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サトリ編
003 二度目の命
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数分後、翔太郎は目が覚めた。
コンクリートの壁の前でうつ伏せになって寝ており、翔太郎は飛び起きた。
「あれ?生きてる…?いっ…!」
しかし、体には鈍い痛みを感じている翔太郎。すると翔太郎は気づいた。
胸が押し潰され、身体が血だらけである事に。普通なら絶命してもおかしくはない血の量であるが、それでも翔太郎は生きているのだ。翔太郎は戸惑いを隠せない。
(え…?僕…身体が潰れているのに生きている…?)
混乱する翔太郎の前には、沢山の霊が集まっていた。霊は口々に言う。
「あの人…生きてるよ?」
「普通は死んじゃう怪我なのに、不思議だな。」
「その上、僕達まで見えるみたい。」
「きっと、強い霊力を持った霊能者様なんだよ。」
それらの会話に、翔太郎は恐怖を覚えていた。幽霊達は翔太郎に漂い寄ろうとしていたが、父から貰ったお守りで近づけない様だった。それを見て翔太郎は、幽霊は近づいてこないと安心する。
しかしその安心を裏切る様に、安堵する翔太郎の前に一人の霊が現れた。その霊にお守りは効かないようで、翔太郎のすぐ近くにまでやってきた。
暗いドレスを着た、水色の吸い込まれる様な瞳が特徴の女性。赤く長い髪をサイドテールにし、ロールをかけてお洒落に仕上げた髪型。前髪は左目を隠すように作られたパッツンで、長い横髪が特徴。何よりも驚きなのは、彼女には上腕から下が無く、更には腹から下も見当たらない。身体を失いユラユラと宙に浮かぶその姿は、正しく幽霊。
翔太郎はその幽霊を見ると、更に戸惑いを覚えた。
「き、君は…!今朝、バス停で僕を見ていた…!」
「覚えてくださっていたのですね。」
翔太郎に上品に言葉を返す幽霊は、ふわふわと翔太郎の前まで来る。
「私は【れふ】と申します。貴方に…お願いがあって来ました。」
「そ、それって今じゃないといけませんか…?こちとら今の状況が掴めてなく…」
翔太郎がそこまで言うと、レフは話を続けた。
「身体がこんなに傷ついても生きている…。普通の人間ならばとっくに亡くなっているはず…。そうお思いですね?」
図星なので翔太郎は反応を見せると、レフは翔太郎と目を合わせてから言う。
「貴方は『既に死んでいる』のです、神木間翔太郎さん。今よりも前に…。」
その言葉に、翔太郎は目を剥いて状況を受け入れるしかなかった。自分の今の身体の状態を見れば、人間離れした事は明確にわかる。レフは静かに目を閉じて続ける。
「いつ亡くなったのか、覚えていない様ですね…。それほどショックが大きかったのでしょう…。」
しかしいざ受け入れようとすると、それを否定したい当然の感情が芽生えた。
「…前から死んでるなんて信じられない…。だって、僕は毎日家族と話して、大学で講義を受けて…!
そうだ。幽霊の見えない弟だって、母さんだって、僕の事が見えている…!だから死んだなんて信じられないっ…!」
翔太郎は悔しそうな表情でそう訴えると、レフは困った表情で言った。
「落ち着いてください、翔太郎さん。信じられない様な出来事かもしれませんが、落ち着いて話を聞いて欲しいれふ。」
口が滑ったレフ。すると顔を真っ赤にする。
(今、口を滑らせて『です』を『れふ』って言ったよね…?)
翔太郎はただただレフを見つめていると、レフは誤魔化すように話を続けた。
「貴方は霊能者の血を引く者。昔から、幽霊が見えてきたのではないですか?」
「は…はい。」
翔太郎が戸惑いながら返事をする。
「霊能者が持つその強大な霊力は、その昔…黄泉の国から頂いたものなのです。
力を貰った霊能者の家系で希に…強大な霊力を持って生まれる者がいます。それが翔太郎さん、貴方なのです。」
「それが今の状況と何の関係が…?」
「その霊力を持って生まれた者は、一度死んでも蘇る事ができるのです。」
その言葉に翔太郎は反応を見せると、レフは続けた。
「正確的には、霊力で元の身体に遥かに近い人体を作り出して魂を宿す事が一度だけ出来るのです。つまり貴方が怪我をしても死なないのは…その身体は人体ではなく、霊力で出来ている肉体だからなのです。」
「そ…それってつまり……僕は幽霊と同じ…?ゾンビみたいなものじゃないか…!」
翔太郎がショックを覚えた表情で言うとレフは頷いた。その事実に翔太郎が怯むと、レフは続ける。
「そこで翔太郎さん、私の願いを聞き入れて欲しいのです。もし、私の願いを叶えてくださったのなら……貴方の願い事を一つ、何でも聞きます。」
「願い…?」
「ええ。霊としてでなく、人間として生き返る…と言う願いでも叶えましょう。どうですか?」
魅力的な提案ではあるが、翔太郎はどんなに切羽詰まっていようと目の前の餌に無闇に食いつく様な性格の人間ではなかった。むしろレフの提案に、翔太郎は冷静な様子で聞く。
「レフさんの願いを教えてください。」
コンクリートの壁の前でうつ伏せになって寝ており、翔太郎は飛び起きた。
「あれ?生きてる…?いっ…!」
しかし、体には鈍い痛みを感じている翔太郎。すると翔太郎は気づいた。
胸が押し潰され、身体が血だらけである事に。普通なら絶命してもおかしくはない血の量であるが、それでも翔太郎は生きているのだ。翔太郎は戸惑いを隠せない。
(え…?僕…身体が潰れているのに生きている…?)
