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恐怖の始まり
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私は気づいた。私と梨緒のバカ話しを聞いている人影に。でも、たまたまだろう。そう思うことにした。
梨緒は多分気づいていない。怖がらせたくない。なぜか、そう思った。本当に私たちを見ているのかもわからないのに。
*
僕は見ていた。友達と僕の書いた手紙を見ながら、楽しげに話す彼女を。
憎らしかった。なんで、彼女が笑っているんだ!!なんで、彼女に友達がいるんだ!!なんで、彼女は苦しまないんだ!!
本当に憎らしかった。殺してやりたいくらい。僕が苦しめてあげる。那月さん。
今のうちに友達と仲良くしてな。
そして、誌野田さん。君も僕の邪魔をするなら、消してあげる。
僕の手で君たちから幸せを奪ってあげる。
*
「那月!那月!おい、那月葉留佳!!」
先生に呼ばれて気づいた。私はボーッとしてたらしい。
「あ、はい!すいません。」
「まったく、お前なぁ。いい加減にしろよ?今週何度目だ?後で指導室に来い。なっ?いいな?必ずだぞ。」
私がボーッとしてたのには理由がある。
月曜日、あの手紙が入ってた日からなにかがおかしい。家に帰るまでの間、誰かに後を尾けられている気がする。
いつも、ずっと見張られている感じで、なんだか気持ち悪い。授業中でも、部活中でも、放課後でも。今だってそうだ。
*
私は見ている。あの日からおかしい葉留佳を。
私は見ている。あの日、影から葉留佳と私を見つめていた男を。
私は見られている。誰に見られているのかは、わからないが……。
*
「お前はなぁ、真面目だったのに。今週はどうしたんだ?なんか、変だぞ?悩み事か?」
進路指導室で、私は先生にそう聞かれた。でも、半信半疑ななかストーカーされているなんて、とてもじゃないが言えない。親を呼ばれるかもしれないし。お姉ちゃんが大変な時期に変な事で心配はかけたくない。
「いえ、別に。次からは気をつけます。すいませんでした。」
そう言って立ち上がると、
「あぁ、そうだな。気をつけなさい。
部活頑張れよ!!」
「はい!ありがとうございました。」
進路指導室を出ると、後ろから誰かに話しかけられた。
「あの、那月さん。」
振り返ると、見覚えのある男子が立っていた。どこで見たのかは思い出せそうで、思い出せない。
「はい?」
「あ。やっぱり、那月葉留佳さんだ。」
なんでこの人は私の名前を知っているのか。
「あなた、誰?」
そう聞くと、彼は
「あ、僕?僕は、東雲尚希。C組だよ。」
「あ、そう。それで、私になにか用?」
「うん。あの、返事が聞きたくて。」
「はぁ?返事?」
「告白の。」
それを聞いて私の靴箱に手紙を入れたのはこの人だとわかった。と、同時に私は怒ってしまった。それは、この人をどこで見たのか思い出したから。
「あなた?ふざけた紙を私の靴箱に入れたのは?しかも、あなたさっき私の名前を確認してたわよね?適当に人の靴箱に手紙入れて後から名前を調べてその人の所にいって返事聞くんでしょ。あなた前も、同じ事やってなかった?B組の里田さんにも聞いてた。中庭で。付き合ったけど、上手くいかなくて別れた。そして、新しい彼女作るためにターゲットを探してたら、偶然にも私だったったてわけね。遊びに私たちを使わないでよ!!」
そう言い切ると、彼は震えて反論してきた。
「違う。違う。違う!!
僕じゃないんだ!!クラスの奴らが勝手に僕を使って告りゲームやってるだけなんだ。那月さんで、5人目なんだ。いじめじゃないけど、遊ばれているんだ。助けてくれよ。」
嘘。直感的にそう思って、もっと強く言ってしまった。
「なに言ってんの?そんな嘘、誰が信じると思う?もっと上手く嘘がつけるようになるまで、変な遊びは控えな!!」
そう言い放って、彼をその場において私は立ち去った。
その日の帰りは誰かに尾けられてはいなかった。それで、私を尾けていたのは、東雲くんだとわかった。それで、その日からは安心できた。
でも、本当に私は気づいていなかったんだ。家のそばの電柱から覗く人影に。
梨緒は多分気づいていない。怖がらせたくない。なぜか、そう思った。本当に私たちを見ているのかもわからないのに。
*
僕は見ていた。友達と僕の書いた手紙を見ながら、楽しげに話す彼女を。
憎らしかった。なんで、彼女が笑っているんだ!!なんで、彼女に友達がいるんだ!!なんで、彼女は苦しまないんだ!!
