
「孤児院に興味があるのかしら?」
不意打ち気味に声をかけてきたのは、美しい水色の髪をした女性。受付嬢の制服を着たシエラだった。
「あっ、こんにちは。シエラさん」
「こんにちは。よく会うわね。今日は彼は一緒じゃないの?」
「ご主人様は家で寝てます」
「そう、あの人らしいわね」
イレーヌは、シエラが大量の食べ物が入った買い物袋を持っていることに気づく。
「それ、お一人で食べるのですか?」
「まさか。そこの孤児院に届けるのよ。良かったらアナタも来てみない」
「良いんですか?」
「悪かったら誘わないでしょう」
そりゃそうだと納得しつつイレーヌはシエラのあとを追う。敷地内に入ると、子供たちがワーッと一斉にシエラに駆け寄ってきた。
「シエラねーちゃん! なんか持ってきてくれたのー?」
「果物やお菓子を持ってきたわ」
「ういやあああーー!」
「いやっほーーーい」
「ありがとーっ、おねーちゃん」
子供たちが跳ね上がって喜ぶ。その光景をイレーヌは微笑ましく眺めながらも、子供たちとシエラの関係性が気になっていた。
そんなイレーヌの思考を読み取ったようにシエラは説明する。
「孤児院を援助する助成会っていうのがあって、私はそれに参加しているの」
グリザードでは、恵まれない環境下にある子供たちを救うために、孤児院が街中にいくつも建てられている。
子供の未来を大切に思うフォード公爵は、税の一部を使い孤児院を支援しているのだが、満足に行えているとは言い難い。魔物対策など他のところに予算が持っていかれるからだ。
そこで助成会を作り、民間から援助者を募集している。助成会に参加すれば、公爵が所有する貸し家などを安く借りられるようになるのだが、やはりボランティアの側面が強いため参加者はそう多くない。
「シエラさんは子供がお好きなんですね」
「そうでもないわ。別大陸だけれど私も孤児院育ちだったから。それでなんとなくね」
「シエラねーちゃん果物たべてもいい?」
「その前にこっちのお姉さんに挨拶しなさい。彼女はイレーヌよ」
「「「「こんにちはイレーヌねーちゃん!」」」」
「こんにちは!」
子供たちにつられて、イレーヌの声も大きくなる。イレーヌは子供が大好きなので胸が自然と弾んだ。
釣りに来た人間を襲うわ、退治に来た冒険者を返り討ちにするわ、なかなか強いとのこと。
到着すると、河川近くをみんなで移動してみる。そのうち、ザバァァと水の中からなにかが跳び上がって俺らの前に着地した。
「ゴォォオオオオ!」
体長五メートルはあろうかというワニの魔物が大口を開いて咆哮してくる。強靱そうな顎と噛まれたらタダじゃ済まなそうな牙、それらを見せて威嚇しているつもりだろうか。
サイズがデカいので一般人なら怯むだろうが、サラは逆にワクワクした顔をしている。このへん、根っからの戦闘人だな。
「きをつけてください、そのマモノは口からいろいろだすみたいです!」
「教えてくれてありがとうございます」
スラパチの助言に礼を述べ、サラが大剣を構える。
睨み合いが十秒ほど続き、ついに先にワニが仕掛けた。ガチン! と歯を鳴らしてワニが噛みつこうとするが、空振りだ。サラはすでに上に跳躍していて、落下ついでに大剣をズドンと振り下ろす。
衝撃波みたいなのが発生して、巨大ワニの口どころか胴体まで二つに裂けた。真っ赤な血肉を晒しながら一瞬で死亡する。
「相変わらずの威力でなんか安心した」
「いまのは軽めだったので、耐えてほしかったのですけどね」
「うーん……」
戦いの女神に愛されてんなこいつ。
ワニの肉は、使えそうな部分は切り取って黒袋に入れておく。
しばらく歩くと、今度はまた別の魔物が登場だ。
タツノオトシゴが川からジャンプして、水をすごい勢いで噴射する水砲を放ってくる。ただの水とはいえ、当たったら怪我くらいはする。
