植物人間の子

うてな

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第2章 正体―アイデンティティ―

094 プラズマ禁止令

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全てを思い出したクロマは、静かに目を閉じた。
ミンスやサウザは悲しげな表情を浮かべ、他の者は真剣に話を聞いていた。

「これが…私の罪か。ミンスを傷つけ、母上を殺した。」

クロマは珍しく反省した顔をしていた。
久坂は言った。

「そっか。
その時までは石の巫女がクロマの命を繋ぐ為に力を与えていたが、石の巫女が死んだからそうもいかなくなったんだな。」

ミンスは頷いた。

「私が人間を植物人間にすると、その植物人間から力を得られるのです。
私が植物人間を増やしたのは…その為です。全て、全てはクロマを生かす為…。」

「つまり貴方達の母が死ななければ、ミンスもこんな事をしていないってわけね。」

秋菜は言った。
ミンスは小さく頷く。
すると数男は鼻で「フン」と言った。

「下らない、同情を誘ってるのか?」

ハジメは考える仕草を見せながらも言った。

「でも事実なんだろ?そんな言い方はなぁ」

「一度騙されたヤツが、また信じる?馬鹿は死ななきゃ治らないみたいだな。」

するとハジメはムキになった。

「いいじゃないか!今はクロマやミンスが力さえ使わなければ何もかも平和に収まる!どう感じようが勝手だろ!
逆に貴様は、無駄に人を懲らしめようとする気が強すぎる!もっと心を広く持て!」

しかし数男は無視をしてタバコを一本。
電話の向こうではサチも際どい表情を見せていて、守は誠治に言った。

「誠治さん…。それでもあの子を懲らしめたいの…?」

誠治は葛藤しているのか眉を潜めた。

「…わからない…」

誠治はその場で崩れ、頭を抱えてしまう。
守は晴れない気分に。
サチはその様子を眺めながらも、電話の続きを聞く。
サウザは言った。

「俺がみんなから種を奪ったのもさ、ミンスを止めたかったからなんだ。
最近、ニホンで沢山の人間が犠牲になったって聞いたから…」

「なるほど…そういう事だったか。」

とハジメ。
すると電話越しのシュンは言った。

「まー何もしなけりゃいんじゃね!」

数男は携帯を見つめながらも、呆れて溜息を吐く。
そして次にミンス達を睨みつけると、ミンスは緊迫した表情をしながらもクロマを抱き寄せた。

「クロマは今…無力です…!殺さないでください…!」

ミンスは僅かに震えており、それにクロマが気づいた。
すると数男は面白がって不穏な笑みを浮かべる。

「何を言う。コイツはただの人殺しだろ?処刑されてもおかしくはない。」

ミンスは数男を睨む。

「クロマを殺すと言うならば…!わたくし、もっと人間に酷い事をします…!」

「は?知るか。お前も殺してしまえば変わらない。」

数男が残忍にも言うと、クロマはミンスを自分の後ろに隠して数男に言った。

「貴様、図に乗るな。力が無くとも貴様など滅せる。いいや、貴様の植物人間を一人一人殺してくれよう。」

「力が無ければただの人間のくせによく言う。本当にできるのか逆に心配だな。」

クロマは行動をしようとしたが、サウザに腕を強く掴まれて進むに進めない。

「貴様離せ!貴様も八つ裂きにされたいのか!」

クロマは言うが、サウザは湿気た表情を変えずにクロマに言う。

「クロマ。クロマは気づいてないようだけど、クロマの力は前と比べたら物凄く落ちたよ。」

クロマが目を見開くと、サウザはクロマの両腕を楽々と拘束した。
クロマは抵抗したくても抵抗できない事に驚くしかなかった。
今まではその程度の力ならば、自分の力で振り払う事は容易だったからだ。

「普通の男性と一緒。いや、もしかしたら、もっともっと弱くなってしまうかもしれないんだ…。」

サウザの言う事がまだイマイチわからないのか、クロマは力を纏う。
しかしミンスが止めた。

「おやめなさいクロマ!」

普段ふざけた事ばかり言うミンスが、これほど真剣に自分を叱咤する。
クロマは嘘ではないと感じ、抵抗をやめて悔しい顔を浮かべる。
サウザは手を離すと、クロマは自分の両手を睨みつけた。

数男は愉快なのか大笑いしてしまう。
電話越しのサチは、数男の悪者っぷりにドン引きしていた。

「これからどんどん弱くなったら面白いものだな!今まで自分が強かった分、お前が殺してきた弱い奴の立場がわかっていいんじゃないか?」

クロマは言い返そうとしたが、ミンスがクロマの腕を引っ張ったのでクロマは言うのをやめた。
ゲラゲラと笑う数男を、ただクロマは睨みつける事しかできなかった。
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