本当に憎らしかった。殺してやりたいくらい。僕が苦しめてあげる。那月さん。
今のうちに友達と仲良くしてな。
そして、誌野田さん。君も僕の邪魔をするなら、消してあげる。
僕の手で君たちから幸せを奪ってあげる。
*
「那月!那月!おい、那月葉留佳!!」
先生に呼ばれて気づいた。私はボーッとしてたらしい。
「あ、はい!すいません。」
「まったく、お前なぁ。いい加減にしろよ?今週何度目だ?後で指導室に来い。なっ?いいな?必ずだぞ。」
私がボーッとしてたのには理由がある。
月曜日、あの手紙が入ってた日からなにかがおかしい。家に帰るまでの間、誰かに後を尾けられている気がする。
いつも、ずっと見張られている感じで、なんだか気持ち悪い。授業中でも、部活中でも、放課後でも。今だってそうだ。
*
私は見ている。あの日からおかしい葉留佳を。
私は見ている。あの日、影から葉留佳と私を見つめていた男を。
私は見られている。誰に見られているのかは、わからないが……。
*
「お前はなぁ、真面目だったのに。今週はどうしたんだ?なんか、変だぞ?悩み事か?」
進路指導室で、私は先生にそう聞かれた。でも、半信半疑ななかストーカーされているなんて、とてもじゃないが言えない。親を呼ばれるかもしれないし。お姉ちゃんが大変な時期に変な事で心配はかけたくない。
「いえ、別に。次からは気をつけます。すいませんでした。」
そう言って立ち上がると、
「あぁ、そうだな。気をつけなさい。
部活頑張れよ!!」
「はい!ありがとうございました。」
進路指導室を出ると、後ろから誰かに話しかけられた。
「あの、那月さん。」
振り返ると、見覚えのある男子が立っていた。どこで見たのかは思い出せそうで、思い出せない。
「はい?」
「あ。やっぱり、那月葉留佳さんだ。」
なんでこの人は私の名前を知っているのか。
「あなた、誰?」
そう聞くと、彼は
「あ、僕?僕は、東雲尚希。C組だよ。」
「あ、そう。それで、私になにか用?」
「うん。あの、返事が聞きたくて。」
「はぁ?返事?」
「告白の。」
それを聞いて私の靴箱に手紙を入れたのはこの人だとわかった。と、同時に私は怒ってしまった。それは、この人をどこで見たのか思い出したから。
「あなた?ふざけた紙を私の靴箱に入れたのは?しかも、あなたさっき私の名前を確認してたわよね?適当に人の靴箱に手紙入れて後から名前を調べてその人の所にいって返事聞くんでしょ。あなた前も、同じ事やってなかった?B組の里田さんにも聞いてた。中庭で。付き合ったけど、上手くいかなくて別れた。そして、新しい彼女作るためにターゲットを探してたら、偶然にも私だったったてわけね。遊びに私たちを使わないでよ!!」
そう言い切ると、彼は震えて反論してきた。
「違う。違う。違う!!
僕じゃないんだ!!クラスの奴らが勝手に僕を使って告りゲームやってるだけなんだ。那月さんで、5人目なんだ。いじめじゃないけど、遊ばれているんだ。助けてくれよ。」
嘘。直感的にそう思って、もっと強く言ってしまった。
「なに言ってんの?そんな嘘、誰が信じると思う?もっと上手く嘘がつけるようになるまで、変な遊びは控えな!!」
そう言い放って、彼をその場において私は立ち去った。
その日の帰りは誰かに尾けられてはいなかった。それで、私を尾けていたのは、東雲くんだとわかった。それで、その日からは安心できた。
でも、本当に私は気づいていなかったんだ。家のそばの電柱から覗く人影に。
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