屍人の陰陽師

うてな

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サトリ編

014 読みたくない理由

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大学終わりにサークル活動。
翔太郎がサークル長を務める『除霊サークル』は、現世に彷徨う魂を黄泉の国へ案内する慈善サークルである。部員は翔太郎と友達のケンの二人のみであり、一般の理解の及ばないサークルの一つである。
カフェにやってきた翔太郎とケン、ついでにレフ。翔太郎とケンは飲み物をオーダーすると、話し合いを始めた。

「ではケンくん、これから『除霊サークル』の活動を始めます。」

「はい!」

ケンは無表情であるが、目が輝いていた。翔太郎は微笑ましく笑うと、ケンに言う。

「今回の活動内容だけど…、数か月前にこの付近で事故死した幽霊が、地縛霊となっていないか調査に行きます。発見した場合、悪霊になる兆候があれば成仏させるように努めます。」

「努める…ですか。疑問なのですが、先輩は霊能力を使って戦ったりはできないんですか?」

ケンが手を上げて質問すると、翔太郎は回答に迷ってから答えた。

「僕は霊能者だけど、戦う力は持っていないんだ。僕の妹なら、式神を扱うのが得意だから戦う事ができるけれど。」

「式神…。先輩は苦手なのですか?」

「結界を貼るくらいが限界かな…。霊能者にも、持っている能力や得意不得意が分かれるんだ。」

ケンは霊能力に興味津々なのか、無表情ながら声には強く感情が現れている。

「なるほどなるほど…!凄い…霊能力者…興味が沸きます…!」

ケンはブツブツとそう言って、スマホにメモしていた。それらをメモし終えると、ケンは何かに気づいてスマホをテーブルに置いた。翔太郎はケンの変わった様子に思わず視線を向けると、ケンは席を立った。

「すいません、ちょっと席を外します。」

「うん。」

翔太郎が返事をすると、ケンはさっさとトイレへと向かっていく。レフはそれを見送ると、翔太郎に話しかける。

「なんだか、あまり感情を表に出さない方ですね。」

レフが言うと、翔太郎は苦笑。

「いつもあんな感じですよ。ずっとああだとたまに、僕の事をよく思ってないのかなって思ってしまいます。」

「心を読めばわかるじゃないですか。」

レフの言葉に、翔太郎は困った様子を見せ笑いで繕っていた。

「えっと…僕は他者の心を出来るだけ読まないようにしているんです。」

「なぜです?」

そう言われると、翔太郎は虚しそうな表情を見せる。レフが首を傾げると、翔太郎は言った。

「この能力で、小さい頃から周りから気味悪がられていたんです。相手の考えがわかってしまう力…。それでケンくんの本当の考えがわかってしまったら……」

そう言った翔太郎の手は震えていた。翔太郎はどうやら、自分の能力に強いコンプレックスを抱いている様子だった。レフは困った様子を見せると、目を閉じて言う。

「あの子は、霊能者ではありません。それでも翔太郎さんに興味を持っているのですから、翔太郎さんに悪い感情は抱いていないはずです。」

どうやらケンは霊能者でもないのに、このサークルに入ったようだ。

「そう…なのかな。ケンくんは霊能者に興味があって、サークルに入ってくれたんです。」

翔太郎は不安を交えた微笑みでそう答えた。レフはケンを見て何か思うのか、ケンが向かったトイレを注意深く見つめていた。翔太郎はそれを変に思うと、レフは翔太郎に聞く。

「話は変わりますが。翔太郎さんは、妖についてどう思っていますか?…弟さんを人間離れさせた悪党ですか?」

その言葉に、翔太郎は反応をした。そのワードにいい思い出がないのか、暗い表情を見せる。翔太郎は呟くように言った。

「そうですね、僕はどちらかと言うと妖が憎いです。でも、韻を妖の世界に引き込んだという理由だけで嫌っている訳ではないです。」

「他にもあるのですか?」

「…高校時代、百妖災で…大切な友達を三人も妖に殺されたんです。今やってるサークルも、その友達とやっていた部活動の一環なんです。」

「そんなに悲しい事でしょうか?翔太郎さんなら、人が死んでも霊を見る事ができるじゃないですか。」

レフは死に対して悲しみを覚えないのか、平気そうに言った。しかし翔太郎は悔しそうな表情を見せる。

「悲しい事ですよ…!もう学校で会う事もできない、一緒に遊んだりもできない。それ以前に、成仏してしまっては会う事さえ叶わない…!霊が見えるからと言って、会いたい故人に会えるってわけじゃないです…!」

掠れた声の翔太郎を見て、レフはさきほどの言葉を改めた。

「無神経な発言をごめんなさい、翔太郎さん。そう…ですね…。妖にかけがえのないお友達の命を奪われて、弟さんの運命も左右して…恨みたくもなりますよね…。」

レフの言葉に、翔太郎は小さく頷いた。
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