「おやびん、おいらたちがやります!」
「見ててね、これがあたしたちの修業の成果よ」
「変・身」
なんとスラパチたちは合体するようだ。一メートルくらいあるビッグスライムに変身したので、俺は拍手した。
「やるじゃねえか」
「まだまだです。ここからがおいらたちのホンリョウハッキです」
口調がスラパチっぽいし色も青なので、スラパチがベースみたいだ。進化スラパチとでも名付けよう。
その進化スラパチだが、戦闘力もちゃんと上がっているみたいだ。タツノオトシゴが噴射した水砲に対抗して、こちらも液体を吐き出す。飛距離は十メートルくらいは余裕であるな。
相手の水砲に威力で勝り、そのまま魔物に液体がかかった。お、なんか水中でめちゃくちゃ苦しんでるな。
体が溶けていっているらしい。やがてタツノオトシゴは浮いたまま動かなくなった。
「酸か?」
「そうですよ~。硬い魔物でも溶かしますー!」
「へえ、強くなったな」
「おやびんに守られてばかりではふがいないですから」
他にも特技はあるようで、斬撃、打撃にも強くなっているとか。
「こういうこともできます」
びちゃ、と不定形な水たまりみたいになったかと思うや、そのまま地面を移動したりする。逆に硬質になることもできる。丸くなった状態で投げてみてくれと言われたので従う。
近くの大きい岩に全力で投げつけたら、ヒビが入って形が崩壊してしまった。もちろん、岩の方がである。
「全然体は痛くねえの?」
「はい、ぴんぴんです」
うん、これは普通に戦闘に役立ちそうだ。
一時間はビッグスライム状態を維持できるというので、相当な進化だと思う。これなら俺がいなくても、他のやつらにイジメられるってことは減りそうで安心した。
「おもしろいものも見れたし、そろそろ帰ろうかね」
今晩はさっきのワニ肉でも食べてみようか。
自宅に帰ると、ルシルから報告があった。
「イレーヌの学校の件、話してみたわよ」
さっそく交渉をしてきてくれたとのこと。行動が早くて助かるね。
「いけそうか?」
「理事長が、男祭りで優勝できたら特別待遇を認めるだってさ」
「男祭り?」
妙な響きに首を傾げると、ルシルが教えてくれる。
年に一回、男性だけが参加できるバトルロイヤルなのだとか。全員敵、という状態で戦って最後に残ったやつが優勝。
優勝すると、なんと学校中の女性からキスされるというから俺は驚いたね。なんつーイベントだよ。
「まあキスって言っても、嫌な子は手の甲とか服とかにでもいいのよ」
「いや、それでもすげーけどな」
「まあね、大抵の人は勝利を称えてほっぺたにするし」
「思春期の男子にはそれでもご褒美だろうな。それで俺も参加していいんだな?」
「優勝してくれないと、イレーヌの件は無理よ」
「オーケー」
男祭りは来週。魔法学院らしく魔法対戦。
竜式魔法といままでの戦闘経験を活かせば優勝は間違いないだろう。さすがに学生相手に負けるわけにはいかない。
しかし、そんなイベントを毎年許容している理事長ってのもすごい人だわ。
「ご主人様、よろしくお願いしますね」
「イレーヌ、任せておけ。それよりサラがワニ仕留めたんだけど、焼けるかな」
「それなら、今日は庭ででも食べますか?」
「いいねー、じゃあ準備するわ」
天候も悪くないので庭でバーベキューでも楽しもうか。
ワイワイ食った方がなんだかんだで美味いからな。
◇ ◆ ◇
俺は丸薬で邪竜に戻れるようになったわけだが、丸薬の残りは限られているし時間制限もある。だから丸薬なしでも戻れるように、毎日寝る前にイメージトレーニングはしているんだが、部分的に邪竜化するくらいはできるようになったんだよな。まあ元が邪竜なので邪竜化ってのは変だけど、人化に慣れちまったからな。
ともあれ本日もミーシャと一緒に草原に来て、体を戻す訓練をしている。