混乱する翔太郎の前には、沢山の霊が集まっていた。霊は口々に言う。
「あの人…生きてるよ?」
「普通は死んじゃう怪我なのに、不思議だな。」
「その上、僕達まで見えるみたい。」
「きっと、強い霊力を持った霊能者様なんだよ。」
それらの会話に、翔太郎は恐怖を覚えていた。幽霊達は翔太郎に漂い寄ろうとしていたが、父から貰ったお守りで近づけない様だった。それを見て翔太郎は、幽霊は近づいてこないと安心する。
しかしその安心を裏切る様に、安堵する翔太郎の前に一人の霊が現れた。その霊にお守りは効かないようで、翔太郎のすぐ近くにまでやってきた。
暗いドレスを着た、水色の吸い込まれる様な瞳が特徴の女性。赤く長い髪をサイドテールにし、ロールをかけてお洒落に仕上げた髪型。前髪は左目を隠すように作られたパッツンで、長い横髪が特徴。何よりも驚きなのは、彼女には上腕から下が無く、更には腹から下も見当たらない。身体を失いユラユラと宙に浮かぶその姿は、正しく幽霊。
翔太郎はその幽霊を見ると、更に戸惑いを覚えた。
「き、君は…!今朝、バス停で僕を見ていた…!」
「覚えてくださっていたのですね。」
翔太郎に上品に言葉を返す幽霊は、ふわふわと翔太郎の前まで来る。
「私は【れふ】と申します。貴方に…お願いがあって来ました。」
「そ、それって今じゃないといけませんか…?こちとら今の状況が掴めてなく…」
翔太郎がそこまで言うと、レフは話を続けた。
「身体がこんなに傷ついても生きている…。普通の人間ならばとっくに亡くなっているはず…。そうお思いですね?」
図星なので翔太郎は反応を見せると、レフは翔太郎と目を合わせてから言う。
「貴方は『既に死んでいる』のです、神木間翔太郎さん。今よりも前に…。」
その言葉に、翔太郎は目を剥いて状況を受け入れるしかなかった。自分の今の身体の状態を見れば、人間離れした事は明確にわかる。レフは静かに目を閉じて続ける。
「いつ亡くなったのか、覚えていない様ですね…。それほどショックが大きかったのでしょう…。」
しかしいざ受け入れようとすると、それを否定したい当然の感情が芽生えた。
「…前から死んでるなんて信じられない…。だって、僕は毎日家族と話して、大学で講義を受けて…!
そうだ。幽霊の見えない弟だって、母さんだって、僕の事が見えている…!だから死んだなんて信じられないっ…!」
翔太郎は悔しそうな表情でそう訴えると、レフは困った表情で言った。
「落ち着いてください、翔太郎さん。信じられない様な出来事かもしれませんが、落ち着いて話を聞いて欲しいれふ。」
口が滑ったレフ。すると顔を真っ赤にする。
(今、口を滑らせて『です』を『れふ』って言ったよね…?)
翔太郎はただただレフを見つめていると、レフは誤魔化すように話を続けた。
「貴方は霊能者の血を引く者。昔から、幽霊が見えてきたのではないですか?」
「は…はい。」
翔太郎が戸惑いながら返事をする。
「霊能者が持つその強大な霊力は、その昔…黄泉の国から頂いたものなのです。
力を貰った霊能者の家系で希に…強大な霊力を持って生まれる者がいます。それが翔太郎さん、貴方なのです。」
「それが今の状況と何の関係が…?」
「その霊力を持って生まれた者は、一度死んでも蘇る事ができるのです。」
その言葉に翔太郎は反応を見せると、レフは続けた。
「正確的には、霊力で元の身体に遥かに近い人体を作り出して魂を宿す事が一度だけ出来るのです。つまり貴方が怪我をしても死なないのは…その身体は人体ではなく、霊力で出来ている肉体だからなのです。」
「そ…それってつまり……僕は幽霊と同じ…?ゾンビみたいなものじゃないか…!」
翔太郎がショックを覚えた表情で言うとレフは頷いた。その事実に翔太郎が怯むと、レフは続ける。
「そこで翔太郎さん、私の願いを聞き入れて欲しいのです。もし、私の願いを叶えてくださったのなら……貴方の願い事を一つ、何でも聞きます。」
「願い…?」
「ええ。霊としてでなく、人間として生き返る…と言う願いでも叶えましょう。どうですか?」
魅力的な提案ではあるが、翔太郎はどんなに切羽詰まっていようと目の前の餌に無闇に食いつく様な性格の人間ではなかった。むしろレフの提案に、翔太郎は冷静な様子で聞く。
「レフさんの願いを教えてください。」
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