ミーシャは獣人なので、爪を長くしたりといった肉体変化は起こせる。そこでアドバイスを受けているわけだ。
「なんかこうさー、あれだよ。体の芯から力が噴き出て、それが溢れ出すイメージをアタシはいつも持ってるにゃー」
なんとなく感覚はわかる。俺も翼、尻尾、両手までは自由に変形できるんだから、あと一歩ではあるはずなんだよ。
「完全体のときの胴体と頭を想像してみたら?」
「やってみる」
あの銀色で何者の攻撃も受け付けない肉体、そして多種のブレスを操る頭部。噛みつき攻撃も得意だった。
どうせなので人間や魔物との戦闘シーンを思い浮かべる。槍で刺されてもビクともしなかったこと、魔王をブレスで倒したときのことなど。
「あーっ、少し戻ってきてるにゃ!」
「おお……」
足から腹にかけて変化している。頭はどうかとミーシャに尋ねてみる。
「なりかけて……人間に戻って……なりかけて……」
どうやら邪竜と人を行き来しているみてえ。ここは要練習だろう。一時間くらい頑張ってみる。
結果、ミーシャに爆笑される結果となった。
「プププ! それ、変すぎるにゃん!」
「どこが?」
「首から下だけ邪竜なんだもん!」
頭は人間、体は邪竜! なにそれ? ちょっとしたホラーじゃん。ブレス吐こうとしても吐息しかできねえよ。
これもう新種の魔物として登録するのもありかも。
「ちっ、今日はここまでか。俺の心がもう休めって言ってやがる」
「賛成。美味しい物食べにいこ~」
「じゃ背中に乗ってくれ。薬使って感覚を覚えておくわ」
丸薬を呑む。果てしないパワーが漲ってくる。完全体に戻ると、肉体の奥底から来るなにかを抑えきれず咆吼。
「ヌォォオオオオオオオ!!」
「うわっ、すっごい迫力。かっこいいじゃんジャー」
「ふー、この感じを忘れないようにしよう」
「お邪魔するにゃ」
ミーシャが背中に乗ったので、そのままグリザード方面へ飛び立つ。やはり人間状態とは飛行速度も違う。
あっちが気球ならこっちはさしずめ飛行機かね。街に着いたら腹が減っていたので、大通りで飲食店を探す。
「ジャー、あれ見て」
「んーいい店でも見つかったか?」
「違うってば、あの囲まれてるのスラちゃんたちじゃん」
本当だ、スラパチたち三体が子供に囲まれてるな。スライムってことで、からかわれているのかもしれない。俺は急いで駆けつける。
「おい、そのスライムは俺の従魔なんだ。怪我させたりするんじゃ……」
言葉が詰まったのは、俺の想像していた扱いと現実が違ったからだ。十歳前後の男女が愛おしそうにスラパチたちを抱っこしたり、頭を撫でたりしている。
「あ、おやびーん。おかえりですかー」
「スラパチ、いじめられてたわけじゃないんだな?」
「はい、みんなといっしょにあそんでました」
「あたしたち、最近人気者なのよ。おやびんほどじゃないけどね!」
スラミがウインクをする。スライムたちが子供たちから人気なことに、俺は素直に納得した。普通に見た目も性格も可愛いからなこいつら。そもそもいままで人気出てなかった方が不思議なくらいだ。
「あー! そっちの姉ちゃん、耳生えてる!」
「えーっ、獣人なのっ」
子供たちがミーシャを指さして驚く。グリザードに獣人はほとんどいないので、騒ぐ気持ちもわからんでもない。
「え? あー、あはは、どうかにゃ~」
「猫だ、ぜったい猫だよ!」
「お姉ちゃん耳さわらしてー。一生のお願いだからー」
「なに、獣人だからって馬鹿にしたりしないの?」
ミーシャがそう言うと、子供たちは不思議そうな顔をする。獣人は差別されがちだけど、そんな概念すらこの子供たちには存在しない。
それに気分を良くしたようで、ミーシャもしゃがんで耳や尻尾を触らせる。スライムと同じくらい人気だ。
この人気者の中にいると、俺だけ場違いな気がしてくるな。一応俺も銀竜教徒には凄まじい人気を誇るのだが、やはり純粋な子供人気が欲しい気もする。
「俺もさ、結構珍しい頭してると思わねえ? 銀色とかあんまいないでしょ?」
「いないねー」
「特別に今日は、触ってもいいんだぞ」
「けっこう」
急に大人みたいな口調で冷たくあしらわれました。なにそれ、どうして俺にだけそんな冷たいんだよ。
俺だって尻尾とか生えるんだけどね。普通に落ち込むわぁ……
「ねーねー、スラちゃん。おうち来てもらえない?」
七、八歳くらいの女の子がスライレにそうお願いする。
「……ボク? どうして……?」
「お姉ちゃんがね、びょうきでお外でれないの。スライムが大好きだから、来てくれたら元気になるかなぁって。お願い」
手を合わせて頼み込まれたスライレは、ぴょんぴょんと跳ねて俺の足下にやってくる。
「おやびん。行ってもいい?」
「もちろん。一応保護者的なあれで俺らも行ってもいいかね」
「うん、お兄ちゃんたちも来ていいよっ」
そう女の子に許可をもらった。スライムたちを騙して拉致するとかはないと思うが、念のために俺とミーシャも同行する。
全員で女の子の家に向かう。女の子は、ミアって名前だと教えてくれた。
「ミアの姉ちゃんはなんの病気なのよ?」
「うーんとね、いっぱい熱がでて、血も吐いちゃうんだ……それから肌にいっぱいボツボツがでるの」
子供だから病名はわからないのだろう。ミーシャは心当たりがあるのか、険しい表情をする。
「悪熱痘瘡かも。だったら、ちょっと良くない……」
症状を教えてもらうと天然痘に似ているとわかった。ただ感染力は非常に弱いので、それが唯一の救いだとか。突然発症することが多く、原因もよくわかっていない。
ミアの家は、裏通りの隅っこにひっそりと佇んでいた。お世辞にも立派ではなく、住民の平均を下回る暮らしをしているのは容易に想像できた。
ドアを開けると古くなった蝶番がギィと耳に優しくない音を鳴らす。両親は仕事に出ているらしく、居間には誰もいない。ミアに案内されて奥の部屋にみんなで移動する。
「……ミ……ア?」
「お姉ちゃん、スライム連れてきたよ!」
元気そうにミアは言うが、俺たちは同じようにはできない。ベッドに寝ていた少女の容体は相当に悪い。顔を含めて体中に包帯が巻かれているのだが、至るところが膿と血で汚れていた。
顔立ちもよくわからない。呼吸も荒いな。
「スライム……連れてきたって?」
「前にまちで見つけたって言ったでしょ? 今日お願いして家まで来てもらったんだ」
ミアに抱っこされて、スライレがお姉ちゃんと会話をする。
「ボク、スライレ」
「本当にスライムなんだぁ。可愛い」
「触っても……いいよ」
「うん」
お姉ちゃんがスライレを愛おしそうに撫でる。スラパチとスラミも横で、病気に負けないで、なんて励ましの言葉をかけている。
少し離れたところで、俺はミーシャとその光景を眺める。
「あの病気、すっごく辛いんだよ。治癒薬はあるけどものすごく高いから、貴族でもない限りまず買えないの」
「こんな寂しい部屋で、苦しんでるのを見るのは忍びないな。まだ十二、三くらいだろうに」
「お金がないと、なかなかなにもできない世の中だよ」
ミーシャの言葉が妙に重く響く。こっちの世界では、テレビで寄付金呼びかけるなんて技も使えないだろうしな……
「嬉しい……ミア、ありがと。スライレも、ありがとう」
「お姉ちゃん、体いたくない?」
「うん、みんなのおかげで全然痛くないよ」
お姉ちゃんが頑張ってVサインを作ったところで、時は満ちた。
「ミーシャ」
「はいよ~」
ミーシャが空の小瓶の口を開けて、俺の顎下あたりに備える。ポタポタと順調に涙が溜まっていく。ええそうですよ、涙腺崩壊ってやつですわ。
ミアとお姉ちゃんの姉妹愛の破壊力はすごすぎた。スライレが悲しそうな顔でやってきて、俺をうるんだ目で見上げる。
「……おやびん、助けてあげてほしい、な」
「その準備はできている」
俺は涙の入った小瓶をミアに渡して、お姉ちゃんに飲ませるように教える。
結論から言うと、邪竜の涙はちゃんと効いてくれて、お姉ちゃんは病気になる前の姿を取り戻した。化膿した皮膚も完璧に快癒して、体の怠さも抜けたみたいだ。
「良かったな、でも念のため、今日明日くらいは安静にしていろよ」
そう告げて俺は家を出ていく。お姉ちゃんはなにかお礼がしたいと言ってきたけど、必要ないと遠慮しておいた。
帰り道、スライレがいままでにないほどのハイテンションではしゃぐ。
「ボク、嬉しいっ。またミアたちに会いにいく」
「いいじゃねえか。仲良くしてやれよ」
「ありがとう、おやびんのおかげで皆幸せになった……!」
「そう? んじゃお礼に帰ったらマッサージでも頼むわ」
ハイジャンプしてイエスだと意思表示するスライレ。スラパチも嬉しいことを言ってくれる。
「おやびんがよわったら、おいらがカンビョウしますね?」
「心強いね~」
「アタシもやるにゃー。食事もフーフーして食べさせてあげる!」
「そいつはどうも」
こいつらと話していると、病気になるのも悪くないような気がしてくるから困るね。
3 イレーヌの冒険
日射しの厳しい昼下がり。
イレーヌは一人で街を散策していた。
グリザードはやはり暑いので少し動くと汗ばんでくる。今日のイレーヌは風通しの良い半袖に膝丈のスカートを穿いていたが、もう少し露出度の高い服でも良かったと後悔する。
すれ違う女性の中には、タンクトップのような物しか着ていない大胆な人も多い。
そのうちチャレンジしてみようと思いつつ、小道へと入っていく。
建物の密集する細道は熱気あふれる大通りに比べるといくらか涼しい。家々が陽光を遮ってくれるというのもあるだろう。
この家はどういった家族構成でどんな生活をしているのか? などと想像を働かせると、道を歩くだけでも飽きない。
「あそこは……」
イレーヌが注目したのは、民家よりは大きな一階建ての家。公園のように大きな庭があり、そこで子供たちがはしゃぎ回っている。
十人以上もいるから、一般家庭ではないのだろう。
「孤児院に興味があるのかしら?」
不意打ち気味に声をかけてきたのは、美しい水色の髪をした女性。受付嬢の制服を着たシエラだった。
「あっ、こんにちは。シエラさん」
「こんにちは。よく会うわね。今日は彼は一緒じゃないの?」
「ご主人様は家で寝てます」
「そう、あの人らしいわね」
イレーヌは、シエラが大量の食べ物が入った買い物袋を持っていることに気づく。
「それ、お一人で食べるのですか?」
「まさか。そこの孤児院に届けるのよ。良かったらアナタも来てみない」
「良いんですか?」
「悪かったら誘わないでしょう」
そりゃそうだと納得しつつイレーヌはシエラのあとを追う。敷地内に入ると、子供たちがワーッと一斉にシエラに駆け寄ってきた。
「シエラねーちゃん! なんか持ってきてくれたのー?」
「果物やお菓子を持ってきたわ」
「ういやあああーー!」
「いやっほーーーい」
「ありがとーっ、おねーちゃん」
子供たちが跳ね上がって喜ぶ。その光景をイレーヌは微笑ましく眺めながらも、子供たちとシエラの関係性が気になっていた。
そんなイレーヌの思考を読み取ったようにシエラは説明する。
「孤児院を援助する助成会っていうのがあって、私はそれに参加しているの」
グリザードでは、恵まれない環境下にある子供たちを救うために、孤児院が街中にいくつも建てられている。
子供の未来を大切に思うフォード公爵は、税の一部を使い孤児院を支援しているのだが、満足に行えているとは言い難い。魔物対策など他のところに予算が持っていかれるからだ。
そこで助成会を作り、民間から援助者を募集している。助成会に参加すれば、公爵が所有する貸し家などを安く借りられるようになるのだが、やはりボランティアの側面が強いため参加者はそう多くない。
「シエラさんは子供がお好きなんですね」
「そうでもないわ。別大陸だけれど私も孤児院育ちだったから。それでなんとなくね」
「シエラねーちゃん果物たべてもいい?」
「その前にこっちのお姉さんに挨拶しなさい。彼女はイレーヌよ」
「「「「こんにちはイレーヌねーちゃん!」」」」
「こんにちは!」
子供たちにつられて、イレーヌの声も大きくなる。イレーヌは子供が大好きなので胸が自然と弾んだ。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
【完結】20年後の真実
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。
マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。
それから20年。
マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。
そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。
おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。
全4話書き上げ済み。
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません
きぬがやあきら
恋愛
「妻はお妃様一人とお約束されたそうですが、今でもまだ同じことが言えますか?」
「正直なところ、不安を感じている」
久方ぶりに招かれた故郷、セレンティア城の月光満ちる庭園で、アシュレイは信じ難い光景を目撃するーー
激闘の末、王座に就いたアルダシールと結ばれた、元セレンティア王国の王女アシュレイ。
アラウァリア国では、新政権を勝ち取ったアシュレイを国母と崇めてくれる国民も多い。だが、結婚から2年、未だ後継ぎに恵まれないアルダシールに側室を推す声も上がり始める。そんな頃、弟シュナイゼルから結婚式の招待が舞い込んだ。
第2幕、連載開始しました!
お気に入り登録してくださった皆様、ありがとうございます! 心より御礼申し上げます。
以下、1章のあらすじです。
アシュレイは前世の記憶を持つ、セレンティア王国の皇女だった。後ろ盾もなく、継母である王妃に体よく追い出されてしまう。
表向きは外交の駒として、アラウァリア王国へ嫁ぐ形だが、国王は御年50歳で既に18人もの妃を持っている。
常に不遇の扱いを受けて、我慢の限界だったアシュレイは、大胆な計画を企てた。
それは輿入れの道中を、自ら雇った盗賊に襲撃させるもの。
サバイバルの知識もあるし、宝飾品を処分して生き抜けば、残りの人生を自由に謳歌できると踏んでいた。
しかし、輿入れ当日アシュレイを攫い出したのは、アラウァリアの第一王子・アルダシール。
盗賊団と共謀し、晴れて自由の身を望んでいたのに、アルダシールはアシュレイを手放してはくれず……。
アシュレイは自由と幸福を手に入れられるのか?
魔王を倒した手柄を横取りされたけど、俺を処刑するのは無理じゃないかな
七辻ゆゆ
ファンタジー
「では罪人よ。おまえはあくまで自分が勇者であり、魔王を倒したと言うのだな?」
「そうそう」
茶番にも飽きてきた。処刑できるというのなら、ぜひやってみてほしい。
無理だと思うけど。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
